-
トップ
>
-
葉先
足音も
立つたのに、
子供だらう、
恐れ
氣もなく、
葉先へ
浮だし、くちばしを、ちよんと
黒く、
顏をだして、ちよ、ちよツ、とやる。
そのとき、
二人の
目には、
水の
清らかな、
草の
葉先がぬれて
光る、しんとした、
涼しい
風の
吹く
川面の
景色がありありとうかんだのであります。
洪水の
去つた
後は、
丁度過激な
精神の
疲勞から
俄に
老衰した
者の
如く、
半死の
状態を
呈した
草木は
皆白髮に
變じて
其の
力ない
葉先を
秋風に
吹き
靡かされた。