今度こんど)” の例文
そうして今度こんどは、石を二度、沼の中に投げこみました。ゆっくりと間を置いて、はじめのあわがえてしまうと、また投げるのです。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
「さあ、今度こんどは、よくていてください。」と、おんなはいって、だい二、だい三、だい四、というふうに、一ぴきずつたいをうみはなしました。
女の魚売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
のおなじ火事くわじに、靈岸島れいがんじまは、かたりぐさにするのも痛々いた/\しくはゞかられるが、あはれ、今度こんど被服廠ひふくしやうあとで、男女だんぢよ死體したい伏重ふしかさなつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あの『をさなきものに』とおなじやうに、今度こんどほん太郎たらう次郎じらうなどにはなかせるつもりできました。それがこの『ふるさと』です。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
A 馬鹿ばかつちやいかん。統計とうけい神聖しんせいだ。勝手かつて算出さんしゆつしてたまるもんか。それよりかきみおれ今度こんど年賀状ねんがじやう趣向しゆかうせてやらう。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
今度こんどふたつのさけごゑがして、また硝子ガラスのミリ/\とれるおとがしました。『胡瓜きうり苗床なへどこいくつあるんだらう!』とあいちやんはおもひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
なにとなく薄淋うすさびしくなつたなみおもながめながら、むねかゞみくと、今度こんど航海かうかいはじめから、不運ふうんかみ我等われら跟尾つきまとつてつたやうだ。
今度こんどはこんなときうたふこんなうたつくつてほしいとか、そうつたことをドシ/\手紙てがみかハガキかで、つてよこしてもらひたい。
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
ヘイ、色々いろ/\介抱かいはういたしましたがきませぬ、此上このうへ如何いかゞいたしませう。殿「イヤ、まつた生体しやうたいなければさひはひぢやて、今度こんど解剖ふわけぢや。 ...
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
幾年前いくねんまへには一さいんだおふくろ處理しよりしてくれたのであつたが、今度こんど勘次かんじないしでおしな生計くらし心配しんぱいもしなくてはられなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しかも今度こんどわたくし修行場しゅぎょうばは、やま修行場しゅぎょうばよりも一だんかくたか浄地じょうちで、そこにはたいそうお立派りっぱな一たい竜神様りゅうじんさましずまってられたのでした。
ほんならぼくかんがへがある。今度こんど會社くわいしや世界航海圖せかいかうかいづあたらしいのが出來できたから、あれをもらつておくらう如何どうだね、』と郵船會社員いうせんぐわいしやゐん一案いちあんした。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
大喜おほよろこびで、其禮そのれいに、若干そこばく銀貨ぎんくわあたへやうとしたが、如何どうしてもらぬ。しひらしめたら、今度こんど重箱ぢうばこ味噌漬みそづけれてつてれた。
わるいラランもすこしばかりさびしくなつてきた。今度こんどこそはらつてきた。すると突然とつぜん、ヱヴェレストの頂上てうじやうからおほきなこえ怒鳴どなるものがあつた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
今度こんどは、おまえ眼玉めだま掻毮かきむしるかもしれない。ラプンツェルはもうおまえのものじゃアい。おまえはもう、二と、彼女あれにあうことはあるまいよ。
そして、ちよつといきれたやうな樣子やうすをすると、今度こんどはまたあたま前脚まへあしさかんうごかしながらかへしたつちあなした。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「えゝ」とつたなりであつた。宗助そうすけべつはなしがしたいわけでもなかつたとえて、それなりだまつて仕舞しまつた。しばらくすると今度こんど細君さいくんはうから
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
見る間に黒い方は咽喉のどをしめつけられてたおされました。けれどもすぐに跳ね返して立ちあがり、今度こんどはしたたかに豹の男のあごをけあげました。
ガドルフの百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
欝金うこん風呂敷ふろしきつつんで、ひざうえしっかかかえたのは、亭主ていしゅ松江しょうこう今度こんど森田屋もりたやのおせんの狂言きょうげん上演じょうえんするについて、春信はるのぶいえ日参にっさんしてりて
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
俊寛しゅんかん云いけるは……神明しんめいほかになし。ただ我等が一念なり。……唯仏法を修行しゅぎょうして、今度こんど生死しょうしを出で給うべし。源平盛衰記げんぺいせいすいき
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
何時間なんじかんかじっとすわって様子ようすていましたが、それからあたりを丁寧ていねいにもう一ぺん見廻みまわしたのちやっとあがって、今度こんど非常ひじょうはやさでしました。
我等われら今度こんど下向候処げこうそろところ其方そのほうたい不束之筋有之ふつつかのすじこれあり馬附之荷物積所うまつけのにもつつみしょ出来申候しゅったいもうしそろつき逸々はやばや談志之旨だんしのむね尤之次第もっとものしだいおおきに及迷惑申候めいわくをおよぼしもうしそろよっ御本陣衆ごほんじんしゅうもって詫入わびいり酒代さかて差出申候さしだしもうしそろ仍而件如よってくだんのごとし
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
村内へ觸歩行ふれあるきしゆゑ村中一とう此頃の寺の動靜やうすさては然る事にて天一樣は將軍家の御落胤にて今度こんど江戸へ御出立になれば二度御目通り成ねば當前あたりまへさらば今の内に御目見おめみえ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
んなやついかしてくよりたゝきころすはう世間せけんのためだ、おいらあ今度こんどのまつりには如何どうしても亂暴らんぼう仕掛しかけとりかへしをけようとおもふよ、だからのぶさん友達ともだちがひに
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
山田やまだすで其作そのさく版行はんかうしたあぢを知つてるが、石橋いしばしわたしとは今度こんど皮切かはきりなので、もつと石橋いしばしは前から団珍まるちんなどに内々ない/\投書とうしよしてたのであつたが、かくして見せなかつた
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
よりわけがすむと、今度こんどは、一山ひとやま売りのもりわけです。いたみはじめたくだものの箱の中から、一山十せんだの二十銭だのというぐあいに、西洋皿せいようざらへもりわけるのです。
水菓子屋の要吉 (新字新仮名) / 木内高音(著)
それから三階さんがいのぼると、今度こんど時代順じだいじゆんならべて、だん/\かはつててゐるところをあらはしてゐます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
このひとうたは、大人おとなでなければわからない氣持きもちをあまりみすぎてゐるので、今度こんど説明せつめいをすることは出來できないが、一例いちれいをあげると、自分じぶんしたしくつきあつてゐたひと
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
私のかお何処どこ幼顔おさながおて居ると云うそのうちには、私に乳をましてれた仲仕なかし内儀かみさんもあれば、又今度こんど兄の供をして中津から来て居る武八ぶはちと云うごく質朴な田舎男いなかおとこ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
雷はます/\はげしく鳴った。最早もう今度こんどは落ちた、と彼は毎々たびたび観念した。而して彼の心は却て落ついた。彼の心は一種自己に対し、妻に対し、一切の生類しょうるいに対する憐愍あわれに満された。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
今度こんどはもつとしんみりはなしのできるやうにしたいとつてゐました。」Kつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
その岸を歩く童子などは胡麻粒ごまつぶの様だ。けれども今度こんどはドナウが婉々として国土こくどを限ってながれて居るありさまが見える。北方はウイルテンベルクであり、南方はバイエルンである。
ドナウ源流行 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「おんどきよへ」とは、「今度こんどきやうへ」といふのがなまつたのです。
お月さまいくつ (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
検疫けんえきは五んだ。今度こんど税関ぜいくわん小蒸気こじようきく。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
「いえ、まだわたしは、だれにもあいませんでした。今度こんどあったら、みんなにかしてやろうとおもっています。」と、ぶとがこたえました。
太陽とかわず (新字新仮名) / 小川未明(著)
彼處あすこ通拔とほりぬけねばならないとおもふと、今度こんど寒氣さむけがした。われながら、自分じぶんあやしむほどであるから、おそろしくいぬはゞかつたものである。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
今度こんどこそはなんつても、寸分すんぶんぶた相違さうゐありませんでしたから、あいちやんもれをれてくのはまつた莫迦氣ばかげたことだとおもひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
左樣さやう殘念ざんねんながら、西班牙イスパニヤや、亞弗利加アフリカはう今度こんど斷念だんねんしました。』と、わたくしがキツパリとこたへると、かれはポンとひざたゝいて
『それだから今度こんど瀑布たき修行場しゅぎょうばとなったのじゃ。そちとおり、こちらの世界せかいおきてにはめったに無理むりなところはない……。』
今度こんどお客がとまつたら茗荷めうがはせよう、さうしたら無闇むやみに物を忘れてくだらう、ナニ此方こつち泥坊どろばうたのぢやアないからつみにはならねえや。
(和)茗荷 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
今度こんど辞職した以上は、容易にくち見付みつかりさうもない事、やむを得ず、それ迄妻を国もとあづけた事——中々なか/\尽きさうもない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それから今度こんどは風がきたちまち太陽は雲をはずれチュウリップのはたけにも不意ふいに明るくしました。まっな花がぷらぷらゆれて光っています。
チュウリップの幻術 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
矢張やはぼく友人いうじんだが、——今度こんどをとこだが——或奴あるやつからすこるべきかねがあるのに、どうしてもよこさない。いろ/\掛合かけあつてたがらちがあかない。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
だから卷煙草まきたばこをつけたわたくしは、ひとつにはこの小娘こむすめ存在そんざいわすれたいとこころもちもあつて、今度こんどはポケットの夕刊ゆふかん漫然まんぜんひざうへへひろげてた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
今度こんどは石をにしきつゝんでくらをさ容易よういにはそとに出さず、時々出してたのしむ時は先づかうたいしつきよめるほどにして居た。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
大變たえへんだよ、おとつゝあ」と今度こんどすここゑころすやうにして勘次かんじうながした。勘次かんじ怪訝けげんするどもつておつぎをた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ラランはいつものやうに、カラカラとわらつた。五千メートル。いつもならこのへんるまでにつかれてちてしまうはづなのに、今度こんど莫迦ばか調子てうしがいい。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
そのうちに、お百姓ひやくしやうには見廻みまはりにました。今度こんどあをかきつたしたまして、こゑけました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
同月どうげつ二十三にちにはげんぼうほか玄川子げんせんしくはへて四にんつた。今度こんどは、小徑こみち左方さはう緩斜面くわんしやめん芋畑いもばたけである。
お正月がすぎると、凧屋たこやでは五月ののぼりのこいやなにかをつくりはじめました。そうして五月もすむと、今度こんどはうちわやせんすをつくりはじめたのです。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)