森林太郎
1862.02.17 〜 1922.07.09
“森林太郎”に特徴的な語句
委
何故
四辺
入
背後
所謂
周囲
悉
中
為方
黄金
萌
幾度
如何
可哀
吭
疾
妻
燈火
空
巾
外
為事
寝台
間
例之
己
忽然
龕
独語
畑
留
明色
紅
抽斗
巓
蹙
中
午
魚
逆
頭
喫
除
領
饒舌
項
精
為合
可笑
著者としての作品一覧
「言語の起原」附記(旧字旧仮名)
読書目安時間:約4分
此言語起原の一篇は江村學人の草する所なり。予は之を萬年艸に收録するに當りて、一二所思を附記することの必ずしも無用ならざるべきを信ず。學人は小兒の※聲、簡單なるものより複雜なるものに …
読書目安時間:約4分
此言語起原の一篇は江村學人の草する所なり。予は之を萬年艸に收録するに當りて、一二所思を附記することの必ずしも無用ならざるべきを信ず。學人は小兒の※聲、簡單なるものより複雜なるものに …
混沌(旧字旧仮名)
読書目安時間:約9分
私は話をすることが非常に下手なので、話をしろと云はれると實に氣になつてならない。若しこれが前以て知れてゐたならば、今日などは來ないのかも知れない。併し出し拔けに、奇襲を受けたやうに …
読書目安時間:約9分
私は話をすることが非常に下手なので、話をしろと云はれると實に氣になつてならない。若しこれが前以て知れてゐたならば、今日などは來ないのかも知れない。併し出し拔けに、奇襲を受けたやうに …
『新訳源氏物語』初版の序(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
源氏物語を現代の口語に訳する必要がありましょうか。この問題を解決しようと試みることは、この本の序文として適当だろうかと思われます。 単に必要があるかと申しますのは、精しくいえば、時 …
読書目安時間:約3分
源氏物語を現代の口語に訳する必要がありましょうか。この問題を解決しようと試みることは、この本の序文として適当だろうかと思われます。 単に必要があるかと申しますのは、精しくいえば、時 …
鼎軒先生(旧字旧仮名)
読書目安時間:約4分
鼎軒先生には一度もお目に掛かつたことがない、私は少壯の頃、暇があれば本ばかり讀んでゐたので名家の演説などをもわざ/\聽きに往つたことが殆ど無い、そこで餘所ながら先生のお顏を見る機會 …
読書目安時間:約4分
鼎軒先生には一度もお目に掛かつたことがない、私は少壯の頃、暇があれば本ばかり讀んでゐたので名家の演説などをもわざ/\聽きに往つたことが殆ど無い、そこで餘所ながら先生のお顏を見る機會 …
当流比較言語学(旧字旧仮名)
読書目安時間:約7分
或る國民には或る詞が闕けてゐる。 何故闕けてゐるかと思つて、よく/\考へて見ると、それは或る感情が闕けてゐるからである。 手近い處で言つて見ると、獨逸語に Streber といふ詞 …
読書目安時間:約7分
或る國民には或る詞が闕けてゐる。 何故闕けてゐるかと思つて、よく/\考へて見ると、それは或る感情が闕けてゐるからである。 手近い處で言つて見ると、獨逸語に Streber といふ詞 …
長谷川辰之助(旧字旧仮名)
読書目安時間:約12分
逢ひたくて逢はずにしまふ人は澤山ある。 それは私の方から人を尋ねるといふことが、殆ど絶待的に出來ないからである。何故出來ないか、私には職務があると辯解して見る。併し此辯解は通らない …
読書目安時間:約12分
逢ひたくて逢はずにしまふ人は澤山ある。 それは私の方から人を尋ねるといふことが、殆ど絶待的に出來ないからである。何故出來ないか、私には職務があると辯解して見る。併し此辯解は通らない …
翻訳に就いて(旧字旧仮名)
読書目安時間:約3分
翻譯上の謬見 此本に是非翻譯に就いて何か書いてくれと云ふことである。予を翻譯者の中の主な一人だと思つてゐるものと見える。さうかと思ふと、一方には予の翻譯は殆皆誤譯だとして、予に全く …
読書目安時間:約3分
翻譯上の謬見 此本に是非翻譯に就いて何か書いてくれと云ふことである。予を翻譯者の中の主な一人だと思つてゐるものと見える。さうかと思ふと、一方には予の翻譯は殆皆誤譯だとして、予に全く …
横浜市歌(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
わが日の本は島国よ 朝日かがよう海に 連りそばだつ島々なれば あらゆる国より舟こそ通え されば港の数多かれど この横浜にまさるあらめや むかし思えばとま屋の煙 ちらりほらりと立てり …
読書目安時間:約1分
わが日の本は島国よ 朝日かがよう海に 連りそばだつ島々なれば あらゆる国より舟こそ通え されば港の数多かれど この横浜にまさるあらめや むかし思えばとま屋の煙 ちらりほらりと立てり …
能久親王年譜(新字旧仮名)
読書目安時間:約6分
弘化四年丁未、二月十六日能久親王京都伏見宮第に生れさせ給ひ、満宮と名のらせ給ふ。 嘉永元年戊申、二歳。京都におはす。仁孝天皇の御猶子、青蓮院宮の御附弟にならせ給ふ。 二年己酉、三歳 …
読書目安時間:約6分
弘化四年丁未、二月十六日能久親王京都伏見宮第に生れさせ給ひ、満宮と名のらせ給ふ。 嘉永元年戊申、二歳。京都におはす。仁孝天皇の御猶子、青蓮院宮の御附弟にならせ給ふ。 二年己酉、三歳 …
ロビンソン・クルソオ:(序に代ふる会話)(旧字旧仮名)
読書目安時間:約10分
人物 主人 客 譯者 場所 主人の書齋。主人と客と對坐せるところへ、譯者登場。 主人。暫くでしたね。何か御用ですか。 譯者。あのロビンソンですね。あれがこれまで翻譯にはなつてゐまし …
読書目安時間:約10分
人物 主人 客 譯者 場所 主人の書齋。主人と客と對坐せるところへ、譯者登場。 主人。暫くでしたね。何か御用ですか。 譯者。あのロビンソンですね。あれがこれまで翻譯にはなつてゐまし …
私が十四五歳の時(旧字旧仮名)
読書目安時間:約3分
過去の生活は食つてしまつた飯のやうなものである。飯が消化せられて生きた汁になつて、それから先の生活の土臺になるとほりに、過去の生活は現在の生活の本になつてゐる。又これから先の、未來 …
読書目安時間:約3分
過去の生活は食つてしまつた飯のやうなものである。飯が消化せられて生きた汁になつて、それから先の生活の土臺になるとほりに、過去の生活は現在の生活の本になつてゐる。又これから先の、未來 …
翻訳者としての作品一覧
尼(新字旧仮名)
読書目安時間:約13分
ブレドガアデで午食をして来た帰道である。牧師をしてゐる兄と己とである。兄はユウトランドで富饒なヱイレあたりに就職したいので、其運動に市中へ出て来た。ところが大臣が機嫌好く話を聞いて …
読書目安時間:約13分
ブレドガアデで午食をして来た帰道である。牧師をしてゐる兄と己とである。兄はユウトランドで富饒なヱイレあたりに就職したいので、其運動に市中へ出て来た。ところが大臣が機嫌好く話を聞いて …
アンドレアス・タアマイエルが遺書(新字旧仮名)
読書目安時間:約12分
小生は如何にしても今日以後生きながらへ居ること難く候。何故と申すに小生生きながらへ居る限りは、世間の人嘲り笑ひ申すべく、誰一人事実の真相を認めくるる者は有之まじく候。仮令世間にては …
読書目安時間:約12分
小生は如何にしても今日以後生きながらへ居ること難く候。何故と申すに小生生きながらへ居る限りは、世間の人嘲り笑ひ申すべく、誰一人事実の真相を認めくるる者は有之まじく候。仮令世間にては …
板ばさみ(新字旧仮名)
読書目安時間:約33分
プラトン・アレクセエヰツチユ・セレダは床の中でぢつとしてゐる。死んでゐるかと思はれる程である。鼻は尖つて、干からびた顔の皮は紙のやうになつて、深く陥つた、周囲の輪廓のはつきりしてゐ …
読書目安時間:約33分
プラトン・アレクセエヰツチユ・セレダは床の中でぢつとしてゐる。死んでゐるかと思はれる程である。鼻は尖つて、干からびた顔の皮は紙のやうになつて、深く陥つた、周囲の輪廓のはつきりしてゐ …
犬(新字新仮名)
読書目安時間:約11分
この犬は名を附けて人に呼ばれたことはない。永い冬の間、何処にどうして居るか、何を食べて居るか、誰も知らぬ。暖かそうな小屋に近づけば、其処に飼われて居る犬が、これも同じように饑渇に困 …
読書目安時間:約11分
この犬は名を附けて人に呼ばれたことはない。永い冬の間、何処にどうして居るか、何を食べて居るか、誰も知らぬ。暖かそうな小屋に近づけば、其処に飼われて居る犬が、これも同じように饑渇に困 …
うづしほ(新字旧仮名)
読書目安時間:約41分
二人で丁度一番高い岩山の巓まで登つた。老人は数分間は余り草臥れて物を云ふことが出来なかつた。 とう/\かう云ひ出した。 「まだ余り古い事ではございません。わたくしは不断倅共の中の一 …
読書目安時間:約41分
二人で丁度一番高い岩山の巓まで登つた。老人は数分間は余り草臥れて物を云ふことが出来なかつた。 とう/\かう云ひ出した。 「まだ余り古い事ではございません。わたくしは不断倅共の中の一 …
駆落(新字旧仮名)
読書目安時間:約10分
寺院は全く空虚である。 贄卓の上の色硝子の窓から差し入る夕日が、昔の画家が童貞女の御告の画にかくやうに、幅広く素直に中堂に落ちて、階段に敷いてある、色の褪めた絨緞を彩つてゐる。それ …
読書目安時間:約10分
寺院は全く空虚である。 贄卓の上の色硝子の窓から差し入る夕日が、昔の画家が童貞女の御告の画にかくやうに、幅広く素直に中堂に落ちて、階段に敷いてある、色の褪めた絨緞を彩つてゐる。それ …
家常茶飯 附・現代思想(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間12分
第一場 広き画室。大窓の下に銅版の為事をする卓あり。その上に為事半ばの銅版と色々の道具とを置きあり。左手に画架。その上に光線を遮るために使う枠を逆さにして載せあり。室の真中に今一つ …
読書目安時間:約1時間12分
第一場 広き画室。大窓の下に銅版の為事をする卓あり。その上に為事半ばの銅版と色々の道具とを置きあり。左手に画架。その上に光線を遮るために使う枠を逆さにして載せあり。室の真中に今一つ …
樺太脱獄記(新字旧仮名)
読書目安時間:約1時間30分
己はこのシベリア地方で一般に用ゐられてゐる、毛織の天幕の中に住んでゐる。一しよにゐた男が旅に出たので、一人でゐる。 北の国は日が短い。冷たい霧が立つて来て、直ぐに何もかも包んでしま …
読書目安時間:約1時間30分
己はこのシベリア地方で一般に用ゐられてゐる、毛織の天幕の中に住んでゐる。一しよにゐた男が旅に出たので、一人でゐる。 北の国は日が短い。冷たい霧が立つて来て、直ぐに何もかも包んでしま …
クサンチス(新字旧仮名)
読書目安時間:約22分
飾棚だの飾箱だのといふものがある。貴重な材木や硝子を使つて細工がしてある。その小さい中へ色々な物が逃げ込んで、そこを隠れ家にしてゐる。その中から枯れ萎びた物の香が立ち昇る。過ぎ去つ …
読書目安時間:約22分
飾棚だの飾箱だのといふものがある。貴重な材木や硝子を使つて細工がしてある。その小さい中へ色々な物が逃げ込んで、そこを隠れ家にしてゐる。その中から枯れ萎びた物の香が立ち昇る。過ぎ去つ …
祭日(新字旧仮名)
読書目安時間:約16分
ミサを読んでしまつて、マリア・シユネエの司祭は贄卓の階段を四段降りて、くるりと向き直つて、レクトリウムの背後に蹲つた。それから祭服の複雑な襞の間を捜して、大きいハンカチイフを取り出 …
読書目安時間:約16分
ミサを読んでしまつて、マリア・シユネエの司祭は贄卓の階段を四段降りて、くるりと向き直つて、レクトリウムの背後に蹲つた。それから祭服の複雑な襞の間を捜して、大きいハンカチイフを取り出 …
猿(新字旧仮名)
読書目安時間:約11分
猿と云ふものは元から溜まらない程己に気に入つてゐる。第一人間に比べて見ると附合つて見て面白い処がある。それから顔の表情も人間よりははつきりしてゐて、手で優しく搦み付くところなぞは、 …
読書目安時間:約11分
猿と云ふものは元から溜まらない程己に気に入つてゐる。第一人間に比べて見ると附合つて見て面白い処がある。それから顔の表情も人間よりははつきりしてゐて、手で優しく搦み付くところなぞは、 …
死(新字旧仮名)
読書目安時間:約34分
医学士ウラヂミル・イワノヰツチユ・ソロドフニコフは毎晩六時に、病用さへなければ、本町へ散歩に行くことにしてゐた。大抵本町で誰か知る人に逢つて、一しよに往つたり来たりして、それから倶 …
読書目安時間:約34分
医学士ウラヂミル・イワノヰツチユ・ソロドフニコフは毎晩六時に、病用さへなければ、本町へ散歩に行くことにしてゐた。大抵本町で誰か知る人に逢つて、一しよに往つたり来たりして、それから倶 …
十三時(新字旧仮名)
読書目安時間:約16分
オランダのスピイスブルク市が世界第一の立派な都会だと云ふことは、誰でも知つてゐる。併しもう遺憾ながら、世界第一の立派な都会だつたと云はなくてはならなくなつた。 あの市は本街道を離れ …
読書目安時間:約16分
オランダのスピイスブルク市が世界第一の立派な都会だと云ふことは、誰でも知つてゐる。併しもう遺憾ながら、世界第一の立派な都会だつたと云はなくてはならなくなつた。 あの市は本街道を離れ …
新浦島(新字旧仮名)
読書目安時間:約28分
「サクソンの畏き神に縁みてぞ、けふをば『ヱンスデイ』といふ。その神見ませ、よるよりも暗くさびしき墳墓に、降りゆくまで我が守る宝といふは誠のみ。」 カアトライト ホトソンに沿うて登つ …
読書目安時間:約28分
「サクソンの畏き神に縁みてぞ、けふをば『ヱンスデイ』といふ。その神見ませ、よるよりも暗くさびしき墳墓に、降りゆくまで我が守る宝といふは誠のみ。」 カアトライト ホトソンに沿うて登つ …
聖ニコラウスの夜(新字旧仮名)
読書目安時間:約28分
テルモンド市の傍を流れるエスコオ河に、幾つも繋いである舟の中に、ヘンドリツク・シツペの持舟で、グルデンフイツシユと云ふのがある。舳に金色に光つてゐる魚の標識が附いてゐるからの名であ …
読書目安時間:約28分
テルモンド市の傍を流れるエスコオ河に、幾つも繋いである舟の中に、ヘンドリツク・シツペの持舟で、グルデンフイツシユと云ふのがある。舳に金色に光つてゐる魚の標識が附いてゐるからの名であ …
センツアマニ(新字旧仮名)
読書目安時間:約11分
島は深い沈黙の中に眠つてゐる。海も死んでゐるかと思はれるやうに眠つてゐる。秘密な有力者が強い臂を揮つて、この怪しげな形をした黒い岩を、天から海へ投げ落して、その岩の中に潜んでゐた性 …
読書目安時間:約11分
島は深い沈黙の中に眠つてゐる。海も死んでゐるかと思はれるやうに眠つてゐる。秘密な有力者が強い臂を揮つて、この怪しげな形をした黒い岩を、天から海へ投げ落して、その岩の中に潜んでゐた性 …
パアテル・セルギウス(新字旧仮名)
読書目安時間:約1時間47分
千八百四十何年と云ふ頃であつた。ペエテルブルクに世間の人を皆びつくりさせるやうな出来事があつた。美男子の侯爵で、甲騎兵聯隊からお上の護衛に出てゐる大隊の隊長である。この士官は今に侍 …
読書目安時間:約1時間47分
千八百四十何年と云ふ頃であつた。ペエテルブルクに世間の人を皆びつくりさせるやうな出来事があつた。美男子の侯爵で、甲騎兵聯隊からお上の護衛に出てゐる大隊の隊長である。この士官は今に侍 …
薔薇(新字旧仮名)
読書目安時間:約11分
技手は手袋を嵌めた両手を、自動車の柁機に掛けて、真つ直ぐに馭者台に坐つて、発車の用意をして待つてゐる。 白壁の別荘の中では、がたがたと戸を開けたり締めたりする音がしてゐる。それに交 …
読書目安時間:約11分
技手は手袋を嵌めた両手を、自動車の柁機に掛けて、真つ直ぐに馭者台に坐つて、発車の用意をして待つてゐる。 白壁の別荘の中では、がたがたと戸を開けたり締めたりする音がしてゐる。それに交 …
病院横町の殺人犯(新字旧仮名)
読書目安時間:約1時間1分
千八百〇十〇年の春から夏に掛けてパリイに滞留してゐた時、己はオオギユスト・ドユパンと云ふ人と知合になつた。まだ年の若いこの男は良家の子である。その家柄は貴族と云つても好い程である。 …
読書目安時間:約1時間1分
千八百〇十〇年の春から夏に掛けてパリイに滞留してゐた時、己はオオギユスト・ドユパンと云ふ人と知合になつた。まだ年の若いこの男は良家の子である。その家柄は貴族と云つても好い程である。 …
不可説(新字旧仮名)
読書目安時間:約11分
愛する友よ。此手紙が君の手に届いた時には、僕はもう此世にゐないだらう。此手紙の這入つた封筒が封ぜられて、僕の忠実な家隷フランソアが「すぐに出せ」と云ふ命令と共に、それを受け取るや否 …
読書目安時間:約11分
愛する友よ。此手紙が君の手に届いた時には、僕はもう此世にゐないだらう。此手紙の這入つた封筒が封ぜられて、僕の忠実な家隷フランソアが「すぐに出せ」と云ふ命令と共に、それを受け取るや否 …
復讐(新字旧仮名)
読書目安時間:約45分
バルタザル・アルドラミンは生きてゐた間、己が大ぶ精しく知つてゐたから、己が今あの男に成り代つて身上話をして、諸君に聞かせることが出来る。もうあれが口は開く時は無い。笑ふためにも歌ふ …
読書目安時間:約45分
バルタザル・アルドラミンは生きてゐた間、己が大ぶ精しく知つてゐたから、己が今あの男に成り代つて身上話をして、諸君に聞かせることが出来る。もうあれが口は開く時は無い。笑ふためにも歌ふ …
フロルスと賊と(新字旧仮名)
読書目安時間:約13分
表の人物 Aemilius Florus主人 Mummus老いたる奴隷 Lukas無言の童 Gorgo田舎娘 Calpurnia主人の友の妻 老いたる乳母 差配人 医師 獄吏 跣足 …
読書目安時間:約13分
表の人物 Aemilius Florus主人 Mummus老いたる奴隷 Lukas無言の童 Gorgo田舎娘 Calpurnia主人の友の妻 老いたる乳母 差配人 医師 獄吏 跣足 …
防火栓(新字旧仮名)
読書目安時間:約8分
度度噂のあつた事が、いよ/\実行せられると聞いた時、市中の人民は次第に興奮して来た。これまで毎年ロオデンシヤイド市に来る曲馬師の組は、普通の天幕の中で興行したのだが、それはもう罷め …
読書目安時間:約8分
度度噂のあつた事が、いよ/\実行せられると聞いた時、市中の人民は次第に興奮して来た。これまで毎年ロオデンシヤイド市に来る曲馬師の組は、普通の天幕の中で興行したのだが、それはもう罷め …
老人(新字旧仮名)
読書目安時間:約5分
ペエテル・ニコラスは七十五になつて、いろんな事を忘れてしまつた。昔の悲しかつた事や嬉しかつた事、それから週、月、年と云ふやうなものはもう知らない。只日と云ふもの丈はぼんやり知つてゐ …
読書目安時間:約5分
ペエテル・ニコラスは七十五になつて、いろんな事を忘れてしまつた。昔の悲しかつた事や嬉しかつた事、それから週、月、年と云ふやうなものはもう知らない。只日と云ふもの丈はぼんやり知つてゐ …
鱷(新字旧仮名)
読書目安時間:約1時間23分
己の友達で、同僚で、遠い親類にさへなつてゐる、学者のイワン・マトヱエヰツチユと云ふ男がゐる。その男の細君エレナ・イワノフナが一月十三日午後〇時三十分に突然かう云ふ事を言ひ出した。そ …
読書目安時間:約1時間23分
己の友達で、同僚で、遠い親類にさへなつてゐる、学者のイワン・マトヱエヰツチユと云ふ男がゐる。その男の細君エレナ・イワノフナが一月十三日午後〇時三十分に突然かう云ふ事を言ひ出した。そ …
笑(新字旧仮名)
読書目安時間:約25分
窓の前には広い畑が見えてゐる。赤み掛かつた褐色と、緑と、黒との筋が並んで走つてゐて、ずつと遠い所になると、それが入り乱れて、しほらしい、にほやかな摸様のやうになつてゐる。この景色に …
読書目安時間:約25分
窓の前には広い畑が見えてゐる。赤み掛かつた褐色と、緑と、黒との筋が並んで走つてゐて、ずつと遠い所になると、それが入り乱れて、しほらしい、にほやかな摸様のやうになつてゐる。この景色に …