)” の例文
食べものといえば、木のや草のがあるばかりです。女の子はそれを、歩けるだけ遠くまで歩いていっては、さがしまわりました。
自分らの子供のころに、たこを飛ばしがらを打って走りまわった時には、もっときれいにかわいておった。確かにきれいであった。
落穂 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「これは、たいした発見はっけんだ。このはなに、おれのまえでもつけてやろう。」と、よろこんで、もとから、あざみのはなってしまった。
なまずとあざみの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぱうは、大巌おほいはおびたゞしくかさなつて、陰惨冥々いんさんめい/\たる樹立こだちしげみは、露呈あらはに、いし天井てんじやううねよそほふ——こゝの椅子いすは、横倒よこたふれの朽木くちきであつた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
地点は、森武蔵ぜいっている岐阜ヶ嶽の下——ぶついけのなぎさである。馬に水を飼い、馬の脚を、水にけて冷やしているのだ。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、まけきらひでもあつたし、またさうなると、今までの力の報いられなかつた悔しさから、成功せいこうへの要求ようきうぎやくつよくなつた。
ぎ合はして考へて見ると、人生と云ふ丈夫さうないのちが、知らぬに、ゆるんで、何時いつでも暗闇くらやみき出して行きさうに思はれる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかしつまゆめのやうに、盜人ぬすびとをとられながら、やぶそとかうとすると、たちま顏色がんしよくうしなつたなり、すぎのおれをゆびさした。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
いわゆるの問題には限らず、我々がお互いに話し合ってみないために、覚るべきことを覚らずにいる場合ははなはだ多い。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
『おまへつたことぢやない!』と五點フアイブ。『そんならわたしれにはなしてやらう——玉葱たまねぎかはりに欝金香うつこんかう料理人クツクところつてけッて』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
勘次かんじ開墾かいこん手間賃てまちん比較的ひかくてき餘計よけいあたへられるかはりにはくぬぎは一つもはこばないはずであつた。彼等かれら伴侶なかまはさういふことをもつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
兩方の人差指のもと、足の中指の根もと、おへその兩ワキのは動くので燒けあとが大きかつた。背中は八ツ目鰻ののやうだといはれた。
お灸 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
さて其外そのほかでは、なんであらうか? 性根しゃうねみだれぬ亂心らんしん……いきをもむるにがもの。……いのち砂糖漬さとうづけにするほどあまもの。さらば。
御祖の命、子に告りていはく、「須佐の男の命のまします堅州かたすにまゐ向きてば、かならずその大神はかりたまひなむ」
くさ邪魔じやまをして、却々なか/\にくい。それにあたらぬ。さむくてたまらぬ。蠻勇ばんゆうふるつてやうやあせおぼえたころに、玄子げんし石劒せきけん柄部へいぶした。
あれはきつね松明たいまつるのだともひましたし、奧山おくやまくさつてひかるのをきつねくちにくはへてるのだともひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
其以上それいじやうわたし詰問きつもんとほらぬ。とほらぬところくら不安ふあんかげたゞようてゐるのであるが、かげかげで、一わたし足迹そくせきるゝをゆるさぬのである。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
食物しよくもつはおもによるくさ果實かじつうを、かになどをとり、ときには人里ひとざとて、家畜かちくをかすめとつていくこともあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
むかふの主人しゆじんもおまへ姿すがためてるさうにいたぞと、ろくでもなきすりごと懶怠者なまけもの懶怠者なまけものだ、れは懶怠者なまけもの活地いくぢなしだとだいそべつて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「今は聞いてくれるな。しかし、わしはもないことをおそれているのではない。わしを信じてくれ。そしてわしを完全に保護してくれたまえ」
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
なぜならこれからちょうど小さながでるころなのに西風はまだまだくからみきがてこになってそれを切るのだ。けれども菊池きくち先生はみんならせた。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
わたし七八歳しちはつさい少年時代しようねんじだいから、むかしひとつくつたいしなどをあつめてよろこんだのでありましたが、そのころわたしいし人間にんげんつくつたものではなくて
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
そのおと寂寞せきばくやぶつてざわ/\とると、りよかみけられるやうにかんじて、全身ぜんしんはだあはしやうじた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
おれだつて、れにもはふとはおもはない、たゞあの石狩原野いしかりげんやだの、高原たかはら落日おちひ白樺しろかばはやしなにをかんがへてもいゝなあ——それに五ぐわつころになるとあの白樺しろかば
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
あか摘取つみとると、すぐそれがけがれてしまひ、ちよいと草木くさき穿ほじつても、このくとしぼんでゆく。
まもる事ふくべの如くと又口はわざはひのかどしたは禍ひのと言る事金言きんげんなるかな瀬戸物屋忠兵衞はからず八ヶ年過去すぎさりたる事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いったいおそばのは、いつからあんなにあかまったのでしょうか。それにはこんなおはなしがあるのです。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
珠運思い切ってお辰の手を取り一間ひとまうちに入り何事をか長らく語らいけん、いずる時女の耳のあかかりし。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そっとしのびよってみますと、おどろいたことに、あの白ガチョウのモルテンが、長いヒゲをいくつかくわえて、つみ石の上をよたよたと歩いているではありませんか。
五尺ほど間隔をあけて、レエヌさんの顔を見つめたまま甲板にが生えたようになってしまった。
キャラコさん:05 鴎 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ってはいないとおいいだろう。ふふふ。やっぱりおまえは、あたしの手前てまえをつくろって、もないうそをついたんだの、おおかたきなおとこに、いにったかえりであろう。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
若し権力をもって得たるものは、瓶鉢中へいはつちゅうの花の如く、そのえず、そのしぼむこと立って待つべし
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
間口まくち九間の屋根やねのきに初春の頃の氷柱つらゝ幾条いくすぢもならびさがりたる、その長短ちやうたんはひとしからねども、長きは六七尺もさがりたるがふとさは二尺めぐりにひらみたるもあり
猫貍橋は後掲氷川の杜の「西の方、小石川の流れにわた」したもので、「昔、大木の根木のまたを以て、橋にかへ」たゆゑ、また橋なのであると本文にはかく説明されてゐる。
巣鴨菊 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
「後生願わん者は糂粏甕じんたがめ一つも持つまじきもの」とは実際だ。物の所有は隔てのもとで、物の執着しゅうちゃくは争のである。儂も何時しか必要と云う名の下に門やら牆やら作って了うた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
『源さん、源さんの轢いたってのは、あのいわ——Y駅とT駅の間の——カーヴだろう』
鉄路 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
の国に赴きたまわんとして素盞嗚尊すさのおのみこと、まず天照大神あまてらすおおみかみに、お別れ告げんと高天原たかまがはらに参る。
弓道中祖伝 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
真鳥まとり卯名手うなて神社もりすがのみ(本文はとある)をきぬせむをんな)もがも
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
何しろ、力があってけんが立つということになっていたから、がさほど利口りこうでない大迫玄蕃、年功というわけで平番士の中では比較的上席じょうせきにもいたし、城中で怖い者がなかった。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
かまのやうな新月しんげつ物凄ものすご下界げかいてらしてたが、勿論もちろんみち案内しるべとなるほどあかるくはない、くわふるに此邊このへんみちいよ/\けわしく、とがつた岩角いはかどわだかま無限むげん行方ゆくてよこたはつてるので
私は白いくさをかみながら立ち上つた。ふと、私はそのくさが、去年きよねんあき私達わたしたちすわつてみつけたときのくさ相違さうゐないとかんがへた。それが一を落してまたを出した。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
っから何にもせずに居た所が、十四か十五になって見ると、近処きんじょしって居る者は皆な本をよんで居るのに、自分ひとり読まぬと云うのは外聞がいぶんが悪いとか恥かしいとかおもったのでしょう。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
もうふかくはりすぎてゐて身動みうごきもならないやうになつてしまつてゐるのですもの。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
かれ發狂者はつきやうしやらしいところは、始終しゞゆうつた樣子やうすと、へん眼付めつきとをするのほかに、時折ときをりばんになると、てゐる病院服びやうゐんふくまへ神經的しんけいてき掻合かきあはせるとおもふと、はぬまでに全身ぜんしんふるはし
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
が、あれはオヤさまだちのもんだ。第一、作人さくにんなんどに口を利かせはしねえ。
斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
霍亂かくらんで死んだといふ、小僧の友吉も、毒害されたに違ひあるまいよ、鳥兜とりかぶとなどで殺されると、霍亂とよく似てゐる、多分小僧の友吉は誰かほかの人に盛つた毒を、意地ぎたなをして食ひ
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
それは五人ごにんとも別々べつ/\で、石造皇子いしつくりのみこには天竺てんじくにあるほとけ御石みいしはち車持皇子くらもちのみこには東海とうかい蓬莱山ほうらいさんにあるぎんきんくき白玉しらたまをもつたえだ一本いつぽん阿倍あべ右大臣うだいじんには唐土もろこしにある火鼠ひねずみ皮衣かはごろも
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
火口近かこうちかくにゐてこの波動はどう直面ちよくめんしたものは、空氣くうきおほきなつちもつなぐられたことになるので、巨大きよだい樹木じゆもく見事みごとれ、あるひこぎにされて遠方えんぽうはこばれる。勿論もちろん家屋かおくなどは一溜ひとたまりもない。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
傳統は山河と交響し、臣節は國土にふ。大義の國日本、日本に光榮あれ。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
からの臆病者のくせに、無鉄砲な事ばかりやらかしてお友達や、オフィリヤには、ほめられるでしょうが、さて後の始末が自分では何も出来ないものですから、泣きべそをかいて、ひとりで
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)