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他人
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たにん
ふりがな文庫
“
他人
(
たにん
)” の例文
おまえは、
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
にいるときに、あまりものぐさで、
他人
(
たにん
)
に
対
(
たい
)
して、
特別
(
とくべつ
)
によいこともしなかったかわりに、
悪
(
わる
)
いこともしなかった。
ものぐさじじいの来世
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
同
(
おな
)
じ
人
(
ひと
)
ですら
其通
(
そのとほ
)
り、
況
(
いは
)
んや
曾
(
かつ
)
て
戀
(
こひ
)
の
力
(
ちから
)
に
觸
(
ふ
)
れたことのない
人
(
ひと
)
が
如何
(
どう
)
して
他人
(
たにん
)
の
戀
(
こひ
)
の
消息
(
せうそく
)
が
解
(
わか
)
らう、その
樂
(
たのしみ
)
が
解
(
わか
)
らう、
其苦
(
そのくるしみ
)
が
解
(
わか
)
らう?。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
それが
如何
(
どう
)
したものか
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にやら
酷
(
ひど
)
く
自分
(
じぶん
)
からお
品
(
しな
)
の
側
(
そば
)
へ
行
(
ゆ
)
きたく
成
(
な
)
つて
畢
(
しま
)
つて、
他人
(
たにん
)
から
却
(
かへつ
)
て
揶揄
(
からか
)
はれるやうに
成
(
た
)
つたのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
己
(
お
)
れは
何
(
ど
)
うもお
前
(
まへ
)
さんの
事
(
こと
)
が
他人
(
たにん
)
のやうに
思
(
おも
)
はれぬは
何
(
ど
)
ういふものであらう、お
京
(
きやう
)
さんお
前
(
まへ
)
は
弟
(
おとゝ
)
といふを
持
(
も
)
つた
事
(
こと
)
は
無
(
な
)
いのかと
問
(
と
)
はれて
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
それを
他人
(
たにん
)
に知られたら、ひきょうな
立合
(
たちあ
)
いといわれて、
徳川家
(
とくがわけ
)
の名をけがすことになるが、いまはそんなことを
顧慮
(
こりょ
)
していることはできない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
だから、きみもよく心えていてもらって、ぼくの部屋へ
他人
(
たにん
)
をいれないでくれたまえ。しずかに休んでいたいんだからね
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
と、
是
(
これ
)
は
可
(
よ
)
く
言
(
い
)
つた
語
(
ことば
)
です、
智者
(
ちしや
)
、
哲人
(
てつじん
)
、
若
(
も
)
しくは
思想家
(
しさうか
)
たるものゝ、
他人
(
たにん
)
に
異
(
ことな
)
る
所
(
ところ
)
の
點
(
てん
)
は、
即
(
すなは
)
ち
此
(
こゝ
)
に
在
(
あ
)
るのでせう、
苦痛
(
くつう
)
を
輕
(
かろ
)
んずると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
に。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
何者
(
なにもの
)
にもと
云
(
い
)
ふ
意味
(
いみ
)
は
世評
(
せひやう
)
とか、
先輩
(
せんぱい
)
の
説
(
せつ
)
とか、
女學校
(
ぢよがくかう
)
の
校長
(
かうちやう
)
の
意見
(
いけん
)
とか、さういふ
他人
(
たにん
)
の
批判
(
ひはん
)
を
云
(
い
)
ふのである。
読書の態度
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
他人
(
ひと
)
の物は
己
(
おれ
)
の物と思って
他人
(
たにん
)
を欺くような人だから此の者を切るの突くのと仰しゃる
気遣
(
きづかい
)
は有るまいが、
猶
(
なお
)
念のため申す、
愈々
(
いよ/\
)
此の者をお許しなさるか
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
丹後行
(
たんごゆき
)
、
舞鶴行
(
まひづるゆき
)
——
立
(
た
)
つて
見
(
み
)
たばかりでも、
退屈
(
たいくつ
)
の
餘
(
あま
)
りに
新聞
(
しんぶん
)
の
裏
(
うら
)
を
返
(
かへ
)
して、バンクバー、シヤトル
行
(
ゆき
)
を
睨
(
にら
)
むが
如
(
ごと
)
き、
情
(
じやう
)
のない、
他人
(
たにん
)
らしいものではない。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
芝居
(
しばゐ
)
の
土間
(
どま
)
で
煙草
(
たばこ
)
を
吸
(
す
)
つて、
他人
(
たにん
)
の
袂
(
たもと
)
を
焦
(
こ
)
がしたものも、
打首
(
うちくび
)
になるといふ
噂
(
うはさ
)
が
傳
(
つたは
)
つた
時
(
とき
)
は、
皆々
(
みな/\
)
蒼
(
あを
)
くなつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
然
(
しか
)
し
其頃
(
そのころ
)
はもうさういふ
事
(
こと
)
で
他人
(
たにん
)
を
批難
(
ひなん
)
するのは
馬鹿々々
(
ばか/\
)
しいといふ
意見
(
いけん
)
を
持
(
も
)
つてゐる
學生
(
がくせい
)
の
方
(
かた
)
が
多
(
おほ
)
かつた。
桜と狆と愛国心:コスモポリタンの心理
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
忠太郎 親のねえ子は人一倍、赤の
他人
(
たにん
)
の親子を見ると、羨ましいやら
嫉
(
ねた
)
ましいやら。おさらばでござんす。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
猛然
(
もうぜん
)
立ちあがった糟谷はわが子を足もとへ
引
(
ひ
)
き
倒
(
たお
)
し、ところきらわずげんこつを打ちおろした。芳輔はほとんど
他人
(
たにん
)
とけんかするごとき
語気
(
ごき
)
と
態度
(
たいど
)
で
反抗
(
はんこう
)
した。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
彼はこれでこそ、
生甲斐
(
いきがひ
)
があると信じてゐたのだから、彼の健康は、彼に取つて、
他人
(
たにん
)
の倍以上に価値を
有
(
も
)
つてゐた。彼の
頭
(
あたま
)
は、彼の肉体と同じく
確
(
たしか
)
であつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
唐
(
たう
)
の
秦韜玉
(
しんたうぎよく
)
が
村女
(
そんぢよ
)
の
詩
(
し
)
に、
最
(
もつとも
)
恨
(
うら
)
むは
年々
(
ねん/\
)
金線
(
きんせん
)
を
圧
(
つくらふ
)
て
他人
(
たにん
)
の
為
(
ため
)
に
嫁
(
よめいり
)
の
衣装
(
いしやう
)
を
作
(
つく
)
るといひしは
宜
(
むべ
)
なる
哉々々
(
かな/\/\
)
。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
他人
(
たにん
)
から——いや敵と思つた人間から、こんなに深切にされるとは想像もしたことはなかつたのです。
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
他人
(
たにん
)
がよいからよいと
思
(
おも
)
ふのは、
正直
(
しようじき
)
でよいことですが、さういふのを
支那
(
しな
)
の
人
(
ひと
)
はうまくいひました。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
底あり
蓋
(
ふた
)
ありで親も
咎
(
とが
)
めず、
夫
(
をつと
)
も咎めぬものをアカの
他人
(
たにん
)
が
咎
(
とが
)
めても、ハイ、
止
(
よ
)
しませうと出る
筈
(
はず
)
のない事だが
僕
(
ぼく
)
とても
内職
(
ないしよく
)
其
(
その
)
ものを
直々
(
ぢき/″\
)
に
不可
(
わる
)
いといふのではない
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
左樣
(
さう
)
覺
(
さと
)
られたからは
百年目
(
ひやくねんめ
)
、
若
(
も
)
し
此
(
この
)
一件
(
いつけん
)
を
他人
(
たにん
)
に
洩
(
もら
)
すものならば、
乃公
(
おれ
)
の
笠
(
かさ
)
の
臺
(
だい
)
の
飛
(
と
)
ぶは
知
(
し
)
れた
事
(
こと
)
、
左樣
(
さう
)
なれば
破
(
やぶ
)
れかぶれ、お
前
(
まへ
)
の
御主人
(
ごしゆじん
)
の
家
(
いへ
)
だつて
用捨
(
ようしや
)
はない、
火
(
ひ
)
でもかけて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
おめえさえ
首
(
くび
)
を
縦
(
たて
)
に
振
(
ふ
)
ってくれりゃァ、からきし
訳
(
わけ
)
はねえことなんだ。のうおせん。
赤
(
あか
)
の
他人
(
たにん
)
でさえ、
事
(
こと
)
を
分
(
わ
)
けて、かくかくの
次第
(
しだい
)
と
頼
(
たの
)
まれりゃ、いやとばかりゃァいえなかろう。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
拾
(
ひろひ
)
念頃
(
ねんごろ
)
に
弔
(
とぶら
)
ひ
度
(
たく
)
存
(
ぞんじ
)
尋
(
たづ
)
ね候と申ゆゑ
數多
(
あまた
)
の骨の中にて
爭
(
いかで
)
か是が親の骨と分かるべきやと申候に彦三郎
血
(
ち
)
を
絞
(
しぼ
)
り骨へ
掛
(
かけ
)
る時は
他人
(
たにん
)
の骨へは
染込
(
しみこむ
)
事なく父の骨なれば染込候
故
(
ゆゑ
)
指
(
ゆび
)
を
噛切
(
かみきり
)
血
(
ち
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
殊更
(
ことさら
)
に
勉
(
つと
)
めて
他人
(
たにん
)
を
教化
(
けうくわ
)
せんとするが如きは
是
(
これ
)
を為す者の
僣越
(
せんえつ
)
を
示
(
しめ
)
し、
無智無謀
(
むちむぼう
)
を
証
(
しよう
)
す、
余
(
よ
)
は
知
(
し
)
る大陽は
勉
(
つと
)
めて
輝
(
かゞや
)
かざるを、
星
(
ほし
)
は吾人の
教化
(
けうくわ
)
を
計
(
はかつ
)
て
光
(
ひかり
)
を
放
(
はな
)
たず、
光
(
ひ
)
からざるを
得
(
え
)
ざれば
光
(
ひか
)
るなり
問答二三
(新字旧仮名)
/
内村鑑三
(著)
それを
守
(
まもつ
)
て
行
(
ゆ
)
くのは
至極
(
しごく
)
結構
(
けつかう
)
でありますが、
如何
(
いかに
)
せん
無味乾燥
(
むみかんさう
)
なる一
片
(
ぺん
)
の
規則
(
きそく
)
では
銘々
(
めい/\
)
の
好都合
(
かうつがふ
)
が
解
(
わか
)
らず、
唯
(
た
)
だ
他人
(
たにん
)
から
命令
(
めいれい
)
された
事
(
こと
)
のやうに
思
(
おも
)
はれて、
往々
(
わう/\
)
其
(
そ
)
の
規則
(
きそく
)
を
忽諸
(
こつしよ
)
にするの
風
(
ふう
)
がある。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
抑も斯かる覆面は何の爲に
用
(
もち
)
ゐらるるかと
言
(
い
)
へば、故らに
面貌
(
めんばう
)
を奇にする爲か
他人
(
たにん
)
に面貌を示さざる爲か
然
(
しか
)
らざれば
寒氣
(
かんき
)
を防ぐ爲なるべし。思ふに第三種の用こそ
此場合
(
このばあひ
)
に於ける
眞
(
まこと
)
の用ならめ。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
おばあさんは、
仕事
(
しごと
)
の手つだいに、
下男
(
げなん
)
や
下女
(
げじょ
)
をやとうこともできたでしょう。けれども、じぶんの子どもたちが、おばあさんを残していってしまってからは、身ぢかに
他人
(
たにん
)
を見たくなかったのです。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
「なにしろ
頼
(
たの
)
みとするせがれでしたので、
量見
(
りょうけん
)
がせまいようですが、
当分
(
とうぶん
)
他人
(
たにん
)
さまのためにどうこうする
気持
(
きも
)
ちも
起
(
お
)
こりません。」
子供は悲しみを知らず
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
園
(
その
)
さま
我
(
わ
)
れに
遠慮
(
ゑんりよ
)
は
入
(
い
)
らず、
嫌
(
い
)
やな
時
(
とき
)
は
嫌
(
い
)
やといふがよし、
我
(
わ
)
れを
他人
(
たにん
)
の
男
(
をとこ
)
と
思
(
おも
)
はず
母樣
(
はヽさま
)
同
(
どう
)
やう
甘
(
あま
)
へ
給
(
たま
)
へと
優
(
やさ
)
しく
慰
(
なぐ
)
さめて
日毎
(
ひごと
)
に
通
(
かよ
)
へば
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
お
品
(
しな
)
は
漸
(
やうや
)
く
商
(
あきなひ
)
を
覺
(
おぼ
)
えたといつて
居
(
ゐ
)
たのはまだ
其
(
そ
)
の
夏
(
なつ
)
の
頃
(
ころ
)
からである。
初
(
はじ
)
めは
極
(
きま
)
りが
惡
(
わる
)
くて
他人
(
たにん
)
の
閾
(
しきゐ
)
を
跨
(
また
)
ぐのを
逡巡
(
もぢ/\
)
して
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
大浪
(
おほなみ
)
小浪
(
こなみ
)
の
景色
(
けしき
)
、
何
(
なん
)
だ。
今
(
いま
)
の
今
(
いま
)
まで
僕
(
ぼく
)
をよろこばして
居
(
ゐ
)
た
自然
(
しぜん
)
は、
忽
(
たちま
)
ちの
中
(
うち
)
に
何
(
なん
)
の
面白味
(
おもしろみ
)
もなくなつてしまつた。
僕
(
ぼく
)
とは
他人
(
たにん
)
になつてしまつた。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
と、これはよく
言
(
い
)
った
語
(
ことば
)
です、
智者
(
ちしゃ
)
、
哲人
(
てつじん
)
、もしくは
思想家
(
しそうか
)
たるものの、
他人
(
たにん
)
に
異
(
ことな
)
る
所
(
ところ
)
の
点
(
てん
)
は、
即
(
すなわ
)
ちここに
在
(
あ
)
るのでしょう、
苦痛
(
くつう
)
を
軽
(
かろ
)
んずると
云
(
い
)
うことに。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「
笑
(
わら
)
かしやがらあ。
新
(
あた
)
らしい
靴
(
くつ
)
を
穿
(
は
)
いたと
思
(
おも
)
つて、
異
(
おつ
)
う
俺
(
おれ
)
つ
達
(
ち
)
を
他人
(
たにん
)
にしやがる。へん、
止
(
よ
)
してくんねえ。」
人参
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
これ
如何
(
いか
)
に其の方の荷物が
紛失
(
ふんじつ
)
したとて
濫
(
みだ
)
りに
他人
(
たにん
)
を賊といっては済まんぞ、
苟
(
いやし
)
くも
武士
(
ぶし
)
たる者が
他人
(
ひと
)
の荷物を持って
己
(
おのれ
)
の物とし賊なぞを働く様なる者と思うか、手前は拙者を賊に落すか
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
貴重
(
きちよう
)
の
尊用
(
そんよう
)
はさら也、
極品
(
ごくひん
)
の
誂物
(
あつらへもの
)
は其
品
(
しな
)
に
能
(
よく
)
熟
(
じゆく
)
したる上手をえらび、
何方
(
いづく
)
の
誰々
(
たれ/\
)
と
指
(
ゆび
)
にをらるゝゆゑ、そのかずに入らばやとて
各々
(
おの/\
)
伎
(
わざ
)
を
励
(
はげ
)
む事也。かゝる
辛苦
(
しんく
)
は
僅
(
わづか
)
の
価
(
あたひ
)
の
為
(
ため
)
に
他人
(
たにん
)
にする
辛苦
(
しんく
)
也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
口
(
くち
)
はからきし
下手
(
へた
)
の
皮
(
かわ
)
、
人様
(
ひとさま
)
の
前
(
まえ
)
へ
出
(
で
)
たら、ろくにおしゃべりも
出来
(
でき
)
る
男
(
おとこ
)
じゃござんせんが、
若旦那
(
わかだんな
)
だけは、どうやら
赤
(
あか
)
の
他人
(
たにん
)
とは
思
(
おも
)
われず、ついへらへらとお
喋
(
しゃべ
)
りもいたしやす。——ねえ
若旦那
(
わかだんな
)
。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
問、
他人
(
たにん
)
に
道
(
みち
)
を説くに
如何
(
いか
)
なる
方法
(
はうはふ
)
を
採
(
と
)
るべきや。
問答二三
(新字旧仮名)
/
内村鑑三
(著)
「なんでも、
他人
(
たにん
)
の
力
(
ちから
)
をあてにしてはならぬ。
自分
(
じぶん
)
で
働
(
はたら
)
いて
自分
(
じぶん
)
で
飲
(
の
)
むのがいちばんうまい。」と、おじいさんは、
知
(
し
)
ったのであります。
こまどりと酒
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
他人
(
たにん
)
が
聞
(
き
)
けば
適當
(
てきたう
)
の
評
(
ひやう
)
といはれやせん
別家
(
べつけ
)
も
同
(
おな
)
じき
新田
(
につた
)
にまで
計
(
はか
)
らるゝ
程
(
ほど
)
の
油斷
(
ゆだん
)
のありしは
家
(
いへ
)
の
運
(
うん
)
の
傾
(
かたぶ
)
く
時
(
とき
)
かさるにても
憎
(
にく
)
きは
新田
(
につた
)
の
娘
(
むすめ
)
なり
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
此
(
こ
)
の
頃
(
ごろ
)
では
不廉
(
ふれん
)
な
酒
(
さけ
)
は
容易
(
ようい
)
に
席上
(
せきじやう
)
へは
運
(
はこ
)
ばれなく
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
たので
隨
(
したが
)
つて
他人
(
たにん
)
の
買
(
か
)
つたのでも
皆
(
みな
)
控
(
ひか
)
へ
目
(
め
)
にする
樣
(
やう
)
に
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
すると
一日
(
あるひ
)
一人
(
ひとり
)
の
老叟
(
らうそう
)
が
何所
(
どこ
)
からともなく
訪
(
たづ
)
ねて來て
祕藏
(
ひざう
)
の石を見せて
呉
(
く
)
れろといふ、イヤその石は
最早
(
もう
)
他人
(
たにん
)
に
奪
(
と
)
られて
了
(
しま
)
つて
久
(
ひさ
)
しい以前から無いと
謝絶
(
ことわ
)
つた。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
また
或
(
ある
)
若者
(
わかもの
)
が
来
(
き
)
てどう
云
(
い
)
う
風
(
ふう
)
に
生活
(
せいかつ
)
をしたらいいかと
相談
(
そうだん
)
を
掛
(
か
)
けられる、と、
他人
(
たにん
)
はまず一
番
(
ばん
)
考
(
かんが
)
える
所
(
ところ
)
であろうが、
貴方
(
あなた
)
にはその
答
(
こたえ
)
はもうちゃんと
出来
(
でき
)
ている。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
雖然
(
けれども
)
、いざ、
分
(
わか
)
れると
成
(
な
)
れば、
各自
(
てんで
)
が
心
(
こゝろ
)
寂
(
さび
)
しく、
懷
(
なつ
)
かしく、
他人
(
たにん
)
のやうには
思
(
おも
)
はなかつたほど
列車
(
れつしや
)
の
中
(
なか
)
は
人
(
ひと
)
稀
(
まれ
)
で、……
稀
(
まれ
)
と
云
(
い
)
ふより、
殆
(
ほとん
)
ど
誰
(
たれ
)
も
居
(
ゐ
)
ないのであつた。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
いよいよ
家
(
うち
)
から
出
(
で
)
て、
他人
(
たにん
)
の
中
(
なか
)
に
入
(
はい
)
るのだと
思
(
おも
)
うと、いくらわんぱく
者
(
もの
)
でもかわいそうになって、もう二、三
日
(
にち
)
しか
家
(
うち
)
にいないというので
海へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
流石
(
さすが
)
に
氣
(
き
)
のおけるお
他人
(
たにん
)
には
少
(
すこ
)
し
大人
(
をとな
)
らしくお
成
(
な
)
り
遊
(
あそ
)
ばせど、お
心安
(
こヽろやす
)
だての
我
(
わが
)
まヽか、
甘
(
あま
)
へ
氣味
(
ぎみ
)
であの
通
(
とほ
)
りの
御遠慮
(
ごゑんりよ
)
なさ
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
其
(
そ
)
の
影法師
(
かげぼふし
)
が、
鐵燈籠
(
かなどうろう
)
の
幽
(
かすか
)
な
明
(
あか
)
りで、
別嬪
(
べつぴん
)
さんの、しどけない
姿
(
すがた
)
の
上
(
うへ
)
へ、
眞黒
(
まつくろ
)
に
成
(
な
)
つて、
押
(
おし
)
かぶさつて
見
(
み
)
えました。そんな
處
(
ところ
)
へ
誰
(
だれ
)
が
他人
(
たにん
)
を
寄
(
よ
)
せるものでございます。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
或
(
あるひ
)
は
公書
(
こうしよ
)
の
如
(
ごと
)
きものに
詐欺
(
さぎ
)
同樣
(
どうやう
)
の
間違
(
まちがひ
)
でも
爲
(
し
)
はせぬか、
他人
(
たにん
)
の
錢
(
ぜに
)
でも
無
(
な
)
くしたり
爲
(
し
)
はせぬか。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「お
兄
(
にい
)
さん。すると、
自分
(
じぶん
)
のことばかり
考
(
かんが
)
えず、
他人
(
たにん
)
のことも
思
(
おも
)
うなら、この
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は、
明
(
あか
)
るくなるんですね。」と、
少年
(
しょうねん
)
は、
聞
(
き
)
きました。
アパートで聞いた話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
誰
(
た
)
が
目
(
め
)
に
覺
(
おぼ
)
えて
知
(
し
)
るものぞ
松澤
(
まつざは
)
の
若大將
(
わかたいしやう
)
と
稱
(
たゝ
)
へられて
席
(
せき
)
を
上座
(
かみくら
)
に
設
(
まう
)
けられし
身
(
み
)
が
我
(
わ
)
れすらみすぼらしき
此服裝
(
このなり
)
よしや
面
(
おもて
)
に
覺
(
おぼ
)
えが
有
(
あ
)
ればとて
他人
(
たにん
)
の
空肖
(
そらに
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
或
(
あるい
)
は
公書
(
こうしょ
)
の
如
(
ごと
)
きものに
詐欺
(
さぎ
)
同様
(
どうよう
)
の
間違
(
まちがい
)
でもしはせぬか、
他人
(
たにん
)
の
銭
(
ぜに
)
でも
無
(
な
)
くしたりしはせぬか。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
何故
(
なぜ
)
か
雪枝
(
ゆきえ
)
は
他人
(
たにん
)
を
訪問
(
はうもん
)
に
来
(
き
)
たやうな
心持
(
こゝろもち
)
に
成
(
な
)
つて、うつかり
框際
(
かまちぎは
)
の
広土間
(
ひろどま
)
に
突立
(
つゝた
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
他
常用漢字
小3
部首:⼈
5画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“他人”で始まる語句
他人事
他人様
他人手
他人目
他人眼
他人行儀
他人樣
他人前
他人中
他人任