精神せいしん)” の例文
よくたゞしてると、しかく平氣へいきをとこも、時々とき/″\歡樂くわんらく飽滿はうまん疲勞ひらうして、書齋しよさいのなかで精神せいしんやすめる必要ひつえうおこるのださうであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
むしあひはんした放縱はうじう日頃ひごろ自然しぜん精神せいしんにも肉體にくたいにも急激にはか休養きうやうあたへたのでかれ自分じぶんながら一はげつそりとおとろへたやうにもおもはれて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ろとは、大島小學校おほしませうがくかう神聖しんせいなる警語けいごで、その堂々だう/\たる冲天ちゆうてんいきほひと、そのくまで氣高けだかい精神せいしんと、これが此警語このけいご意味いみです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
じいさま、うぞわたくしひとつの御神鏡ごしんきょうさずけていただぞんじます。わたくしはそれを御神体ごしんたいとしてそのまえ精神せいしん統一とういつ修行しゅぎょういたそうとおもいます。
クリストフがいる小さなまちを、ある晩、流星りゅうせいのように通りすぎていったえらい音楽家おんがくかは、クリストフの精神せいしんにきっぱりした影響えいきょうを与えた。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
其故それゆゑわたくしじゆくではこの規則きそく精神せいしん規則きそく根本こんぽんかへつて、各個人かくこじん都合つがふといふところを十ぶん了解れうかいせしむるといふ方針はうしんとつるのであります。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
(ハ)精神せいしん保養ほよう。 しかし、ずっと最近さいきんでは、森林しんりん利用りようを、もっとすゝめて、直接ちよくせつ人々ひとびと健康けんこうのために應用おうようすることをかんがへつきました。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
じつは自分は花前はもうだめとあきらめていたところ、きょうのようすでは精神せいしん状態じょうたいが、たしかにすこしよくなってる。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
時節じせつがら、みなさまのにもなってみまして、てまえどもは、べていければいいという精神せいしんで、ご奉公ほうこうをしています。』と、主人しゅじんは、いった。
アパートで聞いた話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
飯粒めしつぶらるゝ鮒男ふなをとこがヤレ才子さいしぢや怜悧者りこうものぢやとめそやされ、たまさかきた精神せいしんものあればかへつ木偶でくのあしらひせらるゝ事沙汰さたかぎりなり。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
これはいかにももっともな忠告ちゅうこくであったが、わたしはもうこれまでと同じに精神せいしんを打ちこんで歌を歌わなくなったことを白状はくじょうしなければならない。
肉体の生命せいめい奇蹟的きせきてき無事ぶじだったかわりに、あの少年の精神せいしん狂気きょうきあたえられたのではないか? 少女たちはにじ松原まつばらからめいめいのみやこへ帰った。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すなわちその思想しそうは純然たる古流こりゅうにして、三河武士みかわぶし一片の精神せいしん、ただ徳川累世るいせい恩義おんぎむくゆるの外他志たしあることなし。
しかるに、中根なかね危急ききふわすれてじうはなさず、くまでじうまもらうとした。あの行爲かうゐ、あの精神せいしんまさ軍人精神ぐんじんせいしん立派りつぱ發揚はつやうしたもので、まこと軍人ぐんじんかがみである。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
誠愛誠實を無益のものと思ひ、無暗に人を疑ひ、矢鱈に天を恨み、そのきよくつい精神せいしんやわらぎやぶりておこなふべからざることおこなみづからざるほど惡事あくじ爲遂しとぐることあらば
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
しっかりとひとりだちをして、自分じぶんをたっとぶという精神せいしんがない。これでは、日本にっぽんはひらけない。
議論ぎろん上下じやうげするも大きいが、おたがひはなし数年前すうねんまえよりは真面目まじめつた、さて話をして見ると、山田やまだは文章をつて立たうと精神せいしんわたし同断どうだんだ、わたしこのこゝろざしいだいたのは
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
うへ立停たちとまつて前途ゆくてながら、由井ゆゐはままでは、だ三ちやうばかりあると、つく/″\かんがへた。三ちやうけだとほみちではないが、身體からだ精神せいしんともいたつかれてたからで。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しつゝなさあるいへ乳貰ちもらひにおもむ漸々やう/\にしてそだつれ共ちゝたらざれば泣しづむ子よりもなほかなしく思ひ最う此上は神佛しんぶつ加護かごあづかるより他事無しと吉兵衞は祇園ぎをん清水きよみづ其外靈場れいぢやう祈誓きせいかけ精神せいしん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しばら見詰みつめてゐるうちに、りよおぼえず精神せいしんそうさゝげてゐるみづ集注しふちゆうした。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
わたくしがつかれてそこにねむりますと、ざあざあいてゐたかぜが、だんだんひとのことばにきこえ、やがてそれは、いま北上きたかみやまはうや、野原のはらおこなはれてゐた鹿踊しゝおどりの、ほんたうの精神せいしんかたりました。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
いひへてると自分じぶんこゝろがわかつていたゞくように、説明せつめいをし、おねがひをし、おびをするもので、根本こんぽん精神せいしんにおいては、このとほり、わたしどもは服從ふくじゆうまをしてをります、といふちかひの意味いみになります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
精神せいしんとう何事なにごとかならざらん」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
このくらゐしづかに物事ものごとるのがほふだとかつた。くちかず、おとてないのは、かんがへの邪魔じやまになると精神せいしんからださうであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
で、こちらの世界せかいで、なによりも大切たいせつ修行しゅぎょうというのは精神せいしん統一とういつで、精神統一せいしんとういつ以外いがいにはほとんど何物なにものもないといえる。
いくら先祖せんぞえらくても、あとをつぐものに、そのりっぱな精神せいしんがなければ、みんなこんなようになってしまうのだ。
武ちゃんと昔話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
時間がぎていった。元気よくものを言うのは「先生」だけであった。けれどそれもわたしたちのしずんでいるのがとうとうかれの精神せいしんをもしずませた。
洪水こうずゐつたあとは、丁度ちやうど過激くわげき精神せいしん疲勞ひらうからにはか老衰らうすゐしたものごとく、半死はんし状態じやうたいていした草木さうもくみな白髮はくはつへんじてちからない葉先はさき秋風あきかぜなびかされた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そのときにはたしかに精神せいしん異状いじょうていしておった。なにを話してみようもなく、花前は口をきかなかった。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
すなは作者さくしや精神せいしんめて脚色きやくしよくしたるもの、しかしてその殺人罪さつじんざいおかすにいたりたるも、じつれ、この錯亂さくらん、この調子てふしはづれ、この撞着どうちやくよりおこりしにあらずんばあらず。
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
としつたとつたところで四十二三ですもの、人間にんげん働盛はたらきざかりです。精神せいしん意氣いきかはりのあるはずもないのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
瘠我慢やせがまん一篇の精神せいしんもっぱらここにうたがいを存しあえてこれを後世の輿論よろんたださんとしたるものにして、この一点については論者輩ろんしゃはいがいかに千言万語せんげんばんごかさぬるも到底とうてい弁護べんごこうはなかるべし。
いつでもあのはねへたうつくしいひとをたづねあぐむ、そのひるのうち精神せいしん疲労つかれないうちはいゝんだけれど、ぎて、そんなにおそくなると、いつもかう滅入めいつてしまつて、なんだか
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これは家族的かぞくてきでありまして主義しゆぎまつた放任主義はうにんしゆぎしか放任主義はうにんしゆぎまをしてもけつして氣儘放題きまゝはうだいにしてくといふのではありません。放任主義はうにんしゆぎうちには自營獨立じえいどくりつ精神せいしんこもつてます。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
それで時々とき/″\自然しぜん森林しんりんあそんで、すがすがしい空氣くうきひ、精神せいしん保養ほようする必要ひつようがあります。都會とかいには大小だいしよう公園こうえんまうけられてゐますが、そんなものは完全かんぜん安靜場所あんせいばしよといへません。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
中根なかねはあのとき自分じぶん危急ききふわすれてぢうたかげて『ぢうつてくれ‥‥』と、おれむかつてつたのだ。すなはぢうあいまも立派りつぱ精神せいしんしめしたのだ‥‥」と、軍曹ぐんそうがいがいした。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
どうか、いつまでも、学校時代がっこうじだいつちかわれた健全けんぜん精神せいしんぬしであってくれ、そして、たとえとおくわかれていても、おたがいににぎってゆこうよ。
風雨の晩の小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
「うん」とこたへただけであつたが、その樣子やうす素氣そつけないとふよりも、むし湯上ゆあがりで、精神せいしん弛緩しくわんした氣味きみえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いつもならだれもこの老人ろうじんがなにか言っても、からかうたねにはしても、まじめに気をめる者はなかったであろうが、いちばん強い人間もそのときは精神せいしんうしなっていた。
「そうだとも、それでおまえの精神せいしんはわかった、それで、おれがおまえの保証人になるから、おまえ安心してやってくれ、まだ昼乳ひるちちまでにはすこしやすむまがあるから休んでくれ」
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
もちろん地上ちじょう人間にんげん肉体にくたいという厄介やっかいなものにつつまれてりますから、いかに神社じんじゃまえ精神せいしん統一とういつをなされても、そう容易ようい神様かみさまとの交通こうつうはできますまいが、わたくしどものように
すなわち明治政府において外国のかねを借り、またその人をやとうて鉄道海軍の事を計画けいかくしたるとごうことなるところなし。小栗は幕末に生れたりといえども、その精神せいしん気魄きはく純然たる当年の三河武士みかわぶしなり。
成程なるほどわたくしじゆくには規則きそくまをしても何時なんどきる、おきるといふだけで、其外そのほかこれまもれ、これをおこなへといふやうな命令的めいれいてきことさらまをさないが、かはり、何事なにごと自營獨立じえいどくりつ精神せいしんめてつてもらひたい。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
むかしえらひとは、みんなそうしたひとたちでありました。また、ちいさな日本にっぽんくにが、おおきなくにたたかって、つことができたのは、日本人にほんじんにこの精神せいしんがあったからです。
真吉とお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
先生せんせいは、勉強べんきょうをしても、はたらいても、その精神せいしんわりがなければ、おくににつくすとおなじだとおっしゃったから、おおいにはたらきたまえ。」と、哲夫てつおは、いいました。
中学へ上がった日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これをくと、じゅうちゃんは、きゅうにからすがいとしくなりました。ちいさなとりながら、よくおおきな自然しぜんちからにうちかとうとする精神せいしんをもつものだ、とかんがえたからです。
高い木とからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
「よくわかりました。精神せいしんちからです。げいが、いのちがけだからです。」と、おつは、感嘆かんたんしました。
二人の軽業師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あとから、おまえ一人ひとりれると、ほかのもののもうゆるさなくてはならぬ。」と部隊長ぶたいちょうは、言葉ことばにそういいながら、いずれおとらぬ忠勇ちゅうゆう決死けっしの、兵士へいし精神せいしん感心かんしんしました。
とびよ鳴け (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、素直すなお特色とくしょくゆたかなは、おおくの工員こういんたちのあいだ人気にんきびました。なぜなら、つかれたものの精神せいしんにあこがれとほがらかさをあたえることによって、かれらをなぐさめたからであります。
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
つつましやかなる自然しぜんは、正吉しょうきちにふたたび、子供こども時分じぶんのまじりない無邪気むじゃきさと、勇気ゆうきびもどしたのでした。それは、ただしくきようとねが人間にんげんのもつ、りっぱな精神せいしんでありました。
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)