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野育
いかに
野育ちの彼でも多少の理屈は
呑込めるのである。
加之も
是はお葉の説教である。復讐に
凝固った彼の
頭脳の氷も、愛の
温味で少しく
融け
初めて来たらしい。
だからそうお
思いなされるんですけれど、わたしなどは、
元来が
野育ちなのですから、やはり
風に
吹かれたり、おりおりは、
雨にもさらされたほうが、しんみりといたしますわ。
なかに
緑のがあつたが、それはきつと
木の
葉を
縫ひつけたのだらう。
皆野育の
無知の
子供たちで、どこを
指して
行くのだか、
何しろずんずん
歩いてゆく。
唯耶路撒冷を
信じてゐる。