空氣くうき)” の例文
新字:空気
かうしてはやしなか空氣くうきは、つねはやしそとくらべて、晝間ちゆうかんすゞしく、夜間やかんあたゝかで、したがつてひるよるとで氣温きおんきゆうかはることをやはらげます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
めてそんなものが一ぷくでもあつたらとおもつた。けれどもそれ自分じぶん呼吸こきふする空氣くうきとゞくうちには、ちてゐないものとあきらめてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それはかんなか空氣くうき侵入しんにゆうしてくさやすいが、直接ちよくせつ土中どちゆううづめるとき空氣くうきにくいので、かへってよく保存ほぞんされるのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
ランプもけぬ卯平うへいせま小屋こや空氣くうきくろ悄然ひつそりとしてんだやうである。勘次かんじあししてもどつては出來できるだけしづかぢる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
兵營へいえいからすでに十ちか行程かうていと、息詰いきづまるやうにしするよる空氣くうきと、ねむたさと空腹くうふくとにされて、兵士達へいしたちつかれきつてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
つまみして障子せうじめた、殘暑ざんしよといふものはわるあつい、空氣くうきかよはないかららである、くもつてゐるから頭痛づつうがする、たまらぬ。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
繰返くりかへして三度さんど、また跫音あしおとがしたが、其時そのときまくらあがらなかつた。室内しつない空氣くうきたゞいやうへ蔽重おほひかさなつて、おのづと重量ぢうりやう出來できおさへつけるやうな!
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ていいさゝか空氣くうき缺乏けつぼうかんずることなく、十時間じかんでも二十時間じかんでも、必要ひつようおうじて海底かいてい潜行せんかう繼續けいぞくすること出來できるのである。
さうしてその四かくあななかから、すすとかしたやうなどすぐろ空氣くうきが、にはか息苦いきぐるしいけむりになつて濛濛もうもう車内しやないみなぎした。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
これは空氣くうき上層じようそうには通常つうじよう西風にしかぜがあるので、下層かそう風向かざむきの如何いかんかゝはらず、こまかな火山灰かざんばひ大抵たいてい大氣中たいきちゆう上層じようそうり、東方とうほうはこばれるにるからである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
にはひかりがあり反射はんしやがあり、そらにはいろうるほひとがある。空氣くうきんで/\すみつて、どんな科學者くわがくしやにもそれが其處そこにあるといふことを一わすれさせるであらう。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
そも/\空想くうさうは、空氣くうきよりもほのかなもので、いま北國ほっこく結氷こほり言寄いひよるかとおもへば、たちまはらてゝ吹變ふきかはって、みなみつゆこゝろするといふそのかぜよりも浮氣うはきなものぢゃ。
ところが、丁度ちやうどわたしせつひまもらつて、かはつた空氣くうきひに出掛でかけやうとおもつてゐる矢先やさき如何どうでせう、一しよ付合つきあつてはくださらんか、さうして舊事ふるいことみんなわすれてしまひませうぢやりませんか。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
たまには激浪げきらう怒濤どたうもあつてしい、惡風あくふう暴雨ぼううもあつてしい、とつて我輩わがはいけつしてらんこのむのではない、空氣くうきが五かぜよつ掃除さうぢされ、十あめよつきよめられんことをこひねがふのである。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
玄竹げんちくあたまおさへて、『御城内ごじやうないで、御近習ごきんじゆられました。御城内ごじやうないりますと、これがひとつの災難さいなんで‥‥。』と、醫者仲間いしやなかまでは嚴格げんかく偏屈へんくつとできこえた玄竹げんちくも、矢張やは醫者全體いしやぜんたい空氣くうきひたつて
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
夜來やらいあめはあがつたが、空氣くうきしめつて、そらにはくもたゞよふてた。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
空氣くうきめう濕氣しつけふくんでた。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
宗助そうすけ御米およね言葉ことばいて、はじめて一窓庵いつさうあん空氣くうきかぜはらつたやう心持こゝろもちがした。ひとたびやまうちかへれば矢張やはもと宗助そうすけであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
潜𤍠せんねつといふのは物體ぶつたい融解ゆうかいしたり、また蒸發じようはつするときにようする𤍠量ねつりようです。そんなわけで森林しんりん附近ふきん空氣くうきはいつもえてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
やはらかさに滿たされた空氣くうきさらにぶくするやうに、はんはなはひら/\とまずうごきながらすゝのやうな花粉くわふんらしてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
何分なにぶん空氣くうきかんなか侵入しんにゆうするので、今日こんにちこれをけててもほねのこつてゐるのはごくまれであつて、わづかにのこつてゐるくらゐであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
カチインと※ずきこ※てくる球突たまつきたまひゞきはさういふ塲面ばめん空氣くうき對應たいおうして、いかにもかんじの美しい、何ともいへない舞たい効果こうくわをなしてゐる。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
船室キヤビン中央ちゆうわうつるしてある球燈きゆうとうひかり煌々くわう/\かゞやいてるが、どうも其邊そのへんなに魔性ませうでもるやうで、空氣くうきあたまおさへるやうにおもく、じつ寢苦ねぐるしかつた。
出番でばんたら、ちやんとこしらツてくがいだ。おきやくたして、タイヤに空氣くうきれるだあもの。……馬鹿親仁ばかおやぢ。」と散溢ちりこぼれた石炭屑せきたんくづ草鞋わらぢはらでバラリとよこつて
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それがおそろしい! そのあなむろ呼吸いきつまってはしまやせぬか? そのむさあななかへはきよ空氣くうき些程つゆほどかよはぬゆゑ、ロミオどのがするころにはわしんでしまうてゐねばなるまい。
空氣くうき流通りうつうしないほど、ピシヤリと障子せうじてゝされてゐる、いきがつまる。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
火口近かこうちかくにゐてこの波動はどう直面ちよくめんしたものは、空氣くうきおほきなつちもつなぐられたことになるので、巨大きよだい樹木じゆもく見事みごとれ、あるひこぎにされて遠方えんぽうはこばれる。勿論もちろん家屋かおくなどは一溜ひとたまりもない。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
如何いかなれば規則きそくはあつても、こゝ學問がくもんいのである。哲學てつがくすてしまつて、醫師等いしやらのやうに規則きそくしたがつてらうとするのには、だい一に清潔法せいけつはふと、空氣くうき流通法りうつうはふとがくべからざるものである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
何處どこらかあるいてたとえてあしほこりだらけだと」二三にんこゑ戯談ぜうだんかへした。いへ内外うちそとのむつとした空氣くうきます/\ざわついた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
つぎにんおもてとほいろながうみながめた。まつみきからやに空氣くうきつた。ふゆみじかそら赤裸々せきらゝ横切よこぎつて大人おとなしく西にしちた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たがひ身體しんたい丈夫じようぶでなければ何事なにごと出來できませんから、あたらしい空氣くうき呼吸こきゆうと、十分じゆうぶん日光浴につこうよくと、運動うんどうとによつて食物しよくもつをうまくべることが一番いちばん大切たいせつです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
吸鍔棹ピストンたる器械きかい上下じやうかするにしたがつて、新鮮しんせんなる空氣くうき蒸氣じようきごと一方いつぽう巨管きよくわんから艇内ていない吹出ふきだされ、艇内ていない惡分子あくぶんしは、排氣喞筒はいきぽんぷによつて始終しじゆう艇外ていぐわい排出はいしゆつせられるから
かぜはなかつた。空氣くうきみづのやうにおもしづんでゐた。人家じんかも、燈灯ともしびも、はたけも、もりも、かはも、をかも、そしてあるいてゐる我我われわれからだも、はひとかしたやうな夜霧よぎりうみつつまれてゐるのであつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
なにりませんけれども、いくらも其處等そこいらるものの、不斷ふだんえない、空氣くうきまぎれてかくれてるのが、うしてちり透通すきとほるやうな心持こゝろもちつたので、自分じぶんえるのだらうとおもひました。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
四邊あたり空氣くうき融解とろくるばかりに、なつかしうかなでゝくだされ。
豐島さんのは今はもうわすれてしまつたが、とにかく球突塲たまつきばといふものはちよつとかはつた人間的げんてき空氣くうきたゞよふものでたまひゞきの内には時とするとめう胸底むなそこみわたるやうな一しゆの神祕感ひかんかんじられる。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
大地だいちあた靴音くつおときしてたかよる空氣くうき反響はんきやうした。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
しかし、さすがにどことなく哀愁あいしうにみちた空氣くうき
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)