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奇
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き
ふりがな文庫
“
奇
(
き
)” の例文
世に越後の
七不思議
(
なゝふしぎ
)
と
称
(
しよう
)
する其一ツ
蒲原郡
(
かんばらこほり
)
妙法寺村の
農家
(
のうか
)
炉中
(
ろちゆう
)
の
隅
(
すみ
)
石臼
(
いしうす
)
の
孔
(
あな
)
より
出
(
いづ
)
る火、人
皆
(
みな
)
奇
(
き
)
也として
口碑
(
かうひ
)
につたへ
諸書
(
しよしよ
)
に
散見
(
さんけん
)
す。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
針
(
はり
)
の
稱
(
な
)
に、
青柳
(
あをやぎ
)
、
女郎花
(
をみなへし
)
、
松風
(
まつかぜ
)
、
羽衣
(
はごろも
)
、
夕顏
(
ゆふがほ
)
、
日中
(
ひなか
)
、
日暮
(
ひぐれ
)
、
螢
(
ほたる
)
は
光
(
ひか
)
る。(
太公望
(
たいこうばう
)
)は
諷
(
ふう
)
する
如
(
ごと
)
くで、
殺生道具
(
せつしやうだうぐ
)
に
阿彌陀
(
あみだ
)
は
奇
(
き
)
なり。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
江戸の
開城
(
かいじょう
)
その事
甚
(
はなは
)
だ
奇
(
き
)
にして当局者の
心事
(
しんじ
)
は
解
(
かい
)
すべからずといえども、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
その
出来上
(
できあが
)
りたる
結果
(
けっか
)
を見れば
大成功
(
だいせいこう
)
と認めざるを得ず。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
肉の足らぬ
細面
(
ほそおもて
)
に予期の
情
(
じょう
)
を
漲
(
みなぎ
)
らして、重きに過ぐる唇の、
奇
(
き
)
か
偶
(
ぐう
)
かを疑がいつつも、
手答
(
てごたえ
)
のあれかしと念ずる様子である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さう
鋭
(
するど
)
くもなく敢へて
奇
(
き
)
手
妙策
(
めうさく
)
も
弄
(
ろう
)
せず
靜
(
しづ
)
かに
穩
(
おだや
)
かにもみ合つてゐる光
景
(
けい
)
たるやたしかに「
櫻
(
さくら
)
かざして」の
感
(
かん
)
なくもない。
下手の横好き:―将棋いろいろ―
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
▼ もっと見る
甚麼話
(
どんなはなし
)
を
爲
(
す
)
るので
有
(
あ
)
らうか、
彼處
(
かしこ
)
へ
行
(
い
)
つても
處方書
(
しよはうがき
)
を
示
(
しめ
)
さぬでは
無
(
な
)
いかと、
彼方
(
あつち
)
でも、
此方
(
こつち
)
でも、
彼
(
かれ
)
が
近頃
(
ちかごろ
)
の
奇
(
き
)
なる
擧動
(
きよどう
)
の
評判
(
ひやうばん
)
で
持切
(
もちき
)
つてゐる
始末
(
しまつ
)
。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
妾
(
せふ
)
は
児
(
じ
)
の
重
(
かさ
)
ね/″\
龍
(
りよう
)
に
縁
(
えん
)
あるを
奇
(
き
)
として、それに
因
(
ちな
)
める名をば
命
(
つ
)
けつ、
生
(
お
)
ひ先きの
幸
(
さち
)
多かれと
祷
(
いの
)
れるなりき。
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
四方の壁に幾十の小さな額が
掛
(
かゝ
)
つて居るが、見渡した所
凡
(
すべ
)
てが近頃の親しい作家の絵
許
(
ばかり
)
であるのは一
奇
(
き
)
だ。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
その
次第
(
しだい
)
は前にいえるごとく、氏の
尽力
(
じんりょく
)
を以て
穏
(
おだやか
)
に旧政府を
解
(
と
)
き、
由
(
よっ
)
て
以
(
もっ
)
て殺人
散財
(
さんざい
)
の
禍
(
わざわい
)
を
免
(
まぬ
)
かれたるその功は
奇
(
き
)
にして大なりといえども、一方より観察を
下
(
くだ
)
すときは
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
飛離
(
とびはな
)
れて面白いでもなく
候
(
そろ
)
へどもほかの事の
仕方
(
しかた
)
がないにくらべ
候
(
そろ
)
へばいくらか面白かりしものと
存候
(
ぞんじそろ
)
たゞ
其頃
(
そのころ
)
小生
(
せうせい
)
の一
奇
(
き
)
と
致候
(
いたしそろ
)
は
萬場
(
ばんじやう
)
の
観客
(
かんかく
)
の面白げなるべきに
拘
(
かゝわ
)
らず
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
いそがしぶる
乙女
(
おとめ
)
のなまじいに
紅染
(
べにぞめ
)
のゆもじしたるもおかしきに、いとかわゆき小女のかね黒々と
染
(
そめ
)
ぬるものおおきも、むかしかたぎの残れるなるべしとおぼしくて
奇
(
き
)
なり。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
主人孫右衞門の抗議の
奇
(
き
)
つ
怪
(
くわい
)
さに、平次も暫らくたじろぎましたが、やがて陣を立て直すと
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
言
(
げん
)
を
奇
(
き
)
にして
言
(
い
)
へば、
此貝塚
(
このかひづか
)
は
彌生式
(
やよひしき
)
のでも
無
(
な
)
い、
石器時代
(
せききじだい
)
のでも
無
(
な
)
い、一
種
(
しゆ
)
特別
(
とくべつ
)
の
貝塚
(
かひづか
)
に、
彌生式
(
やよひしき
)
も
混入
(
こんにふ
)
した。
他
(
た
)
の
土器
(
どき
)
も
混入
(
こんにふ
)
したと——まア
言
(
い
)
ひたい
位
(
くらゐ
)
ゐ、
何
(
な
)
んにも
出
(
で
)
ぬ。
探検実記 地中の秘密:06 疑問の加瀬貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
写楽が
女形
(
おんながた
)
の肖像は
奇中
(
きちゅう
)
の
奇
(
き
)
傑作中の傑作ならんか。岩井半四郎、松本
米三郎
(
よねさぶろう
)
の如き肖像を見れば余は
直
(
ただち
)
に劇場の楽屋において
目
(
ま
)
のあたり男子の女子に扮したる容貌を連想す。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それからひととおりのことを教わったのですが、私には、みょうに
奇
(
き
)
を好む性癖がありまして、今でしたら飛行機にも乗ったでしょう、珍らしい遊戯とか、
興業物
(
こうぎょうもの
)
とかがあると
港の妖婦
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
且
(
か
)
つ
傍
(
かたはら
)
に直下数丈の
瀑布
(
ばくふ
)
ありて
幅
(
はば
)
も
頗
(
すこぶ
)
る
広
(
ひろ
)
し其地の
幽
(
いう
)
にして其景の
奇
(
き
)
なる、真に
好仙境
(
こうせんきよう
)
と謂つべし、
因
(
ちなみ
)
に云ふ此文珠岩は
皆
(
みな
)
花崗岩
(
みがけいわ
)
より
成
(
な
)
りて、雨水の
為
(
た
)
め
斯
(
か
)
くは
水蝕
(
すゐいつ
)
したるなり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
「
奇
(
き
)
、
正
(
せい
)
。こう二態は、軍隊の性格で怪しむに足りません。しかし要心は必要でしょう」
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
君子の信ずるところは小人の疑うところとなり、老婆の
安
(
やすん
)
ずる所は少年の笑うところとなる。新を
貪
(
むさぼ
)
る者は
陳
(
ちん
)
を
嫌
(
きら
)
い、古を好む者は
奇
(
き
)
を
怪
(
あやし
)
む。人心の
同
(
おなじ
)
からざる、なおその面のごとし。
教門論疑問
(新字新仮名)
/
柏原孝章
(著)
「司馬の道場では、挨拶にやった門之丞を、無礼にも追いかえしましたぞ。先には、あなた様を萩乃さまのお婿に……などという気は、今になって、すこしもないらしい。
奇
(
き
)
っ
怪
(
かい
)
至極
(
しごく
)
——」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
程なく夜明けぬるに
一六五
生
(
いき
)
出でて、急ぎ彦六が方の壁を
敲
(
たた
)
きて
夜
(
よべ
)
の事をかたる。彦六もはじめて陰陽師が詞を
一六六
奇
(
き
)
なりとして、おのれも其の夜は
寝
(
い
)
ねずして三更の
比
(
ころ
)
を待ちくれける。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
いつの
代
(
よ
)
にも
奇
(
き
)
を好むのは人情である。里の人々はすぐに
松明
(
たいまつ
)
を照して出た。亭主が案内に立つてゆくと、女の影が消えたらしいところに大きい松の木があつた。赤児の啼く声はまだきこえた。
小夜の中山夜啼石
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
問題の初音の鼓は、皮はなくて、ただ
胴
(
どう
)
ばかりが
桐
(
きり
)
の
箱
(
はこ
)
に収まっていた。これもよくは分らないが、
漆
(
うるし
)
が比較的新しいようで、
蒔絵
(
まきえ
)
の
模様
(
もよう
)
などもなく、見たところ何の
奇
(
き
)
もない黒無地の胴である。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
孫臏
(
そんびん
)
、
(二〇)
刑徒
(
けいと
)
を
以
(
もつ
)
て
陰
(
ひそか
)
に
見
(
み
)
て
齊
(
せい
)
の
使
(
つかひ
)
に
説
(
と
)
く。
齊
(
せい
)
の
使
(
つかひ
)
、
以
(
もつ
)
て
奇
(
き
)
と
爲
(
な
)
し、
竊
(
ひそか
)
に
載
(
の
)
せて
與
(
とも
)
に
齊
(
せい
)
に
之
(
ゆ
)
く。
齊
(
せい
)
の
將
(
しやう
)
・
田忌
(
でんき
)
、
(二一)
善
(
よみ
)
して
之
(
これ
)
を
(二二)
客待
(
かくたい
)
す。
忌
(
き
)
數〻
(
しばしば
)
齊
(
せい
)
の
諸公子
(
しよこうし
)
と
(二三)
驅逐重射
(
くちくちようせき
)
す。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
この大河の水は岩礁を
割
(
さ
)
いた水道のコンクリートの
堰
(
せき
)
と赤さびた鉄の扉の上を
僅
(
わずか
)
に越えて、流れ注いで、外には濁った白い
水沫
(
すいまつ
)
と
塵埃
(
じんあい
)
とを平らかに溜めているばかりだ。何の
奇
(
き
)
もなく
閑
(
のど
)
けさである。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
これには
奇
(
き
)
にして
正
(
せい
)
なる一場の物語がある。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
訴へに
及
(
および
)
し事
輕
(
かろ
)
き身分には
奇
(
き
)
特の心底なり只今
聞通
(
きくとほ
)
り人殺夜盜は勘太郎に相違之なし然樣心得よと云はれしかば彦三郎は云ふに及ばず八右衞門權三助十等
皆
(
みな
)
有難
(
ありがた
)
き仕合なりと喜びけり時に大岡殿福井町家主勘兵衞と
呼上
(
よびあげ
)
られ其方家主の身を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
目
(
め
)
や
鼻
(
はな
)
や
顏
(
かほ
)
何
(
な
)
ぞ
奇
(
き
)
なる
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
太綱
(
ふとづな
)
の
一端
(
いつたん
)
を
前齒
(
まへば
)
に
銜
(
くは
)
へてする/\と
竿
(
さを
)
を
上
(
のぼ
)
りて
直
(
たゞち
)
に
龍頭
(
りうづ
)
に
至
(
いた
)
る。
蒼空
(
あをぞら
)
に
人
(
ひと
)
の
點
(
てん
)
あり、
飄々
(
へう/\
)
として
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かる。これ
尚
(
な
)
ほ
奇
(
き
)
とするに
足
(
た
)
らず。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
我国に大小の川々
幾流
(
いくすぢ
)
もあるなかに、此
渋海川
(
しぶみがは
)
にのみかぎりて
毎年
(
まいねん
)
たがはず此事あるも
奇
(
き
)
とすべし。しかるに天明の
洪水
(
こうずゐ
)
以来此事
絶
(
たえ
)
てなし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
どんな
話
(
はなし
)
をするのであろうか、
彼処
(
かしこ
)
へ
行
(
い
)
っても
処方書
(
しょほうがき
)
を
示
(
しめ
)
さぬでは
無
(
な
)
いかと、
彼方
(
あっち
)
でも、
此方
(
こっち
)
でも、
彼
(
かれ
)
が
近頃
(
ちかごろ
)
の
奇
(
き
)
なる
挙動
(
きょどう
)
の
評判
(
ひょうばん
)
で
持切
(
もちき
)
っている
始末
(
しまつ
)
。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ことごとく尋常以上に
奇
(
き
)
なあるものを、マントの裏かコートの
袖
(
そで
)
に忍ばしていはしないだろうかと考える。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ロセツが
彼
(
か
)
の
横須賀造船所
(
よこすかぞうせんじょ
)
設立の
計画
(
けいかく
)
に
関係
(
かんけい
)
したるがごとき、その
謀計
(
ぼうけい
)
頗
(
すこぶ
)
る
奇
(
き
)
なる者あり。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
急峻
(
きゅうしゅん
)
で、
大樹
(
たいじゅ
)
と
岩層
(
がんそう
)
が、
天工
(
てんこう
)
の
奇
(
き
)
をきわめているから、
岳中
(
がくちゅう
)
自然
(
しぜん
)
と
瀑布
(
ばくふ
)
や
渓流
(
けいりゅう
)
がおおい。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
文珠岩の如きは
実
(
じつ
)
に奇中の
奇
(
き
)
たるものなり、要するに人跡未到の
地
(
ち
)
なるを以て、動植物及鉱物共に
大
(
おほい
)
に得る所あらんとするを
期
(
き
)
せしなれ共、右の如く別に
珍奇
(
ちんき
)
なる者を
発見
(
はつけん
)
せざりき
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
所が
茲
(
ここ
)
に
奇
(
き
)
な事は、その塾で
蒙求
(
もうぎゅう
)
とか孟子とか論語とかの
会読
(
かいどく
)
講義をすると云うことになると、私は
天禀
(
てんりん
)
、少し文才があったのか知らん、
能
(
よ
)
く
其
(
そ
)
の意味を
解
(
げ
)
して、朝の素読に教えて
呉
(
く
)
れた人と
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
話の
奇
(
き
)
つ
怪
(
くわい
)
さに、平次もツイ吐月峰を叩いて膝を進めました。
銭形平次捕物控:109 二人浜路
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
波羅葦僧
(
はらいそ
)
の
空
(
そら
)
をも
覗
(
のぞ
)
く
伸
(
の
)
び
縮
(
ちゞ
)
む
奇
(
き
)
なる
眼鏡
(
めがね
)
を。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
然
(
しか
)
れども
此
(
こ
)
の
白晝
(
はくちう
)
横行
(
わうぎやう
)
の
惡魔
(
あくま
)
は、
四時
(
しじ
)
恆
(
つね
)
に
在
(
あ
)
る
者
(
もの
)
にはあらず。
或
(
あるひ
)
は
週
(
しう
)
を
隔
(
へだ
)
てて
歸
(
かへ
)
り、
或
(
あるひ
)
は
月
(
つき
)
をおきて
來
(
きた
)
る。
其
(
その
)
去
(
さ
)
る
時
(
とき
)
來
(
きた
)
る
時
(
とき
)
、
進退
(
しんたい
)
常
(
つね
)
に
頗
(
すこぶ
)
る
奇
(
き
)
なり。
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
主人
怪
(
あや
)
しみ人をして是を
捕
(
とら
)
へしめしに、
全身
(
ぜんしん
)
は
烏
(
からす
)
にして白く、
觜
(
くちばし
)
眼
(
まなこ
)
足
(
あし
)
は赤き
烏
(
からす
)
の
雛
(
ひな
)
なり、人々
奇
(
き
)
として
集
(
あつま
)
り
観
(
み
)
る。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
今
(
いま
)
考
(
かんが
)
へると
凡
(
すべ
)
てが
明
(
あき
)
らかであつた。
從
(
したが
)
つて
何等
(
なんら
)
の
奇
(
き
)
もなかつた。
二人
(
ふたり
)
は
土塀
(
どべい
)
の
影
(
かげ
)
から
再
(
ふたゝ
)
び
現
(
あら
)
はれた
安井
(
やすゐ
)
を
待
(
ま
)
ち
合
(
あ
)
はして、
町
(
まち
)
の
方
(
はう
)
へ
歩
(
ある
)
いた。
歩
(
ある
)
く
時
(
とき
)
、
男
(
をとこ
)
同志
(
どうし
)
は
肩
(
かた
)
を
並
(
なら
)
べた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
岩穴に入りて
終
(
おわ
)
る、衆初めて其
伏流
(
ふくりう
)
なるを
知
(
し
)
り之を
奇
(
き
)
とす、山霊
果
(
はだ
)
して尚一行を
欺
(
あざむ
)
くの意乎、将又
戯
(
たはむ
)
れに利根水源の深奥
測
(
はか
)
るべからざるを
装
(
よさ
)
ふの意乎、此日の午後尾瀬が
原
(
はら
)
に
到
(
いた
)
るの途中
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
「
奇
(
き
)
ッ
怪
(
かい
)
な笑い声、
咲耶子
(
さくやこ
)
、心をゆるすまいぞ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
主人
怪
(
あや
)
しみ人をして是を
捕
(
とら
)
へしめしに、
全身
(
ぜんしん
)
は
烏
(
からす
)
にして白く、
觜
(
くちばし
)
眼
(
まなこ
)
足
(
あし
)
は赤き
烏
(
からす
)
の
雛
(
ひな
)
なり、人々
奇
(
き
)
として
集
(
あつま
)
り
観
(
み
)
る。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
奇
(
き
)
なる
哉
(
かな
)
、
更
(
さら
)
に
一時間
(
いちじかん
)
いくらと
言
(
い
)
ふ……
三保
(
みほ
)
の
天女
(
てんによ
)
の
羽衣
(
はごろも
)
ならねど、
身
(
み
)
にお
寶
(
たから
)
のかゝる
其
(
そ
)
の
姉
(
ねえ
)
さんが、
世話
(
せわ
)
になつた
禮
(
れい
)
かた/″\、
親類
(
しんるゐ
)
へ
用
(
よう
)
たしもしたいから、お
差支
(
さしつか
)
へなくば
御一所
(
ごいつしよ
)
に
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
鼻高きが故に
貴
(
たっと
)
からず、
奇
(
き
)
なるがために貴しとはこの故でもございましょうか。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「うぬッ、
奇
(
き
)
ッ
怪
(
かい
)
な女め」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此一おしにて男女
倶
(
とも
)
に
元結
(
もとゆひ
)
おのづからきれて
髪
(
かみ
)
を
乱
(
みだ
)
す㕝甚
奇
(
き
)
なり。七間四面の堂の内に
裸
(
はだか
)
なる人こみいりてあげたる手もおろす事ならぬほどなれば、人の多さはかりしるべし。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
其
(
そ
)
の
宗室
(
そうしつ
)
を
會
(
くわい
)
して、
長夜
(
ちやうや
)
の
宴
(
えん
)
を
張
(
は
)
るに
當
(
あた
)
りては、
金瓶
(
きんべい
)
、
銀榼
(
ぎんかふ
)
百餘
(
ひやくよ
)
を
陳
(
つら
)
ね、
瑪瑙
(
めなう
)
の
酒盞
(
しゆさん
)
、
水晶
(
すゐしやう
)
の
鉢
(
はち
)
、
瑠璃
(
るり
)
の
椀
(
わん
)
、
琥珀
(
こはく
)
の
皿
(
さら
)
、いづれも
工
(
こう
)
の
奇
(
き
)
なる
中國
(
ちうごく
)
未
(
いま
)
だ
嘗
(
かつ
)
てこれあらず、
皆
(
みな
)
西域
(
せいゐき
)
より
齎
(
もたら
)
す
處
(
ところ
)
。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
然
(
しか
)
れども
花
(
はな
)
開
(
ひら
)
いて
絢爛
(
けんらん
)
たり。
昌黎
(
しやうれい
)
植
(
う
)
うる
處
(
ところ
)
、
牡丹
(
ぼたん
)
もと
紫
(
むらさき
)
、
今
(
いま
)
は
白紅
(
はくこう
)
にして
縁
(
ふち
)
おの/\
緑
(
みどり
)
に、
月界
(
げつかい
)
の
採虹
(
さいこう
)
玲瓏
(
れいろう
)
として
薫
(
かを
)
る。
尚
(
な
)
ほ
且
(
か
)
つ
朶
(
はなびら
)
ごとに
一聯
(
いちれん
)
の
詩
(
し
)
あり。
奇
(
き
)
なる
哉
(
かな
)
、
字
(
じ
)
の
色
(
いろ
)
分明
(
ぶんみやう
)
にして
紫
(
むらさき
)
なり。
花間文字
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
準備
(
じゆんび
)
に
就
(
つ
)
いても
取々
(
とり/″\
)
奇
(
き
)
な
事
(
こと
)
があるが、それはまあ、お
預
(
あづか
)
り
申
(
まを
)
すとして、
帳場
(
ちやうば
)
へ
据
(
す
)
ゑて
算盤
(
そろばん
)
を
置
(
お
)
く、
乃至
(
ないし
)
帳面
(
ちやうめん
)
でもつけようといふ、
娘
(
むすめ
)
はこれを(お
帳場
(
ちやうば
)
/\)と
言
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
るが、
要
(
えう
)
するに
卓子
(
テエブル
)
だ。
廓そだち
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“奇”の意味
《名詞》
変わっていること。特異。
(出典:Wiktionary)
“奇”の解説
奇(き)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
奇
常用漢字
中学
部首:⼤
8画
“奇”を含む語句
奇怪
奇異
怪奇
好奇
好奇心
奇観
奇術
奇妙
数奇
奇体
奇蹟
奇矯
奇態
奇々怪々
珍奇
奇特
奇禍
留南奇
御奇特
奇縁
...