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召連
供二人三人
召連れ
春風と
言ふ
遠がけの
馬に
乗り、
塔のあたりに
至り、
岩窟堂の
虚空蔵にて
酒をのむ——とある。
古武士が
野がけの
風情も
興あり。
達すれば
殺生禁斷の
場所へ
網を
卸せしと見ながら
其儘に
差置難し此度は
自身參べしとて
與力二人を
召連れ阿漕が浦に
到れば其夜も徳太郎君
例の如く
網を
明日
召連べく旨忠兵衞并に
差添の町役人へ申渡され
白洲は引けければ忠兵衞は心も空に立戻り
云々なりと長庵が
言掛し事を
呼出すべしと
差紙に付町役人七助を
召連罷出ければ大岡殿
何歟思さるゝ事ありて此日は
吟味もなく
追て
呼出すまで七助梅は家主へ
預けると申付られけり