あたら)” の例文
いつものように、おかあさんは、洋服屋ようふくやへこられて、こんどは、せい一が、新学期しんがっきからるためのあたらしいふくを、おたのみなさったのでした。
窓の内と外 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ごんごろがねもあの爆弾ばくだんになるんだねえ。あのふるぼけたかねが、むくりむくりとした、ぴかぴかひかった、あたらしい爆弾ばくだんになるんだね。」
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
おつかはいくらもかけねえつちやつたから、まあだまるつきりあたらしいやうだろ、どうしたランプまつとこつちへしてせえまあ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
眞紅しんくへ、ほんのりとかすみをかけて、あたらしい𤏋ぱつうつる、棟瓦むねがはら夕舂日ゆふづくひんださまなる瓦斯暖爐がすだんろまへへ、長椅子ながいすなゝめに、トもすそゆか
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その頃雜誌ざつし青鞜せいたう」はうまれ、あたらしい女といふことが大分だいぶやかましくなつてまゐりました。けれど私達は初めからそれを白眼はくがんでみました。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
日本にほんいま藝術上げいじゆつじやう革命期かくめいきさいして、思想界しさうかい非常ひぜう興奮こうふんしてる。古今東西ここんとうざい思想しさう綜合そうがふして何物なにものあたらしいものつくらうとしてる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
木曾きそ檜木ひのき名所めいしよですから、あのうすいたけづりまして、かさんでかぶります。そのかさあたらしいのは、檜木ひのき香氣にほひがします。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ちょっとかんがへても、時代じだいあたらしくなるほど、うたがわからなくなるといふような、不自然ふしぜん事實じじつを、あなたがたはまともに、うけれますか。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
毎日まいにちる、ひと毎日まいにちはたらけ。さうすれば毎晩まいばんやすらかにねむられる、さうすれば、其翌日そのよくじつまたあたらしいをがむことが出來できる。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
他愛のないことを言いあいながら、いつの間にか三鷹村も過ぎ、小金井の村ざかいのあたらし橋へかかったのが、ちょうど暮六ツ。
顎十郎捕物帳:15 日高川 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
いま、このあたらしくはいって仲間なかま歓迎かんげいするしるしに、立派りっぱ白鳥達はくちょうたちがみんなって、めいめいのくちばしでそのくびでているではありませんか。
一體いつたい家屋かおくあたらしいあひだはしら横木よこぎとのあひだめつけてゐるくさびいてゐるけれども、それが段々だん/″\ふるくなつてると、次第しだいゆるみがる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
中二日なかふつかいて三千代がる迄、代助のあたまは何等のあたらしいみちを開拓し得なかつた。かれあたまなかには職業の二字が大きな楷書かいしよで焼きけられてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さるが故に、私は永代橋えいたいばしの鉄橋をばかへつてかの吾妻橋あづまばし両国橋りやうごくばしの如くにみにくいとは思はない。新しい鉄の橋はよくあたらしい河口かこうの風景に一致してゐる。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
と、その裏口から、人が飛出して、私が居るとも氣がつかずに、あたらばしの方へスタスタ行つてしまひました。恐ろしく背の高い男でございました。
一時いちじやまひめに待命中たいめいちういたその大佐たいさが、いまかへつ健康すこやかに、このあたらしき軍艦ぐんかん」の廻航中くわいかうちうとか——さては、とわたくしたちまおもあたつたのでわる。
たがひ身體しんたい丈夫じようぶでなければ何事なにごと出來できませんから、あたらしい空氣くうき呼吸こきゆうと、十分じゆうぶん日光浴につこうよくと、運動うんどうとによつて食物しよくもつをうまくべることが一番いちばん大切たいせつです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
足利時代あしかゞじだい寶篋印塔ほうきよういんとうの一部等ぶとうで、主墳しゆふんには古過ふるすぎたり、あたらぎたり。具合ぐあひ適合てきがふせぬので、またもや大失望だいしつばう
そして太子たいしとおきさきとはその日おし、あたらしい白衣びゃくえにお着替きかえになって、お二人ふたり夢殿ゆめどのにおはいりになりました。
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
まちではじつにもう退屈たいくつです。だれ相手あひてはなしするものもなし。はなしものもなし。あたらしい人間にんげんはなし。しか此頃このころハヾトフとわか醫者いしやまちにはたですが。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
おかみさんはあんな青々あおあおした、あたらしいべたら、どんなにうまいだろうとおもうと、もうそれがべたくって、べたくって、たまらないほどになりました。
けれど、このシャツのままでっちゃってかれないのは、もう目に見えていた。仕方しかたなしに箪笥たんすをあけて、まだそでとおさないあたらしいシャツをとり出した。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
なが石器時代せつきじだいゆめからさめて、金屬きんぞく使用しようするあたらしいひらけた時代じだいへ、だん/\すゝんでつたものとおもはれます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
自體じたい周三が、此のき始めた時の意氣込いきごみと謂ツたら、それはすばらしいいきほひで、何でもすツかり在來ざいらいの藝術を放擲うつちやツて、あたらしい藝術に入るのだと誇稱こしようして
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
其身そのみが世の名利みやうりかゝはらねばなり、此日このひるものみなうれしく、人のわざ有難ありがたおもひしは、朝の心の快濶くわいくわつなりしうつりか、その飛々とび/\ひとり隅田すみだ春光しゆんくわう今日けふあたらし。
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
そんなことばが、ぼしのあいだにきらきらして、山で見た、しものおどろきや、日本海にほんかいのまるい石よりも、なおあたらしいおどろきの心を、かきたてたのだった。
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
一平 だから今じゃむしろ一般の女性の外形上の言語や服装等の上には皮相ひそうあたらは非常にあるけど
新時代女性問答 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
をんなと、ばくちと、阿片あへんと、支那人しなじんの一しやうはその三つの享樂きやうらく達成たつせいさゝげられる——などとふと、近頃ちかごろわかあたらしい中華民國ちうくわみんこく人達ひとたちからしかられるかもれないが
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
私にまた先程のかろやかな昂奮が歸つて來た。私は手當り次第に積みあげ、また慌しくくづし、また慌しく築きあげた。あたらしく引き拔いてつけくはへたり、取り去つたりした。
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
モン長 このふる爭端さうたんをば何者なにものあたらしうひらきをったか? をひよ、おぬしは最初はじめからそばにゐたか?
ぬかしながら見れば見るほどうつくしきお光はいとゞおもはゆげのかたち此方こなた心中こゝろときめきいはんとしては口籠くちごもる究りのわるきをかくさんと思へば立てはこうちよりあたらしきほん種々いろ/\取り出し之を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「わたしこまってしまうわ、おっかさんにもらったあたらしい外套がいとうえないんですもの。」
いちょうの実 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
なにかおこつたらおこつたときのことだし、S、Hがまたそんなすきをもつてゐるともおもへなかつた。Iにしたところで、このさいあたらしい事件じけんちあげることは、慵いことだとおもはれた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
御成門から、植村出羽の邸に沿って曲り、土橋へ出ないで、あたらばしの方へ進んだ。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
第八 衣服いふく精粗美惡よしあしひと分限ぶんげんるといへども、肌着はだぎ木綿もめんフラン子ルをよしとす。蒲團ふとん中心なかわたあたらしくかはきたるものをたつとゆゑに、綿花わたかぎらずかま穗苗藁ほわら其外そのほかやわらかかはきたるものをえらぶべし。
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
がついたとなると、あとからあとからとあたらしい着眼点ちゃくがんてんがひらけてくる。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
ふふふ。もうひとつかみ、あたらしいこいつをいれ、はらぱいにかぐとしようか
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
そのそらきりはちる……あたらしきしぶき、かなしみ……
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
またあたらしき『』はぐみ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
あたらしい葉が出来ると
ゆづり葉 (新字旧仮名) / 河井酔茗(著)
あたらしき
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
あたらしいにも、なんにも、もうすこしまえまで、かごのなかで、ぴんぴんはねていたのです。」と、おんなは、主人しゅじんかお見上みあげてこたえました。
女の魚売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
あきぼんには赤痢せきりさわぎもしづんであたらしいほとけかずえてた。墓地ぼちにはげたあかつちちひさなつかいくつも疎末そまつ棺臺くわんだいせてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
これがむかし本陣ほんぢんだと叔父をぢつただゞつぴろ中土間なかどまおくけた小座敷こざしきで、おひらについた長芋ながいも厚切あつぎりも、大鮪おほまぐろ刺身さしみあたらしさもおぼえてる。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ほんならぼくかんがへがある。今度こんど會社くわいしや世界航海圖せかいかうかいづあたらしいのが出來できたから、あれをもらつておくらう如何どうだね、』と郵船會社員いうせんぐわいしやゐん一案いちあんした。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
これは結婚けつこん先立さきだつて、あたらしいいへてる、その新築しんちくむろ言葉ことばで、同時どうじに、新婚者しんこんしや幸福こうふくいの意味いみ言葉ことばなのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
とうさんはそのあたらしい草履ざうりをはいたあしで、おうち臺所だいどころそとあそんでにはとりきました。おほきな玉子たまごをよくとうさんに御馳走ごちさうしてれたにはとり
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
いな、一だいのうちでも、いへ死者ししや出來できれば、そのいへけがれたものとかんがへ、しかばね放棄はうきして、べつあたらしいいへつくつたのである。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
「うん、そうだ。なんでもそうだよ。ふるいものはむくりむくりとあたらしいものにまれかわって、はじめて活動かつどうするのだ。」
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
どうだ、最早もはや皈途きとむかふのだが、これからすこみちへんじてすゝんでは、ふるみちかへるより、あたらしい方面ほうめんからかへつたら、またいろ/\珍奇めづらしことおほからう。