はしら)” の例文
いよいよ、お妃さまがはしらにしばりつけられました。火がはやくも赤いしたをチョロチョロさせて、お妃さまの着物きものをなめはじめました。
親仁おやぢわめくと、婦人をんな一寸ちよいとつてしろつまさきをちよろちよろと真黒まツくろすゝけたふとはしらたてつて、うまとゞかぬほどに小隠こがくれた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしは、まちへわらじをっていってかえりにさけおうとおもって、徳利とくりを、はしらにかけておいたのだ。」と、おじいさんはいいました。
こまどりと酒 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わがくにける三階建さんがいだて勿論もちろん二階建にかいだて大抵たいてい各階かくかいはしらとこ部分ぶぶんおいがれてある。すなはとほはしらもちひないで大神樂造だいかぐらづくりにしてある。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
しかるに文政八酉の十二月、れいの如く薪を拾ひに出しに、物ありてはしらのごとく浪にたゞよふをみれば人のかしらとみゆる物にて甚兇悪きやうあくなり。
そして、とまるたびに、地上からまいあがるほこりのはしらのようなものをい入れました。こうして、その雲はだんだん大きくなりました。
そのむらにも伯父をぢさんがつて挨拶あいさつしてうちがありましたが、入口いりぐちはしらのところにつながれてうまとうさんたちはうまして
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
其れからたヽみの破れを新聞で張つた、はしらゆがんだ居間ゐまを二つとほつて、横手の光琳の梅を書いたふるぼけた大きい襖子ふすまを開けると十畳敷許の内陣ないぢん
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
その時こうぎしちかくの少し下流かりゅうの方で、見えない天の川の水がぎらっと光って、はしらのように高くはねあがり、どおとはげしい音がしました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
小屋をぬいたほのおはしらはボウーッとまっすぐに立って、りつ斬られつ、みだれあう黒い人かげの点在てんざいを見せる巨大きょだい篝火かがりびのごとくえている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はしらはかたむいて、うちというのもばかりのひどいあばらでしたから、ぼうさんは二びっくりして、さすがにすぐとは中へはいりかねていました。
安達が原 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
つぎにははしらにかかっていた帽子ぼうしが、きりきりとちゅうにって、二、三回転かいてんしたかと思うと、矢のようにおかみさんの顔めがけてぶつかってきた。
またべつ先生方せんせいがたからおきになる場合ばあひがありませう。なほふるいおてらのあつたところには、かはらのほかにおほきなはしら礎石そせきのこつてゐることもあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
「おつうとそれ、返辭へんじするもんだ」小聲こごゑでいつてかすかわらつた。勘次かんじ怪訝けげん容子ようすをしてはしらかげ凝然ぢつしかめた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いかさまふる建物たてものと思はれて、はしらさびがある。其代り唐紙からかみ立附たてつけが悪い。天井は真黒だ。洋燈許らんぷばかりが当世にひかつてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はしらにも、ふるこけあつしてり、それがちりひとつなき、あくまできよらかな環境かんきょうとしっくりってりますので、じつなんともいえぬ落付おちつきがありました。
この島はまたの名を天一あめひとはしらといいます。次に對馬つしまをお生みになりました。またの名をアメノサデヨリ姫といいます。次に佐渡さどの島をお生みになりました。
すると、機から十メートルばかりへだったところに、テントが、はしらもしないで、雪のうえにひろげられていた。
氷河期の怪人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
みなのもの祝義しうぎでもつかはしませうとてこたへもかずずん/\と引出ひきいだすを、きやくはしらよりかゝつてながめながら小言こゞともいはず、諸事しよじおまかせ申すと寛大かんだいひとなり。
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたしどもははしら障子しやうじほねくろずんだ隔座敷ざしきへとほされた。とこには棕梠しゆろをかいたぢくかヽつてゐたのをおぼえてゐる。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
いつしかこれが發達はつたつして、はしらてゝそのうへに三かくのバラツクをせたのが今日こんにち普通民家ふつうみんか原型げんけいである。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
三畳の方は茶の間になツてゐて、此處には長火鉢ながひばちゑてあれば、小さなねずみいらずと安物やすもの茶棚ちやだなも並べてある。はしらには種々なお札がベタ/\粘付はりつけてあツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
高手たかて小手こてしばりあげ傍らなるはしらくゝ着置つけおきヤレ/\大騷ぎをしたりと云ながら其身は臥寢ふしどいりたりけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なほ人智じんちがいよ/\發達はつたつ人口じんこうがどん/\すにつれて、最後さいごには奧山おくやままでもつて家屋かおく橋梁きようりよう器具きぐ機械きかい汽車きしや電車でんしや鐵道てつどう枕木まくらぎ電信でんしん電話でんわはしらといふように
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
その近所きんじょにはいまでもきつねたぬきがいるそうで、ふゆよるなど、ひと便所べんじょにゆくため戸外こがいるときには、をあけるまえに、まず丸太まるたをうちあわせたり、はしらたけでたたいたりして
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「もろもろの薫物かをりものをもて身をかをらせ、けむりはしらのごとくして荒野より来たるものは誰ぞや」
乾あんず (新字旧仮名) / 片山広子(著)
こずえにのみ一團いちだんがあつて、みき丁度ちやうど天幕てんまくはしらのやうに、數百間すうひやくけん四方しほう規則正きそくたゞしくならんで奇妙きめうはやししたくゞつたりして、みち一里半いちりはんあゆんだとおもころ一個いつこいづみそばた。
ぽんづつをくぎつてくプラットフォオムのはしらわすれたやうな運水車うんすゐしや、それから車内しやないたれかに祝儀しうぎれいつてゐる赤帽あかばう——さうふすべては、まどきつける煤煙ばいえんなか
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
岩畳な彼をるゝその家は、基礎どだい切石きりいしにし、はしらの数を多くし、屋根をトタンでつつみ、えんけやきで張り、木造のおにいわやの如く岩畳である。彼に属する一切のものは、其堅牢けんろうな意志の発現はつげんである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
玄子げんしとははやしりて、えだきたり、それをはしらとして畑中はたなかて、日避ひよけ布片きれ天幕てんとごとり、まめくきたばにしてあるのをきたつて、き、其上そのうへ布呂敷ふろしきシオルなどいて
掛け香のけむりひまなきはしらをば白き錦につつませにけり
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
わたしはくづれてゆく肉體のはしらをながめた。
定本青猫:01 定本青猫 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
はしら黄金甍こがねいらかつまにして寝陵しんりようは見ゆまろ枯山からやま
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
くるはしらがくれのたたずまひ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
はしらおもてかくしぬ。
おもひで (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
はしらかげをよせて
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
しかるに文政八酉の十二月、れいの如く薪を拾ひに出しに、物ありてはしらのごとく浪にたゞよふをみれば人のかしらとみゆる物にて甚兇悪きやうあくなり。
下谷したや團子坂だんござか出店でみせなり。なつ屋根やねうへはしらて、むしろきてきやくせうず。時々とき/″\夕立ゆふだち蕎麥そばさらはる、とおまけをはねば不思議ふしぎにならず。
神楽坂七不思議 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そして、このものには、幾本いくほんあしがあって、それがへびのように、電信柱でんしんばしら街灯がいとうはしらに、まきついて、つめからがしたたっている。
天女とお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
一體いつたい家屋かおくあたらしいあひだはしら横木よこぎとのあひだめつけてゐるくさびいてゐるけれども、それが段々だん/″\ふるくなつてると、次第しだいゆるみがる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
博士はかせは小さくったみどりいろの紙をジョバンニのポケットに入れました。そしてもうそのかたちは天気輪てんきりんはしらこうに見えなくなっていました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
かれすこしばかりあましてあつたたくはへからむしくひでもなんでもはしらになるやら粟幹あはがらやらをもとめて、いへ横手よこてちひさな二けんはうぐらゐ掘立小屋ほつたてごやてる計畫けいくわくをした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
左の手に蝋燭ろふそくを持つて兄の背後うしろまはつたが、三筋みすぢ麻縄あさなはで後手にしばつてはしらくヽり附けた手首てくびは血がにじんで居る。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
しかしその小屋こやはしらだとか屋根やねなどはちやすいものでつくつてあつたから、今日こんにちではまったくのこつてゐません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
それは京都きやうと共通きようつうくら陰氣いんきつくりのうへに、はしら格子かうし黒赤くろあかつて、わざと古臭ふるくさせたせま貸家かしやであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
竹童も、ハッとふといいきをついた。まッくろなけむりはしらが、もくもくと宙天ちゅうてんにおどりあがっているのを見る。……
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いよいよ、おきさきさまははしらにしばりつけられました。やがて、そのまわりじゅうに火がもえだしました。
蟹寺博士は先頭に立って、指図さしずをしていた。まずX線研究室のドアがひらかれ、その中に○○獣を閉じこめたセメントはしらが搬びこまれた。室内は直ちに暗室にされた。
○○獣 (新字新仮名) / 海野十三(著)
たえず風に吹きさらされて、つやのでた黒い岩も見えます。水のおもてからまっすぐにきでてる岩のはしらもあちこちにありますし、入口のせまい、暗い洞窟どうくつも見えます。
このごろ御所ごしょえをやって、天子てんしさまのおやすみになる御殿ごてんはしらてたときに、大工だいくがそそっかしく、東北うしとらすみはしらの下にへびかえるめにしてしまったのだ。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)