みなみ)” の例文
世界せかい植物しょくぶつあいするひとたちで、おそらく、わたしをっていないものはあるまいね。わたしは、みなみあたたかなしまはやしなかそだちました。
みつばちのきた日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
勘次かんじはそれでも分別ふんべつもないので仕方しかたなしに桑畑くはばたけこえみなみわびたのみにつた。かれふる菅笠すげがさ一寸ちよつとあたまかざしてくびちゞめてつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
なんとも、ありがたうぞんじます——けて今晩こんばん御苦勞樣ごくらうさまです……のち御加勢ごかせいにまゐります。」おなじくみなみどなりへらせにおいでの
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みなみまはすと、玄關げんくわんからの入口いりぐち半分はんぶんふさいで仕舞しまふし、ひがしすとくらくなる、とつて、のこ一方いつぽうてればとこかくすので、宗助そうすけ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
兵法へいほうに申す、小河しょうがひがしにあるを田沢でんたくといい、流水りゅうすいみなみにあるを青龍せいりゅうとよび、西に道あるを朱雀すじゃくづけ、北に山あるを玄武げんぶ、林あるを白虎びゃっこしょう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのがたそらした、ひるのとりでもゆかないたかいところをするどいしものかけらがかぜながされてサラサラサラサラみなみのほうへとんでゆきました。
いちょうの実 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
うしてほとん毎日まいにちごとつてうちに、萱原かやはらを三げんはゞで十けんばかり、みなみからきたまで掘進ほりすゝんで、はたはうまで突拔つきぬけてしまつた。
だが私はその次の瞬間、自分が現在はみなみと呼ばれていることがじーんと電鈴のように五官の中へ鳴り響いて来るのを感じた。
光の中に (新字新仮名) / 金史良(著)
庭では、近くのみなみさん夫婦の声も交って陽気な話し声や笑い声があがっていた。その声が耳についてなかなか眠れなかった。
支那しなでは、たゞいままをしたように新石器時代しんせつきじだいのものがるばかりではなく、その北方ほつぽう黄河こうがながれがきたまがつて、またみなみへをれてるあたりでは
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
吉彦よしひこさんがいった。四郎五郎しろごろうさんのいえ正男まさおさんは、うみ荒鷲あらわし一人ひとりで、いまみなみそら活躍かつやくしていらっしゃるのだ。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
老博士の助力者として航空技術本部の木本きもと工学博士、大学助教授みなみ工学博士の外に製図専門の技師二名、その護衛役としては老博士の子息新一青年
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
春枝夫人はるえふじんもいと晴々はれ/″\しき顏色がんしよくで、そよ/\とみなみかぜびんのほつれはらはせながら餘念よねんもなく海上かいじやうながめてる。
大正十二年たいしようじゆうにねん關東大地震かんとうだいぢしんおい熱海港あたみこう兩翼りようよくすなはきた衞戍病院分室えいじゆびよういんぶんしつのあるへんみなみ魚見崎うをみざきおいてはなみたか四五尺しごしやくしかなかつたが、船着場ふなつきばでは十五尺じゆうごしやく
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
そも/\空想くうさうは、空氣くうきよりもほのかなもので、いま北國ほっこく結氷こほり言寄いひよるかとおもへば、たちまはらてゝ吹變ふきかはって、みなみつゆこゝろするといふそのかぜよりも浮氣うはきなものぢゃ。
中房なかふさから東沢乗越ひがしさわのっこしを経て高瀬たかせ川の上流へと下り烏帽子へかかってみなみ沢から黒部くろべ川へ出ることも出来る。
可愛い山 (新字新仮名) / 石川欣一(著)
 おな平地へいちでも臺灣たいわん本州ほんしゆう北海道ほつかいどうとでは樹木じゆもくちがつてゐるように地球上ちきゆうじよう緯度いどにつれて、ひかへると赤道せきどうからみなみきたとへむかつてたひらにすゝんでいくとすれば
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
宮の御最期まで側近に奉仕してゐた、藤原保藤の女みなみの方といふ方は、その時、さぞかし騷がれたことであらう。親王樣を庇はうにも、女の腕では庇ふ所詮もないのである。
滑川畔にて (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
わかまをすがしいとつてもれがゆめならば仕方しかたのないこと、さ、おいでなされ、わたくしかへります、けてはみちさびしう御座ござりますぞとて空車からぐるまいてうしろく、其人それひがしへ、此人これみなみ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しばらくして、ラランはそのよはつたからだをみなみけて、あつ印度インドはうへふらふらんでゐたが、ガンガといふ大河たいか上流じようりうで、火傷やけどしたくちかわきを湿うるほさうとしてあやまつておぼんでしまつた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
えうへいつよくし(一〇六)馳説ちぜい(一〇七)從横しようくわうものやぶるにるなり。ここおいみなみは百ゑつたひらげ、きた陳蔡ちんさいあは(一〇八)しんしりぞけ、西にししんつ。諸矦しよこうつよきをうれふ。
わたくし地上ちじょうったころ朝廷ちょうていみなみきたとのふたつにわかれ、一ぽうには新田にった楠木くすのきなどがひかえ、他方たほうには足利あしかがその東国とうごく武士ぶしどもがしたがい、ほとんど連日れんじつ戦闘たたかいのないとてもない有様ありさまでした……。
ここからみなみほうさるしまというところがございます。そこにはさるがたくさんんでおりますから、どなたかお使つかいをおやりになって、さるを一ぴきおつかまえさせになれば、よろしゅうございます。
くらげのお使い (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
元来が蒲柳ほりゅうの質であるところへ、腎臓の持病があり、めったに出稽古などに来てくれる人ではないのに、もう初夏の暑い日ざかりに、大阪のみなみの方から阪急電車で出向いて来てくれると云うのは
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
永楽帝の燕王たるや、塞北さいほくに出征して、よく胡情こじょうを知る。部下の諸将もまた夷事いじに通ずる者多し。王のみなみする、幕中ばくちゅう番騎ばんきを蔵す。およこれの事に徴して、永楽帝の塞外さくがいの状勢をさとれるを知るべし。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
扨も檢使にはかゝり合の者一同召連めしつれて北の番所へ(幕府ばくふの頃は町奉行兩人有てみなみきたと二ヶ所に役宅やくたくあり)かへりしかば中山出雲守殿へ檢使の次第を言上いひあげ且夫々の口書を差出さしいだしけるに出雲守殿も長庵が佞辯ねいべん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
みなみ陽を受けた羽目にもたれて、平次は八五郎の報告をうながしました。
そうひどくひと退けながらみなみもんはうつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
打寄する浪は寂しくみなみなる樹々きぎぞ生ひたるかげふかきまで
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
みなみみち子さんは丈の短い襟掛羽織えりかけばおりを着た人でした。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
南無とは、決してみなみしではありません。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
しろがねあぶみ、わかごまの騎士もみなみ
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
遠近おちこちみなみすべく北すべく
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
あだなみなみのニグレスが
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
みなみしま船出ふなでせし
寡婦の除夜 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
みなみの村に我うまれ
筑波ねのほとり (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
みなみいへ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
かがやいて、あたたかなかぜが、やわらかなくさうえわたるときは、ふえうたこえは、もつれあって、あかるいみなみうみほうながれてゆきました。
港に着いた黒んぼ (新字新仮名) / 小川未明(著)
その與吉よきちみなみ女房にようばうから薄荷はくかはひつた駄菓子だぐわしを二つばかりもらつた。うら垣根かきねから桑畑くはばたけえてあるきながら與吉よきち菓子くわししやぶつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
西日にしびかわ井戸端ゐどばた目笊めざるに、のこンのさむさよ。かねいまだこほの、きたつじ鍋燒なべやき饂飩うどんかすかいけいしひゞきて、みなみえだつきすごし。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
みなみよう恰好かつこうをした人間にんげんで、それは今日こんにちみなみアフリカの土人どじんブッシュマンなどが非常ひじようてゐるのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
勿論もちろん旋風つむじかぜつねとて一定いつてい方向ほうかうはなく、西にしに、ひがしに、みなみに、きたに、輕氣球けいきゝゆうあだか鵞毛がもうのごとく、天空てんくうあがり、さがり、マルダイヴ群島ぐんたううへなゝめ
讀者どくしやもし世界地圖せかいちずひらかれたなら、アフリカの西沿岸にしえんがんおほきなくぼみが、大西洋たいせいようへだてた對岸たいがんみなみアメリカ
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
ぼくまたしてもおもいした、吉彦よしひこさんがかねをつくときった言葉ことばを——「西にしたにひがしたにも、きたたにみなみたにるぞ。ほれ、あそこのむらもここのむらるぞ。」
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
海岸かいがんからだん/\に山地さんちへかゝり高山こうざんのぼつていくにつれ、だん/\と温度おんどひくくなるのは、ちょうど緯度いどみなみからきたすゝむにしたがつてさむさがますのとおなじです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
そう云えば私はこの協会の中では、いつの間にかみなみ先生で通っていた。私の苗字は御存じのようになんと読むべきであるが、いろいろな理由で日本名風に呼ばれていた。
光の中に (新字新仮名) / 金史良(著)
「こゝは寒帶かんたいだから炬燵こたつでもかなくつちやしのげない」とつた。小六ころく部屋へやになつた六でふは、たゝみこそ奇麗きれいでないが、みなみひがしいてゐて、家中うちぢゆう一番いちばんあたゝかい部屋へやなのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
(二七)桓公くわんこうじつ少姫せうきいかつて、みなみのかたさいおそふ。管仲くわんちうつてち、(二八)包茅はうばうの・周室しうしつ入貢にふこうせざるをむ。桓公くわんこうじつきたのかた山戎さんじうせいす、しかうして管仲くわんちうつてえんをして召公せうこうまつりごとをさめしむ。
青島あをしま木立こだちを見ればかなしかるみなみうみのしげりおもほゆ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
みなみ紺屋こうや宿やどとろか。
桜さく島:春のかはたれ (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)