)” の例文
そして、おくにのため、なかのためにはたらく、りっぱな人間にんげんとなってください。これが、わたしからみなさんにもうしあげる最後さいご言葉ことばです。
中学へ上がった日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いろひ、またゆき越路こしぢゆきほどに、られたとまを意味いみではないので——これ後言くりごとであつたのです。……不具かたはだとふのです。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これからはいよ/\おたみどの大役たいやくなり、前門ぜんもんとら後門こうもんおほかみみぎにもひだりにもこわらしきやつおほをか、あたら美玉びぎよくきずをつけたまふは
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まがつた社會しやくわい正當防衞せいたうばうゑいくさつたなか大清潔法だいせいけつはふ、それらを完全くわんぜんちか執行しつかうするには、死刑しけいおほ利用りようするよりほかにないとかんがへた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
見榮坊みえばう! には見榮みえをんなものつたり、らなかつたりするもの澤山たくさんある。ぼくこゝろからこのまづしい贈物おくりもの我愛わがあいする田舍娘ゐなかむすめ呈上ていじやうする!
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
騙詐かたり世渡よわた上手じやうず正直しやうぢき無気力漢いくぢなし無法むはう活溌くわつぱつ謹直きんちよく愚図ぐづ泥亀すつぽんてんとんびふちをどる、さりとは不思議ふしぎづくめのなかぞかし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
そして、そいつらはにもおそろしいうなり声をあげて、若者のたき火をふみつけ、ふみにじって、その火をけそうとするのです。
大臣だいじんたちはみんなおどろいて、太子たいしも、このこじきも、みんなただの人ではない、慈悲じひ功徳くどくの中の人たちにあまねくらせるために
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
僧はねんごろに道を教ふれば、横笛に嬉しく思ひ、禮もいそ/\別れ行く後影うしろかげ、鄙には見なれぬ緋の袴に、夜目にも輝く五柳の一重ひとへ
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
此故に今の路を誤らば、その原因もと汝等の中にあり、汝等己が中にたづねよ、我またこの事について今明かに汝に告ぐべし 八二—八四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
人々ひとびと御主おんあるじよ、われをもたすたまへ。」此世このよ御扶おんたすけ蒼白あをじろいこのわが罪業ざいごふあがなたまはなかつた。わが甦生よみがへりまでわすれられてゐる。
きん小鳥ことりのやうないたいけな姫君ひめぎみは、百日鬘ひやくにちかつら山賊さんぞくがふりかざしたやいばしたをあはせて、えいるこえにこの暇乞いとまごひをするのであつた。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
当時とうじわたくしりましては、んだ良人おっとうのがこのける、ほとんど唯一ゆいいつ慰安いあんほとんど唯一ゆいいつ希望きぼうだったのでございます。
ところが江戸時代えどじだいになると、徳川氏とくがはし政治せいじ方針ほうしんがさうであり、またなかをさまつてたゝめか、學問がくもんさかんになつてました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
けつしておろかなる船長せんちやうふがごとき、怨靈おんれうとかうみ怪物ばけものとかいふやう得可うべからざるものひかりではなく、りよくこう兩燈りようとうたしかふね舷燈げんとう
「ふッふふふふ……そのくらいなまいごとはぬかしたかろう。この声がまだ分らないか、やい、大月玄蕃の声を忘れおッたか!」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すべひとたるものつね物事ものごとこゝろとゞめ、あたらしきことおこることあらば、何故なにゆゑありてかゝこと出來できしやと、よく其本そのもと詮索せんさくせざるべからず。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
エホバよりまずサタンに向って、「なんじ心を用いてわがしもべヨブを見しや、彼の如くまったくかつ正しくて神を畏れ悪に遠ざかるひとあらざるなり」
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
地蔵じぞうさんが草鞋わらじをはいてあるいたというのは不思議ふしぎなことですが、なかにはこれくらいの不思議ふしぎはあってもよいとおもわれます。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
いまのせかい、東京のどこにそんな男の飯炊なんぞいる? いるんならみせてくれと、相手が相手だけにこっちだって開き直りたくなる。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
けれどそちいやしくも魚族ぎよぞくわうの、ちゝをさつたらばそのあとぐべき尊嚴たうと身分みぶんじや。けつして輕々かろ/″\しいことをしてはならない。よいか
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
あるひ飮食店いんしよくてんける揚物あげものあぶらあるひはせるろいど工場こうじようなど、文化ぶんかすゝむにしたがひ、化學藥品かがくやくひんにして發火はつか原因げんいんとなるものが、ます/\えてる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
菱山ひしやまの事をいふにつきて此書の事をおもひいだせしが、かゝる精撰大成せいせんたいせいしよむなしく秘笈ひきうにありてにしられざるがをしければこゝにいへり。
うですななかは」と宗助そうすけれいにないいた調子てうしした。御米およねあたまなかには、夫婦ふうふにならないまへの、宗助そうすけ自分じぶん姿すがた奇麗きれいうかんだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ひとり全土を統一した最高の王者のみと言わず、島々のかはらすなわち頭、一地に割拠した大小の按司あじぬしもまたテダであった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
つて、わたしおなじやうでなかつたらうなるんでせう、このなかれがわたしなんでせう!まァ、それはおほきななぞだわ!
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
エヽ商法しやうはふ様々さま/″\ありまするが、文明開化ぶんめいかいくわなかになつて以来いらいなんでも新発明しんはつめい新発明しんはつめいといふので追々おい/\この新商法しんしやうはふといふものが流行をいたしまする。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
よつせいいへせり。の・老子らうしまなものすなは儒學じゆがくしりぞけ、儒學じゆがくまた老子らうししりぞく。『みちおなじからざれば、あひめにはからず』とは、あにこれ
雁は二、三べんらぎました。見る見るからだに火がえ出し、にもかなしくさけびながら、ちてまいったのでございます。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
つたはる攝養法せつやうはふ種々しゆ/″\ありといへども、實驗じつけんれば、もつと簡易かんいにしてもつと巧驗こうけんあるものは冷水浴れいすゐよくにあらざるし。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
なよたけ! 僕だってお前を愛するためにこのうつに生れて来たんだ。お前は僕のいのちだ! たったひとつのかけがいのない僕のいのちだ!
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
ヂュリ おゝ、運命神うんめいよ、運命神うんめいよ! みなそち浮氣者うはきものぢゃといふ。いかにそち浮氣うはきであらうと、きこえた堅實かたぎひとなんとすることも出來できまい。
人生じんせい解悟かいごむかつて自由じいうなるふか思想しさうと、おろかなるさわぎたいする全然ぜん/\輕蔑けいべつすなは人間にんげん以上いじやうのものを未甞いまだかつらぬ最大幸福さいだいかうふくです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
透明人間とうめいにんげんは、いつもの、いんきくさいをのろったような声とはまるでちがう、わかいりのある声で話しつづけた。
ほどこして必ずほうある者は、天地の定理ていりなり。仁人じんじんこれを述べてもっひとすすむ。ほどこしてほうのぞまざる者は、聖賢せいけん盛心せいしんなり。君子くんしこれそんして以てすくう」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「先生の身体は、もう亡くなっているのです。それは、先生の霊を生前せいぜんへお迎えするために使っている霊媒メディウムの御婦人の身体なのです。お判りですか」
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いやもう、浮世うきよのことは、なにをおいてもおんな大事だいじ。おいらも今度こんどにゃァ、いぬになってもおんなうまれてることだ。——はッくしょい。これァいけねえ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
なんでもわたしちやたれでもおなじこと相續人さうぞくにん氣味きあぢわるくしねえやうにやんなくつちやへねえよ、そんだがそれも性分しやうぶんでなあ、ほかからぢやしやうねえものよ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
時に年七十三。当時汪叡おうえい朱善しゅぜんともに、称して三ろうす。人となり慷慨こうがいにして城府を設けず、自ら号して坦坦翁たんたんおうといえるにも、其の風格は推知すべし。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
その作業の危険さと骨の折れる事といったら、それこそこのの生き地獄と云っても形容が足りないだろう。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「ふたりの男の子をせい一ぱい教育きょういくしなさい、そうしてわがをあきらめて、ふたりの子の出世しゅっせをたのしめ」
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そのあか戒名かいみやうはまだこのきてひとで、旦那だんなさんだけくなつた曾祖母ひいおばあさんのやうなひとのおはかでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「でっくりもっくりさんは、だんだんから、ころげおちたくせに、王女さまを、およめさんにしたとさ。そうだ、そうだ。それがのなかというものなんだ。」
無垢むく若者わかものまへ洪水おほみづのやうにひらけるなかは、どんなにあまおほくの誘惑いうわくや、うつくしい蠱惑こわくちてせることだらう! れるな、にごるな、まよふなと
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
そのあとで、二人ふたりおおわらいをしましたが、西洋せいよう学問がくもんをしていた人々ひとびとは、いつも、こんなおもいをくりかえしていたのです。まことに、あぶないなかでした。
きいて下されかしもと吾儕それがしは有馬家にて祿ろく五百石を頂戴なし小姓頭をつとめたる大藤武左衞門と云者なるが夫婦ふうふなかに子と言は是なるおみつたゞ一人しかるに妻は七年前
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
建築家けんちくか勿論もちろん、一ぱん人士じんしへず建築界けんちくかい問題もんだい提出ていしゆつして論議ろんぎたゝかはすことはきわめて必要ひつえうなことである。假令たとひその論議ろんぎ多少たせう常軌じやうきいつしてもそれ問題もんだいでない。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
なんにもいえないんだからね——大きくなったら、こんなことどこじゃない、まだまだひどい目にあうかもれないんだよ。このにはいろんなことがあるからね。」
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
なか金解禁きんかいきん出來できたならば、經濟界けいざいかいに一景氣けいきはしないかとひとがあるが、それはすなは過去くわこ箇月かげつかん爲替相場かはせさうばあがために、したがつ物價ぶつかさがため
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
この蕪雑ぶざつうつも、美の訪れの場所である。そうして下根の凡夫も、救いの御手に渡さるる身である。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)