トップ
>
搖
>
ゆ
ふりがな文庫
“
搖
(
ゆ
)” の例文
新字:
揺
俥が橋を渡り盡すと、路は少し低くなつて、繁つた
楊柳
(
やなぎ
)
の間から、新らしい吉野の麥藁帽が見える。橋はその時まで、少し
搖
(
ゆ
)
れてゐた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
夜中頃
(
よなかごろ
)
には
武生
(
たけふ
)
の
町
(
まち
)
を
笠
(
かさ
)
のやうに
押被
(
おつかぶ
)
せた、
御嶽
(
おんたけ
)
といふ
一座
(
いちざ
)
の
峰
(
みね
)
、
根
(
ね
)
こそぎ
一搖
(
ひとゆ
)
れ、
搖
(
ゆ
)
れたかと
思
(
おも
)
ふ
氣勢
(
けはひ
)
がして、
風
(
かぜ
)
さへ
颯
(
さつ
)
と
吹
(
ふ
)
き
添
(
そ
)
つた。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
風
(
かぜ
)
でも
吹
(
ふ
)
いて
栗
(
くり
)
の
枝
(
えだ
)
の
搖
(
ゆ
)
れるやうな
朝
(
あさ
)
に
父
(
とう
)
さんがお
家
(
うち
)
から
馳出
(
かけだ
)
して
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
ますと『
誰
(
たれ
)
も
來
(
こ
)
ないうちに
早
(
はや
)
くお
拾
(
ひろ
)
ひ。』と
栗
(
くり
)
の
木
(
き
)
が
言
(
い
)
つて
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
われ/\は
子供
(
こども
)
の
時分
(
じぶん
)
には
然
(
し
)
か
教
(
をし
)
へられた。
最初
(
さいしよ
)
の
地震
(
ぢしん
)
を
感
(
かん
)
じたなら、
搖
(
ゆ
)
り
戻
(
もど
)
しの
來
(
こ
)
ない
中
(
うち
)
に
戸外
(
こがい
)
へ
飛出
(
とびだ
)
せなどと
戒
(
いまし
)
められたものである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
平次はそれまで、格子を叩いたり、雨戸を
搖
(
ゆ
)
すぶつたり、窓の下の足跡を見たり、恐ろしく念入りに曲者の入つた形跡を搜してゐる樣子です。
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
その時はおん身に
搖
(
ゆ
)
られし
籃
(
かご
)
の中なる兒は、知らぬ牧者の妻となりて、おん身が前にぬかづくならん。おん身は人に
驕
(
おご
)
るやうにはなり給はじ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
草
(
くさ
)
の
中
(
なか
)
に
半身
(
はんしん
)
を
沒
(
ぼつ
)
して、
二人
(
ふたり
)
はいひ
爭
(
あらそ
)
つてゐた。
男
(
をとこ
)
は
激
(
はげ
)
しく
何
(
なに
)
かいひながら、
搖
(
ゆ
)
すぶるやうに
女
(
をんな
)
の
肩
(
かた
)
を
幾度
(
いくど
)
も
小突
(
こづ
)
いた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
我この歌をうたへる間、彼は怒りに刺されしか或ひは恥に刺されしか、はげしく二の
蹠
(
あしうら
)
を
搖
(
ゆ
)
れり 一一八—一二〇
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
扱帶
(
しごき
)
は
踊
(
をどり
)
の
手
(
て
)
を
描
(
ゑが
)
く
度
(
たび
)
毎
(
ごと
)
に
袂
(
たもと
)
と
共
(
とも
)
にゆらり/\と
搖
(
ゆ
)
れる。
男
(
をとこ
)
は
少
(
すこ
)
し
亂暴
(
らんばう
)
に
女
(
をんな
)
の
身體
(
からだ
)
にこすりつきながら
踊
(
をど
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
雨
(
あめ
)
はます/\
小降
(
こぶ
)
りになつて、そして
風
(
かぜ
)
が
出
(
で
)
た。
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
の
露
(
つゆ
)
が
忙
(
せは
)
しく
搖
(
ゆ
)
り
落
(
おと
)
される。(をはり)
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
これを
頭
(
あたま
)
の
上
(
うへ
)
に
載
(
の
)
せてみると、それらがゆら/\と
搖
(
ゆ
)
れて、なんともいへぬ
美
(
うつく
)
しさを
見
(
み
)
せます。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
さればといふて
挽
(
ひ
)
き
返
(
かへ
)
す
一横町
(
ひとよこちやう
)
こゝにもあらず
今
(
いま
)
少
(
すこ
)
し
先
(
さき
)
へといふ
提燈
(
ちやうちん
)
搖
(
ゆ
)
り
消
(
け
)
して
商家
(
しやうか
)
に
火
(
ひ
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
するとその
歸
(
かへ
)
るさ、
私
(
わたし
)
は
路
(
みち
)
を
急
(
いそ
)
いでをりますと、
此
(
こ
)
の
鼻
(
はな
)
さきに
大
(
おほ
)
きな
眞黒
(
まつくろ
)
い
山
(
やま
)
のやうなものがふいと
浮上
(
うきあが
)
りました。
眼
(
め
)
がくらくらツとして
體
(
からだ
)
が
搖
(
ゆ
)
れました。まつたく
突然
(
だしぬけ
)
の
出來事
(
できごと
)
です。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
『
大變
(
たいへん
)
よ/\、
叔父
(
おぢ
)
さん、
猛獸
(
まうじう
)
が/\。』と
私
(
わたくし
)
の
肩
(
かた
)
に
手
(
て
)
を
掛
(
か
)
けて
搖
(
ゆ
)
り
醒
(
さま
)
す。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
不愉快
(
ふゆくわい
)
の
人車
(
じんしや
)
に
搖
(
ゆ
)
られて
此
(
こ
)
の
淋
(
さ
)
びしい
溪間
(
たにま
)
に
送
(
おく
)
り
屆
(
とゞ
)
けられることは、
頗
(
すこぶ
)
る
苦痛
(
くつう
)
であつたが、
今更
(
いまさら
)
引返
(
ひきか
)
へす
事
(
こと
)
も
出來
(
でき
)
ず、
其日
(
そのひ
)
の
午後
(
ごゝ
)
五
時頃
(
じごろ
)
、
此宿
(
このやど
)
に
着
(
つ
)
いた。
突然
(
とつぜん
)
のことであるから
宿
(
やど
)
の
主人
(
あるじ
)
を
驚
(
おどろ
)
かした。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
ほかならぬ子らを思へばかへる子もしじに
生
(
あ
)
れつつ水に
搖
(
ゆ
)
れ
出
(
で
)
ぬ
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
と
同時
(
どうじ
)
に
一
(
ひと
)
つづしりと
搖
(
ゆ
)
れて、
徐
(
おもむろ
)
に
汽車
(
きしや
)
は
動
(
うご
)
き
出
(
だ
)
した。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その時地を
搖
(
ゆ
)
る*ポセードーン早くも之を認め得つ
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
水
(
みづ
)
搖
(
ゆ
)
りうごく
搖曳
(
えふえい
)
は、
黄金
(
わうごん
)
、眞珠、
青玉
(
せいぎよく
)
の色。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
絶えまなく
搖
(
ゆ
)
らげる
湖
(
うみ
)
に影をうつして
生けるものと死せるものと
(旧字旧仮名)
/
アンナ・ド・ノアイユ
(著)
物
(
もの
)
の
影
(
かげ
)
、
淡
(
あは
)
げに
搖
(
ゆ
)
れて
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
墳塋
(
おくつき
)
ごもりて
搖
(
ゆ
)
する
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
項
(
うなじ
)
を
立
(
た
)
てた
苫
(
とま
)
も
舷
(
ふなばた
)
も
白銀
(
しろがね
)
に、
珊瑚
(
さんご
)
の
袖
(
そで
)
の
搖
(
ゆ
)
るゝ
時
(
とき
)
、
船
(
ふね
)
はたゞ
雪
(
ゆき
)
を
被
(
かつ
)
いだ
翡翠
(
ひすゐ
)
となつて、
白
(
しろ
)
い
湖
(
みづうみ
)
の
上
(
うへ
)
を
飛
(
と
)
ぶであらう。
氷柱
(
つらゝ
)
の
蘆
(
あし
)
も
水晶
(
すゐしやう
)
に——
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
尤
(
もつと
)
も
道路
(
どうろ
)
或
(
あるひ
)
は
堤防
(
ていぼう
)
が
搖
(
ゆ
)
り
下
(
さが
)
りに
因
(
よ
)
つて
地割
(
ぢわ
)
れを
起
(
おこ
)
すこともあるが、それは
單
(
たん
)
に
開
(
ひら
)
いたまゝであつて、
開閉
(
かいへい
)
を
繰返
(
くりかへ
)
すものではない。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
何よりもまづ私達の願ひは好い宿について、大阪から城崎まで七時間も、汽車に
搖
(
ゆ
)
られつゞけて行つた自分等の靴のひもを解くことであつた。
山陰土産
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
フィアルテ忽ち身を
搖
(
ゆ
)
れり、いかに強き
地震
(
なゐ
)
といへどもその塔をゆるがすことかく劇しきはなし 一〇六—一〇八
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
萬
(
よろ
)
づに
淡々
(
あわ/\
)
しき
女子
(
おなご
)
心
(
こゝろ
)
を
來
(
き
)
て
搖
(
ゆ
)
する
樣
(
やう
)
な
人
(
ひと
)
の
賞
(
ほ
)
め
詞
(
ことば
)
に、
思
(
おも
)
はず
赫
(
くわつ
)
と
上氣
(
じやうき
)
して、
昨日
(
きのふ
)
までは
打
(
うち
)
すてし
髮
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
つやらしう
結
(
むす
)
びあげ、
端折
(
はしおり
)
つゞみ
取上
(
とりあ
)
げて
見
(
み
)
れば、いかう
眉毛
(
まゆげ
)
も
生
(
は
)
えつゞきぬ
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そつと
床
(
とこ
)
を
脱
(
ぬ
)
け出して、隣りの室に寢てゐる夫新三郎を
搖
(
ゆ
)
り
起
(
おこ
)
しながら
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
風鈴
(
ふうりん
)
がねぼけたやうにちりりん と、そのとき
搖
(
ゆ
)
れました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
拔くべく猛に念じつゝ三たび其槍握り
搖
(
ゆ
)
る
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
大西洋定期船
(
たいせいやうていきせん
)
は運河の水を
搖
(
ゆ
)
り亂る。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
搖
(
ゆ
)
りとよめ
科戸
(
しなど
)
の風と
新頌
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
汝を
搖
(
ゆ
)
すりつつ
生けるものと死せるものと
(旧字旧仮名)
/
アンナ・ド・ノアイユ
(著)
と
思
(
おも
)
ふと、トン/\トンと
輕
(
かる
)
い
柔
(
やはら
)
かな
音
(
おと
)
に
連
(
つ
)
れて、
褄
(
つま
)
が
搖
(
ゆ
)
れ/\、
揃
(
そろ
)
つた
裳
(
もすそ
)
が、
柳
(
やなぎ
)
の
二枝
(
ふたえだ
)
靡
(
なび
)
くやう……すら/\と
段
(
だん
)
を
下
(
お
)
りた。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
昔
(
むかし
)
の
人
(
ひと
)
の
恐
(
おそ
)
れてゐた
大地震
(
だいぢしん
)
の
搖
(
ゆ
)
り
戻
(
もど
)
しは、
最初
(
さいしよ
)
の
大地震
(
だいぢしん
)
の
主要部
(
しゆようぶ
)
の
意味
(
いみ
)
であつて、
今日
(
こんにち
)
の
所謂
(
いはゆる
)
餘震
(
よしん
)
を
指
(
さ
)
すものでないことは
前
(
まへ
)
に
辯
(
べん
)
じた
通
(
とほ
)
りである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
ある
朝
(
あさ
)
、
爺
(
ぢい
)
やが
父
(
とう
)
さんに『さあ
早
(
はや
)
く
拾
(
ひろ
)
ひにお
出
(
いで
)
なさい、
丁度好
(
ちやうどい
)
い
時
(
とき
)
が
來
(
き
)
ました。』と
教
(
をし
)
へました。その
朝
(
あさ
)
は
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
いて、
榎木
(
えのき
)
の
枝
(
えだ
)
が
搖
(
ゆ
)
れるやうな
日
(
ひ
)
でした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
がたりと
音
(
おと
)
して一ゆり
搖
(
ゆ
)
れヽば、するり
落
(
おち
)
かヽる
後
(
うし
)
ろざしの
金簪
(
きんかん
)
を、
令孃
(
ひめ
)
は
纎手
(
せんしゆ
)
に
受
(
う
)
けとめ
給
(
たま
)
ふ
途端
(
とたん
)
、
夕風
(
ゆふかぜ
)
さつと
其袂
(
そのたもと
)
を
吹
(
ふ
)
きあぐれば、
飜
(
ひる
)
がへる八つ
口
(
くち
)
ひらひらと
洩
(
も
)
れて
散
(
ち
)
る
物
(
もの
)
ありけり
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
お靜に
搖
(
ゆ
)
り起されて、平次は澁い眼を開けました。
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
搖
(
ゆ
)
りとよめ大き
國民
(
くにたみ
)
新頌
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
欄干
(
らんかん
)
の
横木
(
よこぎ
)
が、
水
(
みづ
)
の
響
(
ひゞ
)
きで、
光
(
ひかり
)
に
搖
(
ゆ
)
れて、
袂
(
たもと
)
に
吹
(
ふ
)
きかゝるやうに、
薄黒
(
うすぐろ
)
く
二
(
ふた
)
ツ
三
(
み
)
ツ
彳
(
たゝず
)
むのみ、
四邊
(
あたり
)
に
人影
(
ひとかげ
)
は
一
(
ひと
)
ツもなかつた。
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
困
(
こう
)
じた
状
(
さま
)
して、
白
(
しろ
)
い
緒
(
を
)
の
駒下駄
(
こまげた
)
の、
爪尖
(
つまさき
)
をコト/\と
刻
(
きざ
)
む
洋傘
(
かうもり
)
の
柄
(
え
)
の
尖
(
さき
)
が、
震
(
ふる
)
へるばかり、
身
(
み
)
うちに
傳
(
つた
)
うて
花
(
はな
)
も
搖
(
ゆ
)
れる。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
たゝみ
目
(
め
)
が
皺
(
しわ
)
一
(
ひと
)
つづゝ、いやな
黄味
(
きみ
)
を
帶
(
お
)
びて、
消
(
き
)
えかゝる
提灯
(
ちやうちん
)
の
影
(
かげ
)
で、ひく/\と
皆
(
みな
)
搖
(
ゆ
)
れる、
猅々
(
ひゝ
)
に
似
(
に
)
て
化猫
(
ばけねこ
)
である。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
豐岡
(
とよをか
)
から
來
(
く
)
る
間
(
あひだ
)
、
夕雲
(
ゆふぐも
)
の
低迷
(
ていめい
)
して
小浪
(
さゝなみ
)
に
浮織
(
うきおり
)
の
紋
(
もん
)
を
敷
(
し
)
いた、
漫々
(
まん/\
)
たる
練絹
(
ねりぎぬ
)
に、
汽車
(
きしや
)
の
窓
(
まど
)
から
手
(
て
)
をのばせば、
蘆
(
あし
)
の
葉越
(
はごし
)
に、
觸
(
さは
)
ると
搖
(
ゆ
)
れさうな
思
(
おもひ
)
で
通
(
とほ
)
つた。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
胸
(
むね
)
に
氣
(
き
)
を
入
(
い
)
れたやうに
頷
(
うなづ
)
いて
云
(
い
)
つたが、
汽車
(
きしや
)
に
搖
(
ゆ
)
られて
來
(
き
)
た
聊
(
いさゝ
)
かの
疲勞
(
つかれ
)
も
交
(
まじ
)
つて、
山
(
やま
)
の
美
(
うつく
)
しさに
魅
(
み
)
せられて
身
(
み
)
の
萎々
(
なえ/\
)
と
成
(
な
)
つた、
歎息
(
ためいき
)
のやうにも
聞
(
きこ
)
えた。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
地震
(
なゐ
)
が
搖
(
ゆ
)
つて
地
(
ち
)
が
動
(
うご
)
き、
町
(
まち
)
が
此方
(
こちら
)
へ
傾
(
かたむ
)
いたやうに、わツと
起
(
おこ
)
る
聲
(
こゑ
)
と
齊
(
ひと
)
しく、
御神輿
(
おみこし
)
は
大波
(
おほなみ
)
を
打
(
う
)
つて、どどどと
打
(
う
)
つて
返
(
かへ
)
して、づしんと
其處
(
そこ
)
の
縁臺
(
えんだい
)
に
据
(
すわ
)
つた。
祭のこと
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
あの
中島
(
なかじま
)
は、
簇
(
むらが
)
つた
卯
(
う
)
の
花
(
はな
)
で
雪
(
ゆき
)
を
被
(
かつ
)
いで
居
(
ゐ
)
るのです。
岸
(
きし
)
に、
葉
(
は
)
と
花
(
はな
)
の
影
(
かげ
)
の
映
(
うつ
)
る
處
(
ところ
)
は、
松葉
(
まつば
)
が
流
(
なが
)
れるやうに、ちら/\と
水
(
みづ
)
が
搖
(
ゆ
)
れます。
小魚
(
こうを
)
が
泳
(
およ
)
ぐのでせう。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
夜
(
よ
)
もやゝ
更
(
ふ
)
けて、
食堂
(
しよくだう
)
の、
白
(
しろ
)
く
伽藍
(
がらん
)
としたあたり、ぐら/\と
搖
(
ゆ
)
れるのが、
天井
(
てんじやう
)
で
鼠
(
ねずみ
)
が
騷
(
さわ
)
ぐやうである。……
矢張
(
やつぱ
)
り
旅
(
たび
)
はもの
寂
(
さび
)
しい、
酒
(
さけ
)
の
銘
(
めい
)
さへ、
孝子正宗
(
かうしまさむね
)
。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
俥
(
くるま
)
が
霞
(
かすみ
)
ヶ
關
(
せき
)
へ
掛
(
かゝ
)
つて、
黒田
(
くろだ
)
の
海鼠壁
(
なまこかべ
)
と
云
(
い
)
ふ
昔
(
むかし
)
からの
難所
(
なんしよ
)
を
乘
(
の
)
る
時分
(
じぶん
)
には、
馬
(
うま
)
が
鬣
(
たてがみ
)
を
振
(
ふ
)
るが
如
(
ごと
)
く
幌
(
ほろ
)
が
搖
(
ゆ
)
れた。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
御神輿
(
おみこし
)
の
柱
(
はしら
)
の、
飾
(
かざり
)
の
珊瑚
(
さんご
)
が
𤏋
(
ぱつ
)
と
咲
(
さ
)
き、
銀
(
ぎん
)
の
鈴
(
すゞ
)
が
鳴据
(
なりすわ
)
つて、
鳳凰
(
ほうわう
)
の
翼
(
つばさ
)
、
鷄
(
にはとり
)
のとさかが、
颯
(
さつ
)
と
汗
(
あせ
)
ばむと、
彼方
(
あつち
)
此方
(
こつち
)
に
揉
(
も
)
む
状
(
さま
)
は
團扇
(
うちは
)
の
風
(
かぜ
)
、
手
(
て
)
の
波
(
なみ
)
に、ゆら/\と
乘
(
の
)
つて
搖
(
ゆ
)
れ
祭のこと
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
穴
(
あな
)
のやうな
眞暗
(
まつくら
)
な
場末
(
ばすゑ
)
の
裏町
(
うらまち
)
を
拔
(
ぬ
)
けて、
大川
(
おほかは
)
に
架
(
か
)
けた、
近道
(
ちかみち
)
の、ぐら/\と
搖
(
ゆ
)
れる
一錢橋
(
いちもんばし
)
と
云
(
い
)
ふのを
渡
(
わた
)
つて、
土塀
(
どべい
)
ばかりで
家
(
うち
)
の
疎
(
まばら
)
な、
畠
(
はたけ
)
も
池
(
いけ
)
も
所々
(
ところ/″\
)
、
侍町
(
さむらひまち
)
を
幾曲
(
いくまが
)
り、で
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
搖
部首:⼿
13画
“搖”を含む語句
動搖
搖曳
搖動
搖籃
搖上
一搖
小搖
貧乏搖
搖起
搖落
搖蕩
大搖
胴搖
羽搖
盪搖
横搖
搖醒
搖返
大搖籃
搖藍
...