婦人ふじん)” の例文
これも、えら婦人ふじん傳記でんきとほり、著者ちよしや讀者どくしや婦人ふじんだといふことは、かならずしも、書物しよもつよりも推奬すゐしやうすべき理由りいうにはなりさうもない。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
少年しょうねんは、なかには、やさしいこころ婦人ふじんもあるものとおもって、そのうしろ姿すがた見送みおくりますと、おんなこうがわのたばこにはいりました。
街の幸福 (新字新仮名) / 小川未明(著)
旅商人たびあきうどけば、蝙蝠傘かうもりがさ張替直はりかへなほしもとほる。洋裝やうさうしたぼつちやんのいて、麥藁帽むぎわらばう山腹さんぷくくさつてのぼると、しろ洋傘パラソル婦人ふじんつゞく。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
闔廬かふろいはく、『こころみに婦人ふじんもつてすきか』と。いはく、『なり』と。ここおいこれゆるす。宮中きうちう美女びぢよいだし、百八十にんたり。
婚姻こんいんは秋山十五ヶ村をかぎりとして他所にもとめず。婦人ふじん他所にて男をもてば親族しんぞく不通ふつうしてふたゝ面会めんくわいせざるを、むかしよりのならはせとす。
母の後ろからすこしはなれて、フランスの百姓ひゃくしょう女のようなふうをした婦人ふじんが、白いむつき(おむつ)につつまれた赤子をだいてついて来た。
黒縮緬くろちりめん羽織はおり唐繻子たうじゆすおびめ、小さい絹張きぬばり蝙蝠傘かうもりがさそばに置き、後丸あとまるののめりに本天ほんてん鼻緒はなをのすがつた駒下駄こまげたいた小粋こいき婦人ふじんが、女
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
『ムタラ川の急流きゅうりゅうでは、水車すいしゃがまわりだしますよ。』と、婦人ふじんは言ったが、いらいらしてきたので、ほおは赤くほてってきた。
こんなことをって袖子そでこ庇護かばうようにする婦人ふじんきゃくなぞがないでもなかったが、しかしとうさんはれなかった。むすめ風俗なりはなるべく清楚せいそに。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
カピ長 (ロミオの一群に)ようこそ、方々かた/″\! 肉刺まめなやんでらん婦人ふじんは、いづれもよろこんで舞踏敵手おあひてになりませうわい。
かの鵞鳥がてうこゑ婦人ふじんくちあんぐり、眞赤まつかになつて白黒しろくろにしてる、さだめて先刻せんこく失言しつげんをば後悔こうくわいしてるのであらう。
すると、そのころ諸磯もろいその、漁師りょうしつまで、平常ふだんからわたくしことたいへんに尊信そんしんしてくれている一人ひとり婦人ふじんがありました。
それを浜松城はままつじょうし立てる罪人ざいにんなどとは、飛んでもないあやまり、どうか、あの婦人ふじん吾々われわれのほうへおわたしをねがいたい
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すこをおいてから、Rこく婦人ふじんが一つて、やゝなが叙事的歌詞じよじてきかしのやうなものを、多少たせうしぐさまじへてえんした。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
かれ其眼中そのがんちゆう社會しやくわい人々ひと/″\たゞしゆ區別くべつしてゐる、義者ぎしやと、不義者ふぎしやと、さうして婦人ふじんこと戀愛れんあいこといては、いつみづかふかかんつてくのであるが
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
こえぬと見えせいたか面體めんてい柔和にうわにて眉毛まゆげ鼻筋はなすぢ通りて齒並はならそろいやみなき天晴の美男にして婦人ふじんすく風俗ふうぞくなり衣類は黒七子くろなゝこの小袖にたちばな紋所もんどころつけ同じ羽折はをり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
諭吉ゆきちは、さらに明治めいじ十五(一八八二)ねんに、「時事新報じじしんぽう」という新聞しんぶん発行はっこうし、政治せいじ教育きょういく外交がいこう軍事ぐんじ婦人ふじんもんだいなどについて、論文ろんぶんをのせました。
そして男子だんしのものには、甲胄かつちゆうをつけつるぎいてゐるいさましいかたちをしたのがあり、婦人ふじんぞうには、かみむすびたすきをかけ、なに品物しなものさゝげてゐるようなのもあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
戸のうしろまはつて、始めて正面に向いた時、五十あまりの婦人ふじんが三四郎に挨拶をした。此婦人は三四郎の身体からだがまだとびらの影をないまへからせきつてつてゐたものと見える。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
打ったりののしったりする婦人ふじんとは受け取りかねる風情があったまた附き合いのためには見えをかざり派手を喜び祝儀無祝儀ぶしゅうぎ盆暮ぼんくれの贈答ぞうとう等には鵙屋の娘たる格式をもってなかなかの気前を見せ
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
乳母うば玉江たまえは、これも、高橋三位満実卿たかはしさんみみつざねきょういもうとで、りっぱな婦人ふじんでした。
先生と父兄の皆さまへ (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
第二種の上着は第二種の股引とあひともなふに因つて思へば此物は男子の着用品ならんか。第一種の上着を着する土偶どぐうには乳房の部のれ方甚きもの有り。是亦第一種の婦人ふじん用たるを示すものの如し。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
何人なんびと何用なにようありてひたしといふにや親戚しんせき朋友ほういう間柄あひだがらにてさへおもてそむけるわれたいして一面いちめんしきなく一語いちごまじはりなきかも婦人ふじん所用しよようとは何事なにごとあひたしとは何故なにゆゑ人違ひとちがひとおもへばわけもなければ彼處かしこといひ此處こゝといひまはりし方角はうがく不審いぶかしさそれすらこと不思議ふしぎなるにたのみたきことありあし
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
婦人ふじん驚駭きやうがいけださつするにあまりある。たくへだてて差向さしむかひにでもことか、椅子いすならべて、かたはせてるのであるから、股栗不能聲こりつしてこゑするあたはず
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
○さておしきたりし男女まづ普光寺ふくわうじに入りて衣服いふく脱了ぬぎすて、身に持たる物もみだりに置棄おきすて婦人ふじん浴衣ゆかた細帯ほそおびまれにははだかもあり、男は皆はだかなり。
けれど、すべてのうつくしい婦人ふじんは、弱々よわよわしかったように、きさきくびのまわりにけられた、あおいし首飾くびかざりのおもみをささえるにえられないほどでした。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
としころ廿六七、まゆうるはしい口元くちもとやさしい丁度ちやうど天女てんによやう美人びじんわたくし一目ひとめて、この夫人ふじんその容姿すがたごとく、こゝろうるはしく、にも高貴けだか婦人ふじんおもつた。
ほど婦人ふじんといふかぎりでは、ジヤン・ダークも、ナイチンゲールも、良婦之友りやうふのとも愛讀者あいどくしやも、共通きようつうなのにはちがひない。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そしてれがすむともなく一婦人ふじんが、R打合うちあわせをしたあとでR通訳つうやく説明せつめいにつれて舞台ぶたいのぼつた。そしてピアノの伴奏ばんそう独唱どくせうをはじめた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
わたしはこの美しい婦人ふじんの前では一種いっしゅのおそれを感じたけれども、貴婦人きふじんはひじょうに親切に話しかけてくれたし、その声はいかにもやさしかったから
「ウーム、ってとおさんとあらばぜひがない。では、ただいまおくへにないこんだ婦人ふじんをこれへだしてもらいたい」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、いよいよ暴風雨あらししますと、みぎ婦人ふじん早速さっそくわたくしはかけつけて一しん不乱ふらん祈願きがんしました。——
つひ隊長たいちやうにんりてもつとなへ、其次そのつぎもつ隊長たいちやうす。ここおいこれす。婦人ふじん(九)左右前後跪起さいうぜんごききみな(一〇)規矩繩墨きくじようぼくあたり、あへこゑいだすものし。
かれはその眼中がんちゅう社会しゃかい人々ひとびとをただ二しゅ区別くべつしている、義者ぎしゃと、不義者ふぎしゃと、そうして婦人ふじんのこと、恋愛れんあいのことにいては、いつもみずかふかかんってくのであるが
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
百姓ひゃくしょうがこう言うと、婦人ふじんはくちびるをかみしめながら、身を起こして、こしかけに腰をおろした。
贔屓ひいきなさるゝかと言しかば越前守殿大いにいかられナニ婦人ふじんを贔屓するとは不屆の一言天地てんち自然しぜん淨玻璃じやうはりかゞみたて邪正じやしやうたゞごふはかりを以て分厘ふんりんたがはず善惡を裁斷する天下の役人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つてりますと、突然いきなりうしろふすまをがらりとけて這入はいつて婦人ふじんいかりのこゑにて、婦人
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
さてこの埴輪はにわはどういふものかといひますと、ほそ刷毛目はけめせんのはひつた赤色あかいろ素燒すやきでありまして、人間にんげんぞうはたいてい二三尺にさんじやくくらゐのたかさで、男子だんしもあり婦人ふじんもあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
つい、となり十四五人じふしごにんの、ほとん十二三人じふにさんにん婦人ふじん一家いつかは、淺草あさくさからはれ、はれて、こゝにいきいたさうである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
○さておしきたりし男女まづ普光寺ふくわうじに入りて衣服いふく脱了ぬぎすて、身に持たる物もみだりに置棄おきすて婦人ふじん浴衣ゆかた細帯ほそおびまれにははだかもあり、男は皆はだかなり。
「なんとおっしゃっても、わたくしは、手術しゅじゅつけるのがおそろしいのでございます。」と、婦人ふじんは、ひかるメスを、はさみをかんがえると、ぶるいをしました。
世の中のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
だい二には、えら婦人ふじん傳記でんきである。從來じうらい婦人ふじん讀物よみものといへば、ジヤン・ダークでんとか、ナイチンゲールでんとか、さういふものを推薦すゐせんするひとすくなくない。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
わたしたちがその家に行き着くと、ドアによっかかって二、三人、近所の人と話をしていた婦人ふじんが、坑夫こうふのガスパールは六時でなければ帰らないと言った。
調子てうしづいた独唱どくせうが二つばかりつづいた。そしてまえ叙事詩じよじしのやうなものを朗読らうどくした多分たぶん代理大使だいりたいし夫人ふじんだとおもはるゝ婦人ふじん其後そのあとで又舞台ぶたいのうへで朗読らうどくをはじめた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
貧窮ひんきゆう友人いうじん扶助たすけあたへぬのをはぢとしてゐたとか、愉快ゆくわい行軍かうぐんや、戰爭せんさうなどのつたこと、面白おもしろ人間にんげん面白おもしろ婦人ふじんつたこと、また高加索カフカズところじつ土地とち
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ここおい(七)これみぎす。婦人ふじんおほいわらふ。孫子そんしいはく、『約束やくそくあきらかならず、(八)申令しんれいじゆくせざるは、しやう罪也つみなり』と。た三れいしんしてこれひだりす。婦人ふじんおほいわらふ。
このエステルイエートランドのウルヴォーサに、ずっとむかし、ひとりの婦人ふじんがいた。
このつぎ如何いかなるひとるだらうと、わたくし春枝夫人はるえふじんかたりながら一ぽう倚子ゐすりてながめてつたが、暫時しばらく何人たれない、大方おほかたいま鵞鳥聲がてうごゑ婦人ふじんめに荒膽あらぎもかれたのであらう。
なかなかしとやかな婦人ふじんで、しきりにむすめのことばかりにかけてりました。
婦人ふじんこゝろ不仁ふじんよくつね理不盡りふじんたくみなりけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)