きは)” の例文
太古たいこ遺跡ゐせき發掘はつくつに、はじめてくだしたのは、武藏むさし權現臺ごんげんだいである。それは品川しながはたくからきはめてちかい、荏原郡えばらぐん大井おほゐ小字こあざこと
居室へやかへつてると、ちやんと整頓かたづいる。とき書物しよもつやら反古ほごやら亂雜らんざつきはまつてたのが、もの各々おの/\ところしづかにぼくまつる。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
とその家庭かてい苦痛くつう白状はくじやうし、ついにこのしよ主人公しゆじんこうのち殺人さつじん罪人ざいにんなるカ……イ……をともなひてその僑居けうきよかへるにいた一節いつせつきはめて面白おもしろし。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
初更しよかういたるや、めるつまなよやかにきて、粉黛ふんたい盛粧せいしやう都雅とがきはめ、女婢こしもとをしてくだん駿馬しゆんめ引出ひきいださせ、くらきて階前かいぜんより飜然ひらりる。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
〔譯〕象山しようざんの、宇宙うちうないの事は皆おの分内ぶんないの事は、れ男子擔當たんたうの志かくの如きを謂ふなり。陳澔ちんかう此を引いて射義しやぎちゆうす、きはめてなり。
あいちやんはふたゝ福鼠ふくねずみはらたせまいと、きはめてつゝましやかに、『わたしにはわかりませんわ。何所どこからみん糖蜜たうみつんでたのでせう?』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
勘次かんじきはめてせま周圍しうゐいうしてる。しかかれせたちひさな體躯からだは、せま周圍しうゐ反撥はんぱつしてるやうな關係くわんけい自然しぜん成立なりたつてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
二人ふたり呉服屋ごふくや反物たんものつてた。米屋こめやからこめつてつた。けれども其他そのたには一般いつぱん社會しやくわいところきはめてすくない人間にんげんであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ざつと見たぐらゐで、なんでもないなんて云ふのは、無責任きはまる話さ。心臓だけは、もうちつとしつかりした医者に見せておきたい。
医術の進歩 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
江戸から追放といふ峻烈しゆんれつきはまる言ひ渡しを受け、明日は役人が乘込んで來て、かまどの下の灰までも引渡すことになつてゐるのでした。
しかもその名前なるものが、はなはだ平凡をきはめてゐるのだから、それだけでは、いくら賢明な車夫にしても到底たうてい満足に帰られなからう。
京都日記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
もしこれが成功せいこうするならば、飛行船用ひかうせんようなどとしてきはめて有益ゆうえきであり、火山かざん利用りようがこのてんおいても實現じつげんすることになるのであらう。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
ぺん宣言書せんげんしよ==其は頭から尻尾しつぽまで、爆發ばくはつした感情の表彰へうしやうで、激越げきえつきはめ、所謂阿父のよこつらたゝき付けた意味のものであツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
けれども……皷動こどうまつたしづまつて、ながれがもとのゆるやかさにかへつたころきはめてしづかにあゆつてるものびしさを
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
やゝしばしありて雪子ゆきこいきしたきはめてはづかしげのひくこゑして、もう後生ごしやうねがひで御座ござりまする、其事そのことふてくださりますな
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これより山ゆるやかに水びて、福島町に至る間、また一ところの激湍をも見ず。路も次第にくだり下りて、そのきはまる處、遂に數百の瓦甍ぐわばうを認む。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
遠くのさわうた富貴ふうき羨望せんばう、生存の快楽、境遇きやうぐうの絶望、機会と運命、誘惑、殺人。波瀾はらんの上にも脚色きやくしよく波瀾はらんきはめて、つひに演劇の一幕ひとまくが終る。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
そこへ又後から貞盛は将門の横暴を直訴ぢきそして頂戴した将門追捕の官符を持つて帰つて来たのである。これできはめてあざやかに前後の事情は分る。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
これ凱旋の群衆ぐんじゆう喜ばしくこのまろき天をわけ來るとき、樂しみきはまる汝の心のこれに現はれんためぞかし。 一三〇—一三二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
だいちうせう、三十七しゆ齒輪車しりんしやたがひ噛合かみあひ、吸鍔桿ピストン曲肱クンク方位盤ダイレクターたる諸種しよしゆ器械きかい複雜ふくざつきはめ、あだか聯成式れんせいしき蒸氣機關じようききくわんるやうである。
その事に就きまして、主人に書置かきおきも致しましたやうな次第で、既に覚悟をきはめましたきはまで、心懸こころがかりと申すのは、唯そればかりなので御座いました。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
うけたれば最早もはや初瀬留には逢事あふこともならず所詮生てはぢをかゝんよりはと覺悟かくごきはめし事なりと一伍一什いちぶしじふを物語れば五八は是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
山海經さんかいけうてもきはめて荒唐無稽くわうたうむけいなものがおほい。小説せうせつでは西遊記さいいうきなどにも、いたところ痛烈つうれつなる化物思想ばけものしさう横溢わうえつしてる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
兼吉と云ふ男は決して其様そんな性格の者ではありませぬ、石川島造船会社でも評判の職工で、酒は飲まず、遊蕩いうたうなどしたことなく、老母にはきはめて孝行で
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
なが年月としつきあひだ雨風あめかぜにさらされてこはれてしまひ、完全かんぜんのこつてゐるものがきはめてすくないのは殘念ざんねんなことであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
私は何時でも忠實に前者に從つた、時として火山のやうな激烈さで後者に飛び込んで了ふ最後のきはみまでは。
恐らく洗煉琢磨せんれんたくまされ、その表現の一々がテエマにたいして少しの無駄むだも、少しのゆるみもなく、簡潔緊張かんけつきんちやうきはめてゐるてんに於て、志賀氏の作品程さくひんほどなのはありません。
三作家に就ての感想 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
状使のこれはきはめて急なれば、車に乗りてけとめいぜられたる抱車夫かゝへしやふの、御用ごようとなれば精限せいかぎけてけてかならずおかざるべし、されど車に乗るとふは
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
きはめて大なる物及び極めてせうなるものに至つては實用有りしとはみとめ難し或は標章へうしやう玩具ぐわんぐの類なりしならんか。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
かれきはめてかたくなで、なによりも秩序ちつじよふことを大切たいせつおもつてゐて、自分じぶん職務しよくむおほせるには、なんでも其鐵拳そのてつけんもつて、相手あいてかほだらうが、あたまだらうが、むねだらうが
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
竹村たけむらはその温順おとなしさと寛容くわんようなのに面喰めんくらはされてしまつた。彼女かのぢよやはらかで洗煉せんれんされた調子てうしから受取うけとられる感情かんじやうると、しかしかんがかたが、きはめて自然しぜんえるのであつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
きはめて抒情的なアメリカの歌謡曲である。私にはその歌詞が分らなかつたけれど、易者さんは教へてくれた。「働く者の喜びは夕暮と共に来る——」と、いふのださうである。
老残 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
はむすべせむすべ知らに(知らず)きはまりてたふときものはさけにしあるらし (同・三四二)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
さうした私の悪意をきはめた陰口と見え透いたお世辞とによつて彼は転校者として肩身の狭い思ひから巧に舎内の獰猛組だうまうぐみに親交を求め、すみやかに己が位置を築くことに汲々きふ/\としてゐた。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
(六六)周澤しうたくいまあつからざるに、しか(六七)きはめてなれば、せつおこなはれてこうるときはすなは(六八)とくく、せつおこなはれずしてはいるときはすなはうたがはれん、かくごとものあやふし。
絶えて人の住むことなきを、此の男のきのふここに入りて、ややして帰りしをあやしとて、此の一九一漆師ぬしをぢがまうされしといふに、一九二さもあれ、よく見きはめて殿に申さんとて
きてときにはさんざん悪口わるぐちわれたものが、んでからくちきはめてめられたり、またその反対あべこべに、生前せいぜん栄華えいがゆめたものが、墓場はかばってからひどいはずかしめをけたりします。
物見車ものみぐるまところきほどなり。若きも老いも、尼法師、あやしき山賤やまがつまで、(中略)おのおの目押しのごひ、鼻すすりあへる気色ども、げに憂き世のきはめは、今に尽しつる心地ぞする。〔増鏡〕
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と云ふは江戸臭くして却つて興味なし諸事旅は此事よと稱して箸をくだすに味ひすこぶる佳しつかれを忘れて汲みかはせしが初日ゆゑか人々身体に異常をおぼえて一徳利ひとゝくりきはめし數にも足らで盃を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
利根とね支流しりうたるの小屋河にのぞみ、河をくだる事二町にし玄道、大龍、小龍の三大瀑布ばくふありてじつに壮観をきはむ、衆相かへりみて曰く、這回の探検たんけんたる此等の如き険所けんしよ数多を経過けいくわせざるべからざるかと
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
それに物思ひと云つても、それは彼のこれまでの忙はしい生活に附きまとうてゐた様な、そんな種類のものとは全く趣きを異にしたきはめて呑気のんきな、責任などと云ふものから全く離れたものであつた。
(新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
またこの偃松はひまつがなくて、そのかはりに灌木状かんぼくじよう落葉樹らくようじゆしげつてゐるところもありますが、かように偃松はひまつ灌木状かんぼくじよう落葉樹らくようじゆ生育せいいくしてゐるのは、そこが高山こうざん氣候きこうきはめて寒冷かんれいであり、かぜつよいので
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
豚小屋は寂し下ゆく路赤くきはまり尽きて海光る見ゆ
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
人生のきはみをのぞき見る。
かの日の歌【一】 (新字旧仮名) / 漢那浪笛(著)
やがてぞ谷はきはまりて。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
かぎりもらずきはみなく
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
きはめての低聲こごゑ
姉妹 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
貝層かひそうきはめてあさいが、其下そのした燒土やけつちそうつて、其中そのなかすくなからず破片はへんがある。幻翁げんおうげんると、香爐形こうろがたさう同一どういつだといふ。
したがつて其方そのはう談判だんぱんは、はじめからいまかつふでにしたことがなかつた。小六ころくからは時々とき/″\手紙てがみたが、きはめてみじかい形式的けいしきてきのものがおほかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
金銀きんぎん珠玉しゆぎよくたくみきはめ、喬木けうぼく高樓かうろう家々かゝきづき、花林曲池くわりんきよくち戸々こゝ穿うがつ。さるほどに桃李たうりなつみどりにして竹柏ちくはくふゆあをく、きりかんばしくかぜかをる。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)