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開
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ひら
ふりがな文庫
“
開
(
ひら
)” の例文
寶鼎
(
はうてい
)
金虎
(
きんこ
)
を
存
(
そん
)
し、
芝田
(
しでん
)
白鴉
(
はくあ
)
を
養
(
やしな
)
ふ。
一瓢
(
いつぺう
)
に
造化
(
ざうくわ
)
を
藏
(
ざう
)
し、
三尺
(
さんじやく
)
妖邪
(
えうじや
)
を
斬
(
き
)
り、
逡巡
(
しゆんじゆん
)
の
酒
(
さけ
)
を
造
(
つく
)
ることを
解
(
かい
)
し、また
能
(
よ
)
く
頃刻
(
けいこく
)
の
花
(
はな
)
を
開
(
ひら
)
かしむ。
花間文字
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
で、
露子
(
つゆこ
)
は、そんな
国
(
くに
)
へいってみたいものだ。どんなに
開
(
ひら
)
けている
美
(
うつく
)
しい
国
(
くに
)
であろうか。どんなに
美
(
うつく
)
しい
人
(
ひと
)
のいるところであろうか。
赤い船
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
またギリシヤの
文明
(
ぶんめい
)
の
開
(
ひら
)
ける
前
(
まへ
)
に、クリートの
嶋
(
しま
)
やその
附近
(
ふきん
)
において
發達
(
はつたつ
)
した
文明
(
ぶんめい
)
も、やはり
青銅器
(
せいどうき
)
の
時代
(
じだい
)
に
屬
(
ぞく
)
するのでありました。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
「
私
(
わたくし
)
の
樣
(
やう
)
なものには
到底
(
たうてい
)
悟
(
さとり
)
は
開
(
ひら
)
かれさうに
有
(
あ
)
りません」と
思
(
おも
)
ひ
詰
(
つ
)
めた
樣
(
やう
)
に
宜道
(
ぎだう
)
を
捕
(
つら
)
まへて
云
(
い
)
つた。それは
歸
(
かへ
)
る
二三日
(
にさんち
)
前
(
まへ
)
の
事
(
こと
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それからいよ/\
問題
(
もんだい
)
が
大
(
おほ
)
きく
擴
(
ひろ
)
がつて、
大學人類學教室
(
だいがくじんるゐがくけうしつ
)
で『
彌生式研究會
(
やよひしきけんきうくわい
)
』が
開
(
ひら
)
かれ、
其結果
(
そのけつくわ
)
として、
加瀬探檢
(
かせたんけん
)
の
遠足會
(
えんそくくわい
)
が
催
(
もよほ
)
された。
探検実記 地中の秘密:06 疑問の加瀬貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
▼ もっと見る
羊歯
(
しだ
)
の生えた岩の下には、深い谷底が
開
(
ひら
)
いてゐる。一匹の毒竜はその谷底に、
白馬
(
しろうま
)
へ
跨
(
またが
)
つた聖ヂヨオヂと、もう半日も戦つてゐる。
LOS CAPRICHOS
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
わたしは急には
開
(
ひら
)
けそうにも見えない多くの家の敷地を発見したが、ある人々はそれが村からあんまり遠すぎると考えたかも知れない。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
大地震
(
だいぢしん
)
のときは
大地
(
だいち
)
が
裂
(
さ
)
けてはつぼみ、
開
(
ひら
)
いては
閉
(
と
)
ぢるものだとは、
昔
(
むかし
)
から
語
(
かた
)
り
傳
(
つた
)
へられて
最
(
もつと
)
も
恐怖
(
きようふ
)
されてゐる
一
(
ひと
)
つの
假想現象
(
かそうげんしよう
)
である。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
何
(
なに
)
もかもそこから
始
(
はじ
)
まります。
御先祖
(
ごせんぞ
)
さまがさう
思
(
おも
)
つてこんな
山
(
やま
)
の
中
(
なか
)
へ
村
(
むら
)
を
開
(
ひら
)
きはじめたといふことには、
大
(
おほ
)
きな
力
(
ちから
)
がありますね。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
アンドレイ、エヒミチは
此
(
こ
)
の
切
(
せつ
)
なる
同情
(
どうじやう
)
の
言
(
ことば
)
と、
其上
(
そのうへ
)
涙
(
なみだ
)
をさへ
頬
(
ほゝ
)
に
滴
(
た
)
らしてゐる
郵便局長
(
いうびんきよくちやう
)
の
顏
(
かほ
)
とを
見
(
み
)
て、
酷
(
ひど
)
く
感動
(
かんどう
)
して
徐
(
しづか
)
に
口
(
くち
)
を
開
(
ひら
)
いた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「お
茶
(
ちや
)
おあがんなせえね」おつぎは
勘次
(
かんじ
)
の
尾
(
しり
)
に
跟
(
つ
)
いて
少
(
すこ
)
し
聲高
(
こわだか
)
にいつた。おつたはぎりつと
絞
(
しぼ
)
つた
手拭
(
てぬぐひ
)
を
開
(
ひら
)
いてばた/\と
叩
(
たゝ
)
いた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
茶店の腰掛で辨當を
開
(
ひら
)
いて、自分は持つて來た西洋の詩集か何かを讀んで日を暮すことがあつたが、ある日新夫人をも此遊に誘ひ出した。
半日
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
〔評〕三條公の筑前に在る、或る人其の
旅況
(
りよきやう
)
の
無聊
(
むれう
)
を
察
(
さつ
)
して美女を進む、公之を
卻
(
しりぞ
)
く。某氏
宴
(
えん
)
を
開
(
ひら
)
いて女
樂
(
がく
)
を
設
(
まう
)
く、公
怫
(
ふつ
)
然として去れり。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
こう
語勢
(
ごせい
)
強くいったきり、ふたたび口を
開
(
ひら
)
かぬ。ふたりはしきりに気ちがいなどに打たれたりなんかされて、とてもいられないとわめく。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
流石
(
さすが
)
に物堅き重二郎も
木竹
(
きたけ
)
では有りませんから、心嬉しく、おいさの顔を見ますと、
蕾
(
つぼみ
)
の花の今
半
(
なか
)
ば
開
(
ひら
)
かんとする処へ
露
(
つゆ
)
を含んだ
風情
(
ふぜい
)
で
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
更
(
あらたま
)
つての
話
(
はなし
)
とは
何事
(
なにごと
)
だらうと、
私
(
わたくし
)
も
俄
(
にわ
)
かに
形
(
かたち
)
を
改
(
あらた
)
めると、
大佐
(
たいさ
)
は
吸殘
(
すひのこ
)
りの
葉卷
(
はまき
)
をば、
窓
(
まど
)
の
彼方
(
かなた
)
に
投
(
な
)
げやりて、
靜
(
しづ
)
かに
口
(
くち
)
を
開
(
ひら
)
いた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
機会
(
きかい
)
を
見
(
み
)
て
私
(
わたくし
)
はそう
切
(
き
)
り
出
(
だ
)
しました。すると
姫
(
ひめ
)
はしばらく
凝乎
(
じっ
)
と
考
(
かんが
)
え
込
(
こ
)
まれ、それから
漸
(
ようや
)
く
唇
(
くちびる
)
を
開
(
ひら
)
かれたのでございました。——
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
開
(
ひら
)
かれける
扨
(
さて
)
又
平石
(
ひらいし
)
次右衞門吉田三五郎の兩人より越前守へ
言上
(
いひあげ
)
彼若君
(
かのわかぎみ
)
澤の井の
死骸
(
しがい
)
を
葬
(
はうむ
)
りし光照寺へ
永代佛供料
(
えいたいぶつくれう
)
として十八石の
御朱印
(
ごしゆいん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
桜町
(
さくらまち
)
の
殿
(
との
)
は
最早
(
もはや
)
寝処
(
しんじよ
)
に
入
(
い
)
り給ひし
頃
(
ころ
)
か。さらずは
燈火
(
ともしび
)
のもとに書物をや
開
(
ひら
)
き給ふ。
然
(
さ
)
らずは机の上に紙を
展
(
の
)
べて、静かに筆をや動かし給ふ。
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
兒玉
(
こだま
)
は
先程來
(
さきほどらい
)
、
多
(
おほ
)
く
口
(
くち
)
を
開
(
ひら
)
かず、
微笑
(
びせう
)
して
人々
(
ひと/″\
)
の
氣焔
(
きえん
)
を
聽
(
きい
)
て
居
(
ゐ
)
たが、
今
(
いま
)
突然
(
とつぜん
)
出身
(
しゆつしん
)
の
學校
(
がくかう
)
を
問
(
と
)
はれたので、
一寸
(
ちよつと
)
口
(
くち
)
を
開
(
ひら
)
き
得
(
え
)
なかつたのである。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
此時
(
このとき
)
、
今
(
いま
)
まで
何
(
なに
)
か
其
(
そ
)
の
備忘録
(
ノートブツク
)
に
忙
(
いそが
)
しさうに
書
(
か
)
いて
居
(
を
)
られた
王樣
(
わうさま
)
が、『
默
(
だま
)
れ!』と
叫
(
さけ
)
んで、やがて
御所持
(
ごしよぢ
)
の
書物
(
しよもつ
)
をお
開
(
ひら
)
きになり
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
湖の
縁
(
へり
)
はそこから左に
開
(
ひら
)
けて人家がなくなり、傾斜のある畑が丘の方へ続いていた。黒いその丘は
遥
(
はるか
)
の前に
崩
(
くず
)
れて湖の中へ出っぱって見えた。
水郷異聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そんなことを考えて、フッと目を
開
(
ひら
)
きますと、鼻の先に犬の顔が見えました。一匹の犬がクンクン言いながら一郎君にすりよっているのです。
新宝島
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
てんでん、こんなことを
口々
(
くちぐち
)
にわいわい
言
(
い
)
いながら、またお
寺
(
てら
)
の
縁
(
えん
)
の下で
会議
(
かいぎ
)
を
開
(
ひら
)
きました。けれどもべつだん
変
(
か
)
わったいい
知恵
(
ちえ
)
も出ません。
猫の草紙
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
くらがりの海のものおそろしさも、衰弱の
極
(
きよく
)
となれる神経を刺すこと多く、はてはもとの𤍠湯の中に死なずして目を
開
(
ひら
)
く
魚
(
うを
)
となり申し
候
(
さふら
)
ひき。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
此日一行は
沼田
(
ぬまた
)
より湯檜會に着し、夜大に会議を
開
(
ひら
)
きて
進路
(
しんろ
)
を
議
(
ぎ
)
す、議二派に
分
(
わか
)
る、一は
国境論
(
こくけうろん
)
にして一は
水源論
(
すゐげんろん
)
なり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
この
歌
(
うた
)
を
作
(
つく
)
りかへて、
別
(
べつ
)
に
變
(
かは
)
つた
領分
(
りようぶん
)
を
開
(
ひら
)
いたものがあります。それは
明治
(
めいじ
)
になつて
死
(
し
)
んだ
京都
(
きようと
)
の
蓮月
(
れんげつ
)
といふ
尼
(
あま
)
の
作
(
さく
)
で
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
既に
交通
(
こうつう
)
の
途
(
みち
)
開
(
ひら
)
け居たりとすれば、異部落相互の間にも
往來
(
わうらい
)
有
(
あ
)
りしと考ふるを得べし。此事の
確証
(
かくせう
)
は
遺物中
(
ゐぶつちう
)
より發見さるるなり。一例を擧げんか。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
私が江戸に来たその翌年、
即
(
すなわ
)
ち安政六年、
五国
(
ごこく
)
条約と
云
(
い
)
うものが発布になったので、横浜は
正
(
まさ
)
しく
開
(
ひら
)
けた
計
(
ばか
)
りの処、ソコデ私は横浜に見物に
行
(
いっ
)
た。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
吉原
(
よしわら
)
の
出来事
(
できごと
)
、
観音様
(
かんのんさま
)
の
茶屋女
(
ちゃやおんな
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うえ
)
など、おそらく
口
(
くち
)
を
開
(
ひら
)
けば、一
様
(
よう
)
におのれの
物知
(
ものし
)
りを、
少
(
すこ
)
しも
速
(
はや
)
く
人
(
ひと
)
に
聞
(
き
)
かせたいとの
自慢
(
じまん
)
からであろう。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
おかあさんはたちまち
本棚
(
ほんだな
)
のところへいって、ルーテルの
説教集
(
せっきょうしゅう
)
をおろし、その日のお説教のところを
開
(
ひら
)
いて、
窓
(
まど
)
ぎわのテーブルの上におきました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
その
頃
(
ころ
)
の
習慣
(
ならはし
)
にしたがつて、
三日
(
みつか
)
の
間
(
あひだ
)
、
大宴會
(
だいえんかい
)
を
開
(
ひら
)
いて、
近所
(
きんじよ
)
の
人
(
ひと
)
たちや、その
他
(
ほか
)
、
多
(
おほ
)
くの
男女
(
なんによ
)
をよんで
祝
(
いは
)
ひました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
その一行八人がアルプスのマッターホルンを初めて征服したので、それから段〻とアルプスも
開
(
ひら
)
けたような訳です。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
何しろ
腕
(
うで
)
一
杯
(
ぱい
)
のところを見せて、
少
(
すくな
)
くとも日本の
洋畫界
(
やうぐわかい
)
に一
生面
(
せいめん
)
を
開
(
ひら
)
かうといふ
野心
(
やしん
)
であツたから、其の用意、其の
苦心
(
くしん
)
、實に
慘
(
さん
)
憺たるものであツた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
運
(
うん
)
の
星
(
ほし
)
に
懸
(
かゝ
)
ってある
或
(
さる
)
怖
(
おそろ
)
しい
宿命
(
しゅくめい
)
が、
今宵
(
こよひ
)
の
宴
(
えん
)
に
端
(
はし
)
を
開
(
ひら
)
いて、
世
(
よ
)
に
倦
(
う
)
み
果
(
は
)
てた
我
(
わが
)
命數
(
めいすう
)
を、
非業無慚
(
ひごふむざん
)
の
最期
(
さいご
)
によって、
絶
(
た
)
たうとするのではないか
知
(
し
)
らぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
開
(
ひら
)
けたる所は
月光
(
げつくわう
)
水
(
みづ
)
の如く流れ、
樹下
(
じゆか
)
は
月光
(
げつくわう
)
青
(
あを
)
き雨の如くに漏りぬ。
歩
(
ほ
)
を
返
(
か
)
へして、木蔭を
過
(
す
)
ぐるに、
灯火
(
ともしび
)
のかげ
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
を
漏
(
も
)
れて、人の
夜涼
(
やれう
)
に
語
(
かた
)
るあり。
良夜
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
だん/\と
人口
(
じんこう
)
がふえ、みんなの
智慧
(
ちえ
)
も
開
(
ひら
)
けて
來
(
く
)
るに
從
(
したが
)
つて、やうやく
火
(
ひ
)
といふものを
使
(
つか
)
ふことを
知
(
し
)
り、
食
(
た
)
べ
物
(
もの
)
も
煑
(
に
)
たり
燒
(
や
)
いたりして
食
(
た
)
べるようになり
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
私
(
わたし
)
は
今朝
(
けさ
)
急患
(
きゅうかん
)
があつて
往診
(
おうしん
)
に
出
(
で
)
かけました。ところが
往
(
い
)
きにも
帰
(
かえ
)
りにも、
老人
(
ろうじん
)
の
家
(
うち
)
の
門
(
もん
)
が五
寸
(
すん
)
ほど
開
(
ひら
)
きかかつていたから、へんなことだと
思
(
おも
)
つたのです。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
そして格子戸を開けて、ひしゃげた帽子を拾おうとしたら、不思議にも格子戸がひとりでに音もなく
開
(
ひら
)
いて、帽子がひょいと
往来
(
おうらい
)
の方へ
転
(
ころ
)
がり
出
(
だし
)
ました。
僕の帽子のお話
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
何分
(
なんぷん
)
か
經
(
た
)
つた。
突然
(
とつぜん
)
一人
(
ひとり
)
の
兵士
(
へいし
)
が
私
(
わたし
)
の
體
(
からだ
)
に
左
(
ひだり
)
から
倒
(
たふ
)
れかかつた。
私
(
わたし
)
ははつとして
眼
(
め
)
を
開
(
ひら
)
いた。その
瞬間
(
しゆんかん
)
私
(
わたし
)
の
左
(
ひだり
)
の
頬
(
ほほ
)
は
何
(
なに
)
かに
厭
(
い
)
やと
云
(
い
)
ふ
程
(
ほど
)
突
(
つ
)
き
上
(
あ
)
げられた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
鏡に映つた兒どもの、
面
(
つら
)
には凄いほど
眞白
(
まつしろ
)
に
白粉
(
おしろひ
)
を
塗
(
ぬ
)
つてあつた、
睫
(
まつげ
)
のみ黒くパツチリと
開
(
ひら
)
いた
兩
(
ふたつ
)
の眼の底から
恐怖
(
おそれ
)
に
竦
(
すく
)
んだ瞳が
生眞面目
(
きまじめ
)
に
震慄
(
わなな
)
いてゐた。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
誰
(
だれ
)
かが自分を
呼
(
よ
)
ぶようなので、王子はふと
眼
(
め
)
を
開
(
ひら
)
きました。見ると、すぐ前に一人の
老人
(
ろうじん
)
が立っていました。
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「運転手の過失もありますが、どうも
此方
(
このかた
)
が自分で扉を、開けたやうな形跡もあるのです。扉さへ
開
(
ひら
)
かなかつたら、死ぬやうなことはなかつたと思ひます。」
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
彼女
(
かのぢよ
)
はレース
糸
(
いと
)
の
編物
(
あみもの
)
の
中
(
なか
)
に
色
(
いろ
)
の
褪
(
さ
)
めた
夫
(
をつと
)
の
寫眞
(
しやしん
)
を
眺
(
なが
)
めた。
恰
(
あたか
)
もその
脣
(
くちびる
)
が、
感謝
(
かんしや
)
と
劬
(
いた
)
はりの
言葉
(
ことば
)
によつて
開
(
ひら
)
かれるのを
見
(
み
)
まもるやうに、
彼女
(
かのぢよ
)
の
心
(
こゝろ
)
は
驕
(
をご
)
つてゐた。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
わし連の馬の蹄は、丈夫な木造の
刎橋
(
はねばし
)
の上に前よりも声高く鳴りひゞいて、二人はやがて二つの巨大な塔の間に口を
開
(
ひら
)
いた大きな穹窿形の拱廊に馬をすゝめた。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
三つも投げて、両手を
開
(
ひら
)
いて見せると、彼は
納得
(
なっとく
)
して、三個ながら口に
啣
(
くわ
)
えて、芝生に行ってゆる/\食うのが癖であった。彼は浮浪の癖が中々
脱
(
ぬ
)
けなかった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
左には広き
開
(
ひら
)
き
戸
(
ど
)
あり。右にも同じ戸ありて
寝間
(
ねま
)
に通じ、この
分
(
ぶん
)
は緑の
天鵞絨
(
びろうど
)
の
垂布
(
たれぎぬ
)
にて覆いあり。窓にそいて左の
方
(
かた
)
に為事机あり。その手前に
肱突
(
ひじつき
)
の
椅子
(
いす
)
あり。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
ガドルフはしゃがんでくらやみの背嚢をつかみ、
手探
(
てさぐ
)
りで
開
(
ひら
)
いて、小さな
器械
(
きかい
)
の
類
(
たぐい
)
にさわってみました。
ガドルフの百合
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
あんまり兼の笑い顔が恐ろしかったので……
額
(
ひたい
)
の
向疵
(
むこうきず
)
までが左右に
開
(
ひら
)
いて笑ったように見えたので……。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
容易
(
ようい
)
に
胸隔
(
きようかく
)
を
開
(
ひら
)
かぬ
日本人
(
にほんじん
)
は
容易
(
ようい
)
に
胸隔
(
きようかく
)
を
閉
(
と
)
つる
日本人
(
にほんじん
)
に
候
(
そろ
)
、
失望
(
しつぼう
)
の
相
(
さう
)
ならざるなしと、
甞
(
かつ
)
て
内村
(
うちむら
)
先生申され
候
(
そろ
)
。
然
(
しか
)
り
小生
(
せうせい
)
も
日本人
(
にほんじん
)
に
候
(
そろ
)
拒
(
こば
)
まざるが
故
(
ゆゑ
)
に
此言
(
このげん
)
を
為
(
な
)
し
候
(
そろ
)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
開
常用漢字
小3
部首:⾨
12画
“開”を含む語句
打開
開放
展開
開口
開闢
開閉
開墾
序開
押開
開店
申開
言開
引開
半開
開山
蹴開
開化
開発
繰開
開封
...