朝日あさひ)” の例文
そしてその小さい腰かけにちょこんと腰をおろして、悠々と朝日あさひをふかしながら、雑然たる三つの実験台を等分に眺めながら、御機嫌ごきげんであった。
神々かう/″\しき朝日あさひむかつて祈念きねんこらしたこともあつたのです。ふとおもあたつたときにはかれおもはずをどあがつてよろこんださうです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ぼうさんはそのうち人里ひとざとに出て、ほっと一息ひといきつきました。そしてはなやかにさしのぼった朝日あさひかって手をわせました。
安達が原 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
河面かはづら対岸たいがんそらかゞや朝日あさひビールの広告くわうこくと、東武電車とうぶでんしや鉄橋てつけううへえず徃復わうふくする電車でんしや燈影ほかげてらされ、かしボートをわか男女だんぢよ姿すがたのみならず
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
朝日あさひのぼると二人ふたりは、天気てんきには、かさずに、ここへやってきました。あねは、盲目めくらおとうといてきました。
港に着いた黒んぼ (新字新仮名) / 小川未明(著)
これだけんだので言葉ことば意義内容いぎないようわたしあたまなかにハツキリしてた。大和魂やまとだましい表象へうしやうする、朝日あさひにほ山櫻やまざくらがコスモポリタン植物しよくぶつでないこと無論むろんである。
朝日あさひかげたまだれの小簾をすにははぢかヾやかしく、むすめともはれぬ愚物ばかなどにて、慈悲じひぶかきおや勿体もつたいをつけたるこしらごとかもれず、れにりてゆかしがるは
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それで朝日あさひはびつくらしてひがしやまからましたので、お月様つきさまはなごりしいけれどそれきりよるわかれました。
路に隣った麦畑はだんだん生垣いけがきに変り出した。保吉は「朝日あさひ」を一本つけ、前よりも気楽に歩いて行った。
寒さ (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
なつならば、すいとびだすまよほたるを、あれさちなと、団扇うちわるしなやかなられるであろうが、はやあきこえ垣根かきねそとには、朝日あさひけた小葡萄こぶどうふさ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
おそろしき一夜いちやつひけた。ひがしそらしらんでて、融々うらゝかなる朝日あさひひかり水平線すいへいせん彼方かなたから、我等われらうへてらしてるのは昨日きのふかはらぬが、かはてたのは二人ふたり境遇みのうへである。
朝日あさひひかりをけてきんぴかの品物しなものかゞやいてゐるありさまは、なんともいへぬ見物みものでありました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
めったに学校がっこうやすんだことのないむすめが、しかも受験前じゅけんまえでいそがしがっているときであった。三がつらしいはる朝日あさひちゃ障子しょうじしてくるころには、とうさんは袖子そでこた。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ヂュリ あの光明ひかりあさぢゃない、いえ/\、朝日あさひではないわいの。ありゃ太陽たいやうがおまへために、今宵こよひマンチュアへの道案内みちしるべ炬火持たいまつもちやくさしょとて、きふ呼出よびだしたひかものぢゃ。
禪師ぜんじ見給みたまひて、やがて禪杖ぜんぢやうとりなほし、作麽生そもさん何所爲なんのしよゐぞと一喝いつかつして、かれかうべうちたまへば、たちまちこほり朝日あさひふがごとせて、かの青頭巾あをづきんほねのみぞ草葉くさばにとゞまりける。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つぎあさしもしろ庭葢にはぶたわらにおりた。切干きりぼしむしろ三枚さんまいばかりその庭葢にはぶたうへいたまゝで、切干きりぼしにはこほり粉末ふんまつにしたやうなしもつてて、ひがしもり隙間すきまからとほ朝日あさひにきら/\とひかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
朝日あさひかげ窓にまばゆき頃、ふらふらと縁前えんさきに出づれば、くや、檐端のきばに歌ふ鳥の聲さへ、おのが心の迷ひから、『そなたゆゑ/\』と聞ゆるに、覺えず顏を反向そむけて、あゝと溜息ためいきつけば、驚きて群雀むらすゞめ
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
太陽たいやうが、朝日あさひが、かれみづからが、やまそらとをかぎつたゆきせんに、そのかゞやおもてあらはしかけてゐた。ひかり直線ちよくせんをなしてその半圓はんゑん周圍しうゐつた。かれようとおもへばわたしをつぶらなければならなかつた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
四 みそらにかがやく 朝日あさひのみひか
七里ヶ浜の哀歌 (新字新仮名) / 三角錫子(著)
朝日あさひかがよううみ
横浜市歌 (新字新仮名) / 森林太郎(著)
朝日あさひを洗ふ
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
そらは、緑色みどりいろにすみわたっていました。朝日あさひがさして、木々きぎはいきいきとかがやいて、いい気持きもちであります。
鳥鳴く朝のちい子ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
片側かたかは朝日あさひがさし込んでるので路地ろぢうち突当つきあたりまで見透みとほされた。格子戸かうしどづくりのちひさうちばかりでない。昼間ひるま見ると意外に屋根やねの高いくらもある。忍返しのびがへしをつけた板塀いたべいもある。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
あやしきなりかみりなして、胡粉ごふんぬりくり彩色さいしきのある田樂でんがくみるやう、うらにはりたるくしのさまもをかし、一けんならず二けんならず、朝日あさひして夕日ゆふひ仕舞しま手當てあてこと/″\しく
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
くるしきけて、太陽たいようはまたもやあらはれてたが、わたくし最早もはや起直おきなをつて朝日あさひひかりはいする勇氣ゆうきい、日出雄少年ひでをせうねん先刻せんこくより半身はんしんもたげて、海上かいじやうながめてつたが、此時このときたちま大聲たいせいさけんだ。
田圃たんぼはんとうはなてゝ自分じぶんさき嫩葉わかば姿すがたつてせる。黄色味きいろみふくんだ嫩葉わかばさわやかでほがらかな朝日あさひびてこゝろよひかりたもちながらあをそらしたに、まだ猶豫たゆたうて周圍しうゐはやしる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しゅとお納戸なんどの、二こくの鼻緒はなお草履ぞうりを、うしろ仙蔵せんぞうにそろえさせて、おうぎ朝日あさひけながら、しずかに駕籠かごたおせんは、どこぞ大店おおだな一人娘ひとりむすめでもあるかのように、如何いかにもひんよく落着おちついていた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
朝日あさひなみ躍出をどりいでるやうな元氣げんきひと何時いつもつなければならぬ。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
朝日あさひでもさしてるとおとなりのうちしろかべがよくひかりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
朝日あさひは、御所ごしよもんかゞやき、つき戎劍じうけん閃影せんえいらした。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「貰ふのは気の毒だ。ぢや朝日あさひを一つくれ給へ。」
あばばばば (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
朝日あさひたのらしい。」
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
くる朝日あさひかげが、したながれのうえしたとき、ちいさなさかなたちは、もうじきはるがくるのをよろこぶように、銀色ぎんいろはらせながらみずなかおどったのでした。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
まつはるこほり朝日あさひかげおのづからけわたるをりならでは何事なにごと甲斐かひありともおぼえずれも/\異見いけんふなこゝろはなしをなぐさめて面白おもしろをおもしろしとおもはするのが肝要かんえうぞとわれ先立さきだちて機嫌きげん
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
朝日あさひひかり異樣ゐやう反射はんしやしてるなど、じつ荒凉くわうりようたる有樣ありさまであつた。
朝日あさひをくれ給え。」
十円札 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
やがて、よるはなれると、やぶのなか朝日あさひがさしみました。小鳥ことりいただききました。そして、ぼけのはなが、真紅まっかくちびるでまりを接吻せっぷんしてくれました。
あるまりの一生 (新字新仮名) / 小川未明(著)
朝日あさひにかゞやきて金色こんじきひかりあるものなりける。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
朝日あさひひかりは、繁華はんかまち建物たてもののいただきをして、プラットホームにながれていましたが、そこへ、けたあかかお少女しょうじょが、なえりきをしてあるいてきたので
赤いえり巻き (新字新仮名) / 小川未明(著)
つくさして引入ひきいれしすくなからず塞翁さいをうがうまきことして幾歳いくとせすぎし朝日あさひのかげのぼるがごといまさかゑみな松澤まつざは庇護かげなるものから喉元のどもとすぐればわするゝあつ對等たいとう地位ちゐいたればうへこぶうるさくなりてひとりつく/″\あんずるやうけい十町じつちやう
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
朝日あさひほそい、するどい、ひかりが、はなはなかげあいだから時分じぶんになると、かれらは、レールのうえを、それについてみなみへ、きたへとんでいったのを、レールはたのでありました。
雪くる前の高原の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのうち、ひがしそらがほんのりとあかいろづきました。それをて、天女てんにょは、はじめて朝日あさひがらぬうち、てんかえらなければならぬとづき、羽衣はごろもをとりに、松原まつばらかえしたのでした。
羽衣物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ばとは、朝日あさひひかりびて、はなれると、そらたからかに、元気げんきよくんでゆきました。そしてやがて、そのかげそらなかぼっしてしまった時分じぶん母親ははおやは、ためいきをもらしました。
兄弟のやまばと (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは、さむいさむいあさのことでした。女中じょちゅうのおはるは、あかいマントをきた、ちいさいおじょうさんをつれて、ちかくの公園こうえんへあそびにきました。そこはもう、朝日あさひがあたたかくてっていたからです。
朝の公園 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あちらのしらかばのはやしからのぼりかけた、朝日あさひひかりが、かがみのようなこおりおもてをぽうっとめたとき、ちいさな子供こどもかげが、きしちかくからはなれて、もっと、もっと、あちらへんでゆくのをました。
愛は不思議なもの (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちらちらとった、ゆき清浄せいじょうらして、朝日あさひのぼりました。
美しく生まれたばかりに (新字新仮名) / 小川未明(著)