しん)” の例文
女の子は、まい日、おかあさんのおはかのところへいっては、いてばかりいました。でも、神さまをしんじて、すなおな心でいました。
この夏もおたがひたび先や何かで久しくかほを合せなかつた二人、さて新秋になると、むかうはあた海で勉強べんけうして大につよくなつたと自しんを持ち
けれど、わたし仕事しごとはけっして、最後さいごに、あのてつなかたからのように、かたちもなく、むだとなってしまうことは、ないであろうとしんじます。
汽船の中の父と子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それがひとうように規則的きそくてきあふれてようとは、しんじられもしなかった。ゆえもない不安ふあんはまだつづいていて、えず彼女かのじょおびやかした。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その谷にそそぐ川はビエーヴル川であるから、この谷はパリの郊外こうがいではいちばんきたない陰気いんきな所だと言いもし、しんじられもしていた。
「だめだめ、しんちゃんなんか。信ちゃんは、ねぐるいの名人で、ひとの腹でも何でも、ぽんぽん蹴るというから、おれはいやだよ」
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
で、わたくしかたしんじています。もし来世らいせいいとしたならば、そのときおおいなる人間にんげん智慧ちえなるものが、早晩そうばんこれを発明はつめいしましょう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ヂュリ 誓言せいごんにはおよびませぬ。また誓言せいごんなさるなら、わたしが神樣かみさまともおもふおまへをおけなされ、すればお言葉ことばしんじませう。
このせつ敷衍ふえんして日本美術史にほんびじゆつし劈頭へきとうにこれを高唱かうしやうしたものであるが今日こんにちにおいても、なほこのせつしんずるひとすくなくないかとおもふ。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
もちろんこれは、ふるくからのいひつたへで、あなたがたが、古代こだいかんがへてゐられる奈良朝ならちようよりも、もつと/\以前いぜんから、さうしんじてゐたのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
時候じこうと、ときと、光線くわうせんの、微妙びめう配合はいがふによつて、しかも、品行ひんかう方正はうせいなるものにのみあらはるゝ幻影まぼろしだと、宿やど風呂番ふろばんの(しんさん)がつた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひとこゝろ宿やどところこひをすらわらふべくしんずべからざるものならば、人生じんせいつひなんあたひぞ、ひとこゝろほど嘘僞きよぎものいではないか。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「ふらちな売僧まいすめ、文殊菩薩もんじゅぼさつの勢至菩薩のと、だれがさようなたわごとをしんじようか。あいや一火先生いっかせんせい、ぜひ、咲耶子はこの長安ながやすのほうへ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
士卒しそついまかず、百せいしんぜず。ひとにしてけんかろし。ねがはくはきみ寵臣ちようしんくにたつとところもつぐんかんせしめば、すなはならん
余は室内しつないには大小種々のたなの有りし事をしんずる者なり。入り口の他にも數個すうこまど有りしなるべければ、室内しつない充分じうぶんあかるかりしならん。(續出)
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
ねこ死人しにんえてわたるとけるといつてねこ防禦ばうぎよであつた。せてけばねこわたらないとしんぜられてるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
けれども、おばあさんはしんじきっていました。それで、みんなにかごの中を見てくるように言いました。みんなは言われたとおりにしました。
「おお、どうしてそんなことができよう——ともだちのしんらいをうらぎるなんて……。だが……たとえ友だちであっても——」
理屈りくつまうすぢやありません、わたくし越權えつけんわたくし責任せきにんひます。貴下あなたしんじませんか、いまげん難破船なんぱせん救助きゆうじよもとめるのを。
で、みなさまのしんずる、しんじないはしばらくべつとして、もうすこわたくしがそのとき監督かんとくのおじいさんからきかされたところを物語ものがたらせていただきます。——
ゆるしけり忠相ぬし忠兵衞に打向ひ小西屋長左衞門代人忠兵衞其方事主人しゆじんの申し附とは言ながら出所しゆつしよ不定ふぢやう醫師いしの言葉をしん結納ゆひなふ取交とりかはし迄すみたる婚姻を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
痴人ちじんゆめく、されどゆめみづかさとるはかならずしも痴人ちじんにあらざるし。現今げんこんおいても、未來みらいおいても、七福しちふくきたきをしんずるあたはず。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
そのためか、いまでは以前いぜんちがつて、まあ普通ふつう小舅こじうとぐらゐしたしみはあるとしんじてゐるやうなものゝ、んな場合ばあひになると、つい實際じつさい以上いじやうにもまはして
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
恐らくその爭鬪さうとう一生いつしやう續きませう。けれども秋々あき/\みのりは、かならず何ものかを私にもたらしてくれるものとしんじてゐます。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
みんながめいめいじぶんのかみさまがほんとうの神さまだというだろう、けれどもおたがいほかのかみさまをしんずる人たちのしたことでもなみだがこぼれるだろう。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
今日こんにちおいしやうじたからとて、其當時そのたうじの二鑑識かんしきついて、侮辱ぶぢよくすることにはけつしてあたるまいとしんじてる。
ぐわつ以來いらい外國貿易ぐわいこくぼうえき状勢じやうせい金解禁きんかいきんたいする諸般しよはん準備じゆんび程度ていどよりて、かくごと事態じたい發生はつせい財界ざいかい急激きふげき波動はどうしやうずることなきことをしんずるものである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
そしてそれが原因げんいん洞穴ほらあな研究けんきゆうをして、これを學界がつかい發表はつぴようしましたが、當時とうじたれしんずるものがなく、サウツオラは失望しつぼう落膽らくたんし、殘念ざんねんおもひながらんだのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
しんあんちゃ。おかわりありませんか。うちではみんな丈夫ですから安心して下さい。けんど、村は不景気だヨ。山上ん田でも、佐田んげでも小作争ギおこった。
ズラかった信吉 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
陪審官ばいしんくわんのこらずその石盤せきばんに、『むすめはそれにちつとも意味いみがあるとはしんじない』ときつけました、しか一人ひとりとして文書もんじよ説明せつめいしやうとはしませんでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
おい木村さんしんさん寄つてお出よ、お寄りといつたら寄つても宜いではないか、又素通りで二葉ふたばやへ行く氣だらう、押かけて行つて引ずつて來るからさう思ひな
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
私自身わたしじしんとしては、まさに一のコスモポリタンだとしんじてゐる。しかわたしは『一所不在しよふぢう』でない。あきらかに日本東京にほんとうきやう居住きよぢうしてゐる。また海外かいぐわい旅行りよかうしたことほとんどない。
しかし御老人ごろうじんこころのよいおかたで、わしらをまっとうな人間にんげんのようにしんじていてくださるのをては、わしはもう御老人ごろうじんをあざむいていることができなくなりました。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
〔譯〕しんを人に取るは難し。人は口を信ぜずしてを信ず。躬を信ぜずして心を信ず。是を以て難し。
此話このはなし雪国の人すらしんじがたくおもへども、つら/\思量おもひはかるに、十月の初雪より十二月廿五日までおよその日数ひかず八十日のあひだに五尺づゝの雪ならば、廿四丈にいたるべし。
たぬき毛皮けがは大變たいへんやくつもので、値段ねだんたかいのです。きつねたぬきむかしひとばかすものとしんじられたりしましたが、けつしてそんなばかげたことがありるわけもありません。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
安積艮斎は抽斎とのまじわりが深くなかったらしいが、抽斎をして西学せいがくを忌む念をひるがえさしめたのはこの人の力である。艮斎、名は重信しげのぶ、修してしんという。通称は祐助ゆうすけである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そこで僕が自分の恥をらして物語り、怖気おじける人の参考に供したき要点は、相手をしんじてかかれということである。渡る世間におにはない、鬼でさえ頼めば人を食わぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
讀者とくしやげんしんぜずば罪と罰にきて、さら其他そのた記事きじ精讀せいどくせられよ、おもけだなかばぎんか。
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
地球ちきゆう自轉じてん其他そのた作用さようで、次第しだいはなばなれになつて今日こんにちのようになつたものとしんじられてゐる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
我等をして之にしんかしむる勿れ、実行上の一致のみがたのむに足るの一致なり、自身じしん主義しゆぎ実行じつかうし得ざる人は人情にんじやう秘密ひみつ会得くわいとくし得ざるが故に他をるゝ雅量がりようを有せず
時事雑評二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
どうか軽々かるがるしくおしんじなさらずに、一わたくしと法術ほうじゅつくらべをさせていただきとうございます。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
なかにみどりのがあつたが、それはきつとひつけたのだらう。みんな野育のそだち無知むち子供こどもたちで、どこをしてくのだか、なにしろずんずんあるいてゆく。たゞ耶路撒冷イエルサレムしんじてゐる。
左内つらつら一五七夜もすがらの事をおもひて、かの句を案ずるに、百姓ひやくせい家にすの句、一五八ほぼ其のこころを得て、ふかくここに一五九しんおこす。まことに一六〇瑞草ずいさうの瑞あるかな。
そう駿すんえんのうの間に流行し、昨年中は西は京阪より山陽、南海、西国まで蔓延まんえんし、東はぼうそうじょうしんの諸州にも伝播でんぱし、当年に至りてはおう州に漸入するを見る。
妖怪玄談 (新字新仮名) / 井上円了(著)
軍吏ぐんり徐彦成じょげんせいは材木を買うのを一つの商売にしていまして、丁亥ていがいの年、しん州の汭口場ぜいこうじょうへ材木を買いに行きましたが、思うような買物が見当らないので、暫くそこにふながかりをしていると
けだしさんしんとの花火芸術の最高を極め精を尽くししんらしたものであった。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
「馬鹿野郎! 七輪じゃアねえ。五とくだ。じんれいしん、これを五徳といってナ」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
しんは命を受けて憂懼ゆうくすところを知らず、情誼じょうぎを思えば燕王にそむくに忍びず、勅命を重んずれば私恩を論ずるあたわず、進退両難にして、行止こうしともにかたく、左思右慮さしゆうりょ、心ついに決する能わねば
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
その大久保おほくぼふところによると、彼女かのぢよはそのあに肉的関係にくてきくわんけいがあるといふのであつた。そしてその因果いんぐわむくいをかれのところへ持込もちこんでたといふのであつたが、竹村たけむらにはしんじられなかつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)