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降
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ふ
ふりがな文庫
“
降
(
ふ
)” の例文
まだ
昨日
(
きのう
)
降
(
ふ
)
った
雨
(
あめ
)
の
水
(
みず
)
が、ところどころ
地
(
ち
)
のくぼみにたまっていました。その
水
(
みず
)
の
面
(
おもて
)
にも、
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
は
美
(
うつく
)
しく
照
(
て
)
らして
輝
(
かがや
)
いていました。
幾年もたった後
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
波
(
なみ
)
がうごき波が足をたたく。日光が
降
(
ふ
)
る。この水を
渉
(
わた
)
ることの
快
(
こころよ
)
さ。
菅木
(
すがき
)
がいるな。いつものようにじっとひとの目を見つめている。
台川
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
世
(
よ
)
の
譬
(
たとへ
)
にも
天生峠
(
あまふたうげ
)
は
蒼空
(
あをぞら
)
に
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
るといふ
人
(
ひと
)
の
話
(
はなし
)
にも
神代
(
じんだい
)
から
杣
(
そま
)
が
手
(
て
)
を
入
(
い
)
れぬ
森
(
もり
)
があると
聞
(
き
)
いたのに、
今
(
いま
)
までは
余
(
あま
)
り
樹
(
き
)
がなさ
過
(
す
)
ぎた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
大木の
梢
(
こずえ
)
からは雨も
降
(
ふ
)
っていないのに
滴
(
しずく
)
がぽたりぽたりと
垂
(
た
)
れ、風もないのに梢の上の方にはコーッという森の音がこもっていた。
鬼退治
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
この
氷滑
(
こほりすべ
)
りが
雪
(
ゆき
)
の
日
(
ひ
)
の
樂
(
たのし
)
みの一つで、
父
(
とう
)
さんも
爺
(
ぢい
)
やに
造
(
つく
)
つて
貰
(
もら
)
つた
鳶口
(
とびぐち
)
を
持出
(
もちだ
)
しては
近所
(
きんじよ
)
の
子供
(
こども
)
と一
緒
(
しよ
)
に
雪
(
ゆき
)
の
降
(
ふ
)
る
中
(
なか
)
で
遊
(
あそ
)
びました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
とつぜんばらばらとひょうが
降
(
ふ
)
って来た。はじめすこしばかりわたしたちの顔に当たったと思ううちに、石を投げるように
降
(
ふ
)
って来た。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
彼を思ひ是を思ふに、身一つに
降
(
ふ
)
りかゝる
憂
(
う
)
き事の露しげき
今日
(
けふ
)
此ごろ、瀧口三
衣
(
え
)
の袖を絞りかね、
法體
(
ほつたい
)
の
今更
(
いまさら
)
遣瀬
(
やるせ
)
なきぞいぢらしき。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
次にひとりの十字架にかゝれる者わが高まれる想像の中に
降
(
ふ
)
りぬ、侮蔑と兇猛を顏にあらはし、死に臨めどもこれを變へず 二五—二七
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
およそ、あるかぎりな矢も、これぎりとする大木や大石も、地鳴りとともに
降
(
ふ
)
って、崖の肌から
敵影
(
てきえい
)
をなだれに捲いて拭き去った。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
艸木の
実
(
み
)
の
円
(
まろき
)
をうしなはざるも気中に
生
(
しやう
)
ずるゆゑ也。雲
冷際
(
れいさい
)
にいたりて雨とならんとする時、
天寒
(
てんかん
)
甚しき時は
雨
(
あめ
)
氷
(
こほり
)
の
粒
(
つぶ
)
となりて
降
(
ふ
)
り
下
(
くだ
)
る。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
何
(
なに
)
しに
降
(
ふ
)
つて
沸
(
わ
)
いた
事
(
こと
)
もなければ、
人
(
ひと
)
との
紛雜
(
いざ
)
などはよし
有
(
あ
)
つたにしろ
夫
(
そ
)
れは
常
(
つね
)
の
事
(
こと
)
、
氣
(
き
)
にもかゝらねば
何
(
なに
)
しに
物
(
もの
)
を
思
(
おも
)
ひませう
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そうして黄色い声や青い声が、梁を
纏
(
まと
)
う
唐草
(
からくさ
)
のように、
縺
(
もつ
)
れ合って、天井から
降
(
ふ
)
ってくる。高柳君は
無人
(
むにん
)
の
境
(
きょう
)
に一人坊っちで
佇
(
たたず
)
んでいる。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
此時
(
このとき
)
今迄
(
いまゝで
)
は
晴朗
(
うらゝか
)
であつた
大空
(
おほぞら
)
は、
見
(
み
)
る/\
内
(
うち
)
に
西
(
にし
)
の
方
(
かた
)
から
曇
(
くも
)
つて
來
(
き
)
て、
熱帶地方
(
ねつたいちほう
)
で
有名
(
いうめい
)
な
驟雨
(
にわかあめ
)
が、
車軸
(
しやぢく
)
を
流
(
なが
)
すやうに
降
(
ふ
)
つて
來
(
き
)
た。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
白刃
(
しらは
)
を
植
(
う
)
えたような
稲妻
(
いなづま
)
が
断間
(
たえま
)
なく
雲間
(
あいだ
)
に
閃
(
ひらめ
)
き、それにつれてどっと
降
(
ふ
)
りしきる
大粒
(
おおつぶ
)
の
雨
(
あめ
)
は、さながら
礫
(
つぶて
)
のように
人々
(
ひとびと
)
の
面
(
おもて
)
を
打
(
う
)
ちました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「まだ
降
(
ふ
)
りくさる、まだ降りくさる」とセミョーンは、顔の雪を拭きながら呟いた、「よくもこんなにあるこった、呆れ返ったもんだね。」
追放されて
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
午後
(
ごゝ
)
は
降
(
ふ
)
り
止
(
や
)
んだが
晴
(
は
)
れさうにもせず
雲
(
くも
)
は
地
(
ち
)
を
這
(
は
)
ふようにして
飛
(
と
)
ぶ、
狹
(
せま
)
い
溪
(
たに
)
は
益々
(
ます/\
)
狹
(
せま
)
くなつて、
僕
(
ぼく
)
は
牢獄
(
らうごく
)
にでも
坐
(
すわ
)
つて
居
(
ゐ
)
る
氣
(
き
)
。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
私
(
わつし
)
はね
今日
(
けふ
)
はアノ
通
(
とほ
)
り朝から
降
(
ふ
)
りましたので一
日
(
にち
)
楽
(
らく
)
を
仕
(
し
)
ようと思つて休んだが、
何
(
ど
)
うも困つたもんですね、
何
(
なん
)
ですい病気は。
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
白
(
しろ
)
い
切干
(
きりぼし
)
は
蒸
(
む
)
さずに
干
(
ほ
)
したのであつた。
切干
(
きりぼし
)
は
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
らねば
埃
(
ほこり
)
だらけに
成
(
な
)
らうが
芥
(
ごみ
)
が
交
(
まじ
)
らうが
晝
(
ひる
)
も
夜
(
よる
)
も
筵
(
むしろ
)
は
敷
(
し
)
き
放
(
はな
)
しである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
看
(
み
)
よ、
他
(
ほか
)
に
人一個
(
ひとひとり
)
居
(
を
)
らぬ
畑中
(
はたなか
)
。
其所
(
そこ
)
にわびしき
天幕
(
てんと
)
を
張
(
は
)
りて、
降
(
ふ
)
るや
降
(
ふ
)
らずの
中
(
なか
)
に
居
(
ゐ
)
る。それで
叔母達
(
をばたち
)
は
去
(
さ
)
るとも、
叔父
(
をぢ
)
と
共
(
とも
)
に
此所
(
こゝ
)
に
留
(
とゞま
)
るといふ。
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
火箸
(
ひばし
)
が
眞
(
ま
)
ッ
先
(
さき
)
に
飛
(
と
)
んで
來
(
き
)
て、それから
續
(
つゞ
)
いて
肉汁
(
スープ
)
鍋
(
なべ
)
や、
皿
(
さら
)
や
小鉢
(
こばち
)
の
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
つて
來
(
き
)
ました。
公爵夫人
(
こうしやくふじん
)
は、
其等
(
それら
)
が
我
(
わ
)
が
身
(
み
)
を
打
(
う
)
つをも
平氣
(
へいき
)
で
居
(
を
)
りました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
降
(
ふ
)
ってわいた大変ごとというべきは、むすめのお艶がある夜殿様の源十郎にさらわれて来て奥の
納戸
(
なんど
)
へとじこめられた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
お政はきゅうにやとい女を
呼
(
よ
)
んで
灯明
(
とうみょう
)
を
命
(
めい
)
じ、自分は
茶
(
ちゃ
)
の
用意
(
ようい
)
にかかった。しとしとと雨は
降
(
ふ
)
る、
雨落
(
あまお
)
ちの音が、ぽちゃりぽちゃりと
落
(
お
)
ちはじめた。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
三人の魔女なぞを
遣
(
つかわ
)
すよりも、
六牙象王
(
ろくげのぞうおう
)
の
味噌漬
(
みそづ
)
けだの、
天竜八部
(
てんりゅうはちぶ
)
の
粕漬
(
かすづ
)
けだの、
天竺
(
てんじく
)
の珍味を
降
(
ふ
)
らせたかも知らぬ。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そのうち
雨
(
あめ
)
がざあざあ
降
(
ふ
)
ってきて、うちへ
帰
(
かえ
)
るにも
帰
(
かえ
)
れなくなりました。どうしようかと
思
(
おも
)
って
見回
(
みまわ
)
しますと、そこに大きな木のうろを
見
(
み
)
つけました。
瘤とり
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「おお! おかみさん、えらく
降
(
ふ
)
りだしたじゃねえか。いやになるねえ、いつまでも寒くて、この
大雪
(
おおゆき
)
じゃ、わしのぼろ
靴
(
ぐつ
)
で歩くのはこたえまさあね」
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
其晩
(
そのばん
)
は
湿
(
しめ
)
やかな
春雨
(
はるさめ
)
が
降
(
ふ
)
つてゐた。
近所隣
(
きんじよとなり
)
は
闃
(
ひつそ
)
として、
樋
(
ひ
)
を
洩
(
も
)
れる
細
(
ほそ
)
い
雨滴
(
あまだれ
)
の
音
(
おと
)
ばかりがメロヂカルに
聞
(
きこ
)
える。が、
部屋
(
へや
)
には
可恐
(
おそろ
)
しい
影
(
かげ
)
が
潜
(
ひそ
)
んでゐた。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
ムスメはつひに
俯
(
うつむ
)
いたまヽ、いつまでも/\
私
(
わたし
)
の
記臆
(
きおく
)
に
青白
(
あをじろ
)
い
影
(
かげ
)
をなげ、
灰色
(
はいいろ
)
の
忘却
(
ばうきやく
)
のうへを
銀
(
ぎん
)
の
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
りしきる。
桜さく島:見知らぬ世界
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
飴売
(
あめうり
)
土平
(
どへい
)
の
道化
(
どうけ
)
た
身振
(
みぶ
)
りに、われを
忘
(
わす
)
れて
見入
(
みい
)
っていた
人達
(
ひとたち
)
は、
降
(
ふ
)
って
湧
(
わ
)
いたような「おせんが
来
(
き
)
た」という
声
(
こえ
)
を
聞
(
き
)
くと、一
齊
(
せい
)
に
首
(
くび
)
を
東
(
ひがし
)
へ
振
(
ふ
)
り
向
(
む
)
けた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
かうなると
大雨
(
おほあめ
)
が
降
(
ふ
)
るたびに、
山
(
やま
)
の
土
(
つち
)
や
砂
(
すな
)
はどん/\
流
(
なが
)
れおち、またおそろしい
洪水
(
こうずい
)
がおこるようになりました。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
人間がタイタニックを造って誇り
貌
(
が
)
に乗り出すと、
氷山
(
ひょうざん
)
が来て
微塵
(
みじん
)
にする。勘作が小麦を蒔いて今年は豊年だと悦んで居ると、
雹
(
ひょう
)
が
降
(
ふ
)
って十分間に打散らす。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
寶暦九年
(
ほうれきくねん
)
七月二十八日
(
しちがつにじゆうはちにち
)
弘前
(
ひろさき
)
に
於
(
おい
)
て
西北方
(
せいほくほう
)
遽
(
にはか
)
に
曇
(
くも
)
り
灰
(
はひ
)
を
降
(
ふ
)
らしたが、その
中
(
なか
)
には
獸毛
(
じゆうもう
)
の
如
(
ごと
)
きものも
含
(
ふく
)
まれてゐたといふ。これは
渡島
(
おしま
)
大島
(
おほしま
)
の
噴火
(
ふんか
)
に
因
(
よ
)
つたものである。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
昨夜来
(
さくやらい
)
頻
(
しき
)
りに
降
(
ふ
)
り来る雨は朝に至りて未だ
霽
(
は
)
れず、
遥
(
はる
)
かに利根山奥を
望
(
のぞ
)
むに
雲烟
(
うんえん
)
濛々
(
もう/\
)
前途
漠焉
(
ばくえん
)
たり、藤原村民の言の如く
山霊
(
さんれい
)
果して一行の
探検
(
たんけん
)
を拒むかと
想
(
おも
)
はしむ
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
光明后宮の
維摩講
(
ゆいまこう
)
に
唱
(
うた
)
われた仏前唱歌「しぐれの
雨間
(
あめま
)
無
(
な
)
くな
降
(
ふ
)
りそ
紅
(
くれない
)
ににほへる山の散らまく惜しも」
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
樗
(
あふち
)
の
咲
(
さ
)
いてゐる
家
(
いへ
)
の
外側
(
そとがは
)
の
木立
(
こだ
)
ちの
下蔭
(
したかげ
)
に、ぽた/\と
露
(
つゆ
)
が
落
(
お
)
ちる
程
(
ほど
)
に、
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
きとほる。それは、
幾日
(
いくにち
)
か
降
(
ふ
)
り
續
(
つゞ
)
いてをつた
梅雨
(
ばいう
)
が
上
(
あが
)
る
風
(
かぜ
)
である、といふ
意味
(
いみ
)
です。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
夜
(
よる
)
よ、
來
(
き
)
やれ、
速
(
はや
)
う
來
(
き
)
やれ、ローミオー! あゝ、
夜
(
よる
)
の
晝
(
ひる
)
とはお
前
(
まへ
)
の
事
(
こと
)
ぢゃ。
夜
(
よる
)
の
翼
(
つばさ
)
に
降
(
お
)
りたお
前
(
まへ
)
は、
鴉
(
からす
)
の
背
(
せ
)
に
今
(
いま
)
降
(
ふ
)
りかゝる
其
(
その
)
雪
(
ゆき
)
の
白
(
しろ
)
う
見
(
み
)
ゆるよりも
白
(
しろ
)
いであらう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
はなはだも
夜
(
よ
)
深
(
ふ
)
けてな
行
(
ゆ
)
き
道
(
みち
)
の
辺
(
べ
)
の
五百小竹
(
ゆざさ
)
が
上
(
うへ
)
に
霜
(
しも
)
の
降
(
ふ
)
る
夜
(
よ
)
を 〔巻十・二三三六〕 作者不詳
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
馬越は綺麗に片付けられた部屋にしよんぼり坐つて、
降
(
ふ
)
り
頻
(
しき
)
る雨の音を聞きながらさう思つた。
仮面
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
この仕組みをどんなに有難く思ってよいでしょう。何も複雑なものが直ちに醜いものとはいえないでしょうが、単純なものの方に恵みは多く
降
(
ふ
)
り注がれているのであります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
冷
(
ひ
)
え/″\として
硝子
(
がらす
)
のそとに、いつからか
糸
(
いと
)
のやうに
細
(
こま
)
かな
雨
(
あめ
)
が
音
(
おと
)
もなく
降
(
ふ
)
つてゐる、
上草履
(
うはざうり
)
の
靜
(
しづ
)
かに
侘
(
わ
)
びしい
響
(
ひゞき
)
が、
白衣
(
びやくえ
)
の
裾
(
すそ
)
から
起
(
おこ
)
つて、
長
(
なが
)
い
廊下
(
らうか
)
を
先
(
さき
)
へ/\と
這
(
は
)
うて
行
(
ゆ
)
く。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
白い二本の太腿が、相前後して、異様な
降
(
ふ
)
りものとなって、スーッと屋根の向うへ消えて行った。群集の間から、まるで花火をでも褒める様な「ワーッ」という歓声が揚がった。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
これと同時に幾多の殺人事件が
降
(
ふ
)
って湧いたと云う。
鬼婆
(
おにばばあ
)
が殺されたと云う。聞く事毎に人を騒がす事ばかりなので、
或
(
ある
)
者は嘘だろうと云い消した。けれども、事実は争われぬ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
時
(
とき
)
は
冬
(
ふゆ
)
の
初
(
はじめ
)
で、
霜
(
しも
)
が
少
(
すこ
)
し
降
(
ふ
)
つてゐる。
椒江
(
せうこう
)
の
支流
(
しりう
)
で、
始豐溪
(
しほうけい
)
と
云
(
い
)
ふ
川
(
かは
)
の
左岸
(
さがん
)
を
迂囘
(
うくわい
)
しつつ
北
(
きた
)
へ
進
(
すゝ
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
初
(
はじ
)
め
陰
(
くも
)
つてゐた
空
(
そら
)
がやうやう
晴
(
は
)
れて、
蒼白
(
あをじろ
)
い
日
(
ひ
)
が
岸
(
きし
)
の
紅葉
(
もみぢ
)
を
照
(
てら
)
してゐる。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ここには今でも
安倍貞任
(
あべのさだとう
)
の母住めりと言い伝う。
雨
(
あめ
)
の
降
(
ふ
)
るべき夕方など、
岩屋
(
いわや
)
の
扉
(
とびら
)
を
鎖
(
とざ
)
す音聞ゆという。小国、
附馬牛
(
つくもうし
)
の人々は、安倍ヶ城の
錠
(
じょう
)
の音がする、
明日
(
あす
)
は雨ならんなどいう。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
彼女は何物が天より
降
(
ふ
)
り来りしとように驚きつつ、拾いとりてまた
暫
(
しば
)
し
躊躇
(
ためら
)
いたり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
先
(
ま
)
ずこの様子なら
降
(
ふ
)
りではなかろう、主人の注意と
下婢
(
かひ
)
の働きで、それぞれの準備を終り、穂高よりすぐ下山する者のためにとて、特に案内者一名を
傭
(
やと
)
い、午前の四時、まだ
昧
(
くら
)
いうち
穂高岳槍ヶ岳縦走記
(新字新仮名)
/
鵜殿正雄
(著)
一
(
ひと
)
しきり毎日
毎夜
(
まいよ
)
のやうに
降
(
ふ
)
りつゞいた雨の
後
(
あと
)
、今度は雲一ツ見えないやうな晴天が
幾日
(
いくにち
)
と
限
(
かぎ
)
りもなくつゞいた。
然
(
しか
)
しどうかして空が
曇
(
くも
)
ると
忽
(
たちま
)
ちに風が出て
乾
(
かわ
)
ききつた道の砂を
吹散
(
ふきちら
)
す。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
雪はいつの間にか
降
(
ふ
)
り
止
(
や
)
んでいた。カフェーの前にはちらちら人が通りだした。
五階の窓:04 合作の四
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
けれども
幸
(
さいわ
)
いに
子家鴨
(
こあひる
)
はうまく
逃
(
に
)
げおおせました。
開
(
ひら
)
いていた
戸
(
と
)
の
間
(
あいだ
)
から
出
(
で
)
て、やっと
叢
(
くさむら
)
の
中
(
なか
)
まで
辿
(
たど
)
り
着
(
つ
)
いたのです。そして
新
(
あら
)
たに
降
(
ふ
)
り
積
(
つも
)
った
雪
(
ゆき
)
の
上
(
うえ
)
に
全
(
まった
)
く
疲
(
つか
)
れた
身
(
み
)
を
横
(
よこ
)
たえたのでした。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
この独照がまだ小さな庵室に籠つてゐる頃、ひと秋雨のしよぼ/\
降
(
ふ
)
り
頻
(
しき
)
る夕方とん/\と門の
扉
(
と
)
を叩くものがある。独照は何気なく出てみると、若い女が外に立つてしく/\泣いてゐる。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「娘のお君は十八、少し淋しいけれど、可愛い娘ですよ、でも、気の変になった母親の
介抱
(
かいほう
)
をして、
降
(
ふ
)
るほどの縁談にも首を縦に振らないのが、あっしに逢いたいというから面白いでしょう」
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“降(不降)”の解説
不降(ふこう)は、夏朝の第11代帝。帝孔甲の父。弟は帝扃。『竹書紀年』によると、19年間在位した。即位後、6年目に九苑を討ったという。
第11代
(出典:Wikipedia)
降
常用漢字
小6
部首:⾩
10画
“降”を含む語句
降誕祭
昇降機
昇降口
天降
大降
降雪
降下
降雨
土砂降
昇降
降伏
下降
降灰
降参
降出
降積
降人
吹降
降魔
雨降
...