たか)” の例文
しかし、そののいただきまでのぼれるものは、じゅうちゃんくらいのもので、ほかのには、がまわるほど、あまりにたかかったのです。
高い木とからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
近所きんじょいえの二かいまどから、光子みつこさんのこえこえていた。そのませた、小娘こむすめらしいこえは、春先はるさきまち空気くうきたかひびけてこえていた。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
にごれるみづいろへて極彩色ごくさいしき金屏風きんびやうぶわたるがごとく、秋草模樣あきくさもやうつゆそでは、たか紫苑しをんこずゑりて、おどろてふとともにたゞよへり。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
子家鴨こあひるはみんながれだって、そらたかくだんだんとのぼってくのを一心いっしんているうち、奇妙きみょう心持こころもちむねがいっぱいになってきました。
『なあに、柳川君やながはくんには片附かたづけるやうな荷物にもつもないのさ。』と濱島はまじまこゑたかわらつて『さあ。』とすゝめた倚子ゐすによつて、わたくしこの仲間なかまいり
またたかさのもつとたかくなるのはすぎで、秋田縣あきたけん長木澤ながきざは杉林すぎばやし甲州こうしゆう身延山みのぶさん千本杉せんぼんすぎなかには、たかさが三十五間さんじゆうごけんもあるのがられます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
もと直立ちよくりつしてゐたもので、たかさは七八十尺しちはちじつしやくもあつたものですが、二百年程前にひやくねんほどまへかみなりちたゝめにれたのだといふことでありました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
みぎひだりけずったようなたかがけ、そこらじゅうには見上みあげるような常盤木ときわぎしげってり、いかにもしっとりと気分きぶんちついた場所ばしょでした。
たかが少尉の月給で女房を食わして行けようがねえ。とまあこう云う返答だ。うん、然うだったか。それなら何も心配することはねい。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
言はれて内室ないしつはひつて見ると成程なるほど石は何時いつにか紫檀したんだいかへつて居たので益々ます/\畏敬ゐけいねんたかめ、うや/\しく老叟をあふぎ見ると、老叟
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
これが西暦せいれき千八百八十三年せんはつぴやくはちじゆうさんねん大爆裂だいばくれつをなして、しま大半たいはんばし、あとにはたかわづか八百十六米はつぴやくじゆうろくめーとる小火山島しようかざんとうのこしたのみである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
冷静れいせいなる社会的しやくわいてきもつれば、ひとしく之れ土居どきよして土食どしよくする一ツあな蚯蚓みゝず蝤蠐おけらともがらなればいづれをたかしとしいづれをひくしとなさん。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
したには小石こいしが一めん敷詰しきづめてある。天井てんぜうたかさは中央部ちうわうぶは五しやくずんあるが。蒲鉾式かまぼこしきまるつてるので、四すみはそれより自然しぜんひくい。
するととりりてたので、二十にんこなひきおとこは、そうががかりで、「ヨイショ、ヨイショ!」とぼうでもって石臼いしうすたかげました。
何處どこへゆく何處どこへゆく、げてはならないと坐中ざちうさわぐにてーちやんたかさんすこたのむよ、かへるからとてずつと廊下らうかいそあしいでしが
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これなどは、たかやまうへつめてうたつてゐるので、くちから出放題でほうだいつくつたものでは、けっして、かうはうまくゆきません。つぎのは
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
宗助そうすけこの可憐かれん自白じはくなぐさめていか分別ふんべつあまつて當惑たうわくしてゐたうちにも、御米およねたいしてはなはどくだといふおもひ非常ひじやうたかまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おほかぶさつてるまゆ山羊やぎのやうで、あかはな佛頂面ぶつちやうづらたかくはないがせて節塊立ふしくれだつて、何處どこにかう一くせありさうなをとこ
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
高岡軍曹たかをかぐんそうしばらくみんなのかほてゐたが、やがて何時いつものやうにむねつて、上官じやうくわんらしい威嚴いげんせるやうに一聲ひとこゑたかせきをした。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
王樣わうさまその女王樣ぢよわうさまかひなにかけされられ、おそる/\まをされました、『かんがへても御覽ごらんなさい、え、たか一人ひとり子供こどもではないか!』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
享保二年六月廿八日一同申口まをしくち調しらあげと相成同日長庵始め引合の者共白洲へ呼込よびこみになり越前守殿たからかに刑罰けいばつ申渡されける其次第は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
京都きょうとに行ったことのある人は、きっとそこの清水きよみず観音様かんのんさまにおまいりをして、あのたか舞台ぶたいの上から目の下の京都きょうとまちをながめ
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
をんなこゑたかうたうてはまたこゑひくくして反覆はんぷくする。うたところ毎日まいにちたゞの一かぎられてた。をんな年増としま一人ひとりうてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
このひとすぐれた才子さいしでありましたが形恰好なりかつこうすこへんで、せいたかかたて、見苦みぐるしかつたので、人々ひと/″\わらつてゐました。
うしろからそう呼んで来るのを聞いておたかはたちどまった。十三四歳の少年が担ぎ魚籠びくを背負っていそぎ足に来る、お高は
日本婦道記:糸車 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そのがたそらした、ひるのとりでもゆかないたかいところをするどいしものかけらがかぜながされてサラサラサラサラみなみのほうへとんでゆきました。
いちょうの実 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
蛙君かへるくん、きみはまあなにをゆつてるんだ。ほしくには、こうしたうへの、そのもつとたかいたかあいところにある天空そらなんだよ」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
汽車賃、小使い、お君へかかったものの勘定、あれやこれやではなかなかさかさに立っても、出せないほどのたかになった。
栄蔵の死 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
わたしたちはいつもかれの欲張よくばりをからかっていた。かれは一スー、二スーと貯金ちょきんしてしじゅう貯金のたか勘定かんじょうしていた。
かそうさまの さしょうは、どんな りっぱな てらの じゅうしょくにも なれる たかい ねうちの あるものです。
一休さん (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
土間もたか土間も桟敷も、人を以て真っ黒に埋められている大入りの盛況に、わたしは少し呆気あっけに取られた位であった。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
紋三は、万一とがめられた所で、何とでもいい逃れの道はつくとたかくくった。彼は臆病者の癖に、どうかすると非常に向う見ずな大胆な所があった。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
にや輪王りんのうくらゐたかけれども七寶しつぱうつひに身に添はず、雨露うろを凌がぬのきの下にも圓頓ゑんどんの花は匂ふべく、眞如しんによの月は照らすべし。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
ことに「にごり江」のおりき、「やみ夜」のおらん、「闇桜やみざくら」の千代子、「たまだすき」の糸子、「別れ霜」のおたか、「うつせみ」の雪子、「十三夜」のおせき
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
と申しますのは、この置燈籠のような身体に、一つは背の中央、一つは両またの間に光りを落しますと、それがたかと同じ形になるのではございませんか。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
けれどこれははじめで、そんなにいいものとはへない。だい一、ほんたかすぎる。それに童謠うただつて、まだほんとうにきみたちにかれないかもれない。
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
第十 常居ゐま濕氣しめりけすくな日當ひあたりよくしてかぜとほやうこゝろもちし。一ヶねん一兩度いちりやうどかなら天井てんじやうまたえんしたちりはらひ、寢所ねどころたかかわきたるはうえらぶべきこと
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
先づ饅頭笠にて汚水をいだし、さら新鮮しんせんなる温泉をたたゆ、温たかき為め冷水を調合てうごうするに又かさもちゆ、笠為にいたむものおほし、抑此日や探検たんけんの初日にして
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
喜三郎はもどかしそうに、「たかが四文のはしたぜにではございませんか。御戻りになるがものはございますまい。」
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
地球ちきゆうで百五〇封度ポンドおもさの人間も、火星くわせいでは六〇封度ポンドになる。人は地球ちきゆうにゐるときよりも二倍半ばいはんたかくとべる。)
東京の絵画商人のなにがしが、京都で展覧会を開くために、今尾景年氏のとこへ、半切はんせつ揮毫きがうを頼みに出掛けた。たかが半切だと聞いて、画家は会はうともしない。
周禎の妻をたかといって、すでに四子を生んでいた。長男周碩しゅうせき、次男周策、三男三蔵、四男玄四郎が即ちこれである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
たとえば田令でんりょう第一条の租のたかがそうである。が、いずれであるにしろここにはただ耳なれた名であるゆえをもって便宜上『大宝令』と呼んでおこうと思う。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
縹緻きりょうがよくって孝行こうこうで、そのうえ愛想あいそうならとりなしなら、どなたのにも笠森かさもり一、おなかいためたむすめめるわけじゃないが、あたしゃどんなにはなたかいか。……
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「全く危いところでしたよ。連日れんじつの努力で、もう身体も頭脳あたまも疲れ切っているのです。神経ばかり、たかぶりましてネ」と理学士もそばへよって来て述懐じゅっかいした。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
然るに京王電鉄は、一方先棒さきぼうの村内有力者某々等をして頗る猛烈に運動せしむると共に、一方田夫野人何事をか仕出来しでかさんとたかくくって高圧的こうあつてき手段しゅだんに出た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
笠井一かさいはじめ。戸籍名、手沼謙蔵。明治四十二年六月十九日、青森県北津軽郡金木町に生れた。亡父は貴族院議員、手沼源右衛門。母はたか。謙蔵は、その六男たり。
狂言の神 (新字新仮名) / 太宰治(著)
そのたかは際限なきことなれども、仮にず三万五千円とすれば、両様合して五万円を毎年消費する勘定なり。
人生の楽事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
なほつねに見ざる真景もがなと春のなかばわざ/\三国嶺みくにたふげにちかき法師嶺ほふしたふげのふもとに温泉をんせんやどりそのあたりの雪を見つるに、たかみねよりおろしたるなだれなどは
さて昨日は殿様に御無理を願い早速お聞済きゝずみ下さいましたが、たかすくなし娘は不束ふつゝかなり、しゅうとは知っての通りの粗忽者そこつもの、実になんと云って取る所はないだろうが