)” の例文
一廻ひとまはりくるりとにまはつて前足まへあしをついて、棒杭ばうぐひうへつて、お天気てんきるのであらう、仰向あをむいてそらた。れるといまにくよ。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
すがすがしい天気てんきで、青々あおあお大空おおぞられていましたが、その奥底おくそこに、ひかったつめたいがじっと地上ちじょうをのぞいているようなでした。
冬のちょう (新字新仮名) / 小川未明(著)
宴会えんかいへ行くときにあれほどれ晴れとしていたかの女のかわいらしい顔は、いまは悲しみにしずんで、なみだがほおをつたっていた。
さいはひそのは十一時頃じごろからからりとれて、かきすゞめ小春日和こはるびよりになつた。宗助そうすけかへつたとき御米およねいつもよりえ/″\しい顏色かほいろをして
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その途中とちゅう、山の上にさしかかりますと、いままでからりとがってあかるかった青空あおぞらが、ふとくもって、そこらがうすぼんやりしてきました。
白い鳥 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
生中なまなかこがれて附纒つきまとふたとて、れてはれるなかではなし、可愛かあいひと不義ふぎせてすこしもれが世間せけんれたらなんとせう
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
午後ごゝんだがれさうにもせずくもふようにしてぶ、せまたに益々ます/\せまくなつて、ぼく牢獄らうごくにでもすわつて
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
れのあしたを前にして、なにを密議みつぎするのか、そのばん徳川とくがわばたけの者ばかりが、首をあつめておそくまで声をひそめていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それにれて私自身わたくしじしん気持きもちもずっとれやかになり、戸外そと出掛でかけて漫歩そぞろあるきでもしてたいというようなふうになりました。
わたしのいえ領地りょうちだった村でらしたある年の八月のことです。それは、さわやかにれわたった日でしたが、風があって、すこしさむいくらいでした。
じッと、くぎづけにされたように、春信はるのぶは、おせんの襟脚えりあしからうごかなかった。が、やがてしずかにうなずいたそのかおには、れやかないろただよっていた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
くもったりれたりするそらのぼったり下ったりするおか、緑が茂って、小麦がれて、余の今の周囲も其時にて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
勘次かんじふりかへつたときかれ打棄うつちやつたふねしづんだきりへだてられてえなかつた。かれ蜀黍もろこしからうて足趾あしあとしたがつてはるか土手どて往來わうらいた。きりが一ぺんれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あをみづうへには、三十石船さんじつこくぶねがゆつたりとうかんで、れた冬空ふゆぞらよわ日光につくわうを、ともからみよしへいツぱいにけてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
ひさしぶりでかしらはうつくしいこころになりました。これはちょうど、あかまみれのきたな着物きものを、きゅうににきせかえられたように、奇妙きみょうなぐあいでありました。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
青木さんはふと一人ごとのやうにさうつぶやいて、のき先にえるれた空をぢつと上げた。が、さういふ空さうの明るさとは反対はんたい氕持きもちめうくらしづんでつた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
珠運しゅうん命の有らん限りは及ばぬ力の及ぶケを尽してせめては我がすきの心に満足さすべく、かつ石膏せっこう細工の鼻高き唐人とうじんめに下目しためで見られし鬱憤うっぷんの幾分をらすべしと
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
こっちは元より棄てた一生。一刀の下に切伏せて、この年月としつき怨恨うらみらいてくれるまでの事。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
カラスたちは、スモーランドの上を南西なんせいにむかって飛びつづけました。うららかにれわたった、あたたかい朝でした。地上の鳥たちは、やさしいあいうたをうたっていました。
ところが、そういう生活せいかつは時がたつにつれて、はじめほど面白おもしろいものではなくなってきました。天気は毎日れるものではありませんし、お金はいつももらえるとはきまりません。
活人形 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
ときふゆはじめで、しもすこつてゐる。椒江せうこう支流しりうで、始豐溪しほうけいかは左岸さがん迂囘うくわいしつつきたすゝんでく。はじくもつてゐたそらがやうやうれて、蒼白あをじろきし紅葉もみぢてらしてゐる。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
年貢ねんぐ苛斂かれんだったためと、解せられたのにも根拠はあるが、今一つの理由は、是が本来はれの日の食物であったことで、年に幾度の節日祭日、もしくは親の日・身祝みいわい日だけに
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そられたる斷食だんじきの日、尼寺あまでら童貞どうていこぞりて運河に船の行くを眺めたり。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
そらさはやかれて、とほ木立こだちそらせつするあたり見渡みわたされるすゞしい日和ひより
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
まどの外ではきりれて鈴蘭すずらんがきらきら光り、つりがねそうは
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
……よ、よ、これが最後なごりぢゃぞ! かひなよ、け、これが最後なごりぢゃ! おゝ、いきくちびるよ、ひといのち長永とこしなへ買占かひしむる證文しょうもん天下てんがれた接吻せっぷん奧印おくいんせよ!……(毒藥の瓶を取り出し)さ、
きりれゆけば遠海とほうみ
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「おじさんのたこ、一ばんだこになれる?」と、北風きたかぜかれながら、あくまであおれわたったそら見上みあげて、賢二けんじがいいました。
北風にたこは上がる (新字新仮名) / 小川未明(著)
夜汽車よぎしや新橋しんばしいたときは、ひさりに叔父をぢ夫婦ふうふかほたが、夫婦ふうふとも所爲せゐれやかないろには宗助そうすけうつらなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
陽炎かげらふひざつて、太陽たいやうはほか/\としてる。そられたが、くさ濡色ぬれいろは、次第しだいかすみ吸取すひとられやうとする風情ふぜいである。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そこで太郎たろう次郎じろう支度じたくをして、のこのこ布団ふとんからはいして、をあけてそとへ出ました。そらはよくれて、ほしがきらきらひかっていました。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
尊公そんこうから若君へお願いしてくれ。だれにしたって、ここで一番日ごろの鬱憤うっぷんらして、うで夜泣よなきをなぐさめてやりたいのは、人情にんじょうじゃないか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やま修行場しゅぎょうばうつってからのわたくしは、なんとはなしに気分きぶんがよほどれやかになったらしいのが自分じぶんにもかんぜられました。
もう陽気ようきあたたかで、空はまっさおにれわたり、太陽たいようは高いところから、ぽかぽかと暖かな光りをきらめかせていましたが、わたしの心は、まっくらでした。
かへしなをかふれどそでなみだれんともせずもすればわれともにと決死けつし素振そぶり油斷ゆだんならずなにはしかれいのちありてのものだねなりむすめこゝろ落附おちつかすにくはなしとしては婚儀こんぎ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
れて心持こゝろもちがよかつたのと、一どう非常ひじやう奮發ふんぱつをしたのとで仕事しごとたかうちんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
なまじってるかおよりも、はじめてってほうに、はずむはなしがあるものだ。——それにおまえ相手あいて当時とうじ上上吉じょうじょうきち女形おやまってるだけでも、れとするようだぜ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
おくさんは黒未勝くろみかちな、若々わか/\しいひとみを夢見ゆめみるやうに見張みはりながら、れやかにつぶやいた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
儂も久しくかんがえた末、届と税を出し、天下てんかれて彼を郎等ろうどうにした。郎等先生此頃では非常に柔和になった。第一眼光が違う。尤もわるくせがあって、今でも時々子供をおいかける。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
人車じんしや徐々じよ/\として小田原をだはらまちはなれた。ぼくまどからくびしてる。たちまちラツパをいさましくてゝくるま傾斜けいしやぶやうにすべる。そら名殘なごりなくれた。海風かいふうよこさまにまどきつける。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そして二人は、うちれた日の光をあおいで故郷こきょうへのたびをいそぎました。
活人形 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
そらさわやかれて、とお木立こだちそらせっするあたり見渡みわたされるすずしい日和ひより
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
あくる朝は、空はれわたって、きりもすっかりはれていました。アッカは、これから旅をつづけることにする、と言いました。ガンたちはみんな喜びましたが、白いガチョウだけは、いやがりました。
はるかぜは、青々あおあおれたそらわたっていました。そして木々きぎ小枝こえだは、かぜかれて、なにかたのしそうに小唄こうたをうたっていたのです。
さまざまな生い立ち (新字新仮名) / 小川未明(著)
本當ほんたう有難ありがたいわね。やうやくのことはるになつて」とつて、れ/″\しいまゆつた。宗助そうすけえんながびたつめりながら
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これよりして、くちまでの三里余りよは、たゞ天地てんちあやつらぬいた、いはいしながれ洞窟どうくつつてい。くもれても、あめ不断ふだんるであらう。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あるれたはるあさでした。伊香刀美いかとみはいつものようにりょうの支度したくをして、湖水こすいほうりて行こうとしました。
白い鳥 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
はたしてもなく雷雨らいうは、ぬぐうがごとみ、やまうえれた、おだやかな最初さいしょ景色けしきもどりました。わたくしゆめからめたような気分きぶんで、しばらくは言葉くちもきけませんでした。
此坊このばうやのうまれてやうといふ時分じぶん、まだわたし雲霧くもきりにつゝまれぬいてたのです、うまれてからのち容易よういにはれさうにもしなかつたのです、だけれども可愛かあいい、いとしい
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しかし、考えてみると、自分たちはここでれがましい武名ぶめい大衆たいしゅうに売ろうというのではない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)