こめ)” の例文
「ああ。わかった。わたしは、あのくわをつくるときに、こめや、まめが、たくさんみのってくれるようにとばかりおもっていた。それだからだ。」
おじいさんとくわ (新字新仮名) / 小川未明(著)
二人ふたり呉服屋ごふくや反物たんものつてた。米屋こめやからこめつてつた。けれども其他そのたには一般いつぱん社會しやくわいところきはめてすくない人間にんげんであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
うすもころがしてました。おもちにするおこめ裏口うらぐちかまどしましたから、そこへも手傳てつだひのおばあさんがたのしいきました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「わたしはたびものですから、やおこめをもらってもこまりますが、せっかくおっしゃることですから、りかえっこをしましょう。」
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「さうなんでさ、うまいもんだからわしも到頭たうとうこめぺうそんさせられちやつて」勘次かんじはそれをいふたびさう容子ようすえるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
もつと便たよりよきはとしこそつたれ、大根だいこんく、屋根やねく、みづめばこめく、達者たつしやなればと、この老僕おやぢえらんだのが、おほいなる過失くわしつになつた。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
○人病あればこめかゆくはせてくすりとす。重きは山伏をむかへていのらす。(病をいのらする事源氏にも見えたる古風也。)
……たけス、こめあらい、四丁目、そうした下座げざのはやしの音が、いかにぼくの少年の日の夢をはぐくんでくれたことか。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
回米方かいまいかたというのは、このくらやしきにおくりこまれてきたこめはりのばんをしたり、商人しょうにんったりする仕事しごとで、ずいぶん、せきにんのおもい役目やくめでした。
「いいえ。わたしじやないでせう」とつた。それをきいて、そばについてきてゐた子雀こすゞめが「今朝けさもおこめいたゞいてよ」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
おし莞爾にこ/\顏して我家へ這入はひりしあとにお光はまたこめ淅了とぎをはり我家の中に入し頃は護國寺のかね入相いりあひつげければ其所等そこら片付かたづけ行燈あんどうに火を照し附け明るけれどくらからぬ身を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おいとこたへてこめかしをけはかすほどのろさ、くておはらば千歳ちとせうつくしきゆめなかすぎぬべうぞえし。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あさこめむぎなどの内陸の産物と、交易したものがもっとも有名で、わたしたちはこれをボッカと呼んでいた。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
こめヶ袋ぶくろ鍛冶屋前丁かじやまえちょうの宮城監獄署の前にあって、学校にも近いし食事も上等だし自分には大いに気にいっていたのだが、その津田さんの言によれば、この下宿屋は
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
さうですよ 地きうではパンとかこめとかが常食じやうしよくでせう、火星の人げんは トマトだけよりたべないんです
こめ牛肉ぎゅうにくのコロッケー 秋付録 米料理百種「西洋料理の部」の「第十六 米と牛肉のコロッケー」
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
こめたはらよりぜに蟇口がまぐちよりいづ結構けつこうなかなに不足ふそく行倒ゆきだふれの茶番ちやばん狂言きやうげんする事かとノンキに太平楽たいへいらく云ふて、自作じさく小説せうせつ何十遍なんじつぺんずりとかの色表紙いろべうしけて売出うりだされ
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
あのたいそうあまい、しろこな……砂糖さとうとやらもうすものは、もちろん私達わたくしたち時代じだいにはなかったもので、そのころのお菓子かしというのは、おもこめこなかためた打菓子うちがしでございました。
何しろ米の出來るくににゐる田舎者ゐなかものが、こめの出來ない東京へ來て美味うまめしあり付かうとするんだからたまらん………だから東京には塵芥ごみが多い。要するに東京は人間の掃溜はきだめよ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「四十余年戯楽中。老来猶喜迎春風。請看恵政方優渥。一邸不知歳歉豊。」前詩はとしゆたかにしてこめいやしきを歎じ、後詩は年の豊凶と米価の昂低とに無頓着であるものと聞える。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
須原峠を小屋こやいたり泊す、温泉塲をんせんば一ヶ所あり、其宿の主人は夫婦共にたま/\他業たぎやうしてらず、唯浴客数人あるのみ、浴客一行の為めにこめかししる且つ寝衣をも貸与たいよ
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
心不乱しんふらんこめいでいたおかみさんたちまでが、まえかけで、きながら、ぞろぞろつながっててくる有様ありさまは、流石さすが江戸えど物見高ものみだかいと、勤番者きんばんものたまをひっくりかえさずにはおかなかった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
こめんでつけて置くといそうですよ。」
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
なかがすいてもおこめない
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
こめ、五郎左
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こめがない
一休さん (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
おまえさんの大好だいすきなこめも、まめも、きびも、どこの野原のはらにもたくさんあるじゃありませんか。なぜ、それをってべないのです。
汽車の中のくまと鶏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おつぎは勘次かんじ吩咐いひつけてつたとほをけれてあるこめむぎとのぜたのをめしいて、いも大根だいこしるこしらへるほかどうといふ仕事しごともなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
やがて蒸籠せいろといふものにれてしたおこめがやはらかくなりますとおばあさんがそれをうすなかへうつします。ぢいやはきねでもつて、それをつきはじめます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
だからおまえたちもこれからこころれかえて分相応ぶんそうおうに、ひとてたもののこりや、たわらからこぼれたおこめまめひろって、いのちをつなぐことにしてはどうだ。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
婦人をんな何時いつかもうこめしらてゝ、衣紋えもんみだれた、はしもほのゆる、ふくらかなむねらしてつた、はなたかくちむすんで恍惚うつとりうへいていたゞきあふいだが
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つる千年せんねんかめ萬年まんねん人間にんげん常住じやうぢういつも月夜つきよこめめしならんをねがかりにも無常むじやうくわんずるなかれとは大福だいふく長者ちやうじやるべきひと肝心かんじん肝要かんえうかなめいしかたつてうごかぬところなりとか
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
自分じぶんくにでとれるこめや、名産めいさん特産とくさん品々しなじなを、このくらやしきにおくってきて、それを大阪おおさか商人しょうにんりわたして、自分じぶんくに財政ざいせいをまかなうことになっていました。
主人しゆじん細君さいくん説明せつめいによると、この織屋おりやんでゐるむら燒石やけいしばかりで、こめあはれないから、やむくはゑてかひこふんださうであるが、餘程よほどまづしいところえて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
こめのソフレオムレツ 秋付録 米料理百種「西洋料理の部」の「第三十七 米のソフレオムレツ」
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
のべ今宵は此家に泊り給へとたつとゞめけるゆゑ其夜は其處へ泊りしに娘お節はこめをとぎ味噌みそ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
すべての文学者ぶんがくしや消費せうひする筆墨料ひつぼくれう徴収ちようしうすれば慈善じぜん病院びやうゐん三ツ四ツをつくる事けつしてかたきにあらず、すべての文学者ぶんがくしや喰潰くひつぶこめにく蓄積ちくせきすれば百度ひやくたび饑饉ききんきたるともさらおそるゝにらざるべく
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
くるをまつて人夫はなべこめとをたづさへ、渓流けいりゆうくだり飯を炊煑してのぼきたる、一行はじめてはらたし、勢にじやうじて山をくだり、三長沢支流をさかのぼる、此河は利根の本源とほとんど長をひとしくし
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
「さやうでございます。僧共そうどもべるこめいてをられました。」
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
米屋こめやこめいてるのさ。機械きかいをとだよ」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
コンコン小雪こゆきがおこめなら
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
今年ことしは、いままでにないことだ。暴風ぼうふうもこず、こめはよくできて豊年ほうねんだ。むかしひとはなしに、しろかげはいってきたとし豊年ほうねんだということだ。」
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おつぎは與吉よきちはららしてときにはこめみづひたしていて摺鉢すりばちですつて、それをくつ/\と砂糖さたういれめさせた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そのわりとおこめけてげるから、それとりかえっこなら、うまをもらってもいいといいました。若者わかもの
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
だんだんおこめがねばつてて、おもちうすなかからうまれてます。ぢいやはちから一ぱいきねげて、それをちおろすたびに、うすなかのおもちにはおほきなあながあきました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
こめのスポンジゼリー 秋付録 米料理百種「西洋料理の部」の「第四十三 米のスポンジゼリー」
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
わかひと筑前ちくぜん出生うまれ博多はかた孫一まごいち水主かこでね、十九のとし、……七ねんまへ福岡藩ふくをかはんこめんだ、千六百こく大船たいせんに、乘組のりくみ人數にんず船頭せんどうとも二十にん寶暦はうれきうまとしぐわつ六日むいか
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其時そのときわたしは七つであつたれどうちうち樣子やうす父母ちゝはゝこゝろをもれてあるにおこめ途中とちうおとしましたとから味噌みそこしさげてうちにはかへられず、たつてしばらくいてたれどうしたとふてれるひともなく
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
に三斗のこめふて難路をあゆむも、つねに平然たることあたか空手くうしゆ坦途たんとを歩むが如し、しんに一行中の大力者なり、林喜作なるものすこしく病身なりしもうをるにたくみなり、皆各其人をたりと云つべし
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
電車には近頃漸く乗り馴れた。何か買つて上げたいが、何がいか分からないから、買つて上げない。しければ其方そつちから云つてて呉れ。今年ことしこめいまが出るから、売らずに置く方がとくだらう。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)