)” の例文
新字:
俥が橋を渡り盡すと、路は少し低くなつて、繁つた楊柳やなぎの間から、新らしい吉野の麥藁帽が見える。橋はその時まで、少しれてゐた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
夜中頃よなかごろには武生たけふまちかさのやうに押被おつかぶせた、御嶽おんたけといふ一座いちざみねこそぎ一搖ひとゆれ、れたかとおも氣勢けはひがして、かぜさへさつつた。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かぜでもいてくりえだれるやうなあさとうさんがおうちから馳出かけだしてつてますと『たれないうちにはやくおひろひ。』とくりつて
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
われ/\は子供こども時分じぶんにはをしへられた。最初さいしよ地震ぢしんかんじたなら、もどしのないうち戸外こがい飛出とびだせなどといましめられたものである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
平次はそれまで、格子を叩いたり、雨戸をすぶつたり、窓の下の足跡を見たり、恐ろしく念入りに曲者の入つた形跡を搜してゐる樣子です。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
その時はおん身にられしかごの中なる兒は、知らぬ牧者の妻となりて、おん身が前にぬかづくならん。おん身は人におごるやうにはなり給はじ。
くさなか半身はんしんぼつして、二人ふたりはいひあらそつてゐた。をとこはげしくなにかいひながら、すぶるやうにをんなかた幾度いくど小突こづいた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
我この歌をうたへる間、彼は怒りに刺されしか或ひは恥に刺されしか、はげしく二のあしうられり 一一八—一二〇
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
扱帶しごきをどりゑがたびごとたもとともにゆらり/\とれる。をとこすこ亂暴らんばうをんな身體からだにこすりつきながらをどる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あめはます/\小降こぶりになつて、そしてかぜた。つゆせはしくおとされる。(をはり)
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
これをあたまうへせてみると、それらがゆら/\とれて、なんともいへぬうつくしさをせます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
さればといふてかへ一横町ひとよこちやうこゝにもあらずいますこさきへといふ提燈ちやうちんして商家しやうか
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
するとそのかへるさ、わたしみちいそいでをりますと、はなさきにおほきな眞黒まつくろやまのやうなものがふいと浮上うきあがりました。がくらくらツとしてからだれました。まつたく突然だしぬけ出來事できごとです。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
大變たいへんよ/\、叔父おぢさん、猛獸まうじうが/\。』とわたくしかたけてさます。
不愉快ふゆくわい人車じんしやられてびしい溪間たにまおくとゞけられることは、すこぶ苦痛くつうであつたが、今更いまさら引返ひきかへすこと出來できず、其日そのひ午後ごゝ時頃じごろ此宿このやどいた。突然とつぜんのことであるから宿やど主人あるじおどろかした。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ほかならぬ子らを思へばかへる子もしじにれつつ水に
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
同時どうじひとつづしりとれて、おもむろ汽車きしやうごした。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その時地をる*ポセードーン早くも之を認め得つ
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
みづりうごく搖曳えふえいは、黄金わうごん、眞珠、青玉せいぎよくの色。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
絶えまなくらげるうみに影をうつして
ものかげあはげにれて
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
墳塋おくつきごもりてする
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
うなじてたとまふなばた白銀しろがねに、珊瑚さんごそでるゝときふねはたゞゆきかついだ翡翠ひすゐとなつて、しろみづうみうへぶであらう。氷柱つらゝあし水晶すゐしやうに——
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
もつと道路どうろあるひ堤防ていぼうさがりにつて地割ぢわれをおこすこともあるが、それはたんひらいたまゝであつて、開閉かいへい繰返くりかへすものではない。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
何よりもまづ私達の願ひは好い宿について、大阪から城崎まで七時間も、汽車にられつゞけて行つた自分等の靴のひもを解くことであつた。
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
フィアルテ忽ち身をれり、いかに強き地震なゐといへどもその塔をゆるがすことかく劇しきはなし 一〇六—一〇八
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
よろづに淡々あわ/\しき女子おなごこゝろするやうひとことばに、おもはずくわつ上氣じやうきして、昨日きのふまではうちすてしかみつやらしうむすびあげ、端折はしおりつゞみ取上とりあげてれば、いかう眉毛まゆげえつゞきぬ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そつととこけ出して、隣りの室に寢てゐる夫新三郎をおこしながら
風鈴ふうりんがねぼけたやうにちりりん と、そのときれました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
拔くべく猛に念じつゝ三たび其槍握り
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
大西洋定期船たいせいやうていきせんは運河の水をり亂る。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
りとよめ科戸しなどの風と
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
汝をすりつつ
おもふと、トン/\トンとかるやはらかなおとれて、つまれ/\、そろつたもすそが、やなぎ二枝ふたえだなびくやう……すら/\とだんりた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
むかしひとおそれてゐた大地震だいぢしんもどしは、最初さいしよ大地震だいぢしん主要部しゆようぶ意味いみであつて、今日こんにち所謂いはゆる餘震よしんすものでないことはまへべんじたとほりである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
あるあさぢいやがとうさんに『さあはやひろひにおいでなさい、丁度好ちやうどいときました。』とをしへました。そのあさかぜいて、榎木えのきえだれるやうなでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
がたりとおとして一ゆりれヽば、するりおちかヽるうしろざしの金簪きんかんを、令孃ひめ纎手せんしゆけとめたま途端とたん夕風ゆふかぜさつと其袂そのたもときあぐれば、ひるがへる八つくちひらひらとれてものありけり
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
お靜にり起されて、平次は澁い眼を開けました。
りとよめ大き國民くにたみ
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
欄干らんかん横木よこぎが、みづひゞきで、ひかりれて、たもときかゝるやうに、薄黒うすぐろふたたゝずむのみ、四邊あたり人影ひとかげひとツもなかつた。
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こうじたさまして、しろ駒下駄こまげたの、爪尖つまさきをコト/\ときざ洋傘かうもりさきが、ふるへるばかり、うちにつたうてはなれる。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たゝみしわひとつづゝ、いやな黄味きみびて、えかゝる提灯ちやうちんかげで、ひく/\とみなれる、猅々ひゝ化猫ばけねこである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
豐岡とよをかからあひだ夕雲ゆふぐも低迷ていめいして小浪さゝなみ浮織うきおりもんいた、漫々まん/\たる練絹ねりぎぬに、汽車きしやまどからをのばせば、あし葉越はごしに、さはるとれさうなおもひとほつた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
むねれたやうにうなづいてつたが、汽車きしやられていさゝかの疲勞つかれまじつて、やまうつくしさにせられて萎々なえ/\つた、歎息ためいきのやうにもきこえた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
地震なゐつてうごき、まち此方こちらかたむいたやうに、わツとおここゑひとしく、御神輿おみこし大波おほなみつて、どどどとつてかへして、づしんと其處そこ縁臺えんだいすわつた。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あの中島なかじまは、むらがつたはなゆきかついでるのです。きしに、はなかげうつところは、松葉まつばながれるやうに、ちら/\とみづれます。小魚こうをおよぐのでせう。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もやゝけて、食堂しよくだうの、しろ伽藍がらんとしたあたり、ぐら/\とれるのが、天井てんじやうねずみさわぐやうである。……矢張やつぱたびはものさびしい、さけめいさへ、孝子正宗かうしまさむね
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くるまかすみせきかゝつて、黒田くろだ海鼠壁なまこかべむかしからの難所なんしよ時分じぶんには、うまたてがみるがごとほろれた。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御神輿おみこしはしらの、かざり珊瑚さんご𤏋ぱつき、ぎんすゞ鳴据なりすわつて、鳳凰ほうわうつばさにはとりのとさかが、さつあせばむと、彼方あつち此方こつちさま團扇うちはかぜなみに、ゆら/\とつて
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あなのやうな眞暗まつくら場末ばすゑ裏町うらまちけて、大川おほかはけた、近道ちかみちの、ぐら/\とれる一錢橋いちもんばしふのをわたつて、土塀どべいばかりでうちまばらな、はたけいけ所々ところ/″\侍町さむらひまち幾曲いくまがり、で
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)