トップ
>
低
>
ひく
ふりがな文庫
“
低
(
ひく
)” の例文
そこで、王子は、森にむかってずんずん進んでいきますと、大きな木も
低
(
ひく
)
い木も、草やぶもいばらも、みんな道をよけて通しました。
眠る森のお姫さま
(新字新仮名)
/
シャルル・ペロー
(著)
これより他木さらになく、俗に唐松といふもの風にたけをのばさゞるが
稍
(
こずゑ
)
は雪霜にや
枯
(
から
)
されけん、
低
(
ひく
)
き森をなしてこゝかしこにあり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
カアカア、アオウガアガアガア、と五六
羽
(
は
)
、
水
(
みづ
)
の
上
(
うへ
)
へ
低
(
ひく
)
く
濡色
(
ぬれいろ
)
の
烏
(
からす
)
、
嘴
(
くちばし
)
を
黒
(
くろ
)
く
飛
(
と
)
ぶ。ぐわた/\、かたり/\と
橋
(
はし
)
の
上
(
うへ
)
を
曳
(
ひ
)
く
荷車
(
にぐるま
)
。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
冷静
(
れいせい
)
なる
社会的
(
しやくわいてき
)
の
眼
(
め
)
を
以
(
もつ
)
て
見
(
み
)
れば、
等
(
ひと
)
しく之れ
土居
(
どきよ
)
して
土食
(
どしよく
)
する一ツ
穴
(
あな
)
の
蚯蚓
(
みゝず
)
蝤蠐
(
おけら
)
の
徒
(
ともがら
)
なれば
何
(
いづ
)
れを
高
(
たか
)
しとし
何
(
いづ
)
れを
低
(
ひく
)
しとなさん。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
眼鏡
(
めがね
)
をかけているのが、
有田
(
ありた
)
くんのお
母
(
かあ
)
さん、
背
(
せ
)
の
低
(
ひく
)
いちぢれ
髪
(
がみ
)
のが、
東
(
あずま
)
くんのお
母
(
かあ
)
さん、ふとっているのは、
小原
(
おばら
)
くんのお
母
(
かあ
)
さんさ。
生きぬく力
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
例
(
たと
)
へば
相模平野
(
さがみへいや
)
に
起
(
おこ
)
る
地震
(
ぢしん
)
に
於
(
おい
)
ては、
其地方
(
そのちほう
)
の
北西方
(
ほくせいほう
)
に
於
(
おい
)
て
氣壓
(
きあつ
)
が
高
(
たか
)
く、
南東方
(
なんとうほう
)
に
於
(
おい
)
てそれが
低
(
ひく
)
いと
其地方
(
そのちほう
)
の
地震
(
ぢしん
)
が
誘發
(
ゆうはつ
)
され
易
(
やす
)
い。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
下
(
した
)
には
小石
(
こいし
)
が一
面
(
めん
)
に
敷詰
(
しきづ
)
めてある。
天井
(
てんぜう
)
の
高
(
たか
)
さは
中央部
(
ちうわうぶ
)
は五
尺
(
しやく
)
四
寸
(
ずん
)
あるが。
蒲鉾式
(
かまぼこしき
)
に
圓
(
まる
)
く
張
(
は
)
つて
居
(
ゐ
)
るので、四
隅
(
すみ
)
はそれより
自然
(
しぜん
)
に
低
(
ひく
)
い。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
牧場
(
ぼくじょう
)
のうしろはゆるい
丘
(
おか
)
になって、その黒い
平
(
たい
)
らな
頂上
(
ちょうじょう
)
は、北の
大熊星
(
おおくまぼし
)
の下に、ぼんやりふだんよりも
低
(
ひく
)
く、
連
(
つら
)
なって見えました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
大きなお
城
(
しろ
)
がそびえ立ち、
低
(
ひく
)
い
壁
(
かべ
)
と
離
(
はな
)
れ
屋
(
や
)
にかこまれた中庭には、美しく石がしきつめてあって、
古風
(
こふう
)
な
庭園
(
ていえん
)
はいかにも
優雅
(
ゆうが
)
です。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
慶州
(
けいしゆう
)
には
周圍
(
しゆうい
)
に
低
(
ひく
)
い
山
(
やま
)
があつて、
一方
(
いつぽう
)
だけ
少
(
すこ
)
し
開
(
ひら
)
けてゐる
地勢
(
ちせい
)
は、ちょうど
内地
(
ないち
)
の
奈良
(
なら
)
に
似
(
に
)
て、まことに
景色
(
けしき
)
のよいところであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
よろめくように
立上
(
たちあが
)
ったおせんは、
窓
(
まど
)
の
障子
(
しょうじ
)
に
手
(
て
)
をかけた。と、その
刹那
(
せつな
)
、
低
(
ひく
)
いしかも
聞
(
き
)
き
慣
(
な
)
れない
声
(
こえ
)
が、
窓
(
まど
)
の
下
(
した
)
から
浮
(
う
)
き
上
(
あが
)
った。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「さうかい、
能
(
よ
)
く
行
(
や
)
つて
來
(
き
)
たね、まあ
上
(
あが
)
りな」
内儀
(
かみ
)
さんはランプを
自分
(
じぶん
)
の
頭
(
あたま
)
の
上
(
うへ
)
に
上
(
あ
)
げて
凝然
(
ぢつ
)
と
首
(
くび
)
を
低
(
ひく
)
くしておつぎの
容子
(
ようす
)
を
見
(
み
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
低
(
ひく
)
くて
眉毛
(
まゆげ
)
濃
(
こ
)
く
眼
(
まなこ
)
尖
(
するど
)
く其上に左の
目尻
(
めじり
)
に
豆粒程
(
まめつぶほど
)
の大きな
黒子
(
ほくろ
)
が一つあり黒
羽二重
(
はぶたへ
)
の
衣物
(
きもの
)
にて紋は丸の中に
確
(
たしか
)
に
桔梗
(
ききやう
)
と言れてお金は横手を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
さうして
學者
(
がくしや
)
も
文學者
(
ぶんがくしや
)
も、かならずしも
上流社會
(
じようりうしやかい
)
の
人々
(
ひと/″\
)
ばかりでなく、かへって
低
(
ひく
)
い
位置
(
いち
)
の
人
(
ひと
)
の
方
(
ほう
)
に
中心
(
ちゆうしん
)
が
移
(
うつ
)
つて
來
(
く
)
るようになりました。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
そこから
上
(
うへ
)
は
再
(
ふたゝ
)
び
落葉濶葉樹
(
らくようかつようじゆ
)
のかば
類
(
るい
)
とかはんのき
類
(
るい
)
とか、
美
(
うつく
)
しい
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
くしゃくなげ
等
(
など
)
の
小
(
ちひ
)
さく
低
(
ひく
)
い
植物
(
しよくぶつ
)
が
生育
(
せいいく
)
してゐます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
『
此樣
(
こん
)
な
工夫
(
くふう
)
をやるのだもの、
此
(
この
)
武村新八
(
たけむらしんぱち
)
だつてあんまり
馬鹿
(
ばか
)
にはなりますまい。』と
眼
(
め
)
を
眞丸
(
まんまる
)
にして
一同
(
いちどう
)
を
見廻
(
みまわ
)
したが、
忽
(
たちま
)
ち
聲
(
こゑ
)
を
低
(
ひく
)
くして
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「わたしは目が見えなくなったかしらん」と親方は
低
(
ひく
)
い声で言って、両手を目に当てた。「森についてまっすぐにおいで。手を
貸
(
か
)
しておくれ」
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
良
(
やゝ
)
しばしありて
雪子
(
ゆきこ
)
は
息
(
いき
)
の
下
(
した
)
に
極
(
きは
)
めて
恥
(
はづ
)
かしげの
低
(
ひく
)
き
聲
(
こゑ
)
して、もう
後生
(
ごしやう
)
お
願
(
ねが
)
ひで
御座
(
ござ
)
りまする、
其事
(
そのこと
)
は
言
(
い
)
ふて
下
(
くだ
)
さりますな
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
長持
(
ながもち
)
の中のしっぺい
太郎
(
たろう
)
は、この
物音
(
ものおと
)
を
聞
(
き
)
くと、くんくん
鼻
(
はな
)
をならして、
低
(
ひく
)
い
声
(
こえ
)
でうなりながら、
今
(
いま
)
にも
飛
(
と
)
びつこうという
身
(
み
)
がまえをしました。
しっぺい太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
代助も脊の
低
(
ひく
)
い方ではないが、
兄
(
あに
)
は一層
高
(
たか
)
く出来てゐる。其上この五六年来次第に肥満して
来
(
き
)
たので、
中々
(
なか/\
)
立派に見える。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
振
(
ふ
)
り
向
(
む
)
くと、それがボズさんと
後
(
のち
)
に
知
(
し
)
つた
老爺
(
ぢいさん
)
であつた。七十
近
(
ちか
)
い、
背
(
せ
)
は
低
(
ひく
)
いが
骨太
(
ほねぶと
)
の
老人
(
らうじん
)
で
矢張
(
やはり
)
釣竿
(
つりざを
)
を
持
(
もつ
)
て
居
(
ゐ
)
る。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
彼等
(
かれら
)
は
皆
(
みな
)
、この
曇天
(
どんてん
)
に
押
(
お
)
しすくめられたかと
思
(
おも
)
ふ
程
(
ほど
)
、
揃
(
そろ
)
つて
脊
(
せい
)
が
低
(
ひく
)
かつた。さうして
又
(
また
)
この
町
(
まち
)
はづれの
陰慘
(
いんさん
)
たる
風物
(
ふうぶつ
)
と
同
(
おな
)
じやうな
色
(
いろ
)
の
著物
(
きもの
)
を
著
(
き
)
てゐた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
場長
(
じょうちょう
)
が
同僚
(
どうりょう
)
と話をしているのに、声が
低
(
ひく
)
くてよく聞きとれないと、
胸騒
(
むなさわ
)
ぎがする。そのかんにも
昨夜
(
さくや
)
考えたことをきれぎれに思いださずにはいられない。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
頗
(
すこぶ
)
る
失望
(
しつばう
)
して
誰
(
だれ
)
かに
助
(
たす
)
けて
貰
(
もら
)
はうと
思
(
おも
)
つてた
矢先
(
やさき
)
でしたから
兎
(
うさぎ
)
が
傍
(
そば
)
へ
來
(
き
)
たのを
幸
(
さいは
)
ひ、
低
(
ひく
)
い
怕々
(
おど/\
)
した
聲
(
こゑ
)
で、『
萬望
(
どうぞ
)
、
貴方
(
あなた
)
——』と
云
(
い
)
ひかけました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
昨日の売れ残りのふかし
甘薯
(
いも
)
がまずそうに並べてある店もあった。雨は細く糸のようにその
低
(
ひく
)
き軒をかすめた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
六
号室
(
ごうしつ
)
の
第
(
だい
)
五
番目
(
ばんめ
)
は、
元来
(
もと
)
郵便局
(
ゆうびんきょく
)
とやらに
勤
(
つと
)
めた
男
(
おとこ
)
で、
気
(
き
)
の
善
(
い
)
いような、
少
(
すこ
)
し
狡猾
(
ずる
)
いような、
脊
(
せ
)
の
低
(
ひく
)
い、
瘠
(
や
)
せたブロンジンの、
利発
(
りこう
)
らしい
瞭然
(
はっきり
)
とした
愉快
(
ゆかい
)
な
眼付
(
めつき
)
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
霧
(
きり
)
は
何時
(
いつ
)
しか
薄
(
うす
)
らいで
來
(
き
)
たのか、
遠
(
とほ
)
くの
低
(
ひく
)
い
丘陵
(
きうりよう
)
や
樹木
(
じゆもく
)
の
影
(
かげ
)
が
鉛色
(
なまりいろ
)
の
空
(
そら
)
を
背
(
せ
)
にしてうつすりと
見
(
み
)
えた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
中国式の
轎
(
かご
)
は
不潔
(
ふけつ
)
ではあるが、読書することもできれば、眠ることもできて、僕には最も
都合
(
つごう
)
よいが、
轎夫
(
きょうふ
)
のがやがや
騒
(
さわ
)
ぐために大いに楽しみの程度を
低
(
ひく
)
められる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
利根山奥の
低
(
ひく
)
き
所
(
ところ
)
は山毛欅帯に
属
(
ぞく
)
し、
高
(
たか
)
きは白檜帯に属す、最高なる所は偃松帯に
属
(
ぞく
)
すれども甚だ
狭
(
せま
)
しとす、之を以て山奥の入口は山の頂上に深緑色の五葉松
繁茂
(
はんも
)
し
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
風
(
かぜ
)
は
少
(
すこ
)
し
吹
(
ふ
)
いて
居
(
お
)
りましたが、
空
(
そら
)
には一
点
(
てん
)
の
雲
(
くも
)
もなく、五六
里
(
り
)
もあろうかと
思
(
おも
)
わるる
広
(
ひろ
)
い
内海
(
いりうみ
)
の
彼方
(
かなた
)
には、
総
(
ふさ
)
の
国
(
くに
)
の
低
(
ひく
)
い
山々
(
やまやま
)
が
絵
(
え
)
のようにぽっかりと
浮
(
うか
)
んで
居
(
お
)
りました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
これまでいたところは、通りにたった一つしかあかりがなく、夜になるとまっ
暗
(
くら
)
だった。ひしゃげたような、木づくりの
低
(
ひく
)
い
家
(
や
)
なみは、みんなよろい戸をおろしてしまう。
キリストのヨルカに召された少年
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
この家にて或る年
田植
(
たうえ
)
の
人手
(
ひとで
)
足
(
た
)
らず、
明日
(
あす
)
は
空
(
そら
)
も
怪
(
あや
)
しきに、わずかばかりの田を植え残すことかなどつぶやきてありしに、ふと
何方
(
いずち
)
よりともなく
丈
(
たけ
)
低
(
ひく
)
き
小僧
(
こぞう
)
一人来たりて
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
なほ遥かに左に
偏
(
かたよ
)
りたるところに島の影の
低
(
ひく
)
く見ゆるが、これぞ——かしは(神集)島なり。
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
そこまで話して来て、闇太郎の目は、異様にふすぼり、語調はためらい、
低
(
ひく
)
まるのだった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
そして、どの
列
(
れつ
)
でも
右側
(
みぎがわ
)
にいるのがちょっと高い方で、
左側
(
ひだりがわ
)
は
低
(
ひく
)
めの
子供
(
こども
)
になっている。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
くまは、
低
(
ひく
)
く長くうなりだした。それは、さっきまでほえたような声とちがって、
大敵
(
たいてき
)
に
出会
(
であ
)
った
場合
(
ばあい
)
に、たがいにすきをねらってにらみ合っているような、
不気味
(
ぶきみ
)
なものだった。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
弓矢
(
ゆみや
)
の
使用
(
しよう
)
は、諸人種に
普通
(
ふつう
)
なるものに
非
(
あら
)
ず。
未開人民中
(
みかいじんみんちう
)
には
今尚
(
いまな
)
ほ之を知らざる者有り。
此點
(
このてん
)
のみに
就
(
つ
)
いて云ふも、コロボックル、の
智識
(
ちしき
)
は
决
(
けつ
)
して
甚
(
はなは
)
だ
低
(
ひく
)
きものには非ざるなり。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
權山
(
ごんざん
)
といふ
峠
(
たうげ
)
は、
低
(
ひく
)
いながらも、
老人
(
らうじん
)
にはだいぶ
喘
(
あへ
)
いで
越
(
こ
)
さねばならなかつた。
峠
(
たうげ
)
の
頂上
(
ちやうじやう
)
からは、
多田院
(
ただのゐん
)
の
開帳
(
かいちやう
)
の
太鼓
(
たいこ
)
の
音
(
おと
)
が
聞
(
きこ
)
えて、
大幟
(
おほのぼり
)
が
松並木
(
まつなみき
)
の
奧
(
おく
)
に、
白
(
しろ
)
く
上
(
うへ
)
の
方
(
はう
)
だけ
見
(
み
)
せてゐた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
汽車
(
きしゃ
)
の中等室にて英吉利婦人に
逢
(
あ
)
う。「カバン」の中より英文の
道中記
(
どうちゅうき
)
取出して読み、
眼鏡
(
めがね
)
かけて車窓の外の山を
望
(
のぞ
)
み居たりしが、記中には此山三千尺とあり、見る所はあまりに
低
(
ひく
)
しなどいう。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
霰
(
あられ
)
や
雪
(
ゆき
)
をもよおす
雲
(
くも
)
は
空
(
そら
)
に
低
(
ひく
)
くかかり、
大烏
(
おおがらす
)
は
羊歯
(
しだ
)
の
上
(
うえ
)
に
立
(
た
)
って
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
手を
膝
(
ひざ
)
に眼を
閉
(
と
)
じて聴く八十一の
翁
(
おきな
)
をはじめ、皆我を忘れて、「
戎衣
(
よろい
)
の
袖
(
そで
)
をぬらし
添
(
そ
)
うらん」と結びの一句
低
(
ひく
)
く
咽
(
むせ
)
んで、四絃一
撥
(
ばつ
)
蕭然
(
しょうぜん
)
として
曲
(
きょく
)
終るまで、息もつかなかった。
讃辞
(
さんじ
)
謝辞
(
しゃじ
)
口を
衝
(
つ
)
いて出る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
小夜吹雪激しくは打て角を
低
(
ひく
)
めたじろぐ牛の
眼
(
まなこ
)
かがやきぬ
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
溜息
(
ためいき
)
低
(
ひく
)
にまよふのみ。——
夢
(
ゆめ
)
なりけらし
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
一学
(
いちがく
)
の声は、
低
(
ひく
)
いが、おごそかである。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いと
低
(
ひく
)
く
歌
(
うた
)
ひはじめぬ
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
これより他木さらになく、俗に唐松といふもの風にたけをのばさゞるが
稍
(
こずゑ
)
は雪霜にや
枯
(
から
)
されけん、
低
(
ひく
)
き森をなしてこゝかしこにあり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
やゝ
低
(
ひく
)
く、
山
(
やま
)
の
腰
(
こし
)
に
其
(
そ
)
の
流
(
ながれ
)
を
繞
(
めぐ
)
らして、
萌黄
(
もえぎ
)
まじりの
朱
(
しゆ
)
の
袖
(
そで
)
を、
俤
(
おもかげ
)
の
如
(
ごと
)
く
宿
(
やど
)
したのは、つい、まのあたり
近
(
ちか
)
い
峰
(
みね
)
、
向山
(
むかひやま
)
と
人
(
ひと
)
は
呼
(
よ
)
ぶ。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
獣
(
けもの
)
の
牙
(
きば
)
をならべるように、
遠
(
とお
)
く
国境
(
こっきょう
)
の
方
(
ほう
)
から
光
(
ひか
)
った
高
(
たか
)
い
山脈
(
さんみゃく
)
が、だんだんと
低
(
ひく
)
くなって、しまいに
長
(
なが
)
いすそを
海
(
うみ
)
の
中
(
なか
)
へ、
没
(
ぼっ
)
していました。
しいたげられた天才
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
シグナレスは、じっと下の方を見て
黙
(
だま
)
って立っていました。本線シグナルつきのせいの
低
(
ひく
)
い
電信柱
(
でんしんばしら
)
は、まだでたらめの歌をやっています。
シグナルとシグナレス
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
其處
(
そこ
)
にはもうそつけなくなつた
女郎花
(
をみなへし
)
の
莖
(
くき
)
がけろりと
立
(
た
)
つて、
枝
(
えだ
)
まで
折
(
を
)
られた
栗
(
くり
)
が
低
(
ひく
)
いながらに
梢
(
こずゑ
)
の
方
(
はう
)
にだけは
僅
(
わづか
)
に
笑
(
ゑ
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
低
常用漢字
小4
部首:⼈
7画
“低”を含む語句
低声
低頭
低聲
高低
低音
最低
低唱
低徊
低地
次低音
中低
頸低
低語
低空
背低
低湿
最低音
低気圧
低書
低山
...