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残
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のこ
ふりがな文庫
“
残
(
のこ
)” の例文
旧字:
殘
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
は、ほのかに
足
(
あし
)
もとをあたためて、
草
(
くさ
)
のうちには、まだ
生
(
い
)
き
残
(
のこ
)
った
虫
(
むし
)
が、
細
(
ほそ
)
い
声
(
こえ
)
で、しかし、
朗
(
ほが
)
らかに
歌
(
うた
)
をうたっていました。
丘の下
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
何
(
なに
)
しろ
西
(
にし
)
も
東
(
ひがし
)
も
分
(
わ
)
からない
原中
(
はらなか
)
の一
軒家
(
けんや
)
に
一人
(
ひとり
)
ぼっちとり
残
(
のこ
)
されたのですから、
心細
(
こころぼそ
)
さも
心細
(
こころぼそ
)
いし、だんだん
心配
(
しんぱい
)
になってきました。
安達が原
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
それはいつまでここにいなければならないかわからないので、親方がいくらか
晩飯
(
ばんめし
)
に
残
(
のこ
)
しておくほうが
確実
(
かくじつ
)
だと考えたからであった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
一
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
役
(
やく
)
にもたたぬ
現世
(
げんせ
)
の
執着
(
しゅうちゃく
)
から
離
(
はな
)
れるよう、しっかりと
修行
(
しゅぎょう
)
をして
貰
(
もら
)
いますぞ!
執着
(
しゅうじゃく
)
が
残
(
のこ
)
っている
限
(
かぎ
)
り
何事
(
なにごと
)
もだめじゃ……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
これは
見立
(
みたて
)
の句であろうと思う。枯蘆のほとりにいる鷺の白いのを、
残
(
のこ
)
ンの雪に擬したので、実際枯蘆に雪が残っているわけではない。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
▼ もっと見る
縁起
(
えんぎ
)
でもないことだが、ゆうべわたしは、
上下
(
じょうげ
)
の
歯
(
は
)
が一
本
(
ぽん
)
残
(
のこ
)
らず、
脱
(
ぬ
)
けてしまった
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
ました。
情
(
なさけ
)
ないが、
所詮
(
しょせん
)
太夫
(
たゆう
)
は
助
(
たす
)
かるまい
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
山
(
やま
)
を
崩
(
くづ
)
して、
其
(
そ
)
の
峯
(
みね
)
を
余
(
あま
)
した
状
(
さま
)
に、
昔
(
むかし
)
の
城趾
(
しろあと
)
の
天守
(
てんしゆ
)
だけ
残
(
のこ
)
つたのが、
翼
(
つばさ
)
を
拡
(
ひろ
)
げて、
鷲
(
わし
)
が
中空
(
なかぞら
)
に
翔
(
かけ
)
るか、と
雲
(
くも
)
を
破
(
やぶ
)
つて
胸毛
(
むなげ
)
が
白
(
しろ
)
い。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
二十五
年間
(
ねんかん
)
教育
(
きょういく
)
に
尽
(
つく
)
して
職
(
しょく
)
を
退
(
しりぞ
)
いた
後
(
のち
)
、
創作
(
そうさく
)
に
心
(
こころ
)
をうちこんで、千九百二十七
年
(
ねん
)
になくなるまで、じつに二十
巻
(
かん
)
の
著作
(
ちょさく
)
を
残
(
のこ
)
した。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
奈美子
(
なみこ
)
は
白
(
しろ
)
い
布
(
きれ
)
で
頭
(
あたま
)
をくる/\
捲
(
ま
)
いて、
寂
(
さび
)
しい
彼
(
かれ
)
の
送別
(
そうべつ
)
の
席
(
せき
)
につれ
出
(
だ
)
されて、
別室
(
べつしつ
)
に
待
(
ま
)
たされてゐたことなぞも、
仲間
(
なかま
)
の
話柄
(
わへい
)
に
残
(
のこ
)
された。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
中堂寺の町筋へ来ると、その晩は
残
(
のこ
)
んの月が鮮かでありました。が、天地は屋の棟が下るほどの熟睡の境から、まだ覚めきってはいない。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
大江山課長は
真先
(
まっさき
)
に向うの汽艇へ飛び移った。つづいて部下もバラバラと飛び乗った。狭い汽艇だから、艇内は直ぐに
残
(
のこ
)
る
隈
(
くま
)
なく探された。
地中魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
他
(
かれ
)
がたのもしきをよろこびて、
残
(
のこ
)
る田をも
販
(
う
)
りつくして
金
(
かね
)
に
代
(
か
)
へ、
一一
絹素
(
きぬ
)
あまた
買積
(
かひつ
)
みて、京にゆく日を
一二
もよほしける。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
オーラのおとうさんとしては、じぶんが
親
(
おや
)
からもらった
土地
(
とち
)
を、子どもには、
倍
(
ばい
)
にして
残
(
のこ
)
してやりたいと思っていたからです。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
なにしろお
祭
(
まつ
)
りのことだから、とまっている人たちも、ちりぢりにどこかへ行ってしまい、
残
(
のこ
)
っているのは、
失業者
(
しつぎょうしゃ
)
みたいな男ひとりだった。
キリストのヨルカに召された少年
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
こういう児であったればこそと
先刻
(
さっき
)
の事を
反顧
(
はんこ
)
せざるを得なくもなり、また今
残
(
のこ
)
り
餌
(
え
)
を川に投げる方が宜いといったこの児の語も
思合
(
おもいあわ
)
されて
蘆声
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
しかも、この
研究
(
けんきゅう
)
は人があまりやっていないので、いくらでも研究することが
残
(
のこ
)
されているのが、若いぼくには、たまらない
魅力
(
みりょく
)
だったのだ。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
「
残
(
のこ
)
ったものは
殿
(
との
)
のご
寝所
(
しんじょ
)
のほうを
守
(
まも
)
れ、もう
木戸
(
きど
)
や
多門
(
たもん
)
の
固
(
かた
)
めにはじゅうぶん人数がそろったから、よも、やぶれをとるおそれはあるまい」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(ここは何かの
寄宿舎
(
きしゅくしゃ
)
か。そうでなければ
避病院
(
ひびょういん
)
か。とにかく二階にどうもまだ
誰
(
だれ
)
か
残
(
のこ
)
っているようだ。一ぺん見て来ないと
安心
(
あんしん
)
ができない。)
ガドルフの百合
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
然るにこの小屋の附近には夏は
残
(
のこ
)
んの雪もないのに、この高い所で而も多量の水が湧き出しているのは珍とす可きである。
白馬岳
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
「わしはもう、
思
(
おも
)
いのこすことはないがや。こんな
小
(
ちい
)
さな
仕事
(
しごと
)
だが、
人
(
ひと
)
のためになることを
残
(
のこ
)
すことができたからのオ。」
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
そして、
食
(
た
)
べ
残
(
のこ
)
しの牛肉のきれをやって、はなしてやりました。
狸
(
たぬき
)
は肉をもらって、
頭
(
あたま
)
をぴょこぴょこさげながら、
藪
(
やぶ
)
の中へはいっていきました。
ばかな汽車
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
勘太郎は鬼の鼻の穴に引っかかっている自在鉤をそのままにして、
残
(
のこ
)
りの
綱
(
つな
)
で両手をうしろに回して
縛
(
しば
)
りあげ、先に歩かせながら村へ帰って来た。
鬼退治
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
事実上
(
じじつじょう
)
の
細
(
こま
)
かい
注意
(
ちゅうい
)
を
残
(
のこ
)
りなくお
初
(
はつ
)
から
教
(
おし
)
えられたにしても、こんな
時
(
とき
)
に
母
(
かあ
)
さんでも
生
(
い
)
きていて、その
膝
(
ひざ
)
に
抱
(
だ
)
かれたら、としきりに
恋
(
こい
)
しく
思
(
おも
)
った。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
代助は、
百合
(
ゆり
)
の
花
(
はな
)
を
眺
(
なが
)
めながら、部屋を
掩
(
おゝ
)
ふ強い
香
(
か
)
の
中
(
なか
)
に、
残
(
のこ
)
りなく自己を
放擲
(
ほうてき
)
した。彼は
此
(
この
)
嗅覚の刺激のうちに、
三千代
(
みちよ
)
の過去を
分明
(
ふんみよう
)
に認めた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それが
明日
(
あす
)
からといふ
日
(
ひ
)
に
彼
(
かれ
)
は
其
(
その
)
残
(
のこ
)
つた
煙草
(
たばこ
)
を
殆
(
ほとん
)
ど一
日
(
にち
)
喫
(
す
)
ひ
續
(
つゞ
)
けた。
煙草入
(
たばこいれ
)
の
叺
(
かます
)
を
倒
(
さかさ
)
にして
爪先
(
つまさき
)
でぱた/\と
彈
(
はじ
)
いて
少
(
すこ
)
しの
粉
(
こ
)
でさへ
餘
(
あま
)
さなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
道子
(
みちこ
)
は
其辺
(
そのへん
)
のアパートをさがして
一人暮
(
ひとりぐら
)
しをすることになつたが、
郵便局
(
いうびんきよく
)
の
貯金
(
ちよきん
)
はあらかた
使
(
つか
)
はれてしまひ、
着物
(
きもの
)
まで
満足
(
まんぞく
)
には
残
(
のこ
)
つてゐない
始末
(
しまつ
)
に
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
今
(
いま
)
でも
世界中
(
せかいちう
)
の
鴉
(
からす
)
の
口
(
くち
)
の
中
(
なか
)
には、その
時
(
とき
)
の
火傷
(
やけど
)
のあとが
真赤
(
まつか
)
に
残
(
のこ
)
つてゐるといふ。
人
(
ひと
)
に
嫌
(
きら
)
はれながらも、あの
憐
(
あは
)
れなペンペのために
泣
(
な
)
いてゐるのだ。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
後
(
のち
)
五年を
経
(
へ
)
て
勅免
(
ちよくめん
)
ありしかども、
法
(
ほふ
)
を
弘
(
ひろめ
)
ん
為
(
ため
)
とて越後にいまししこと五年なり、
故
(
ゆゑ
)
に聖人の
旧跡
(
きうせき
)
越地に
残
(
のこ
)
れり。
弘法
(
ぐほふ
)
廿五年御歳六十の時
洛
(
みやこ
)
に
皈
(
かへり
)
玉へり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
滝田
君
(
くん
)
に
初
(
はじ
)
めて
会
(
あ
)
ったのは夏目先生のお
宅
(
たく
)
だったであろう。が、
生憎
(
あいにく
)
その時のことは何も
記憶
(
きおく
)
に
残
(
のこ
)
っていない。
滝田哲太郎君
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
どうかして
夫
(
おっと
)
の
財産
(
ざいさん
)
を
残
(
のこ
)
らず
自分
(
じぶん
)
の
娘
(
むすめ
)
にやりたいものだが、それには、この
男
(
おとこ
)
の
子
(
こ
)
が
邪魔
(
じゃま
)
になる、というような
考
(
かんが
)
えが、
始終
(
しじゅう
)
女
(
おんな
)
の
心
(
こころ
)
をはなれませんでした。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
残
(
のこ
)
んの花の歌で恋歌ではないであろうが、忍びし人に逢う心地に、生身の心の温かみを感じさせるのである。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
アンドレイ、エヒミチは
今
(
いま
)
初
(
はじ
)
めて
気
(
き
)
が
着
(
つ
)
いたが、ミハイル、アウエリヤヌイチは
前
(
さき
)
に
大地主
(
おおじぬし
)
であった
時
(
とき
)
の、
余
(
あま
)
り
感心
(
かんしん
)
せぬ
風
(
ふう
)
ばかりが
今
(
いま
)
も
残
(
のこ
)
っていると
云
(
い
)
うことを。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
色は衰えたといってもまだ
残
(
のこ
)
んの春を
蓄
(
たくわ
)
えている。
面
(
おも
)
だちは長年の
放埒
(
ほうらつ
)
で
荒
(
すさ
)
んだやつれも見えるが、目もと口もとには散りかけた花の感傷的な気分の反映がある。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
それとも矢っぱりおれの家に
残
(
のこ
)
っていたのかな。そうだ、そうだ。いつまでもここの家を立去らないで、おれを守ってくれるに相違ないのだ。いや、有難いことだ。
青蛙神
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
残
(
のこ
)
る所の二十七名は之より
進
(
すす
)
むのみにして
帰
(
かへ
)
るを得ざるもの、
実
(
じつ
)
に
血
(
ち
)
を
啜
(
すす
)
りて
决死
(
けつし
)
の
誓
(
ちかひ
)
をなししと云ふて
可
(
か
)
なり、
既
(
すで
)
にして日
漸
(
やうや
)
く
高
(
たか
)
く露亦
漸
(
やうや
)
く
消
(
き
)
へ、
渇
(
かつ
)
益渇を
加
(
くわ
)
へ
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
今だに
一
(
ひと
)
つ
話
(
ばなし
)
に
残
(
のこ
)
つて
居
(
ゐ
)
るのは、
此際
(
このさい
)
の事です、
何
(
なん
)
でも雑誌を売らなければ
可
(
い
)
かんと
云
(
い
)
ふので、
発行日
(
はつかうび
)
には
石橋
(
いしばし
)
も
私
(
わたし
)
も
鞄
(
かばん
)
の中へ
何十部
(
なんじふぶ
)
と
詰
(
つ
)
め
込
(
こ
)
んで、
而
(
さう
)
して学校へ出る
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
おい……ハヽヽ
彼方
(
あつち
)
へ
逃
(
に
)
げて
往
(
い
)
きやアがつた、
馬鹿
(
ばか
)
な
奴
(
やつ
)
だなア……
先刻
(
さつき
)
むぐ/\
喰
(
く
)
つてゐた
粟饅頭
(
あはまんぢう
)
……ムンこゝに
烟
(
けむ
)
の
出
(
で
)
る
饅頭
(
まんぢう
)
がある、
喰
(
くひ
)
かけて
残
(
のこ
)
して
往
(
い
)
きやアがつたな。
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
鷸
(
しぎ
)
にありては
百羽掻也
(
もゝはがきなり
)
、僕にありては
百端書也
(
もゝはがきなり
)
月
(
つき
)
や
残
(
のこ
)
んの
寝覚
(
ねざ
)
めの
空
(
そら
)
老
(
おゆ
)
れば人の
洒落
(
しやれ
)
もさびしきものと
存候
(
ぞんじさふらふ
)
、
僕
(
ぼく
)
昨今
(
さくこん
)
の
境遇
(
きやうぐう
)
にては、
御加勢
(
ごかせい
)
と申す程の事もなりかね
候
(
さふら
)
へども
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
その
時
(
とき
)
、まだ
口
(
くち
)
に
残
(
のこ
)
つていた
毒
(
どく
)
が
水中
(
すいちゅう
)
へしたたりおちたために、
金魚
(
きんぎょ
)
も
死
(
し
)
んだのだと
思
(
おも
)
われる。しかし、
問題
(
もんだい
)
はこの
毒殺死体
(
どくさつしたい
)
だつた。
断
(
だん
)
じてまきぞえをくつた
金魚
(
きんぎょ
)
ではない。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
こう一言
叫
(
さけ
)
んだお政は、
客
(
きゃく
)
の
飲
(
の
)
み
残
(
のこ
)
した
徳利
(
とくり
)
を右手にとって、ちゃわんを左手に、二はい飲み三ばい飲み、なお四はいをついだ。お政の顔は
皮膚
(
ひふ
)
がひきつって目がすわった。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
絶頂の
苔蒸
(
こけむ
)
して、
雅味
(
がみ
)
を
帯
(
お
)
んだ妙見の小さな石の祠のあるあたりには、つつじの株最も多く、現在では
蛍袋
(
ほたるふくろ
)
が
夥
(
おびただ
)
しく花をつけており、しもつけもまだ
残
(
のこ
)
んの花を見せている。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
「じゃ、あなたは、エムリーヌ・カペルさん、十二から四つ
引
(
ひ
)
いたら、
幾
(
いく
)
つ
残
(
のこ
)
りますか。」
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
御食
(
みけ
)
むかふ
南淵山
(
みなぶちやま
)
の
巌
(
いはほ
)
には
落
(
ふ
)
れる
斑雪
(
はだれ
)
か
消
(
き
)
え
残
(
のこ
)
りたる 〔巻九・一七〇九〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
中村
(
なかむら
)
さんと
唐突
(
だしぬけ
)
に
背中
(
せなか
)
たゝかれてオヤと
振
(
ふ
)
り
返
(
か
)
へれば
束髪
(
そくはつ
)
の一
群
(
むれ
)
何
(
なに
)
と
見
(
み
)
てかおむつましいことゝ
無遠慮
(
ぶゑんりよ
)
の一
言
(
ごん
)
たれが
花
(
はな
)
の
唇
(
くちびる
)
をもれし
詞
(
ことば
)
か
跡
(
あと
)
は
同音
(
どうおん
)
の
笑
(
わら
)
ひ
声
(
ごゑ
)
夜風
(
よかぜ
)
に
残
(
のこ
)
して
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
くを
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
残
(
のこ
)
んの
色香
(
いろか
)
を墨染の袖に包んでいる尼と狭い一室に
膝
(
ひざ
)
をつき合わせ、彼女の孤独を慰めたり自分の
無躾
(
ぶしつけ
)
を
詑
(
わ
)
びたりしながら、少しずつ身の上話を
手繰
(
たぐ
)
り出すようにしたのであろう。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
人々は陽気に笑いさゞめきながら、郊外に
残
(
のこ
)
んの梅花や、未だ蕾の堅い桜などを訪ねるのだった。忙しそうに歩き廻る商店街の人達さえ、どことなくゆったりとした気分に充ちていた。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「
世
(
よ
)
の
人々
(
ひとびと
)
の
御主
(
おんあるじ
)
よ、われをも
罪
(
つみ
)
無
(
な
)
くなし
給
(
たま
)
へ、この
癩病
(
らいびやう
)
に
病
(
や
)
む
者
(
もの
)
を。」
噫
(
あゝ
)
、
淋
(
さむ
)
しい、あゝ、
恐
(
こは
)
い。
歯
(
は
)
だけに、
生来
(
しやうらい
)
の
白
(
しろ
)
い
色
(
いろ
)
が
残
(
のこ
)
つてゐる。
獣
(
けもの
)
も
恐
(
こは
)
がつて
近
(
ちか
)
づかず、わが
魂
(
たましひ
)
も
逃
(
に
)
げたがつてゐる。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
恐らく神代の海神宮古伝の
残
(
のこ
)
んの形であろうから、これだけは別にまた考えてみるとして、この他に
田道間守
(
たじまもり
)
の家の由緒でも
秦河勝
(
はたかわかつ
)
の
手柄
(
てがら
)
に帰した虫の神の出処でも、事実の真偽は問題でなく
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
トヾの
結局
(
つまり
)
が
博物館
(
はくぶつくわん
)
に
乾物
(
ひもの
)
の
標本
(
へうほん
)
を
残
(
のこ
)
すか
左
(
さ
)
なくば
路頭
(
ろとう
)
の
犬
(
いぬ
)
の
腹
(
はら
)
を
肥
(
こや
)
すが
世
(
よ
)
に
学者
(
がくしや
)
としての
功名
(
こうみやう
)
手柄
(
てがら
)
なりと
愚痴
(
ぐち
)
を
覆
(
こぼ
)
す
似而非
(
えせ
)
ナツシユは
勿論
(
もちろん
)
白痴
(
こけ
)
のドン
詰
(
づま
)
りなれど、さるにても
笑止
(
せうし
)
なるは
世
(
よ
)
の
是
(
これ
)
沙汰
(
さた
)
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
「四から
芸
(
げい
)
引
(
ひ
)
く、
零
(
れい
)
残
(
のこ
)
る。斯ういう算術を御存じですか?」
心のアンテナ
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
“残”の意味
《名詞》
(ザン)残り。余り。
(出典:Wiktionary)
残
常用漢字
小4
部首:⽍
10画
“残”を含む語句
残余
残酷
無残
不残
残像
残少
残滓
名残惜
残惜
心残
残物
残酒
残雪
残暑
名残
残骸
残虐
残忍
残喘
残燈
...