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空氣
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くうき
かうして
林の
中の
空氣は、
常に
林の
外と
比べて、
晝間は
涼しく、
夜間は
温かで、
從つて
晝と
夜とで
氣温が
急に
變ることを
和らげます。
責めてそんなものが一
幅でもあつたらと
思つた。けれども
夫は
自分の
呼吸する
空氣の
屆くうちには、
落ちてゐないものと
諦めてゐた。
それは
棺の
中は
空氣が
侵入して
腐り
易いが、
直接に
土中に
埋める
時は
空氣が
入り
難いので、かへってよく
保存されるのであります。
手ランプも
點けぬ
卯平の
狹い
小屋の
空氣は
黒く
悄然として
死んだ
樣である。
勘次は
拔き
足して
戻つては
出來るだけ
靜に
戸を
閉ぢる。
兵營から
既に十
里に
近い
行程と、
息詰るやうに
蒸し
蒸しする
夜の
空氣と、
眠たさと
空腹とに
壓されて、
兵士達は
疲れきつてゐた。
つまみ
出して
障子を
締めた、
殘暑といふものは
惡る
惡う
暑い、
空氣が
通はないから
尚ほ
更らである、
曇つてゐるから
頭痛がする、たまらぬ。
繰返して
三度、また
跫音がしたが、
其時は
枕が
上らなかつた。
室内の
空氣は
唯彌が
上に
蔽重つて、おのづと
重量が
出來て
壓へつけるやうな!
艇は
些も
空氣の
缺乏を
感ずる
事なく、十
時間でも二十
時間でも、
必要に
應じて
海底の
潜行を
繼續する
事が
出來るのである。
さうしてその四
角な
穴の
中から、
煤を
溶したやうなどす
黒い
空氣が、
俄に
息苦しい
煙になつて
濛濛と
車内へ
漲り
出した。
これは
空氣の
上層には
通常西風があるので、
下層の
風向きの
如何に
拘らず、
細かな
火山灰は
大抵大氣中の
上層に
入り、
東方に
運ばれるに
因るからである。
地には
光があり
反射があり、
空には
色と
霑ひとがある。
空氣は
澄んで/\
澄み
切つて、どんな
科學者にもそれが
其處にあるといふ
事を一
時忘れさせるであらう。
そも/\
空想は、
空氣よりも
仄なもので、
今は
北國の
結氷に
言寄るかと
思へば、
忽ち
腹を
立てゝ
吹變って、
南の
露に
心を
寄するといふ
其風よりも
浮氣なものぢゃ。
所が、
丁度私も
此の
節、
暇を
貰つて、
異つた
空氣を
吸ひに
出掛けやうと
思つてゐる
矢先、
如何でせう、一
所に
付合つては
下さらんか、
而して
舊事を
皆忘れて
了ひませうぢや
有りませんか。
偶には
激浪怒濤もあつて
欲しい、
惡風暴雨もあつて
欲しい、と
云つて
我輩は
決して
亂を
好むのではない、
只だ
空氣が五
日の
風に
由て
掃除され、十
日の
雨に
由て
淨められんことを
希ふのである。
玄竹、
頭を
押へて、『
御城内で、
御近習に
切られました。
御城内へ
詰め
切りますと、これが
一つの
災難で‥‥。』と、
醫者仲間では
嚴格と
偏屈とで
聞えた
玄竹も、
矢張り
醫者全體の
空氣に
浸つて
夜來の
雨はあがつたが、
空氣は
濕つて、
空には
雲が
漂ふて
居た。
空氣は
妙に
濕氣を
含んで
來た。
宗助は
御米の
言葉を
聞いて、
始めて
一窓庵の
空氣を
風で
拂つた
樣な
心持がした。
一たび
山を
出て
家へ
歸れば
矢張り
元の
宗助であつた。
潜𤍠といふのは
物體が
融解したり、また
蒸發するときに
要する
𤍠量です。そんなわけで
森林の
附近の
空氣はいつも
冷えてゐます。
軟かさに
滿たされた
空氣を
更に
鈍くするやうに、
榛の
木の
花はひら/\と
止まず
動きながら
煤のやうな
花粉を
撒き
散らして
居る。
何分空氣が
棺の
中へ
侵入するので、
今日これを
開けて
見ても
骨の
遺つてゐるのはごく
稀であつて、わづかに
齒が
殘つてゐるくらゐであります。
カチインと
絶※ず
聞※てくる
球突の
球の
響きはさういふ
塲面の
空氣と
對應して、いかにも
感じの美しい、何ともいへない舞
台効果をなしてゐる。
船室の
中央に
吊してある
球燈の
光は
煌々と
輝いて
居るが、どうも
其邊に
何か
魔性でも
居るやうで、
空氣は
頭を
壓へるやうに
重く、
實に
寢苦しかつた。
「
出番と
見たら、ちやんと
拵ツて
置くが
可いだ。お
客を
待たして、タイヤに
空氣を
入れるだあもの。……
馬鹿親仁。」と
散溢れた
石炭屑を
草鞋の
腹でバラリと
横に
蹴つて
それが
怖しい!
其窖で
呼吸が
塞ってはしまやせぬか?
其穢い
穴の
中へは
清い
空氣は
些程も
通はぬゆゑ、ロミオどのが
來する
頃には
予ゃ
死んでしまうてゐねばなるまい。
空氣も
流通しないほど、ピシヤリと
障子を
建てゝ
蒸されてゐる、
息がつまる。
火口近くにゐてこの
波動に
直面したものは、
空氣の
大きな
槌を
以て
擲られたことになるので、
巨大な
樹木が
見事に
折れ、
或は
根こぎにされて
遠方へ
運ばれる。
勿論家屋などは
一溜りもない。
如何なれば
規則はあつても、
茲に
學問は
無いのである。
哲學を
捨て
了つて、
他の
醫師等のやうに
規則に
從つて
遣らうとするのには、
第一に
清潔法と、
空氣の
流通法とが
缺くべからざる
物である。
「
何處らか
歩いて
來たと
見えて
足埃だらけだと」二三
人の
聲で
戯談を
返した。
家の
内外のむつとした
空氣が
益ざわついた。
次の
日三
人は
表へ
出て
遠く
濃い
色を
流す
海を
眺めた。
松の
幹から
脂の
出る
空氣を
吸つた。
冬の
日は
短い
空を
赤裸々に
横切つて
大人しく
西へ
落ちた。
お
互に
身體が
丈夫でなければ
何事も
出來ませんから、
新しい
空氣の
呼吸と、
十分な
日光浴と、
運動とによつて
食物をうまく
食べることが
一番大切です。
風はなかつた。
空氣は
水のやうに
重く
沈んでゐた。
人家も、
燈灯も、
畑も、
森も、
川も、
丘も、そして
歩いてゐる
我我の
體も、
灰を
溶したやうな
夜霧の
海に
包まれてゐるのであつた。
何か
知りませんけれども、
幾らも
其處等に
居るものの、
不斷は
目に
見えない、
此の
空氣に
紛れて
隱れて
居るのが、
然うして
塵も
透通るやうな
心持に
成つたので、
自分に
見えるのだらうと
思ひました。
四邊の
空氣も
融解くるばかりに、なつかしう
奏でゝ
下され。
豐島さんのは今はもう
忘れてしまつたが、とにかく
球突塲といふものはちよつと
變つた人
間的空氣の
漂ふもので
球の
響きの内には時とすると
妙に
胸底に
沁みわたるやうな一
種の神
祕感が
感じられる。
大地に
當る
靴音は
生き
生きして
高く
夜の
空氣に
反響した。
然し、さすがにどことなく
哀愁にみちた
空氣。