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引返
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ひきかへ
湯治を
幾日、
往復の
旅錢と、
切詰めた
懷中だし、あひ
成りませう
事ならば、
其の
日のうちに
修善寺まで
引返して、
一旅籠かすりたい。
彼は
捕へられて
家に
引返されたが、
女主人は
醫師を
招びに
遣られ、ドクトル、アンドレイ、エヒミチは
來て
彼を
診察したのであつた。
出して渡し何れ妻を尋ね出して後其方へ
參らんにより其節はよきに頼むと
約しつゝ安五郎は又々後の方へ
引返しける九助は彼の手紙を
勘次は
萬能をぶつりと
打ち
込んではぐつと
大きな
土の
塊を
引返す。おつぎは
漸く
小さな
塊を
起す。
勘次の
手は
速かに
運動してずん/\と
先へ
進む。
何時迄立つてゐても
音沙汰がないので、
宗助は
不思議な
思ひをして、
又庫裡を
出て
門の
方へ
引返した。すると
石段の
下から
剃立の
頭を
青く
光らした
坊さんが
上つて
來た。
何とせん
道を
間違へたり
引返してと
復跡戻り、
大路に
出れば
小路に
入らせ
小路を
縫ては
大路に
出で
走幾走、
轉幾轉、
蹴立る
雪に
轍のあと
長く
引てめぐり
出れば
又以前の
道なり
進まれもせず、
引返せば
再び
石臼だの、
松の
葉だの、
屋根にも
廂にも
睨まれる、あの、
此上もない
厭な
思をしなければならぬの
歟と、それもならず。
代助は固より
夫より
先へ
進んでも、猶
素知らぬ
顔で
引返し
得る、会話の方を
心得てゐた。
何なりと
片付て置れよ私しは江戸の用事
濟次第
引返し
古郷へ
御同道致しませうと一
宿して申合せ
翌朝江戸へ赴きける九郎兵衞は跡にて村役人
始め親類へも
委細話せば皆々は
厄病神を
其の
地蔵尊が、
前の
方から
錫杖を
支いたなりで、
後に
続いた
私と
擦違つて、
黙つて
坂の
方へ
戻つて
行かるゝ……と
案山子もぞろ/\と
引返すんです。
解明荷の中に在りし金四百五十兩并びに幸之進が
胴卷の中にありし二十兩餘りの金と
大小衣類迄も
奪取行衞も知れず
迯去ける依て彼の供人は江尻宿へ
引返し宿役人へ
斷り
置死骸を改め
飛脚を
待て、よくは
分らぬ、
其処等と
言ふか、
祠と
言ふか、
声を
伝へる
生暖い
夜風もサテぼやけたが、……
帰り
路なれば
引返して、うか/\と
漫歩行きの
踵を
返す。
老爺が
其の
手を
曳いて
起こして、さて、かはる/″\
負ひもし、
抱きもして、
嶮岨難処を
引返す。と
二時が
程に
着いた
双六谷を、
城址までに、
一夜、
山中に
野宿した。
内證でその
道の
達者にたゞすと、
曰く、
鍋で
一杯やるくらゐの
餘裕があれば、
土手を
大門とやらへ
引返す。
第一歸りはしない、と
言つた。
格言ださうである。
皆若かつた。
引返して、
木戸口から
露地を
覗くと、
羽目と
羽目との
間に
成る。こゝには
一疋も
飛んで
居ない。
丁度私が
修行に
出るのを
止して
孤家に
引返して、
婦人と一
所に
生涯を
送らうと
思つて
居た
処で。
と
呼んで、ト
引返した、
鳥打を
被つた
男は、
高足駄で、
杖を
支いた
妙な
誂へ。
路は
恁う
乾いたのに、
其の
爪皮の
泥でも
知れる、
雨あがりの
朝早く
泥濘の
中を
出て
來たらしい。
或は
傾き、また
俯向き、さて
笛を
仰いで
吹いた、が、やがて、
來た
道を
半ば、あとへ
引返した
處で、
更めて
乘つかる
如く
下駄を
留めると、
一方、
鎭守の
社の
前で、ついた
杖を
……島へ渡した
細綱を
手繰つて、立ちながら
操るのだが、
馴れたもので、あとを
二押三押、
屋形船へ来ると、
由を聞き、
魚を視て、「まあ、」と目を
睜つた
切、
慌しく
引返した。
よた/\と
引返し「おつけの
實は
何とかいつたね。さう、
大根か。
大根、
大根、
大根でセー」と
鼻うたで、
一つおいた
隣座敷の、
男の
一人客の
所へ、どしどしどしん、
座り
込んだ。
まゝよ、
一分でも
乘後れたら
停車場から
引返さう、それが
可い、と
目指す
大阪を
敵に
取つて、
何うも
恁うはじめから
豫定の
退却を
畫策すると
云ふのは、
案ずるに
懷中のためではない。
此路を
眞直に
參りますと、
左樣三河島と、
路を
行く
人に
教へられて、おや/\と、
引返し、
白壁の
見ゆる
土藏をあてに
他の
畦を
突切るに、ちよろ/\
水のある
中に
紫の
花の
咲いたる
草あり。
矢張り
当日、
志した
奥州路に
旅するのに、一
旦引返して、はきものを
替へて、
洋杖と、
唯一つバスケツトを
持つて
出直したのであるが、
俥で
行く
途中も、
袖はしめやかで、
上野へ
着いた
時も
此が
禁厭に
成るのと
見えます。
窓を
透して
手のやうに
擴がります、
其の
黒雲が、じり/\と
來ては、
引返し、じり/\と
來ては、
引返し、
仙人の
背は
波打つやうに、
進退するのが
見えました。
こゝは
阪地で
自慢する(……
四ツ
橋を
四つわたりけり)の
趣があるのであるが、
講釋と
芝居で、いづれも
御存じの
閻魔堂橋から、
娑婆へ
引返すのが
三途に
迷つた
事になつて——
面白い……いや
靜岡から、すぐに
江尻へ
引返して、
三保の
松原へ
飛込んで、
天人に
見參し、きものを
欲しがる
連の
女に、
羽衣、
瓔珞を
拜ませて、
小濱や
金紗のだらしなさを
思知らさう、ついでに
萬葉の
印を
結んで
もはや、……
少々なりとも
荷もつをと、きよと/\と
引返した。が、
僅にたのみなのは、
火先が
僅ばかり、
斜にふれて、
下、
中、
上の
番町を、
南はづれに、
東へ……
五番町の
方へ
燃進む
事であつた。
山を
覆したやうに
大畝が
來たとばかりで、——
跣足で
一文字に
引返したが、
吐息もならず——
寺の
門を
入ると、
其處まで
隙間もなく
追縋つた、
灰汁を
覆したやうな
海は、
自分の
背から
放れて
去つた。
繰返すやうだが、それが
二日で、
三日の
午すぎ、
大雨に
弱り
果てて、まだ
不安ながら、
破家へ
引返してから、
薄い
味噌汁に
蘇生るやうな
味を
覺えたばかりで、
罐づめの
海苔と
梅干のほか
何にもない。
ハツと
息して、
立つて、
引返す
時、……
今度は
園が
云つた。
果が
無いから
肝を
据ゑた、
固より
引返す
分ではない。
「——
娑婆へ
引返す
事にいたしませうかね。」
少年が
引返した。が、
大に
弱つた
顏をした
「
可厭に
成つたら
引返さう。」