かの日の歌【一】かのひのうた【一】
南の国の黄昏れ、 空は紅き笑ひを残して静かなり。 想思樹の葉のねむたげにうなだれ、 かすかなるうめきをやする。 ああ淋しみ、心をなす、植民地の黄昏! 椰子の並木を縫ひて、 灯火は紅き花と見まがう。 その時我が耳に訪づれし悲歌の哀さよ。 ◉ …