だん)” の例文
それが一だん向上こうじょうすると浅黄色あさぎいろになり、さらまた向上こうじょうすると、あらゆるいろうすらいでしまって、なんともいえぬ神々こうごうしい純白色じゅんぱくしょくになってる。
もっと早く出たかったのだが、はしごだんの上にがんばって、となりの人の戸口の前で一日じゅううなっている大犬が、こわかったのだ。
「おうッ」と力をふりしぼって、忍剣の手からのびた四しゃく余寸よすんの鉄杖が、パシリーッと、槍の千だんを二つにおって、天空へまきあげた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今は隱退いんたいしてゐる小菅けんすけろうだん關根せきね金次郎名人にむかつて、としをとるとらく手がありちになる。らく手があるやうでは名手とは言へぬ。
おもふと、トン/\トンとかるやはらかなおとれて、つまれ/\、そろつたもすそが、やなぎ二枝ふたえだなびくやう……すら/\とだんりた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
富田とみただんとモンクスがしっかと握手あくしゅした。左右七メートルへだててぱッと飛びのいた。その瞬間しゅんかんに、勇ましい試合開始のかね
柔道と拳闘の転がり試合 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
二階に行こうとだんに一つ足をかけた時、むらさきいろの電光が、ぐるぐるするほど明るくさし込んで来ましたので、ガドルフはぎくっと立ちどまり
ガドルフの百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
このしゅんかん、七、八人のランプを持った坑夫こうふがわたしたちの方角へかけて来て、はしごだんに上がろうとほねっていた。
が茶漬を食ふだんになつて、思ひ出した様に、かねは借りなくつてもいから、平岡を何処どこ使つかつてつて呉れないかとたのんだ。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はしごだんのぼってきた、おかみさんが、大騒おおさわぎをして、なぐるぼうりにいきました。おかみさんは、宿やどなしねこにはいまれてはたいへんだ。
どこかに生きながら (新字新仮名) / 小川未明(著)
起きあがつて見ると、ころぶときに地べたにいたらしく、右の掌にきずがついてゐた。その他は別だんせうもなかつた。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
ロミオ はて、それは深切しんせつ爲過しすごし。いっそ迷惑めいわく。おのが心痛しんつうばかりでも心臟しんざういたうなるのに、足下きみまでがいてくりゃると、一だんむねせまる。
其時そのとき越前守は平石次右衞門吉田三五郎池田大助の三人を膝元ひざもとへ進ませ申されけるは其方共そのはうども家の爲め思ひくれだんかたじけなく存るなりよつて越前が心底しんてい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
うきかざりのべにをしろいこそらぬものあらがみ島田しまだ元結もとゆひすぢきつてはなせし姿すがたいろこのむものにはまただんとたヽえてむこにゆかんよめにとらん
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「ああぼくははずかしい、きみはぼくよりも、百だんもすぐれた人だ、富士男君! なんでも命令してくれたまえ、ぼくはきみの命令ならなんでも服従する」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
おほきくなりましただんか。近々きん/\橄欖島かんらんたうでおひになつたら、そりや喫驚びつくりなさる』とまた兵曹へいそうした。
お客は、いきなりび起きると、あわてて着物を引っかけ、荷物にもつをかき集めてはしごだんけ下りました。
神様の布団 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
わが日本選手が三だんとびの第一等に入選したとき、わたしたち内地の日本人がどんなに喜んだかは、おそらくまだみなさんの記憶きおくにあらたなるところであると思います。
国際射的大競技 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
まづうまいとまうすは二のだんにいたしまして、これは第一に詩といふものになつてりません、御承知ごしようちとほり、詩とまうしまするものは、必らずゐんをふまなければならず
詩好の王様と棒縛の旅人 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
下人げにんは七段ある石段の一番上のだんあらひざらしたこんあをの尻を据ゑて、右の頬に出來た、大きな面皰にきびを氣にしながら、ぼんやり、あめのふるのをながめてゐるのである。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
天地呼吸こきふして万物ばんぶつ生育そだつる也。天地の呼吸こきふつねうしなふ時は暑寒あつささむさ時におうぜず、大風大雨其余そのよさま/″\の天へんあるは天地のやめる也。天に九ツのだんあり、これを九天きうてんといふ。
さっ浴衣ゆかたをかなぐりてると手拭てぬぐい片手かたてに、上手かみてだんを二だんばかり、そのまま戸袋とぶくろかげかくした。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
男と巡査がもつれるように玄関げんかんのふみだんまできたとき、巡査はもういきもたえだえになっていた。
おれようるのがえんのか。いや過去くわこおもしますまい。』とかれ調子てうしを一だんやさしくしてアンドレイ、エヒミチにむかつてふ。『さあきみたまへ、さあ何卒どうか。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そのとき、中でいちばんとしったごましおねずみが、一だんたかだんの上につっがって
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
紅白だんだらぞめの肉襦袢や、肉色の肉襦袢や、あるいは半裸体の男女が、たがいに手を組みひざを合せて、ゲラゲラ笑いながら見物していた。誰もこの残酷な遊戯をめようとはしなかった。
踊る一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
あな間口まぐちしやくすんに、奧行おくゆきしやくの、たかさ四しやく長方形ちやうはうけい岩室がんしつで、それにけたやう入口いりぐちみちがある。突當つきあたりに一だんたかところがあつて、それから周圍しうゐ中央ちうわうとにあさみぞつてある。
刮目くわつもくして待つてると、みやこはななる者が出た、本も立派りつぱなれば、手揃てぞろひでもあつた、さうして巻頭くわんたう山田やまだの文章、にくむべきてきながらも天晴あつぱれ書きをつた、かれの文章はたしかに二三だん進んだと見た
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
聽衆てうしゆうあいちやんが毛蟲けむしに、『うら老爺ぢいさん』を復誦ふくせうしてかすだんになるまでは、まつたしづかにしてゐましたが、全然まるで間違まちがつたことばかりふので、海龜うみがめあきかへつて、『可笑をかしなこと』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
開卷第一かいかんだいゝちに、孤獨幽棲こどくゆうせい一少年いつしようねん紹介しようかいし、その冷笑れいしようその怯懦きようだうつし、さらすゝんでその昏迷こんめいゑがく。襤褸らんるまとひたる一大學生いつだいがくせい大道だいどうひろしとるきながら知友ちゆう手前てまへかくれするだんしめす。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
清兵衛せいべえあわをくって、元気が出かかったところである。やりをひねってつきふせようとすると、ひらりとそれをはずした明兵みんぺいは、かわしざまに、そのやりの千だんまきを、ななめにきり落とした。
三両清兵衛と名馬朝月 (新字新仮名) / 安藤盛(著)
此處こゝ谷間たにまる一小村せうそん急斜面きふしやめん茅屋くさやだんつくつてむらがつてるらしい、くるまないからくはわからないが漁村ぎよそんせうなるもの蜜柑みかんやま産物さんぶつらしい。人車じんしや軌道きだうむら上端じやうたんよこぎつてる。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
まあこのおおきいこと! そしてほかのとちっともてないじゃないか! こりゃあ、ひょっとすると七面鳥しちめんちょうかもれないよ。でも、みずれるだんになりゃ、すぐ見分みわけがつくからかまやしない。
そして一體にふくよかにやはらかに來てゐる、しかも形にしまツたところがあツたから、たれが見ても艶麗えんれいうつくしいからだであツた。着物きものてゐる姿すがたかツたが、はだかになると一だんひかりした。それからかほだ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
春の宵をちひさく撞きて鐘を下りぬ二十七だん堂のきざはし
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
もう一だん下のえだに 下りたまへ しかられやしないよ
御座おましだん
道行みちゆきだん
顎十郎捕物帳:15 日高川 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
しかも今度こんどわたくし修行場しゅぎょうばは、やま修行場しゅぎょうばよりも一だんかくたか浄地じょうちで、そこにはたいそうお立派りっぱな一たい竜神様りゅうじんさましずまってられたのでした。
どうか奴らをらして、稀代きたいな名馬白獅子しろじしをお取り返しなすッて下さい。「——お願いの筋はそれなんで」と、金毛犬のだんは、百拝した。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だん伸の三きやくの上にてゝ黒布くろぬのをかぶりながら焦點せうてんあはせる時のわたし滿まん足とうれしさ、とまたほこらしさとはいひやうもなかつた。
成程なるほど狐格子きつねがうしつていた提灯ちやうちん何時いつまでも蝋燭らふさくたずにはらぬ。……くと板椽いたえんこしおとし、だんあしげてぐつたりしてた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くら内部ないぶには、電燈でんとうがともっていました。そして、だんだんとしたほうふかくなっていて、地下室ちかしつになっていました。かれは、だんりかけました。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
今宵こよひ家例かれいり、宴會えんくわいもよふしまして、日頃ひごろ別懇べっこん方々かた/″\多勢おほぜい客人まろうどまねきましたが、貴下こなたそのくみくははらせらるゝは一だん吾家わがや面目めんもくにござる。
そのあとへわたしもつづいて、それから「先生」が上がった。はしごだんのてっぺんに行き着くまえに大きな水がどっと上がって来てランプを消した。
幅のあつい西洋髪剃かみそりで、あごと頬をだんになつて、其するどいが、かゞみうらひらめく色が、一種むづがゆい様な気持をおこさした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
つぶし將軍の御落胤ごらくいんとの事なれば少こし安堵あんどしけれども後々のとがめおそ早速さつそく名主組合へ右のだんとゞけ夫より町奉行の御月番おつきばん松平日向守殿御役宅おやくたくへ此段を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
めつ多にとり出すことのないかん情のはしに一つの火がしづかに點ぜられ、だん々ひろがつてゆくやうな氣持である。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
向うにも一つたきがあるらしい。うすぐろい岩の。みんなそこまで行こうと云うのか。草原があって春木もんである。ずいぶんのぼったぞ。ここは小さなだんだ。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
燈光とうくわうはパツとえる、船長せんちやうおどろいてかわ拍子へうしあし踏滑ふみすべらして、船橋せんけう階段かいだんを二三だん眞逆まつさかさまちた。