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屋根
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やね
ふりがな文庫
“
屋根
(
やね
)” の例文
なんでも
夜中
(
よなか
)
すぎになると、
天子
(
てんし
)
さまのおやすみになる
紫宸殿
(
ししいでん
)
のお
屋根
(
やね
)
の上になんとも
知
(
し
)
れない
気味
(
きみ
)
の
悪
(
わる
)
い
声
(
こえ
)
で
鳴
(
な
)
くものがあります。
鵺
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
夏
(
なつ
)
になると、
真
(
ま
)
っ
白
(
しろ
)
な
雲
(
くも
)
が
屋根
(
やね
)
の
上
(
うえ
)
を
流
(
なが
)
れました。
女
(
おんな
)
は、ときどき、それらのうつりかわる
自然
(
しぜん
)
に
対
(
たい
)
して、ぼんやりながめましたが
ちょうと三つの石
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
さて、
屋根
(
やね
)
の
上
(
うへ
)
に
千人
(
せんにん
)
、
家
(
いへ
)
のまはりの
土手
(
どて
)
の
上
(
うへ
)
に
千人
(
せんにん
)
といふ
風
(
ふう
)
に
手分
(
てわ
)
けして、
天
(
てん
)
から
降
(
お
)
りて
來
(
く
)
る
人々
(
ひと/″\
)
を
撃
(
う
)
ち
退
(
しりぞ
)
ける
手
(
て
)
はずであります。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
こいつには
底
(
そこ
)
に
穴
(
あな
)
がひとつあいている。こいつを
屋根
(
やね
)
うらべやにもっていって、大きなくぎにかけて、なかに水をつぎこんでみてくれ。
森のなかの三人の小人
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
雨夜
(
あまよ
)
の
橘
(
たちばな
)
の
其
(
それ
)
には
似
(
に
)
ないが、
弱
(
よわ
)
い、
細
(
ほつそ
)
りした、
花
(
はな
)
か、
空燻
(
そらだき
)
か、
何
(
なに
)
やら
薫
(
かをり
)
が、たよりなげに
屋根
(
やね
)
に
漾
(
たゞよ
)
うて、
何
(
ど
)
うやら
其
(
そ
)
の
人
(
ひと
)
は
女性
(
によしやう
)
らしい。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
倉庫
(
そうこ
)
の
屋根
(
やね
)
もあんまりのその怒りように、まさかこんなはずではなかったと言うように少しあきれて、だまってその顔を見ていました。
シグナルとシグナレス
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ユパダールの
荘園
(
しょうえん
)
の上や、ロンネビュー町のくらい
屋根
(
やね
)
の上や、白い
滝
(
たき
)
の上をこえて、すこしも休まずに、ぐんぐん
飛
(
と
)
んでいきました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
老人
(
ろうじん
)
が
杖
(
つえ
)
を
振
(
ふ
)
ると、二人は一番高い
塔
(
とう
)
の
屋根
(
やね
)
にあがりました。王子はまだこんな高いところへあがったことがありませんでした。
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
火
(
ひ
)
が
天井
(
てんじよう
)
まで
燃
(
も
)
え
上
(
あが
)
つたならば、
屋根
(
やね
)
まで
打拔
(
うちぬ
)
いて
火氣
(
かき
)
を
拔
(
ぬ
)
くこと。これは
焔
(
ほのほ
)
が
天井
(
てんじよう
)
を
這
(
は
)
つて
燃
(
も
)
え
擴
(
ひろ
)
がるのを
防
(
ふせ
)
ぐに
效力
(
こうりよく
)
がある。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
只
(
たゞ
)
一
部
(
ぶ
)
、三
角測量臺
(
かくそくりやうだい
)
の
見通
(
みとほ
)
しに
障
(
さは
)
る
爲
(
ため
)
に
切
(
き
)
り
拂
(
はら
)
はれた
空隙
(
すき
)
がそれを
導
(
みちび
)
いた。
火
(
ひ
)
の
子
(
こ
)
は
東隣
(
ひがしどなり
)
の
主人
(
しゆじん
)
の
屋根
(
やね
)
の一
角
(
かく
)
にどさりと
止
(
とま
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
鳩
(
はと
)
はお
腹
(
なか
)
が
空
(
す
)
いてゐました。
朝
(
あさ
)
でした。
羽蟲
(
はむし
)
を一つみつけるがはやいか、すぐ
屋根
(
やね
)
から
庭
(
には
)
へ
飛
(
と
)
びをりて、それを
捕
(
つか
)
まえました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
その
他
(
た
)
のものには
家
(
いへ
)
の
形
(
かたち
)
もあり、その
屋根
(
やね
)
には、
今日
(
こんにち
)
私共
(
わたしども
)
が
伊勢大神宮
(
いせだいじんぐう
)
の
建築
(
けんちく
)
で
見
(
み
)
るような、ちぎやかつをぎを
載
(
の
)
せてゐるのもありますが
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
うつったものは
乾燥
(
かんそう
)
されたワラであるし、
屋根
(
やね
)
うらの高い小屋の
木組
(
きぐみ
)
は、一
瞬
(
しゅん
)
にして燃えあがるべくおあつらえにできている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
毎年
(
まいねん
)
、
田
(
た
)
の
穫
(
と
)
り
入
(
い
)
れがすむと、やはり
家
(
いへ
)
を
作
(
つく
)
りかへ、
或
(
あるひ
)
は
屋根
(
やね
)
を
葺
(
ふ
)
き
替
(
か
)
へたりして、おなじく、
新室
(
にひむろ
)
のうたげを
行
(
おこな
)
ひました。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
「俺も愈々渦の中をまひ/\してゐる塵芥になツてアツたんだ。」眼をそらして、づツと
街頭
(
まち
)
の方を見る。何も見えない、窓と
屋根
(
やね
)
ばかりだ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
屋根
(
やね
)
あり、
天井
(
てんじやう
)
あり、
壁
(
かべ
)
のあると
言
(
い
)
ふばかり、
野宿
(
のじゆく
)
の
露
(
つゆ
)
の
哀
(
あは
)
れさにまさつて、それは
冷
(
つめ
)
たい
情
(
なさけ
)
ない、こぼれる
涙
(
なみだ
)
の
氷
(
こほ
)
らぬが
不思議
(
ふしぎ
)
で
御座
(
ござ
)
ります。
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
山
(
やま
)
には
大
(
おほ
)
きな
檜木
(
ひのき
)
の
林
(
はやし
)
もありますから、その
厚
(
あつ
)
い
檜木
(
ひのき
)
の
皮
(
かは
)
を
板
(
いた
)
のかはりにして、
小屋
(
こや
)
の
屋根
(
やね
)
なぞを
葺
(
ふ
)
くこともありました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
ニラジイランド、ヴェネジュラ、マレイ
諸地方
(
しよちはう
)
には海底、川底、湖底抔に
杭
(
くひ
)
を打ち込み
水面上
(
すゐめんじやう
)
數尺
(
すうしやく
)
の所に床を張り
屋根
(
やね
)
を設けて住居とする者有り。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
円
(
まる
)
い月は形が
大分
(
だいぶ
)
小
(
ちひさ
)
くなつて光が
蒼
(
あを
)
く
澄
(
す
)
んで、
静
(
しづか
)
に
聳
(
そび
)
える
裏通
(
うらどほ
)
りの
倉
(
くら
)
の
屋根
(
やね
)
の上、星の多い空の
真中
(
まんなか
)
に高く昇つて
居
(
ゐ
)
た。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
入
(
い
)
る
船
(
ふね
)
停泊
(
とゞま
)
つて
居
(
ゐ
)
る
船
(
ふね
)
、
其
(
その
)
船々
(
ふね/″\
)
の
甲板
(
かんぱん
)
の
模樣
(
もやう
)
や、
檣上
(
しやうじやう
)
に
飜
(
ひるがへ
)
る
旗章
(
はたじるし
)
や、また
彼方
(
かなた
)
の
波止塲
(
はとば
)
から
此方
(
こなた
)
へかけて
奇妙
(
きめう
)
な
風
(
ふう
)
の
商舘
(
しやうくわん
)
の
屋根
(
やね
)
などを
眺
(
なが
)
め
廻
(
まわ
)
しつゝ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
二人
(
ふたり
)
は
蓮池
(
はすいけ
)
の
前
(
まへ
)
を
通
(
とほ
)
り
越
(
こ
)
して、五六
級
(
きふ
)
の
石段
(
いしだん
)
を
上
(
のぼ
)
つて、
其
(
その
)
正面
(
しやうめん
)
にある
大
(
おほ
)
きな
伽藍
(
がらん
)
の
屋根
(
やね
)
を
仰
(
あふ
)
いだまゝ
直
(
すぐ
)
左
(
ひだ
)
りへ
切
(
き
)
れた。
玄關
(
げんくわん
)
へ
差
(
さ
)
しかゝつた
時
(
とき
)
、
宜道
(
ぎだう
)
は
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
漸くに
踏
(
ふみ
)
しめ
勝手
(
かつて
)
の
屋根
(
やね
)
へ
到
(
いた
)
らんとする
機
(
をり
)
思ひも寄らぬ
近傍
(
かたへ
)
の
窓
(
まど
)
より大の男ぬつくと出ければ喜八はハツと驚き既に足を
踏外
(
ふみはづ
)
さんとするに彼の男は是を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
『
彼等
(
かれら
)
はこの
次
(
つぎ
)
に
何
(
なに
)
をするだらう!
若
(
も
)
し
生
(
しやう
)
があるものなら
屋根
(
やね
)
を
取除
(
とりの
)
けるやうな
莫迦
(
ばか
)
はしないだらう』
程
(
ほど
)
經
(
へ
)
て
彼等
(
かれら
)
は
再
(
ふたゝ
)
び
動
(
うご
)
き
出
(
だ
)
しました、
愛
(
あい
)
ちやんは
兎
(
うさぎ
)
が
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
そして、はしごだんをあがっていって、
屋根
(
やね
)
うらのものおきのうすぐらいすみへ、ほうりあげました。そこにはまるで、お日さまの光がさして来ませんでした。
もみの木
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そして
何処
(
どこ
)
やらに
唐風
(
からふう
)
なところがあります。
先
(
ま
)
ずその
御門
(
ごもん
)
でございますが、
屋根
(
やね
)
は
両端
(
りょうたん
)
が
上方
(
うえ
)
にしゃくれて、
大
(
たい
)
そう
光沢
(
つや
)
のある、
大型
(
おおがた
)
の
立派
(
りっぱ
)
な
瓦
(
かわら
)
で
葺
(
ふ
)
いてあります。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
表
間口
(
まくち
)
九間の
屋根
(
やね
)
の
簷
(
のき
)
に初春の頃の
氷柱
(
つらゝ
)
幾条
(
いくすぢ
)
もならびさがりたる、その
長短
(
ちやうたん
)
はひとしからねども、長きは六七尺もさがりたるが
根
(
ね
)
の
太
(
ふと
)
さは二尺めぐりにひらみたるもあり
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
海べりの家ではどこもみな、
屋根
(
やね
)
がわらをはがされたらしく、屋根の上に人があがっていた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
その
音
(
おと
)
づれにすつかり
目
(
め
)
を
覺
(
さま
)
した
地上
(
ちじやう
)
の
雪
(
ゆき
)
は、
煽
(
あふ
)
られ/\て
來
(
く
)
る
風
(
かぜ
)
の
中
(
なか
)
にさら/\と
舞
(
ま
)
ひ
上
(
あが
)
り、くる/\と
卷
(
ま
)
かれてはさあつと
人
(
ひと
)
の
家
(
いへ
)
の
雨戸
(
あまど
)
や
屋根
(
やね
)
を
打
(
う
)
つ
事
(
こと
)
に
身
(
み
)
を
委
(
まか
)
してゐる。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
「
鉛板葺
(
レッズ
)
屋根
(
やね
)
の上へ。あなたもおいでになつて、あそこから景色を御覽になりませんか。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
軌道
(
レール
)
と
直角
(
ちよくかく
)
に
細長
(
ほそなが
)
い
茅葺
(
くさぶき
)
の
農家
(
のうか
)
が一
軒
(
けん
)
ある
其
(
そ
)
の
裏
(
うら
)
は
直
(
す
)
ぐ
山
(
やま
)
の
畑
(
はたけ
)
に
續
(
つゞ
)
いて
居
(
ゐ
)
るらしい。
家
(
いへ
)
の
前
(
まへ
)
は
廣庭
(
ひろには
)
で
麥
(
むぎ
)
などを
乾
(
ほ
)
す
所
(
ところ
)
だらう、
廣庭
(
ひろには
)
の
突
(
つ
)
きあたりに
物置
(
ものおき
)
らしい
屋根
(
やね
)
の
低
(
ひく
)
い
茅屋
(
くさや
)
がある。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
西蔵
(
チベット
)
は
世界
(
せかい
)
の
屋根
(
やね
)
といはれてゐるほどで、
国
(
くに
)
全体
(
ぜんたい
)
が
高
(
たか
)
い
山々
(
やまやま
)
の
連
(
つらな
)
りだ。その
山々
(
やまやま
)
の
中
(
なか
)
でも
群
(
ぐん
)
を
抜
(
ぬ
)
いて
高
(
たか
)
く、
西蔵
(
チベット
)
の
屋根
(
やね
)
ともいはれるのが、
印度
(
インド
)
との
国境
(
こくきやう
)
に
跨
(
またが
)
るヱヴェレスト
山
(
ざん
)
である。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
電車の往来も
少
(
すくな
)
くなつて、人通りは勿論少い。たゞ大空には
皎々
(
こうこう
)
とした月が
冴
(
さ
)
え渡つて、もう夜霧が降りたのでせう、近所のトタン
屋根
(
やね
)
も往来の地面も
湿
(
ぬ
)
れたやうに白く光つてゐました。
赤い杭
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
雪
(
ゆき
)
ははげしく
降
(
ふ
)
りだし、寒さと
空腹
(
くうふく
)
はたまらなくぼくをせめたてるんだ。ぼくはただ雪の中からのがれて、
屋根
(
やね
)
の下でゆっくりとやすんで、
腹
(
はら
)
いっぱい食べたいと、そればかり考えていたよ
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
水
(
みず
)
くきのあとも
細々
(
ほそぼそ
)
と、
流
(
なが
)
したように
書
(
か
)
きつらねた
木目
(
もくめ
)
の
浮
(
う
)
いた
看板
(
かんばん
)
に、
片枝折
(
かたしおり
)
の
竹
(
たけ
)
も
朽
(
く
)
ちた
屋根
(
やね
)
から
柴垣
(
しばがき
)
へかけて、
葡萄
(
ぶどう
)
の
蔓
(
つる
)
が
伸
(
の
)
び
放題
(
ほうだい
)
の
姿
(
すがた
)
を、三
尺
(
じゃく
)
ばかりの
流
(
なが
)
れに
映
(
うつ
)
した
風雅
(
ふうが
)
なひと
構
(
かま
)
え
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
それは
例
(
たと
)
へば
堂塔
(
だうたふ
)
伽藍
(
がらん
)
を
造
(
つく
)
る
場合
(
ばあひ
)
に、
巨大
(
きよだい
)
なる
重
(
おも
)
い
屋根
(
やね
)
を
支
(
さゝ
)
へる
必要上
(
ひつえうじやう
)
、
軸部
(
ぢくぶ
)
を
充分
(
じうぶん
)
に
頑丈
(
ぐわんぜう
)
に
組
(
く
)
み
堅
(
かた
)
めるとか、
宮殿
(
きうでん
)
を
造
(
つく
)
る
場合
(
ばあひ
)
に、その
格式
(
かくしき
)
を
保
(
たも
)
ち、
品位
(
ひんゐ
)
を
備
(
そな
)
へるために、
優良
(
いうれう
)
なる
材料
(
ざいれう
)
を
用
(
もち
)
ひ
日本建築の発達と地震
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
裏の行きとまりに低い
珊瑚樹
(
さんごじゅ
)
の
生垣
(
いけがき
)
、中ほどに形ばかりの
枝折戸
(
しおりど
)
、枝折戸の外は三尺ばかりの流れに一枚板の小橋を渡して広い
田圃
(
たんぼ
)
を見晴らすのである。左右の隣家は
椎森
(
しいもり
)
の中に
萱
(
かや
)
屋根
(
やね
)
が見える。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
町立病院
(
ちやうりつびやうゐん
)
の
庭
(
には
)
の
内
(
うち
)
、
牛蒡
(
ごばう
)
、
蕁草
(
いらぐさ
)
、
野麻
(
のあさ
)
などの
簇
(
むらが
)
り
茂
(
しげ
)
つてる
邊
(
あたり
)
に、
小
(
さゝ
)
やかなる
別室
(
べつしつ
)
の一
棟
(
むね
)
がある。
屋根
(
やね
)
のブリキ
板
(
いた
)
は
錆
(
さ
)
びて、
烟突
(
えんとつ
)
は
半
(
なかば
)
破
(
こは
)
れ、
玄關
(
げんくわん
)
の
階段
(
かいだん
)
は
紛堊
(
しつくひ
)
が
剥
(
は
)
がれて、
朽
(
く
)
ちて、
雜草
(
ざつさう
)
さへのび/\と。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
月や星を見る
望遠鏡
(
ばうゑんきやう
)
は あのまあるい
屋根
(
やね
)
の やうな所にあるのよ
小熊秀雄全集-22:火星探険―漫画台本
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
柿の葉の濡れてかぶさる
木片
(
こば
)
屋根
(
やね
)
に夜ふけて来る月のかげあり
風隠集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
屋根
(
やね
)
のうへから
見
(
み
)
てゐましよ………
コドモノスケッチ帖:動物園にて
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
降
(
ふ
)
りたらぬ
殘暑
(
ざんしよ
)
の
雨
(
あめ
)
や
屋根
(
やね
)
の
塵
(
ちり
)
荷風翁の発句
(旧字旧仮名)
/
伊庭心猿
(著)
ひとりでお
屋根
(
やね
)
の
雪
(
ゆき
)
見
(
み
)
てた
赤い旗
(旧字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
古寺
(
ふるでら
)
の
屋根
(
やね
)
に
嬉
(
うれ
)
しや
しやうりの歌
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
小鳥
(
ことり
)
は、まず
屋根
(
やね
)
の
上
(
うえ
)
に
止
(
と
)
まりました。そして、これからどっちへ
向
(
む
)
かって
逃
(
に
)
げていったらいいかと、しばし
思案
(
しあん
)
にふけったのです。
めくら星
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
下谷
(
したや
)
團子坂
(
だんござか
)
の
出店
(
でみせ
)
なり。
夏
(
なつ
)
は
屋根
(
やね
)
の
上
(
うへ
)
に
柱
(
はしら
)
を
建
(
た
)
て、
席
(
むしろ
)
を
敷
(
し
)
きて
客
(
きやく
)
を
招
(
せう
)
ず。
時々
(
とき/″\
)
夕立
(
ゆふだち
)
に
蕎麥
(
そば
)
を
攫
(
さら
)
はる、とおまけを
謂
(
い
)
はねば
不思議
(
ふしぎ
)
にならず。
神楽坂七不思議
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
するときじが
屋根
(
やね
)
の上からとび
下
(
お
)
りてきて、
門
(
もん
)
を
押
(
お
)
さえている
鬼
(
おに
)
どもの目をつつきまわりましたから、
鬼
(
おに
)
はへいこうして
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
しました。
桃太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
低
(
ひく
)
い
粟幹
(
あはがら
)
の
屋根
(
やね
)
から
其
(
その
)
括
(
くゝ
)
りつけた
萱
(
かや
)
や
篠
(
しの
)
の
葉
(
は
)
には
冴
(
さ
)
えた
耳
(
みゝ
)
に
漸
(
やつ
)
と
聞
(
きゝ
)
とれるやうなさら/\と
微
(
かす
)
かに
何
(
なに
)
かを
打
(
う
)
ちつけるやうな
響
(
ひゞき
)
が
止
(
や
)
まない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「ぼくのハトを見ているんですよ。ほら、あいつ、
屋根
(
やね
)
の上にとまって、ぼくにさよならっていおうとしているんですもの。」
ヘンゼルとグレーテル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
いつか
霧
(
きり
)
がはれてそら一めんの星が、青や
橙
(
だいだい
)
やせわしくせわしくまたたき、
向
(
む
)
こうにはまっ黒な
倉庫
(
そうこ
)
の
屋根
(
やね
)
が
笑
(
わら
)
いながら立っておりました。
シグナルとシグナレス
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それは、森をうしろに、海を前にして
建
(
た
)
てられていました。壁は赤く
塗
(
ぬ
)
ってあり、
屋根
(
やね
)
はキリのように、とがっていました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
屋
常用漢字
小3
部首:⼫
9画
根
常用漢字
小3
部首:⽊
10画
“屋根”で始まる語句
屋根瓦
屋根裏
屋根葺
屋根板
屋根越
屋根普請
屋根船
屋根廂
屋根部屋
屋根形