)” の例文
あらはすと、くわくおほい、翡翠ひすゐとかいてね、おまへたち……たちぢやあ他樣ほかさま失禮しつれいだ……おまへなぞがしがるたまとおんなじだ。」
鳥影 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
能登のとの「ワゲシ」はもつともこれにちかおんいうする鳳(フング)至(シ)の二によつてしめされたのが、いまは「ホーシ」とものがある。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
八のふかくしながら、せたまつろう眼先めさきを、ちらとかすめたのは、うぐいすふんをいれて使つかうという、近頃ちかごろはやりの紅色べにいろ糠袋ぬかぶくろだった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
茶色ちゃいろ表紙ひょうしに青いとじ糸を使い、中のかみ日本紙にほんし片面かためんだけにをすったのを二つりにしてかさねとじた、純日本式じゅんにほんしき読本とくほんでした。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
御米およね近來きんらいきんはどういたつけね」とたづねた。細君さいくんべつあきれた樣子やうすもなく、わかをんな特有とくいうなけたゝましい笑聲わらひごゑてず
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
すると、おしょうさまは だまって へやに ひっこむと、一休いっきゅう と かいた おおきな を、一休いっきゅうさんに わたしてくれました。
一休さん (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
右の腕には十、左の腕には呂宋文字るそんもじのいれずみをしているところから、野武士のぶし仲間なかまでは門兵衛を呂宋兵衛とよびならわしていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふるぎつねは、腰かけ台の下へだいなりになって、ぴくりとも動かず、まるでぶち殺されたねずみのように、死んだふりをしていたのです。
数寄屋河岸すきやがし真顔まがほが、「イヤこれ大方おほかた二十一にちであらう、「むかし」とハ、廿一にちと書くから、まア廿一にちつて見なさい。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
十萬世界の大地のちりは知人しるひともありなん。法華經ほけきやう供養の功徳くどくしりがたしとこそほとけはとかせ給てさふらへ、これをもて御心あるべし。
二人ふたりは、いつかその病院びょういん病室びょうしつ案内あんないされたのでした。准尉じゅんいは、しろ衣物きもののそでにせきしるしのついたのをて、あし繃帯ほうたいしていました。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
本船ほんせんより射出しやしゆつする船燈せんとうひかりでチラとみとめたのはその船尾せんびしるされてあつた「海蛇丸かいだまる」の三、「海蛇丸かいだまる」とはたしかにかのふね名稱めいしやうである。
平日しめしていはれしは、我雪頽なだれうたれしとき筆をりてたりしは、たふと仏経ぶつきやうなりしゆゑたゞにやはとて一ごと念仏ねんぶつ申て書居かきをれり
學校がくかうといふのは此大島小學校このおほしませうがくかうばかり、其以外そのいぐわいにはいろはのいのまな場所ばしよはなかつたので御座ございます。ぼくはじめ不精々々ふしやう/″\かよつてました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
我輩はたすき綾取あやどって、向う鉢巻、相好そうごうがもう殺気を帯びている。『君は介添をつれて来ないか?』とベッケルが訊いた。
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
がすりのあはせに、あかおび竪矢たてや背中せなかうた侍女じぢよが、つぎつかへて、キッパリとみゝこゝろよ江戸言葉えどことばつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
まだくことさえよく出来できないうちから、家計簿かけいぼかみをちぎりとっては、いろいろな音符おんぷを一生懸命しょうけんめいきちらした。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
おそらくこれいてのかんじがわかるといふだけでも僕等ぼくら日本人にほんじん歐米人達おうべいじんたちよりもずつとずつと麻雀マアジヤンあぢはたのしみかたふかいだらうと想像さうざうされる。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
程霞生赤城、一相塘しやうたうである。しば/\長崎に来去して国語を解し諺文げんぶんを識つてゐた。「こりずまに書くや此仮名文字まじり人は笑へど書くや此仮名」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
そしてまだ陽を見たことのないクリーム色の(十二さく)そして彼女の完全な(それは、悲しい、思っただけでも胸のうずくような)離反! 自棄酒やけざけ
自殺 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
ねたみ御成門への内に大文にて祐天風いうてんふう南無阿彌陀佛なむあみだぶつかきたりたれとも知れざれども不屆ふとゞき仕方しかたなりよつて御成門なりもん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
むかふの主人しゆじんもおまへ姿すがためてるさうにいたぞと、ろくでもなきすりごと懶怠者なまけもの懶怠者なまけものだ、れは懶怠者なまけもの活地いくぢなしだとだいそべつて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そうって、うめせいはそのきれいなまゆに八のせましたが、わたくしにはそれがかえって可愛かわいらしくてなりませんでした。
しやく釈につくるの外、たくを沢、驛をえきつくるぞくなり、しかれども巻中えきたくの字多し。しばらくぞくしたがうて駅沢に作り、以梓繁しはんはぶく。省字せうじは皆古法こほふしたがふ。
そしてもうがた薄明うすあかりの中に、くっきり白くしている障子しょうじの上に、よくると、いてありました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
友染いうぜんの着物に白茶錦しらちやにしきの帯をむすびにして、まだ小い頃から蝶々髷てふ/\まげやら桃割もゝわれつて、銀のすゝきかんざしなどを挿して
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
磊落なこせつかないたちの紳士と云うものは、『か』と云うような子供の遊戯から殺人罪に到るまで何でも覚悟していると云うようなことを云って
として、しろいところにくろふといてある看板かんばんは、とうさんたちにもつてやすんでけとふやうにえました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そこでしな岩というのが眼界にそびえて来る。文字どおりのかくの巨岩が相対し重積じゅうせきして、懸崖けんがいの頂きにあるのだ。ただ私にはそうした奇趣に興味を持たぬ。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
あなたが(このあなたがは、とてもではあらはせないけれど、語氣ごきつよめてつているのですよ)兎角とかくまあちやんのこゑ母親はゝおやらしい注意ちういをひかれがちなのを
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
無論一部の事にはそろへども江戸えど略語りやくご難有ありがたメのと申すが有之これあり難有迷惑ありがためいわくそろかるくメのりやくし切りたる洒落工合しやれぐあひ一寸ちよつと面白いと存候ぞんじそろ。(十九日)
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
乳母 はれま、ひとを! そりゃ、いぬぢゃがな。アールがおまへの……いやいや、なにほか相違さうゐないわいの。
「然うさ、五十百歩ひやくぽさ」と、友は感慨かんがいへないといふふうで、「少許すこしめて、少許知識ちしきおほいといふばかり、大躰だいたいおいて餘りたいした變りはありやしない。 ...
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
なんだ、とのさまのあたまをふんだというのではない。ただ、をかいてあるほごをふんだだけのことだ。かみうえなど、かまうことはないじゃないか。それを
今日こんにちでは大道で字を書いていても、銭をくれる人は多くあるまいと思うが、その頃には通りがかりの人がそのを眺めて幾許いくらかの銭を置いて行ったものである。
思い出草 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
たゞおほどもたちが、さういふうたを、無心むしんうたひろげてくところから、あてをしたのでありませう。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
しかし、おばあさんはんだのではなかったのです。なぜなら、こんなひとりごとをいいました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
夏目先生なつめせんせい手紙てがみで「毎木曜日まいもくようびにワルモノグイがて、んでもかせてってく」という意味いみのことをって寄越よこされたので、その手紙てがみのち滝田たきたさんにせると
夏目先生と滝田さん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
あの貧乏びんぼう百姓ひゃくしょうの、やさしい、まるで母親ははおやのようなほほえみだの、おいのりの十のしるしや、あのくびよこにふりながら、「ほんに、さぞたまげたこったろうになあ、なあぼう
天葢てんがいというても兩端りやうたんわらびのやうにまかれたせま松板まついたを二まいあはせたまでのものにすぎない簡單かんたんなものである。すゝけたかべにはれもふるぼけたあか曼荼羅まんだら大幅おほふくかざりのやうにけられた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
これが最初さいしよ部分ぶぶん初期微動しよきびどうとてかんせられる所以ゆえんである。さうして主要動しゆようどう大地震だいぢしん場合ばあひおいて、破壞作用はかいさようをなす部分ぶぶんたることは説明せつめいせずともすで了得りようとくせられたことであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
みんなでえがくことをならつてました』と福鼠ふくねずみつゞけて、あくびをしたり、そのこすつたり、さぞねむさうに、『みんなで種々いろ/\なものをえがいてました——ネののつくものはなんでも——』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
またこの一番後いちばんのち時代じだい奈良朝ならちようごろになると、勾玉まがたまかたちがコといふかたちのように、かくばつてうつくしくありませんが、ふる時代じだい勾玉まがたまはなか/\優美ゆうびかたちをして、そのあたまあなのところに
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
こころは美アイスクリイムなるを、ビ、アイ——バイの格にて試みしが、さては説明を要すべき炊冗くだくだしさをきらひて、更に美人の二字にびじ訓を付せしを、校合者きようごうしや思僻おもひひがめてんは添へたるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
お添役の袂時計で十ふん……御正門を出たのが十字十分……壱岐殿坂を下りきって二十五分……水道橋をわたりきって三十分……神保町かどが三十五分……三番原口から一ツ橋かかりが四十五分。
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
B それから翌月よくげつの一じつになると、『御返事ごへんじつてります』とたゞそれだけ綺麗きれいやさしいいたをんな葉書はがきた。をとこまた加減かげんことつてやつておくと、またその翌月よくげつの一じつ葉書はがきた。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
旦那様は、たしかに居間の絨緞じゅうたんのうえにだいにのびて死んでいた。
什器破壊業事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そののまんなかには、さつきの嘉十かじふとち団子だんごがひとかけいてあつたのでしたが、鹿しかどものしきりににかけてゐるのはけつして団子だんごではなくて、そのとなりのくさうへにくのになつてちてゐる
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
イののつくやつ
本部の段々で (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
そしてすでに、あすあさってには、孟州に入ろうかという十嶺道みねみちで、ついその酒の誘惑から、危ないわなにかかッてしまった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)