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字
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じ
ふりがな文庫
“
字
(
じ
)” の例文
「
字
(
じ
)
に
顯
(
あら
)
はすと、
些
(
ち
)
と
畫
(
くわく
)
が
多
(
おほ
)
い、
翡翠
(
ひすゐ
)
とかいてね、お
前
(
まへ
)
たち……たちぢやあ
他樣
(
ほかさま
)
へ
失禮
(
しつれい
)
だ……お
前
(
まへ
)
なぞが
欲
(
ほ
)
しがる
珠
(
たま
)
とおんなじだ。」
鳥影
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
能登
(
のと
)
の「ワゲシ」は
最
(
もつと
)
もこれに
近
(
ちか
)
い
音
(
おん
)
を
有
(
いう
)
する鳳(フング)至(シ)の二
字
(
じ
)
によつて
示
(
しめ
)
されたのが、
今
(
いま
)
は「ホーシ」と
讀
(
よ
)
む
者
(
もの
)
がある。
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
八の
字
(
じ
)
を
深
(
ふか
)
くしながら、
寄
(
よ
)
せた
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
の
眼先
(
めさき
)
を、ちらとかすめたのは、
鶯
(
うぐいす
)
の
糞
(
ふん
)
をいれて
使
(
つか
)
うという、
近頃
(
ちかごろ
)
はやりの
紅色
(
べにいろ
)
の
糠袋
(
ぬかぶくろ
)
だった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
茶色
(
ちゃいろ
)
の
表紙
(
ひょうし
)
に青いとじ糸を使い、中の
紙
(
かみ
)
も
日本紙
(
にほんし
)
で
片面
(
かためん
)
だけに
字
(
じ
)
をすったのを二つ
折
(
お
)
りにして
重
(
かさ
)
ねとじた、
純日本式
(
じゅんにほんしき
)
の
読本
(
とくほん
)
でした。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
「
御米
(
およね
)
、
近來
(
きんらい
)
の
近
(
きん
)
の
字
(
じ
)
はどう
書
(
か
)
いたつけね」と
尋
(
たづ
)
ねた。
細君
(
さいくん
)
は
別
(
べつ
)
に
呆
(
あき
)
れた
樣子
(
やうす
)
もなく、
若
(
わか
)
い
女
(
をんな
)
に
特有
(
とくいう
)
なけたゝましい
笑聲
(
わらひごゑ
)
も
立
(
た
)
てず
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
すると、おしょうさまは だまって へやに ひっこむと、
一休
(
いっきゅう
)
と かいた
大
(
おお
)
きな
字
(
じ
)
を、
一休
(
いっきゅう
)
さんに わたしてくれました。
一休さん
(新字新仮名)
/
五十公野清一
(著)
右の腕には十
字
(
じ
)
架
(
か
)
、左の腕には
呂宋文字
(
るそんもじ
)
のいれずみをしているところから、
野武士
(
のぶし
)
の
仲間
(
なかま
)
では門兵衛を呂宋兵衛とよびならわしていた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ふるぎつねは、腰かけ台の下へ
大
(
だい
)
の
字
(
じ
)
なりになって、ぴくりとも動かず、まるでぶち殺された
鼠
(
ねずみ
)
のように、死んだふりをしていたのです。
おくさま狐の御婚礼
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
数寄屋河岸
(
すきやがし
)
の
真顔
(
まがほ
)
が、「イヤ
是
(
これ
)
は
大方
(
おほかた
)
二十一
日
(
にち
)
であらう、「
昔
(
むかし
)
」と
云
(
い
)
ふ
字
(
じ
)
ハ、廿一
日
(
にち
)
と書くから、まア廿一
日
(
にち
)
に
行
(
い
)
つて見なさい。
落語の濫觴
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
十萬世界の大地のちりは
知人
(
しるひと
)
もありなん。
法華經
(
ほけきやう
)
一
字
(
じ
)
供養の
功徳
(
くどく
)
は
知
(
しり
)
がたしとこそ
佛
(
ほとけ
)
はとかせ給て
候
(
さふら
)
へ、
此
(
これ
)
をもて御心あるべし。
尼たちへの消息:――よく生きよとの――
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
二人
(
ふたり
)
は、いつかその
病院
(
びょういん
)
の
病室
(
びょうしつ
)
へ
案内
(
あんない
)
されたのでした。
准尉
(
じゅんい
)
は、
白
(
しろ
)
い
衣物
(
きもの
)
のそでに
赤
(
せき
)
十
字
(
じ
)
の
印
(
しるし
)
のついたのを
被
(
き
)
て、
足
(
あし
)
を
繃帯
(
ほうたい
)
していました。
僕はこれからだ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
本船
(
ほんせん
)
より
射出
(
しやしゆつ
)
する
船燈
(
せんとう
)
の
光
(
ひかり
)
でチラと
認
(
みと
)
めたのは
其
(
その
)
船尾
(
せんび
)
に
記
(
しる
)
されてあつた「
海蛇丸
(
かいだまる
)
」の三
字
(
じ
)
、「
海蛇丸
(
かいだまる
)
」とはたしかにかの
船
(
ふね
)
の
名稱
(
めいしやう
)
である。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
平日
余
(
よ
)
に
示
(
しめ
)
していはれしは、我
雪頽
(
なだれ
)
に
撞
(
うた
)
れしとき筆を
採
(
と
)
りて
居
(
ゐ
)
たりしは、
尊
(
たふと
)
き
仏経
(
ぶつきやう
)
なりしゆゑたゞにやはとて一
字
(
じ
)
毎
(
ごと
)
に
念仏
(
ねんぶつ
)
申て
書居
(
かきを
)
れり
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
學校
(
がくかう
)
といふのは
此大島小學校
(
このおほしませうがくかう
)
ばかり、
其以外
(
そのいぐわい
)
にはいろはのいの
字
(
じ
)
も
學
(
まな
)
ぶ
場所
(
ばしよ
)
はなかつたので
御座
(
ござ
)
います。
僕
(
ぼく
)
も
初
(
はじめ
)
は
不精々々
(
ふしやう/″\
)
に
通
(
かよ
)
つて
居
(
ゐ
)
ました。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
我輩は
襷
(
たすき
)
十
字
(
じ
)
に
綾取
(
あやど
)
って、向う鉢巻、
相好
(
そうごう
)
がもう殺気を帯びている。『君は介添をつれて来ないか?』とベッケルが訊いた。
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
矢
(
や
)
がすりの
袷
(
あはせ
)
に、
赤
(
あか
)
の
帶
(
おび
)
の
竪矢
(
たてや
)
の
字
(
じ
)
を
背中
(
せなか
)
に
負
(
お
)
うた
侍女
(
じぢよ
)
が、
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
に
手
(
て
)
を
支
(
つか
)
へて、キッパリと
耳
(
みゝ
)
に
快
(
こゝろよ
)
い
江戸言葉
(
えどことば
)
で
言
(
い
)
つた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
まだ
字
(
じ
)
を
書
(
か
)
くことさえよく
出来
(
でき
)
ないうちから、
家計簿
(
かけいぼ
)
の
紙
(
かみ
)
をちぎりとっては、いろいろな
音符
(
おんぷ
)
を一
生懸命
(
しょうけんめい
)
書
(
か
)
きちらした。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
恐
(
おそ
)
らくこれ
等
(
ら
)
の
字
(
じ
)
に
就
(
つ
)
いての
感
(
かん
)
じが
分
(
わか
)
るといふだけでも
僕等
(
ぼくら
)
日本人
(
にほんじん
)
は
歐米人達
(
おうべいじんたち
)
よりもずつとずつと
麻雀
(
マアジヤン
)
を
味
(
あぢは
)
ひ
樂
(
たの
)
しみ
方
(
かた
)
が
深
(
ふか
)
いだらうと
想像
(
さうざう
)
される。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
程霞生赤城、一
字
(
じ
)
は
相塘
(
しやうたう
)
である。
屡
(
しば/\
)
長崎に来去して国語を解し
諺文
(
げんぶん
)
を識つてゐた。「こりずまに書くや此仮名文字まじり人は笑へど書くや此仮名」
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
そしてまだ陽を見たことのないクリーム色の(十二
字
(
じ
)
削
(
さく
)
)そして彼女の完全な(それは、悲しい、思っただけでも胸の
疼
(
うず
)
くような)離反!
自棄酒
(
やけざけ
)
。
自殺
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
ねたみ御成門へ
夜
(
よ
)
の内に大文
字
(
じ
)
にて
祐天風
(
いうてんふう
)
の
南無阿彌陀佛
(
なむあみだぶつ
)
と
書
(
かき
)
たり
誰
(
たれ
)
とも知れざれども
不屆
(
ふとゞき
)
の
仕方
(
しかた
)
なりよつて御
成門
(
なりもん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
向
(
むか
)
ふの
主人
(
しゆじん
)
もお
前
(
まへ
)
の
姿
(
すがた
)
を
褒
(
ほ
)
めて
居
(
ゐ
)
るさうに
聞
(
き
)
いたぞと、
録
(
ろく
)
でもなき
根
(
ね
)
すり
言
(
ごと
)
、
懶怠者
(
なまけもの
)
だ
懶怠者
(
なまけもの
)
だ、
我
(
お
)
れは
懶怠者
(
なまけもの
)
の
活地
(
いくぢ
)
なしだと
大
(
だい
)
の
字
(
じ
)
に
寐
(
ね
)
そべつて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そう
言
(
い
)
って、
梅
(
うめ
)
の
精
(
せい
)
はそのきれいな
眉
(
まゆ
)
に八の
字
(
じ
)
を
寄
(
よ
)
せましたが、
私
(
わたくし
)
にはそれが
却
(
かえ
)
って
可愛
(
かわい
)
らしくてなりませんでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
釋
(
しやく
)
の
字
(
じ
)
釈に
作
(
つくる
)
の外、
澤
(
たく
)
を沢、驛を
駅
(
えき
)
に
作
(
つくる
)
は
俗
(
ぞく
)
なり、しかれども巻中
驛
(
えき
)
澤
(
たく
)
の字多し。
姑
(
しばらく
)
俗
(
ぞく
)
に
从
(
したが
)
うて駅沢に作り、以
梓繁
(
しはん
)
を
省
(
はぶ
)
く。
余
(
よ
)
の
省字
(
せうじ
)
は皆
古法
(
こほふ
)
に
从
(
したが
)
ふ。
北越雪譜:05 北越雪譜二編凡例
(新字旧仮名)
/
山東京山
(著)
そしてもう
暮
(
く
)
れ
方
(
がた
)
の
薄明
(
うすあか
)
りの中に、くっきり白く
浮
(
う
)
き
出
(
だ
)
している
障子
(
しょうじ
)
の上に、よく
見
(
み
)
ると、
字
(
じ
)
が
書
(
か
)
いてありました。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
友染
(
いうぜん
)
の着物に
白茶錦
(
しらちやにしき
)
の帯を
矢
(
や
)
の
字
(
じ
)
結
(
むす
)
びにして、まだ小い頃から
蝶々髷
(
てふ/\まげ
)
やら
桃割
(
もゝわれ
)
を
結
(
ゆ
)
つて、銀の
薄
(
すゝき
)
の
簪
(
かんざし
)
などを挿して
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
磊落なこせつかない
質
(
たち
)
の紳士と云うものは、『
字
(
じ
)
か
素
(
す
)
か』と云うような子供の遊戯から殺人罪に到るまで何でも覚悟していると云うようなことを云って
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
として、
白
(
しろ
)
いところに
黒
(
くろ
)
い
太
(
ふと
)
い
字
(
じ
)
で
書
(
か
)
いてある
看板
(
かんばん
)
は、
父
(
とう
)
さん
達
(
たち
)
にも
寄
(
よ
)
つて
休
(
やす
)
んで
行
(
ゆ
)
けと
言
(
い
)
ふやうに
見
(
み
)
えました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
そこで
品
(
しな
)
の
字
(
じ
)
岩というのが眼界に
聳
(
そび
)
えて来る。文字どおりの
角
(
かく
)
の巨岩が相対し
重積
(
じゅうせき
)
して、
懸崖
(
けんがい
)
の頂きにあるのだ。ただ私にはそうした奇趣に興味を持たぬ。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
あなたが(このあなたがは、とても
字
(
じ
)
では
表
(
あら
)
はせないけれど、
語氣
(
ごき
)
を
強
(
つよ
)
めて
言
(
い
)
つているのですよ)
兎角
(
とかく
)
まあちやんの
聲
(
こゑ
)
に
母親
(
はゝおや
)
らしい
注意
(
ちうい
)
をひかれがちなのを
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
無論一部の事には
候
(
そろ
)
へども
江戸
(
えど
)
つ
子
(
こ
)
の
略語
(
りやくご
)
に
難有
(
ありがた
)
メの
字
(
じ
)
と申すが
有之
(
これあり
)
、
難有迷惑
(
ありがためいわく
)
の
意
(
い
)
に
候
(
そろ
)
軽
(
かる
)
くメの
字
(
じ
)
と
略
(
りやく
)
し切りたる
洒落工合
(
しやれぐあひ
)
が
一寸
(
ちよつと
)
面白いと
存候
(
ぞんじそろ
)
。(十九日)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
乳母 はれま、
人
(
ひと
)
を! そりゃ、
犬
(
いぬ
)
の
名
(
な
)
ぢゃがな。
R
(
アール
)
がお
前
(
まへ
)
の……いやいや、
何
(
なに
)
か
他
(
ほか
)
の
字
(
じ
)
に
相違
(
さうゐ
)
ないわいの。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「然うさ、五十
歩
(
ぽ
)
百歩
(
ひやくぽ
)
さ」と、友は
感慨
(
かんがい
)
に
耐
(
た
)
へないといふ
風
(
ふう
)
で、「
少許
(
すこし
)
字
(
じ
)
が
讀
(
よ
)
めて、少許
知識
(
ちしき
)
が
多
(
おほ
)
いといふばかり、
大躰
(
だいたい
)
に
於
(
おい
)
て餘り
大
(
たい
)
した變りはありやしない。 ...
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
なんだ、とのさまの
頭
(
あたま
)
をふんだというのではない。ただ、
名
(
な
)
をかいてあるほご
紙
(
し
)
をふんだだけのことだ。
紙
(
かみ
)
の
上
(
うえ
)
の
字
(
じ
)
など、かまうことはないじゃないか。それを
福沢諭吉:ペンは剣よりも強し
(新字新仮名)
/
高山毅
(著)
今日
(
こんにち
)
では大道で字を書いていても、銭をくれる人は多くあるまいと思うが、その頃には通りがかりの人がその
字
(
じ
)
を眺めて
幾許
(
いくら
)
かの銭を置いて行ったものである。
思い出草
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
たゞ
多
(
おほ
)
く
子
(
こ
)
どもたちが、さういふ
歌
(
うた
)
を、
無心
(
むしん
)
で
謠
(
うた
)
ひ
擴
(
ひろ
)
げて
行
(
ゆ
)
くところから、あて
字
(
じ
)
をしたのでありませう。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
しかし、お
婆
(
ばあ
)
さんは
字
(
じ
)
を
読
(
よ
)
んだのではなかったのです。なぜなら、こんなひとりごとをいいました。
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
夏目先生
(
なつめせんせい
)
が
手紙
(
てがみ
)
で「
毎木曜日
(
まいもくようび
)
にワルモノグイが
来
(
き
)
て、
何
(
な
)
んでも
字
(
じ
)
を
書
(
か
)
かせて
取
(
と
)
って
行
(
ゆ
)
く」という
意味
(
いみ
)
のことを
云
(
い
)
って
寄越
(
よこ
)
されたので、その
手紙
(
てがみ
)
を
後
(
のち
)
に
滝田
(
たきた
)
さんに
見
(
み
)
せると
夏目先生と滝田さん
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あの
貧乏
(
びんぼう
)
な
百姓
(
ひゃくしょう
)
の、やさしい、まるで
母親
(
ははおや
)
のようなほほえみだの、お
祈
(
いの
)
りの十
字
(
じ
)
のしるしや、あの
首
(
くび
)
を
横
(
よこ
)
にふりながら、「ほんに、さぞたまげたこったろうになあ、なあ
坊
(
ぼう
)
」
百姓マレイ
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
天葢
(
てんがい
)
というても
兩端
(
りやうたん
)
が
蕨
(
わらび
)
のやうに
捲
(
まか
)
れた
狹
(
せま
)
い
松板
(
まついた
)
を二
枚
(
まい
)
十
字
(
じ
)
に
合
(
あは
)
せたまでのものに
過
(
すぎ
)
ない
簡單
(
かんたん
)
なものである。
煤
(
すゝ
)
けた
壁
(
かべ
)
には
此
(
こ
)
れも
古
(
ふる
)
ぼけた
赤
(
あか
)
い
曼荼羅
(
まんだら
)
の
大幅
(
おほふく
)
が
飾
(
かざり
)
のやうに
掛
(
か
)
けられた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
これが
最初
(
さいしよ
)
の
部分
(
ぶぶん
)
に
初期微動
(
しよきびどう
)
とて
微
(
び
)
の
字
(
じ
)
が
冠
(
かん
)
せられる
所以
(
ゆえん
)
である。さうして
主要動
(
しゆようどう
)
が
大地震
(
だいぢしん
)
の
場合
(
ばあひ
)
に
於
(
おい
)
て、
破壞作用
(
はかいさよう
)
をなす
部分
(
ぶぶん
)
たることは
説明
(
せつめい
)
せずとも
既
(
すで
)
に
了得
(
りようとく
)
せられたことであらう。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
『
皆
(
みん
)
なで
描
(
えが
)
くことを
習
(
なら
)
つて
居
(
ゐ
)
ました』と
福鼠
(
ふくねずみ
)
は
言
(
い
)
ひ
續
(
つゞ
)
けて、
欠
(
あくび
)
をしたり、その
眼
(
め
)
を
擦
(
こす
)
つたり、さぞ
眠
(
ねむ
)
さうに、『
皆
(
みん
)
なで
種々
(
いろ/\
)
なものを
描
(
えが
)
いて
居
(
ゐ
)
ました——ネの
字
(
じ
)
のつくものは
何
(
なん
)
でも——』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
またこの
一番後
(
いちばんのち
)
の
時代
(
じだい
)
、
奈良朝
(
ならちよう
)
ごろになると、
勾玉
(
まがたま
)
の
形
(
かたち
)
がコといふ
字
(
じ
)
の
形
(
かたち
)
のように、
角
(
かく
)
ばつて
美
(
うつく
)
しくありませんが、
古
(
ふる
)
い
時代
(
じだい
)
の
勾玉
(
まがたま
)
はなか/\
優美
(
ゆうび
)
な
形
(
かたち
)
をして、その
頭
(
あたま
)
の
孔
(
あな
)
のところに
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
意
(
こころ
)
は美アイスクリイムなるを、ビ、アイ——バイの格にて試みしが、さては説明を要すべき
炊冗
(
くだくだ
)
しさを
嫌
(
きら
)
ひて、更に美人の二字にびじ訓を付せしを、
校合者
(
きようごうしや
)
の
思僻
(
おもひひが
)
めてん
字
(
じ
)
は添へたるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
お添役の袂時計で十
字
(
じ
)
五
分
(
ふん
)
……御正門を出たのが十字十分……壱岐殿坂を下りきって二十五分……水道橋をわたりきって三十分……神保町かどが三十五分……三番原口から一ツ橋かかりが四十五分。
顎十郎捕物帳:08 氷献上
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
B それから
翌月
(
よくげつ
)
の一
日
(
じつ
)
になると、『
御返事
(
ごへんじ
)
を
待
(
ま
)
つて
居
(
を
)
ります』と
只
(
たゞ
)
それだけ
綺麗
(
きれい
)
な
柔
(
やさ
)
しい
字
(
じ
)
で
書
(
か
)
いた
女
(
をんな
)
の
葉書
(
はがき
)
が
來
(
き
)
た。
男
(
をとこ
)
は
又
(
また
)
好
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つてやつておくと、
又
(
また
)
その
翌月
(
よくげつ
)
の一
日
(
じつ
)
に
葉書
(
はがき
)
が
來
(
き
)
た。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
旦那様は、たしかに居間の
絨緞
(
じゅうたん
)
のうえに
大
(
だい
)
の
字
(
じ
)
にのびて死んでいた。
什器破壊業事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その
環
(
わ
)
のまんなかには、さつきの
嘉十
(
かじふ
)
の
栃
(
とち
)
の
団子
(
だんご
)
がひとかけ
置
(
お
)
いてあつたのでしたが、
鹿
(
しか
)
どものしきりに
気
(
き
)
にかけてゐるのは
決
(
けつ
)
して
団子
(
だんご
)
ではなくて、そのとなりの
草
(
くさ
)
の
上
(
うへ
)
にくの
字
(
じ
)
になつて
落
(
お
)
ちてゐる
鹿踊りのはじまり
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
イの
字
(
じ
)
のつくやつ
本部の段々で
(旧字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
そしてすでに、あすあさってには、孟州に入ろうかという十
字
(
じ
)
坡
(
は
)
の
嶺道
(
みねみち
)
で、ついその酒の誘惑から、危ない
罠
(
わな
)
にかかッてしまった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“字”の解説
字(あざな、zì)とは、中国など東アジアの漢字圏諸国で使われる人名の一要素である。昔、中国で成人男子と女子が実名以外につけた名。日本でも学者・文人がこれを用いた。
(出典:Wikipedia)
字
常用漢字
小1
部首:⼦
6画
“字”を含む語句
十字架
小字
金字塔
頭文字
文字
一字
字形
象形文字
楔形文字
苗字
大字
一丁字
丁字形
名字
習字
大文字
数字
雁字搦
丁字屋
十字
...