目的もくてき)” の例文
これもなんの目的もくてきのために出來できたものであるかはわかりませんが、やはり宗教的しゆうきようてき意味いみをもつてつくられたものであらうとおもはれます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
理科大學人類學教室りくわだいがくじんるゐがくけうしつには磨製石斧三百計り有れど、兩端りやうたんに刄有るものはただのみ。コロボックルは磨製石斧をなん目的もくてきに用ゐしや。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
らに兵庫ひょうご和田岬わだみさきに新砲台の建築けんちくを命じたるその命を受けて築造ちくぞうに従事せしはすなわち勝氏かつしにして、その目的もくてきもとより攘夷じょういに外ならず。
「よくは目的もくてきがわかりませぬが、ことによると、源氏閣げんじかく監禁かんきんしておく女を、すくいだしにきたいのち知らずであるやも知れませぬ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしながら金解禁きんかいきん準備じゆんびとしては在外正貨ざいぐわいせいくわ潤澤じゆんたくたことはその準備じゆんび大半たいはん目的もくてきたつしたとつて差支さしつかへないのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
人のいのちを花になぞらえて、散ることだけが若人わこうど究極きゅうきょく目的もくてきであり、つきぬ名誉であると教えられ、信じさせられていた子どもたちである。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
これが旅先でなかつたら——もう一つ、大事な目的もくてきのある旅でなかつたら、平次も娑婆しやばつ氣を出して、二人の浪人者を取ひしいだかも知れません。
なんのために、いれずみすることが、さうした目的もくてきかなふのかわからないが、うた意味いみはともかく、さうにちがひありません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
づ、わたくし世界せかい漫遊まんゆう目的もくてきで、横濱よこはまみなと出港ふなでしたことから、はじめ米國ベイこくわたり、それより歐羅巴エウロツパ諸國しよこく遍歴へんれきした次第しだい
親方の目的もくてきは少しでも早くパリへ行き着くことであった。それは冬のあいだ芝居しばいをして回れるのはパリだけであった。
そのおとこは、ただ忠実ちゅうじつ仕事しごとのことばかりかんがえているようでした。それには、なにか、目的もくてきがあったのかもしれない。
火を点ず (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかしながら、白状はくじやうする。此時代このじだいには、研究けんきうだい四かだいで、だい三は好奇心かうきしんであつた。だい二は弄古的ろうこてき慾心よくしん?であつた。だい一はじつ運動うんどう目的もくてきであつた。
言譯いひわけきくみゝはなし家賃やちんをさめるかたなけるかみちふたつぞ何方どちらにでもなされとぽんとはたくその煙管きせるうちわつてやりたいつらがまち目的もくてきなしに今日けふまでと
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その目的もくてきおよそ三つにわかつことが出來できる。一はうらみはうずるためで一ばんこわい。二は恩愛おんあいためむしろいぢらしい。三は述懷的じゆつくわいてきである。一のれいかぞふるにいとまがない。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
と、だしぬけに、一羽のガンがキツネの姿を見つけました。そして、キツネがよくない目的もくてきでやって来たのを見てとって、たちまち大声でさけびたてました。
利根とね水源すゐげん確定かくていし、越後えちごおよ岩代いわしろ上野かうずけの国境をさだむるを主たる目的もくてきとなせども、かたは地質ちしつ如何いかん調査てうさし、将来しやうらい開拓かいたくすべき原野げんやなきやいなや良山林りやうさんりんありやいなや
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
もしまた医学いがく目的もくてきくすりもって、苦痛くつううすらげるものとすなれば、自然しぜんここに一つの疑問ぎもんしょうじてる。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
この目的もくてきたつしてこそわれ/\は他國人たこくじんたいしてはづかしいといふかんじからはじめてまぬかられるであらう。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
わしたまやりるは、ひめかほようがためでもあるが、それよりもひめけたたふと指輪ゆびわある大切たいせつよう使つかはうため取外とりはづしてるのがおも目的もくてきぢゃによって、はやね。
かれ勘次かんじにはつた。かれ荒繩あらなはつたことをこゝろづいたときかきひくえだにそれを引掛ひつかけようとしてげた。かれ不自由ふじいう暗夜あんや目的もくてきげさせなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
私達わたくしたちは一おう参拝さんぱいませてから、ただちに目的もくてき銀杏いちょう近寄ちかよりますと、はやくもそれとづいたか、白茶色しろちゃいろ衣裳いしょうをつけた一人ひとり妖精ようせい木蔭こかげからあゆで、私達わたくしたちちかづきました。
けれどもおほくのひとごとくに判然はつきりした目的もくてきつてゐなかつた。其内そのうちみせいた。電車でんしや燈火あかりもした。宗助そうすけはある牛肉店ぎうにくてんがつてさけした。一ぽん夢中むちゆうんだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
基督きりすと兵卒へいそつなり、兵卒は其時そのとききたまでなにをなすべきかを知らず、しゆめいならん乎、高壇かうだんつ事もあるべし、官海くわんかいたうずるやもはかられず、基督信者は目的もくてきなき者なり
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
で、宿やど了見れうけんばかりで電報でんぱうつた、とえて其処そこ出逢であつた一群いちぐんうちには、おうら親類しんるゐ二人ふたりまざつた、……なかない巡査じゆんさなどは、おな目的もくてきで、べつ方面はうめんむかつてるらしい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すなは今時こんじ内職ないしよく目的もくてきかゆあらず塩にあら味噌みそあらず安コートを引被ひつかけんがためそろ安縮緬やすちりめん巻附まきつけんがためそろ今一歩をすゝめて遠慮ゑんりよなく言はしめたまへ安俳優やすはいいうに贈り物をなさんがめにそろ
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
それからおまえはうんと走って陸地測量部りくちそくりょうぶまで行くんだ。そして二人ともこううんだ。北緯ほくい二十五東経とうけいりんところに、目的もくてきのわからない大きな工事こうじができましたとな。二人とも言ってごらん
ありときのこ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
人車じんしやると最早もはや半分はんぶんはらいたになつた。この人車鐵道じんしやてつだう目的もくてき熱海あたみ伊豆山いづさんはらごと温泉地をんせんちにあるので、これにれば最早もはや大丈夫だいぢやうぶといふになるのは温泉行をんせんゆき人々ひと/″\同感どうかんであらう。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ける銃架じうか。おまへ目的もくてきらず理由りいうはず
單に形状けいじようのみを見るも穀類抔こくるゐなどにするときだいの如くにおもはるれど、アフリカの内地ないちの土人は現に同形どうけいの石器を同樣どうやう目的もくてきに用ゐ居るなり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
こういうと、若い神官たちは、べつになにかいそぐ目的もくてきがあるらしく、ばらばらと千ねん山毛欅ぶなもとへかけあつまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なにもそれを目的もくてきといふわけではなかつたが、三十六ねんの六ぐわつ二十三にちであつた。望蜀生ぼうしよくせいとも陣屋横町ぢんやよこちやう立出たちいでた。
私共わたくしども乘組のりくはづ弦月丸げんげつまると、おなおなこくに、ネープルスかう出發しゆつぱつする海蛇丸かいだまる目的もくてきまでもありません。
だれでも實際じつさいあたつて一々いち/\營養えいやう如何いかん吟味ぎんみしてものはない、だい一にあぢ目的もくてきとしてふのである。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
素性すぜうへずは目的もくてきでもいへとてめる、むづかしうござんすね、いふたら貴君あなたびつくりなさりましよ天下てんかのぞ大伴おほとも黒主くろぬしとはわたしこととていよ/\わらふに
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
目的もくてきは言ふまでもなく、俵屋の堂々たる構へ、今は主人孫右衞門と、下男の五助と、下女のお徳のほかには、この構への中に生活してゐる者もない淋しさです。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
すなわち彼等の目的もくてき時機じきに投じて恩威おんいならほどこし、くまでも自国の利益りえきらんとしたるその中には、公使始めこれに附随ふずいする一類いちるいはいにも種々の人物じんぶつありて
じつに一行が首尾しゆび探検たんけん目的もくてきを達するを得たるは、忠実ちうじつ勇壮ゆうさうなる人夫の力大にあづかつてちからありとす。
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
もしまた醫學いがく目的もくてきくすりもつて、苦痛くつううすらげるものとすなれば、自然しぜんこゝに一つの疑問ぎもんしやうじてる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それで美術的びじゆつてき目的もくてきよりも、まったく實用的じつようてきになつたものがおほいことがわかります。(第七十二圖だいしちじゆうにず
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
べつに、また一人ひとり若者わかものがありました。こころざしをたて、故郷こきょうてから、もう幾年いくねんにかなりましたけれど、目的もくてきたっすることができずに、あちら、こちらと流浪るろうしていました。
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかも不意のおくり物でおどろかすというのがわたしたちの第一の目的もくてきであったことをげた。
働くことしか目的もくてきがないようなこの寒村の子どもたちと、どのようにしてつながってゆくかを思うとき、一本松をながめてなみだぐんだ感傷かんしょうは、ずかしさでしか考えられない。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
彼等かれらはそれでひかりおよ範圍内はんゐないには自分じぶんあらはさないで目的もくてきげようと苦心くしんする。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
著者ちよしや少年諸君しようねんしよくんむかつて、地震學ぢしんがくすゝんだ知識ちしき紹介しようかいしようとするものでない。またたとひ卑近ひきん部分ぶぶんでも、震災防止しんさいぼうし目的もくてき直接ちよくせつ關係かんけいのないものまでろんじようとするのでもない。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
かれこのばんかぎつて、ベルをらしていそがしさうにまへつたりたりする電車でんしや利用りようするかんがへおこらなかつた。目的もくてきつてみちひとともに、拔目ぬけめなくあしはこばすことわすれた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
みづから一の目的もくてきさだめ、万障ばんしやうはいし、終生しうせいてつその目的点もくてきてんたつせんとつとむるが如きは不信仰ふしんこう時代じだい行為こうゐなりき、しゆめいしたがひ、今日こんにち今日こんにちげふす、今日こんにち生涯しやうがいなり
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
北緯ほくい二十五東経とうけいりんところ目的もくてきのわからない大きな工事こうじができました」
ありときのこ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
では、標本みほんのつもりで、わたくしはは歿なくなったおり模様もようを、ありのままにおはないたしましょう。わざわざしらべるのが目的もくてきで、った仕事しごとではないのですから、むろんいろいろ見落みおとしはございましょう。
「いや、試合順しあいじゅんはきまりませぬ。御岳みたけ兵法大講会へいほうだいこうえ主旨しゅしは、世にかくれたる人材じんざいをひろいだすのが目的もくてきでもござれば」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其人そのひといま新聞しんぶん題目だいもくとなつて世人よのひといぶか旅路たびぢこゝろざしたといふ、その行先ゆくさき何地いづこであらう、その目的もくてきなんであらう。