想像さうざう)” の例文
そしていつとなく青木さん夫婦ふうふは、かつてはゆめにも想像さうざうしなかつた質屋しちや暖廉のれんくぐりさへ度重たびかさねずにはゐられなくなつてしまつた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
は既に頭巾と覆面ふくめんとの事に付きて言ひしが如く遮光器の存在そんざいに關しても當時たうじ氣候きかう寒冷かんれいなりしならんとの事を想像さうざうするなり。(續出)
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
しか比較的ひかくてき※去くわこの三ねんわたくしためにはしのやすかつたよ、イヤ、其間そのあひだには隨分ずゐぶん諸君しよくんには想像さうざう出來できないほど面白おもしろこと澤山たくさんあつた。
かれこのはかまけたをとこうへに、いま何事なにごとおこりつゝあるだらうかを想像さうざうしたのである。けれどもおくはしんとしてしづまりかへつてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おゝ! 君達きみたちにもほゞ想像さうざう出来できるか、おうらさらはれた、天狗てんぐつかんだ、……おそらくうだらう。……が、わたしこれ地祇神とちのかみ所業しよげふおもふ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかし、いまからもう病家びやうかまはりでもあるまいし、自宅じたく方々はう/″\から、のつくやうにむかへの使つかひたことを想像さうざうして、こしをもぢ/\さしてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
マア金貸かねかしでもしてるか、と想像さうざういたされますうち丁度ちやうど明治三年の十一月の十五日、霏々ちら/\日暮ひぐれから降出ふりだしてました雪が、追々おひ/\つもりまして
わたし人物じんぶつまつた想像さうざうはんしてたのにおどろいたとひます、甚麼どんなはんしてたか聞きたいものですが、ちと遠方ゑんぱうで今問合とひあはせるわけにもきません
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
老人らうじん大島仁藏おほしまじんざう若者わかもの池上權藏いけがみごんざうであるといふことをへば、諸君しよくんは、すで大概たいがい想像さうざうはつくだらうとおもひます。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
日本にほん化物ばけもの後世こうせいになるほど面白おもしろくなつてるが、これはじ日本にほん地理的關係ちりてきくわんけい化物ばけもの想像さうざうする餘地よちがなかつたためである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
こゝろみに蝋燭らふそくされたあとほのふさま想像さうざうしてました、まへ其麽そんなものたことを記憶きおくしてませんでしたから。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
これ奇妙きめう妄想まうざうたものだ。』と、院長ゐんちやうおもはず微笑びせうする。『では貴方あなたわたくし探偵たんていだと想像さうざうされたのですな。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
さうおもつてわたしはまだ自分じぶんにはかくされてゐる太陽たいやう笑顏ゑがほ想像さうざうなかさがもとめた。けれどもわたしはそれをさうながつにはおよばなかつた。小松こまつ刻々こく/\かゞやきをしてつた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
この四五ぐわつふものは、わたしつてはたゞゆめのやうで、たのしいとへばたのしいが、さりとて、わたし想像さうざうしてゐたほどまたひとふほど、これわたしの一しやうもつと幸福かうふく時期じきだともおもはぬ。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
しかほとんど想像さうざうされなかつた疼痛とうつう滿身まんしんわたつた。やが非常ひじやう發熱はつねつともなつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それは分らんね 想像さうざうもつかん またどんな想像したつてかまはん
さだめてあの張作霖ちやうさくりんがそんなふう相好さうかうくづしてのけぞりかへつただらうとおもふと、そのむかし馬賊ばぞく荒武者あらむしやだつたといふひとのよさも想像さうざうされて
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
じつ先刻せんこく貴君等きくんら不思議ふしぎにも大輕氣球だいけいきゝゆうともこの印度洋インドやう波上はじやう落下らくかしたといたときから、わたくしこゝろある想像さうざうえがいてるのです。
うすると、こゝろきざんで、想像さうざうつくげた……しろ俘虜とりこ模型もけい彫像てうざうが、一団いちだんゆきごとく、沼縁ぬまべりにすらりとつ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
提灯ちやうちんにもそのいろ多少たせううつかんじがあつた。その提灯ちやうちん一方いつぱうおほきなみき想像さうざうする所爲せゐか、はなはちひさくえた。ひかり地面ぢめんとゞ尺數しやくすうわづかであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ものたましひがあるとの想像さうざうむかしからあるので、だい山岳さんがく河海かかいより、せうは一ぽんくさ、一はなにもみなたましひありと想像さう/″\した。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
(さうつて阿母おかアさんにりかゝらうとしました——みなさんが空中くうちゆうちてときりかゝることを想像さうざうして御覽ごらんなさい!そんなこと出來できるものでせうか?)
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
石斧製造いしおのせいざう必要ひつえうなる砂及び水は各々おの/\適宜てきたうなる大さの土器中にたくはへられしものと想像さうざうせらる。(續出)
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
だ/\」といふそこに一しゆ意味いみふくんだ一てゝわかれるのである。ことには村落むら若者わかものあひだへは寸毫すんがう遠慮ゑんりよ想像さうざうともな陰口かげぐちたくましくせしめる好箇かうこ材料ざいれう提供ていきようしたのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かれ作品さくひんかれ盛名せいめいかれ手紙てがみ乃至ないし写真しやしんのやうなものから想像さうざうされた年少作家ねんせうさくか大久保おほくぼが、んなにうつくしい幻影げんえい憧憬心あこがれごころおほ彼女かのぢよ情熱じやうねつそゝつたかは、竹村たけむらにも大凡おほよ想像さうざうができるのであつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
(これが想像さうざうした火星くわせい表面へうめんで一めん砂原すなはら植物しよくぶつもある。)
想像さうざうすれば、始終しじう青一色チンイイソオをさせたり、滿貫役まんぐわんやくをつけさせたりするのだらうが、それが自然しぜんりの阿堵物あとぶつになることはふまでもない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
貴君きくん! この新造巡洋艦しんざうじゆんやうかんに「」と命名めいめいされたのはまつたきみ想像さうざうごと日出雄少年ひでをせうねん紀念きねんためつてもよいのです。
ゆめからめたおもひで、あつぼつたかつたかほでた、ひざいて、判然はつきり向直むきなほつたときかれいままでの想像さうざうあまりなたはけさにまたひとりでわらつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なほ化物ばけものに一の必要條件ひつえうぜうけんは、文化ぶんくわ程度ていど非常ひぜう密接みつせつ關係くわんけいいうすることである。化物ばけもの想像さうざうすることにあらずしてぜうである。はしると化物ばけもの發達はつたつしない。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
電車でんしやなかでは、御米およね何時頃いつごろめたらう、めたあと心持こゝろもち大分だいぶくなつたろう、發作ほつさももうおこ氣遣きづかひなからうと、すべわるくない想像さうざうばかりおもうかべた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
奇態きたいだこと、うさぎ使つかひにるなて!』と獨語ひとりごとつて、『今度こんど屹度きつとたまちやんがわたし使つかひにやるだらう!』つてあいちやんは其時そのときこと種々いろ/\想像さうざうしてました
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
が、想像さうざう矢張やはりわるはうへばかりはしらうとする。如何どうかすると、恋人こひゞとつたことを、すでうごかすべからざる事実じゞつめてしまつてゐる。さうして、其事実そのじゞつのうへに、色々いろ/\不幸ふかう事実じゞつをさへきづきあげてゐる。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
みられるわ さういふ夢を想像さうざうとか空想くうさうとかいふんだわ
おそらくこれいてのかんじがわかるといふだけでも僕等ぼくら日本人にほんじん歐米人達おうべいじんたちよりもずつとずつと麻雀マアジヤンあぢはたのしみかたふかいだらうと想像さうざうされる。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
ときに、そばつた家内かない姿すがたが、それ髣髴そつくりだ、とおもふと、想像さうざうとほむかしかへつて、不思議ふしぎなもので、そでならべたおうら姿すがたが、づゝとはなれてはるかなむかふへ……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
爾來じらい地震ぢしん記事きじは、かなり詳細せうさい文献ぶんけんあらはれてをり、その慘害さんがいじやう想像さうざうされるが、これを建築發達史けんちくはつたつしからて、地震ぢしんのために如何いかなる程度ていどにおいて、構造上こうざうぜう考慮かうりよくはへられたかは疑問ぎもんである。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
かつて、木下きのしたさんの柏木かしはぎやしきの、矢張やつぱにはいけかへるとらへて、水掻みづかき附元つけもとを(あか絹絲きぬいと)……とふので想像さうざうすると——御容色ごきりやうよしの新夫人しんふじんのお手傳てつだひがあつたらしい。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
われらはげしき大都会だいとくわい色彩しきさいながむるもの、奥州辺おうしうへん物語ものがたりみ、婦人ふじん想像さうざうするに、大方おほかた安達あだちはら婆々ばゞおもひ、もつぺ穿きたるあねえをおもひ、こんふんどし媽々かゝあをおもふ。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
人々ひと/″\も、くては筋骨きんこつたくましく、膝節ひざぶしふしもふしくれちたる、がんまのむすめ想像さうざうせずや。らず、かたあるひ画像ぐわざうなどにて、南谿なんけいのあたりうつける木像もくざうとはたがへるならむか。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)