ぞく)” の例文
〔評〕死を決するは、さつの長ずる所なり。公義を説くは、土のぞくなり。維新いしんの初め、一公卿あり、南洲の所に往いて復古ふくこの事を説く。
ぞくかみ申子もうしごよわいなどともうしますが、けっしてそのようなものではなく、この立派りっぱ成人せいじんして、父親ちちおや実家じっかあとぎました。
これぞくむしらせとでもいふものであらうかと、のちおもあたつたが、此時このときはたゞ離別りべつじやうさこそとおもるばかりで、わたくし打點頭うちうなづ
○新撰字鏡うをに鮭(佐介さけ)とあり、和名抄には本字はさけぞくさけの字を用ふるは也といへり。されば鮭の字を用ひしもふるし。
学問をする人が煩瑣うるさぞく用を避けて、成るべく単純な生活に我慢するのは、みんな研究の為めやむを得ないんだから仕方がない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しばらくして、大手筋おほてすぢを、去年きよねん一昨年おととしのまゝらしい、枯蘆かれあしなかつたときは、ぞく水底みづそこんでとほるとふ、どつしりしたものにえた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぞくに「ふみきり」といふペタルで、つまり通の自轉車のやうに、或る程度の惰性だせいがついたらペタルの上で足を休ませてゆくといふことが出來ない。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
しかつぎ過激くわげき勞働らうどうからぞくにそら手というてすぢいたんだので二三にち仕事しごとられなかつた。それから六七にちたつてはげしい西風にしかぜいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しやく釈につくるの外、たくを沢、驛をえきつくるぞくなり、しかれども巻中えきたくの字多し。しばらくぞくしたがうて駅沢に作り、以梓繁しはんはぶく。省字せうじは皆古法こほふしたがふ。
並背なみぜいにていがぐり頭髮つむりおもひなしかぞくとはかはりて、藤本信如ふぢもとのぶゆきよみにてすませど、何處どこやらしやくといひたげの素振そぶりなり。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
昔時むかしシヽリーといふ島のダイオインシアスといふ国王こくわうがございました。の王がこのんで詩を作りますが、ぞくにいふ下手へた横好よこずきで、一かう上手じやうずでございません。
詩好の王様と棒縛の旅人 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
(一三)區區くくせいもつて、(一四)海濱かいひんり、(一五)くわつうざいみ、くにましへいつようし、(一六)ぞく好惡かうをおなじうすゆゑ(一七)其稱そのしよういはく、(一八)
梅の花ぢやよ、——巣鴨すがものさる御屋敷の庭に、大層見事な梅の古木がある。この二三日は丁度盛りで、時にはうぐひすも來るさうぢや。場所が場所だから、ぞく風雅ふうがも一向寄り付かない。
これをむものもそのこゝろしてよまざるからず、涙香ルイコウ探偵小説たんていせうせつごとぞくよろこばすものにてなき由を承知しようちして一どくせばみづか妙味みようみ發見はつけんすべきなり、余はこのしよ讀者どくしや推薦すいせんするをはばからず
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
もっとも、利助りすけほどの天才てんさいは、自分じぶんのものがなが保存ほぞんされるためとか、どうとかいうようなぞくかんがえはもたなかったろう。ただ、気品きひんたかいものをつくげたいとおもっていたにちがいない。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
一葉女史いちえふぢよしはおのれとおな園生そのふにありてはぎつゆにおほしたてられし下葉したはなりはぎ中島なかじまつねにいにしへぶりのしなたかきををしへさとしたまへれど性來せいらいのすきこゝろによのみゝちかくぞく今樣いまやう情態じやうたい
うもれ木:01 序 (旧字旧仮名) / 田辺竜子(著)
ぞくあらため千辛萬苦しんばんくして首尾能しゆびよく兄の敵を討し段まことに女丈夫ぢやうふ共云べし又友次郎事も花を助け敵をうたせし段信義しんぎあつしやうするに餘り有依て父佐太夫に申さと勘當かんだうを免させ今より花と夫婦になり松田の家を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
石匕 石鏃せきぞく石錐抔いしきりなど同質どうしつにして其大さ是等の五倍或は十倍なる物有り。形状けいじよう長方形ちようはうがた橢圓形たいえんがた三角形さんかくがた等の不規則ふきそくなるものにして一部に必ずみじかき把柄有り。此の如き石器せききぞく天狗テング飯匙メシカヒぶ。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
たぬきぞくにむじなともいひますが、これは地方ちほうによつてさういふのでたぬきもむじなとおなじです。また穴熊あなぐまのことをむじなとよぶ地方ちほうもあり、夏時なつどきのたぬきのことをむじなといふところもあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
ぞく竹取たけとりのおきなといふとほつてゐました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
かたくびよりたかそびえて、ぞく引傾ひきかたがりと代物しろものあをぶくれのはらおほいなるうりごとしで、一尺いつしやくあまりのたなちりあまつさびつこ奈何いかん
鑑定 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちゞみのみにはかぎらず織物おりものはすべてしかならんが、目前もくぜんみるところなればいふ也。かゝる縮をわづかあたひにて自在じざい着用ちやくようするはぞくにいふ安いもの也。
御茶の御馳走ごちそうになる。相客あいきゃくは僧一人、観海寺かんかいじ和尚おしょうで名は大徹だいてつと云うそうだ。ぞく一人、二十四五の若い男である。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ぞくほつするところつてこれ(二五)あたへ、ぞくとするところつてこれる。まつりごとすや、わざはひつてさいはひし、やぶれをてんじてこうし、(二六)輕重けいぢうたつとび、權衡けんかうつつしめり。
しやく釈につくるの外、たくを沢、驛をえきつくるぞくなり、しかれども巻中えきたくの字多し。しばらくぞくしたがうて駅沢に作り、以梓繁しはんはぶく。省字せうじは皆古法こほふしたがふ。
毛糸けいと手袋てぶくろめ、白足袋しろたびに、日和下駄ひよりげたで、一見いつけん僧侶そうりよよりはなか宗匠そうしやうといふものに、それよりもむしぞく
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
けれども臍帶纏絡さいたいてんらくつて、ぞくえなくびけてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
母親殿おふくろどの頬板ほゝツぺたのふくれた、めじりさがつた、はなひくい、ぞくにさしぢゝといふあの毒々どく/″\しい左右さいうむねふさふくんで、うしてあれほどうつくしくそだつたものだらうといふ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
俊頼朝臣としよりあそんに「降雪ふるゆきたにおもかげうづもれてこずゑぞ冬の山路やまぢなりける」これらはじつに越後の雪の真景しんけいなれども、此あそん越後にきたり玉ひしにはあらず、ぞくにいふ哥人かじんながら名所めいしよをしるなり。
まくらいて初夜しよやぐるころほひより、すこ氣候きこうがゆるんだとおもふと、およ手掌てのひらほどあらうといふ、ぞく牡丹ぼたんとなづくるゆきが、しと/\とはてしもあらず降出ふりだして
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
蛾眉山がびさんのあるしよくは都をる事とほ僻境へききやうなり。推量すゐりやうするに、田舎ゐなか標準みちしるべなれば学者がくしやかきしにもあるべからず、俗子ぞくしの筆なるべし。さればわが今のぞく竹を※とにんべんあやまるるゐか、なほ博識はくしきせつつ。
兩側りやうがは大藪おほやぶがあるから、ぞくくらがりざかとなへるぐらゐたけそらとざして眞暗まつくらなかから、烏瓜からすうりはな一面いちめんに、しろほしのやうなはなびらいて、東雲しのゝめいろさつす。
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ぞくに、ひきがへるものだとふ。かつ十何匹じふなんびき行水盥ぎやうずゐだらひせたのが、一夜いちやうちかたちしたのはげんつてる。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
樣子やうすうも、ふびんや、あま小遣こづかひがなかつたらしい。もつとものはりぞくがうするてあひは、懷中くわいちう如何いかんかゝはらず、うしたさもしい料簡れうけんと、むかしから相場さうばづけにめてある。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
勿體もつたいないが、ぞく上潮あげしほから引上ひきあげたやうな十錢紙幣じつせんしへい蟇口がまぐち濕々じめ/\して、かね威光ゐくわうより、かびにほひなはつたをりから、當番たうばん幹事かんじけつして剩錢つりせん持出もちださず、會員くわいゐん各自かくじ九九九くうくうくうつぶそろへて
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
にくさげな、高慢かうまんな、ひと馬鹿ばかにしたかたちうだい、總別そうべつはない畜生ちくしやうだ、とこゝろから、石段いしだんれたかけらひろつて、ぞくにねことふ、川楊かはやぎがくれに、ぢつねらつて、ひしりとげる
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぞくに、隧道トンネルもつとながいのも、ゆつくりつて敷島しきしまぽんあひだく。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
寺中じちうまたひとツの小堂せうだうあり。ぞく甲胄堂かつちうだうといふ。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)