かへ)” の例文
新字:
居室へやかへつてると、ちやんと整頓かたづいる。とき書物しよもつやら反古ほごやら亂雜らんざつきはまつてたのが、もの各々おの/\ところしづかにぼくまつる。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
とその家庭かてい苦痛くつう白状はくじやうし、ついにこのしよ主人公しゆじんこうのち殺人さつじん罪人ざいにんなるカ……イ……をともなひてその僑居けうきよかへるにいた一節いつせつきはめて面白おもしろし。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
くはかついで遺跡ゐせきさぐりにあるき、貝塚かひづかどろだらけにつてり、その掘出ほりだしたる土器どき破片はへん背負せおひ、うしていへかへつて井戸端ゐどばたあらふ。
しか崖丈がけだけ大丈夫だいぢやうぶです。どんなことがあつたつてえつこはねえんだからと、あたか自分じぶんのものを辯護べんごでもするやうりきんでかへつてつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
られる都合つがふならばまたいままでのやうにお世話せわりにまする、るべくは鳥渡ちよつとたちかへりにぐも出京しゆつけうしたきものとかるくいへば
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
道翹だうげうこたへた。「豐干ぶかんおつしやいますか。それは先頃さきころまで、本堂ほんだう背後うしろ僧院そうゐんにをられましたが、行脚あんぎやられたきりかへられませぬ。」
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
これえらい!……畫伯ぐわはく自若じじやくたるにも我折がをつた。が、御當人ごたうにんの、すまして、これからまた澁谷しぶやまでくゞつてかへるとふにはしたいた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「そんぢやぢい砂糖さたうでもめろ」とおつぎは與吉よきちだい籰棚わくだなふくろをとつた。寡言むくち卯平うへい一寸ちよつと見向みむいたきりでかへつたかともいはない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ねて、どうすかしても、しかつてもはうとしませんので、女官じよかん面目めんぼくなさそうに宮中きゆうちゆうかへつてそのことをまをげました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
ミハイル、アウエリヤヌヰチは一人ひとりして元氣可げんきよく、あさから晩迄ばんまでまちあそあるき、舊友きういうたづまはり、宿やどには數度すうどかへらぬつたくらゐ
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
つき家主廣次郎同道どうだうにて我が家にこそはかへりけれさてそれより原田は虎松に向ひ其方明日杉戸へ案内あんないを致せよつて今日は家主いへぬし巳之助其方そのはうへ虎松を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そんなわけ伊豆いづ山からかへつてくると、早速家の近くに通ひの球突塲たまつきばを見つけて、さすがに學校をまつたくエスするといふほどではなかつたが
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
其間そのあひだかほあはせることがあつても、くちでは其事そのことんにもはない。そしてうちかへつてから葉書はがきす。チヨイト面白おもしろいものだよ。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
とうさんは榎木えのきばかりでなく、橿鳥かしどりうつくしいはねひろひ、おまけにそのおほきな榎木えのきしたで、『丁度好ちやうどいとき。』までおぼえてかへつてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
其故それゆゑわたくしじゆくではこの規則きそく精神せいしん規則きそく根本こんぽんかへつて、各個人かくこじん都合つがふといふところを十ぶん了解れうかいせしむるといふ方針はうしんとつるのであります。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
あんな悲慘事ひさんじ自分じぶんむらおこつたことを夢想むそうすることも出來できず、翌朝よくあさ跡方あとかたもなくうしなはれたむらかへつて茫然自失ぼうせんじしつしたといふ。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
あいちやんはかへらうとしましたが、いかさけ女王樣ぢよわうさまのおこゑとほくにきこえたので、如何どうなることかとほも競技ゲームてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
わたくしんだか心配しんぱいなんです、稻妻いなづまがいくらつよくつたつて、あの澤山たくさん猛獸まうじうなかを、無事ぶじ海岸かいがんいへかへこと出來できませうか。
ロミオ 心臟しんざう此處こゝのこってゐるのに、なんかへることが出來できようぞい? どん土塊つちくれめ、引返ひッかへして、おのが中心たましひさがしをれ。
それでも時々、つては方角を考へ、目標めじるしを考へながらあるいたけれども、何うしても何時いつかへる道とは違ツて居た。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
小舎こやかへつてからもなほ、大聲おほごゑきながら「おつかあ、おいらはなんで、あのがんのやうにべねえだ。おいらにもあんないいはねをつけてくんろよ」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
今日けふはほんとうにおめづらしいおいでゝ、おかへりになつてから「おまへは今日よつぽどどうかしてゐたね。」といはれましたほど、わたし調子てうしくるひました。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
何處どこまでゝも——けれど、それがもしあなたの御迷惑ごめいわくになるとでも仰有おつしやるなら、わたし此處ここでおわかれします。でも、うちへはもうかへらない覺悟かくごです。』
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
きみつて呉起ごきして(一〇二)ともかへり、すなは(一〇三)公主こうしゆをしていかつてきみかろんぜしめよ。呉起ごき公主こうしゆの・きみいやしむをば、すなはかならせん
この六億里おくり道程みちのりを三百六十五日と六とき(實は五時四十八「ミニウト」四十八「セカンド」なれども先つ六時とするなり)のあひだ一廻ひとまはりしてもとところかへるなり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
これからぐお見舞申みまひまをさうとまをしますと、いや明日あすでよい、當方たうはうからむかへをよこすと、辻褄つじつまはぬことをうて、さツさとかへつてかれるのでござります。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
それからすぐに和歌山わかやまられてつて、ひさしくくにかへることもしませんでした。加納家かのうけみこんでから、はじめて遠江とほたふみはゝのところへ歸省きせいしたことがあります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
やうやくそのうま土馬つちうまりかへていへへつれてかへつたといふ面白おもしろいうそのようなはなしであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
町を一じゆんして家へかへつて來る頃には、彼はもう坂の中で轉んだことをわすれてゐた。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
身體からだよはめだから營養えいやうをよくすること、あし膝關節しつくわんせついたかつたら罨法あんはふをするといふことであつた。彼女かれべつ身體からだ元氣げんきはかはらなかつたので、學校がくかうかよつてかへつてると一人ひとり罨法あんはふをした。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
その趣味しゆみしぶれいげると、三上みかみがその著名ちよめいなる東京市内出沒行脚とうきやうしないしゆつぼつあんぎやをやつて、二十日はつかかへつてないと時雨しぐれさんは、薄暗うすぐら部屋へやなか端座たんざして、たゞ一人ひとり双手もろて香爐かうろさゝげて、かういてゐる。
かへるや、なつかしききみに。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
んでもかごへはかへらない
鸚鵡:(フランス) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
あすにならばかへり給ふか。
カンタタ (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
かへればおうちが一つ
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
かへきみ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
そのわすがたあぢかされて、ことくが——たび思出おもひだしては、歸途かへりがけに、つい、かされる。——いつもかへとき日暮ひぐれになる。
ついのおさけひますものが、素直すなほうちへおかへりになりにくいものでござりまして、二次會にじくわいとかなんとかまをしますんで、えへゝ
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何處どこへゆく何處どこへゆく、げてはならないと坐中ざちうさわぐにてーちやんたかさんすこたのむよ、かへるからとてずつと廊下らうかいそあしいでしが
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
勘次かんじ近所きんじよ姻戚みよりとのほかには一ぱんさなかつたがそれでもむらのものはみなせんづゝつてくやみにた。さうしてさつさとかへつてつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しかし、やがておくぬしかなしきかた見になつたその寫眞器しやしんきは、支那しなの旅からかへるともなく、或るぶん學青年の詐欺さぎにかゝつてうしなはれた。
致しまことの修驗と相成て後當村へかへり其時にこそ師匠ししやう感應院の院を續度つぎたく存ずるなりあはれ此儀を御許おんゆるし下され度夫迄それまでの内は感應院へはよろしき代りを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
すると翌日よくじつかへつて大層たいそう謝罪しやざいをされるから何故なにゆゑ返事へんじをしなかつたとたづねると返事へんじ端書はがきしてきましたといふのです。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
『おうちかへつたら、とうさんやかあさんにておもらひなさい。おまへさんのほつぺたのあかいろもこのおばあさんのこゝろざしですよ。』
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「そりやわたしもついなかつたの。けれども、屹度きつとあの相談さうだんよ。いまにいさんがかへつてたらいて御覽ごらんなさい。屹度きつと左樣さうよ」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ヂュリ 乳母うばしてやったとき時計とけいこゝのつをってゐた。半時間はんじかんかへるといふ約束やくそくしやへなんだかもれぬ。いや/\、さうではい。
れいの石がちやんとしたよこたはつて居たので其まゝみ、石をだい濡鼠ぬれねずみのやうになつてにぐるがごとうちかへつて來た。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
B うゝ、それはマア双方さうはうあひだにキナくさにほひぐらゐしてゐたのだらう。其中そのうちをんなくにかへつて、しばらくしてから手紙てがみをよこしたんだ、さうだ。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
やまかへると、親兄弟おやきやうだい勿論もちろんともだちもおどろいてしまひました。そしてかわいさうにうさぎは一しやうわらはれものとなりました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
屹度きつと返却かへします、屹度きつと。』などとちかひながら、またばうるなりつた。が、大約おほよそ時間じかんつてからかへつてた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)