こほり)” の例文
くまさん、どうです、今日けふあたりは。ゆきうたでもうたつておくれ。わしあ、こほりかたまりにでもならなけりやいいがと心配しんぱいでなんねえだ」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
艸木のまろきをうしなはざるも気中にしやうずるゆゑ也。雲冷際れいさいにいたりて雨とならんとする時、天寒てんかん甚しき時はあめこほりつぶとなりてくだる。
かれ眼前がんぜんこほりぢては毎日まいにちあたゝかひかり溶解ようかいされるのをた。かれにはそれがたゞさういふ現象げんしやうとしてのみうつつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
冬時とうじこのかは灌水くわんすゐおこなふには、あらかじ身體しんたいるゝに孔穴こうけつこほりやぶりてまうき、朝夕あさゆふこの孔穴こうけつぼつして灌水くわんすゐおこなふ。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
風入かぜいれのまども、正西まにしけて、夕日ゆふひのほとぼりははげしくとも、なみにもこほりにもれとてさはると、爪下つました廂屋根ひさしやねは、さすがに夜露よつゆつめたいのであつた。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そこへまた、なにかみなりのやうに怒鳴どなこえがしたかとおもふと、小牛こうしほどもあるかたこほりかたまりがピユーツとちてきて、真向まつこうからラランのからだをばした。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
引からげ堪忍かんにんしろとうしろからあびせ掛たるこほりやいば肩先かたさきふかく切込れアツとたまきる聲の下ヤア情けなや三次どの何でわらは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まことれ一の夢幻界なり。湾に沿へる拿破里ナポリまちは次第に暮色微茫びばうの中に没せり。ひとみを放ちて遠く望めば、雪をいただけるアルピイの山脈こほりもて削り成せるが如し
ヴエスヴイオ山 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
味噌みそこしげてはしたのおあしにぎつて米屋こめやかどまではうれしくけつけたれど、かへりにはさむさのにしみてあしかじかみたれば五六軒ごろくけんへだてし溝板どぶいたうへこほりにすべり
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
こほりをば引外ひッぱづして右手めて附入つけいりまする手練しゅれん切先きっさき、それを撥反はねかへすチッバルト。
醫者いしや芥子からし局部きよくぶことと、あし濕布しつぷあたゝめることと、それからあたまこほりひやこととを、應急おうきふ手段しゆだんとして宗助そうすけ注意ちゆういした。さうして自分じぶん芥子からしいて、御米およねかたからくびけてれた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ほれごらんなさい こんなにこほりだらけになつたわ
あゝ わが神霊 こほりよりさむし
希臘十字 (新字旧仮名) / 高祖保(著)
こほりつて
お月さまいくつ (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
たひはくやしくつてのやうに眞赤まつかになりました。けれどまたこわくつて、こほりのやうにこはばつてぶるぶる、ふるえてをりました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
氷室ひむろは水のこほりををさめおくやうに諸書しよしよ注釈ちゆうしやくにも見えしが、水の氷れるは不潔ふけつなり、不潔をもつて貢献こうけんにはなすべからず。
井戸端ゐどばたをけにはいもすこしばかりみづひたしてあつて、そのみづにはこほりがガラスいたぐらゐぢてる。おつぎはなべをいつもみがいて砥石といし破片かけこほりたゝいてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
氷々こほり/\ゆきこほりと、こもだはらつゝみてあるくはゆきをかこへるものなり。のこぎりにてザク/\とつて寄越よこす。日盛ひざかりに、まちびあるくは、をんなたちの小遣取こづかひとりなり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
見て汝は何者なるやわれ今宵こよひ此質屋へ忍び入り思ひのまゝぬすまんといま引窓ひきまどより這入はひりたるに屋根にて足音あしおとする故不思議ふしぎおも出來いできたりたり汝聲を立てなば一うちこほりの如きやいば
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今日けふようなしのなればとてあに終日しゆうじつ此處こゝにありけり、こほり取寄とりよせて雪子ゆきこつむりひや附添つきそひ女子をなごかはりて、どれすこわしがやつてやうと無骨ぶこつらしくいだすに、おそいります
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
冬曉とうげうはやじよくはなれて斗滿川とまむがはき、氷穴中へうけつちゆうむすべるこほり手斧てをのもつやぶり(このこほりあつさにても數寸餘すうすんよあり)ぼつし、曉天げうてんかゞや星光せいくわうながめながら灌水くわんすゐときの、清爽せいさうなる情趣じやうしゆ
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
かれは氷嚢を隔てゝ、こほりいた時の様に物足らなく思つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
氷室ひむろは水のこほりををさめおくやうに諸書しよしよ注釈ちゆうしやくにも見えしが、水の氷れるは不潔ふけつなり、不潔をもつて貢献こうけんにはなすべからず。
可哀かはいさうな、どくらしい、あの、しをらしい、可愛かはいむしが、なんにもつたことではないんですけれど、でもわたしかねたゝきだとおもひますだけでも、こほりころして、一筋ひとすぢづゝ
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
けた。そとやみこほつたかとおもふやうにたゞしんとした。蒟蒻こんにやくみづにもかみごとこほりぢた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かしくけではあられぬはるこほりイヤぼくこそが結局けつきよくなりいもといふものあぢしらねどあらばくまであいらしきか笑顔えがほゆたかにそでひかへてりやうさん昨夕ゆふべうれしきゆめたりお前様まへさま学校がくかう
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たゞなかにも、はじめてうれしさをりましたのは、わたしたちをんななが黒髮くろかみです……しろまくらながれるやうにかゝりましたのが、自分じぶんながら冷々ひや/\と、こほりばしていたやうで
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
地寒ちかんのよわきとつよきとによりてこほりあつきうすきとのごとし。天に温冷熱をんれいねつの三さいあるは、人のはだへあたゝかにくひやゝ臓腑ざうふねつするとおな道理だうり也。気中きちゆう万物ばんぶつ生育せいいくこと/″\く天地の気格きかくしたがふゆゑ也。
その下駄げたにておもものちたればあしもと覺束おぼつかなくてながもとこほりにすべり、あれともなくよこにころべば井戸いどがはにてむかずねしたゝかにちて、可愛かわいゆきはづかしきはだむらさき生々なま/\しくなりぬ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
鉢肴はちざかなまたあらひとなへ、縁日えんにち金魚きんぎよどんぶりかせて——(こほりへてもいゝ)——のちにひきものにたせてかへす、ほとん籠城ろうじやううまあら傳説でんせつごとき、すご寸法すんぱふがあると仄聞そくぶんした。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
今日けふよりはわたしうちかへりて伯父樣おぢさま介抱かいほう活計くらしたすけもしまする、らぬこととて今朝けさまでも釣瓶つるべなわこほりらがつたは勿躰もつたいない、學校がくかうざかりのとししゞみかつがせてあねなが着物きものきてらりようか
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひとづてにいたばかりですけれども、に、やまに、あめとなり、つゆとなり、ゆきや、こほりで、もとのみづかへつたはては、妓夫上ぎふあがりと世帶しよたいつて、土手どてで、おでんをしてゐたのが
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まつはるこほり朝日あさひかげおのづからけわたるをりならでは何事なにごと甲斐かひありともおぼえずれも/\異見いけんふなこゝろはなしをなぐさめて面白おもしろをおもしろしとおもはするのが肝要かんえうぞとわれ先立さきだちて機嫌きげん
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
禪師ぜんじ見給みたまひて、やがて禪杖ぜんぢやうとりなほし、作麽生そもさん何所爲なんのしよゐぞと一喝いつかつして、かれかうべうちたまへば、たちまちこほり朝日あさひふがごとせて、かの青頭巾あをづきんほねのみぞ草葉くさばにとゞまりける。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
チチとくのがこほりけるやうにひゞいて、ふきこぼるゝあははなみだした。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おほみそかは大薩摩おほざつまの、ものすごくもまた可恐おそろしき、荒海あらうみ暗闇やみのあやかしより、山寺やまでらがく魍魎まうりやういたるまで、みぞれつてこほりつゝ、としたてくといへども、巖間いはまみづさゝやきて、川端かはばた辻占つじうら
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まどけると、こほりそゝぐばかり、さつあめつめたい。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
びり/\とこほりけづるやうにくちびるへきしんでひゞいた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
天窓あたまからこほりびたやうにすぢがしまつた。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)