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描
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ゑが
ふりがな文庫
“
描
(
ゑが
)” の例文
僕の訳文は
拙
(
つたな
)
いのに違ひない。けれどもむかし Guys の
描
(
ゑが
)
いた、優しい売笑婦の
面影
(
おもかげ
)
はありありと原文に見えるやうである。
澄江堂雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
惟
(
おも
)
ふに、
描
(
ゑが
)
ける
美人
(
びじん
)
は、
活
(
い
)
ける
醜女
(
しうぢよ
)
よりも
可
(
か
)
也
(
なり
)
。
傳
(
つた
)
へ
聞
(
き
)
く、
漢
(
かん
)
の
武帝
(
ぶてい
)
の
宮人
(
きうじん
)
麗娟
(
りけん
)
、
年
(
とし
)
はじめて十四。
玉
(
たま
)
の
膚
(
はだへ
)
艷
(
つや
)
やかにして
皓
(
しろ
)
く、
且
(
か
)
つ
澤
(
うるほ
)
ふ。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何故ならば、氏の
心理解剖
(
しんりかいばう
)
は
何處
(
どこ
)
までも心理解剖で、人間の心持を
丁度
(
ちやうど
)
鋭
(
するど
)
い
銀
(
ぎん
)
の
解剖刀
(
かいばうたう
)
で切開いて行くやうに、
緻密
(
ちみつ
)
に
描
(
ゑが
)
いて行かれます。
三作家に就ての感想
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
描
(
ゑが
)
かれた人物は泣いてゐたのか戰つてゐたのか忘れてしまつて、唯濃く塗られた繪具の色ばかりが記憶されて居るやうな氣がするのであつた。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
其
(
そ
)
の
日
(
ひ
)
も
埃
(
ほこり
)
が
天
(
てん
)
を
焦
(
こが
)
して
立
(
た
)
つた。
其
(
そ
)
の
埃
(
ほこり
)
は
黄褐色
(
くわうかつしよく
)
で
霧
(
きり
)
の
如
(
ごと
)
く
地上
(
ちじやう
)
の
凡
(
すべ
)
てを
掩
(
おほ
)
ひ
且
(
か
)
つ
包
(
つゝ
)
んだ。
雜木林
(
ざふきばやし
)
は一
齊
(
せい
)
に
斜
(
なゝめ
)
に
傾
(
かたぶ
)
かうとして
梢
(
こずゑ
)
は
彎曲
(
わんきよく
)
を
描
(
ゑが
)
いた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
蝋燭の灯を中心に、女の頭の上に顏を集めると、濃い黒髮の地に、
藍色
(
あゐいろ
)
に
描
(
ゑが
)
かれたのは、
紛
(
まぎ
)
れもない一匹の鼠の
文身
(
ほりもの
)
。
銭形平次捕物控:007 お珊文身調べ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
夜
(
よる
)
は
煤竹
(
すゝだけ
)
の
臺
(
だい
)
を
着
(
つ
)
けた
洋燈
(
らんぷ
)
の
兩側
(
りやうがは
)
に、
長
(
なが
)
い
影
(
かげ
)
を
描
(
ゑが
)
いて
坐
(
すわ
)
つてゐた。
話
(
はなし
)
が
途切
(
とぎ
)
れた
時
(
とき
)
はひそりとして、
柱時計
(
はしらどけい
)
の
振子
(
ふりこ
)
の
音丈
(
おとだけ
)
が
聞
(
きこ
)
える
事
(
こと
)
も
稀
(
まれ
)
ではなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
エゼキエレを讀め、彼は彼等が風、雲、火とともに寒き處より來るを見てこれを
描
(
ゑが
)
けり 一〇〇—一〇二
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
探検一行二十七名上越国界を定むと
書
(
しよ
)
す、
少
(
しば
)
らく
休憩
(
きうけい
)
をなして或は
測量
(
そくりやう
)
し或は
地図
(
ちづ
)
を
描
(
ゑが
)
き、各
幽微
(
いうび
)
を
闡明
(
せんめい
)
にす、且つ風光の
壮絶
(
さうぜつ
)
なるに
眩惑
(
げんわく
)
せられ、左右
顧盻
(
こめん
)
去
(
さ
)
るに
忍
(
しの
)
びず
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
人間を
描
(
ゑが
)
く
巴里
(
パリイ
)
の青年画家の中で僕の
今日
(
こんにち
)
迄に最も感服したのは
此
(
この
)
人である。又新しく
印度
(
インド
)
内地の旅行から帰つて来たベナアル氏の
印度土産
(
インドみやげ
)
の絵が
目下
(
もくか
)
大変な人気を集めて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
それのみにても
我
(
わ
)
れは
生涯
(
しやうがい
)
大事
(
だいじ
)
にかけねばなるまじき
人
(
ひと
)
に
不足
(
ふそく
)
らしき
素振
(
そぶり
)
のありしか、
我
(
わ
)
れは
知
(
し
)
らねど
然
(
さ
)
もあらば
何
(
なん
)
とせん、
果敢
(
はか
)
なき
樓閣
(
ろうかく
)
を
空中
(
くうちゆう
)
に
描
(
ゑが
)
く
時
(
とき
)
、うるさしや
我名
(
わがな
)
の
呼聲
(
よびごゑ
)
、
袖
(
そで
)
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
開卷第一
(
かいかんだいゝち
)
に、
孤獨幽棲
(
こどくゆうせい
)
の
一少年
(
いつしようねん
)
を
紹介
(
しようかい
)
し、その
冷笑
(
れいしよう
)
と
其
(
その
)
怯懦
(
きようだ
)
を
寫
(
うつ
)
し、
更
(
さら
)
に
進
(
すゝ
)
んで
其
(
その
)
昏迷
(
こんめい
)
を
描
(
ゑが
)
く。
襤褸
(
らんる
)
を
纏
(
まと
)
ひたる
一大學生
(
いつだいがくせい
)
、
大道
(
だいどう
)
ひろしと
歩
(
あ
)
るきながら
知友
(
ちゆう
)
の
手前
(
てまへ
)
を
逃
(
に
)
げ
隱
(
かく
)
れする
段
(
だん
)
を
示
(
しめ
)
す。
罪と罰(内田不知庵訳)
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
風
(
かぜ
)
軟
(
やはら
)
かに、
草
(
くさ
)
みどりなる
陸上
(
りくじやう
)
の
人
(
ひと
)
は、
船
(
ふね
)
の
沈沒
(
ちんぼつ
)
などゝ
聞
(
き
)
けば、
恰
(
あだか
)
も
趣味
(
しゆみ
)
ある
出來事
(
できごと
)
の
樣
(
やう
)
に
思
(
おも
)
はれて、
或
(
あるひ
)
は
演劇
(
えんげき
)
に、
或
(
あるひ
)
は
油繪
(
あぶらゑ
)
に、
樣々
(
さま/″\
)
なる
事
(
こと
)
をして
其
(
その
)
悲壯
(
ひさう
)
なる
光景
(
ありさま
)
を
胸裡
(
むね
)
に
描
(
ゑが
)
かんとして
居
(
を
)
るが
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
にほやかにさくら
描
(
ゑが
)
きておみな
子
(
ご
)
も
金
(
かね
)
もうけむとおもひ立ちたり
桜
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
その種子きのふ
描
(
ゑが
)
きし夢をゆめみ
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
わが道は
明日
(
あす
)
も
弧
(
こ
)
を
描
(
ゑが
)
かん
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
心のうちに
描
(
ゑが
)
きつつ
詩
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
Francesco de Goya と云ふ。ゴヤは画名を西班牙に
馳
(
は
)
するもの、生前
屡
(
しばしば
)
ドンナ・マリア・テレサの像を
描
(
ゑが
)
く。
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
雨
(
あめ
)
はしと/\と
降
(
ふ
)
るのである。
上流
(
じやうりう
)
の
雨
(
あめ
)
は、うつくしき
雫
(
しづく
)
を
描
(
ゑが
)
き、
下流
(
かりう
)
は
繁吹
(
しぶき
)
に
成
(
な
)
つて
散
(
ち
)
る。しと/\と
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その
父
(
ちゝ
)
と子の心と心とが
歔欷
(
きよき
)
の中にぴつたり抱き合ふ
瞬間
(
しゆんかん
)
の
作者
(
さくしや
)
の筆には、恐ろしい程
眞實
(
しんじつ
)
な
愛
(
あい
)
の
發露
(
はつろ
)
を
鋭
(
するど
)
く
描
(
ゑが
)
き出してゐるではありませんか。
三作家に就ての感想
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
極
(
きは
)
めて一直線な
石垣
(
いしがき
)
を見せた台の下に
汚
(
よご
)
れた水色の
布
(
ぬの
)
が敷いてあつて、
後
(
うしろ
)
を
限
(
かぎ
)
る
書割
(
かきわり
)
には
小
(
ちひさ
)
く
大名屋敷
(
だいみやうやしき
)
の
練塀
(
ねりべい
)
を
描
(
ゑが
)
き
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
後
(
うしろ
)
の
田圃
(
たんぼ
)
では、
水
(
みづ
)
こけの
惡
(
わる
)
い
田
(
た
)
には
降
(
ふ
)
つてる
内
(
うち
)
から
雪
(
ゆき
)
は
溶
(
と
)
けつゝあつたので、
畦畔
(
くろ
)
が
殊更
(
ことさら
)
に
白
(
しろ
)
い
線
(
せん
)
を
描
(
ゑが
)
いて
目
(
め
)
に
立
(
たつ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それと
利害
(
りがい
)
を
共
(
とも
)
にすべく
滿洲
(
まんしう
)
から
一所
(
いつしよ
)
に
出
(
で
)
て
來
(
き
)
た
安井
(
やすゐ
)
が、
如何
(
いか
)
なる
程度
(
ていど
)
の
人物
(
じんぶつ
)
になつたかを、
頭
(
あたま
)
の
中
(
なか
)
で
描
(
ゑが
)
いて
見
(
み
)
た。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
潜戸を脱けたお秀の身體は、夜空に
弧
(
こ
)
を
描
(
ゑが
)
いて、大川へ水音高く飛び込んでしまつたのです。
銭形平次捕物控:125 青い帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
モリエエルと第二の夫人アルマンとの恋を具体化し、アルマンの
乱行
(
らんぎやう
)
に対する文豪の煩悶を主として
描
(
ゑが
)
かうとした為、
却
(
かへつ
)
て偉大なモリエエルの
他
(
た
)
の雑多な性格、例へば
其
(
その
)
冷静な哲学者的な方面
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
其
(
その
)
惡事
(
あくじ
)
例
(
たと
)
へば
殺人罪
(
さつじんざい
)
の
如
(
ごと
)
き
惡事
(
あくじ
)
は
意味
(
いみ
)
もなく、
原因
(
げんいん
)
も
無
(
な
)
きものと
云
(
い
)
ふを
得
(
う
)
べきや、
之
(
これ
)
を
心理的
(
しんりてき
)
に
解剖
(
かいぼう
)
して
仔細
(
しさい
)
に
其
(
その
)
罪惡
(
ざいあく
)
の
成立
(
なりたち
)
に
至
(
いたる
)
までの
道程
(
みちのり
)
を
描
(
ゑが
)
きたる
一書
(
いつしよ
)
を
淺薄
(
せんはく
)
なりとして
斥
(
しりぞ
)
くる
事
(
こと
)
を
得
(
う
)
べきや。
「罪と罰」の殺人罪
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
はじめは
好奇
(
かうき
)
の
心
(
こヽろ
)
に
誘
(
さそ
)
はれて、
空
(
むな
)
しき
想像
(
おもひ
)
をいろいろに
描
(
ゑが
)
きしが、
又
(
また
)
折
(
をり
)
もがな
今
(
いま
)
一
(
ひ
)
と
度
(
たび
)
みたしと
願
(
ねが
)
へど、
夫
(
それ
)
よりは
如何
(
いか
)
に
行違
(
ゆきちが
)
ひてか
後
(
うし
)
ろかげだに
見
(
み
)
ることあらねば、
水
(
みづ
)
を
求
(
もと
)
めて
得
(
え
)
ぬ
時
(
とき
)
の
渇
(
かわ
)
きに
同
(
おな
)
じく
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
火もて
描
(
ゑが
)
ける火の少女。
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
一枚の像を
描
(
ゑが
)
きたまへ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
早い話が、
近松門左衛門
(
ちかまつもんざゑもん
)
の「
国姓爺
(
こくせんや
)
」の
中
(
うち
)
に
描
(
ゑが
)
かれてゐる人物や風景を読んで見れば、やはり、日本とも支那ともつかぬ、甚だ奇妙な
代物
(
しろもの
)
である。
日本の女
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
アナスチグマツト——さういふ
寫眞用語
(
しやしんようご
)
がいかに
歴亂
(
れきらん
)
として
私
(
わたし
)
の
腦裡
(
のうり
)
を
動
(
うご
)
き、いかに
胸躍
(
むねをど
)
るやうな
空想
(
くうそう
)
を
描
(
ゑが
)
かせ、いかに儚ない
慰樂
(
いらく
)
を
與
(
あた
)
へたことか?
写真と思ひ出:――私の写真修行――
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
色
(
いろ
)
を
五百機
(
いほはた
)
の
碧緑
(
あをみどり
)
に
織
(
お
)
つて、
濡色
(
ぬれいろ
)
の
艶
(
つや
)
透通
(
すきとほ
)
る
薄日
(
うすひ
)
の
影
(
かげ
)
は——
裡
(
うち
)
に
何
(
なに
)
を
棲
(
す
)
ますべき——
大
(
おほい
)
なる
琅玕
(
らうかん
)
の
柱
(
はしら
)
を
映
(
うつ
)
し、
抱
(
いだ
)
くべく
繞
(
めぐ
)
るべき
翡翠
(
ひすゐ
)
の
帳
(
とばり
)
の
壁
(
かべ
)
を
描
(
ゑが
)
く。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
作者が勧善懲悪の名の
下
(
もと
)
に或は作劇の組織を複雑ならしめんが為めに
描
(
ゑが
)
き出した多種類の悪徳及び殺人の光景が、写実的なると空想的なるとを問はず
虫干
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
水
(
みづ
)
は
僅
(
わづか
)
に
觸
(
ふ
)
れて
居
(
ゐ
)
る
其
(
その
)
枝
(
えだ
)
の
爲
(
ため
)
に
下流
(
かりう
)
へ
放射線状
(
はうしやせんじやう
)
を
描
(
ゑが
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
蘆
(
あし
)
のやうで
然
(
しか
)
も
極
(
きは
)
めて
細
(
ほそ
)
い
可憐
(
かれん
)
なとだしばがびり/\と
撼
(
ゆる
)
がされながら
岸
(
きし
)
の
水
(
みづ
)
に
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
だから日本の文学者が、好んで不安と云ふ
側
(
がは
)
からのみ社会を
描
(
ゑが
)
き出すのを、舶来の
唐物
(
とうぶつ
)
の様に見傚してゐる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
俎
(
まないた
)
の上の赤ん坊は、泣きも叫びもせず、好い心持さうにニコニコしてゐるのが、
四方
(
あたり
)
の陰慘な空氣の中に、不思議な對照を
描
(
ゑが
)
き出して、身の毛のよ立つやうな氣味の惡い
情景
(
シーン
)
です。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
描
(
ゑが
)
かぬ
畫
(
ゑ
)
もおなじ
事
(
こと
)
御覽
(
ごらん
)
じ
知
(
し
)
る
筈
(
はず
)
もあらねば
萬一
(
もし
)
やの
頼
(
たの
)
みも
無
(
な
)
きぞかし
笑
(
わら
)
はるゝか
知
(
し
)
らねども
思
(
おも
)
ひ
初
(
そめ
)
し
最初
(
はじめ
)
より
此願
(
このねが
)
ひ
叶
(
かな
)
はずは一
生
(
しやう
)
一人
(
ひとり
)
で
過
(
す
)
ぐす
心
(
こゝろ
)
憂
(
う
)
きに
送
(
おく
)
る
月日
(
つきひ
)
のほどに
思
(
おも
)
ひこがれて
死
(
し
)
ねばよし
命
(
いのち
)
が
若
(
も
)
しも
無情
(
つれな
)
くて
如何
(
いか
)
に
美
(
う
)
るは
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
謂ゆる「
様
(
やう
)
に由つて
胡蘆
(
ころ
)
を
描
(
ゑが
)
く」
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
朝涼
(
あさすゞ
)
の中に垂れて
描
(
ゑが
)
く
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
評論がポオの再来と云ふのは、
確
(
たしか
)
にこの点でも当つてゐる。その上彼が好んで
描
(
ゑが
)
くのは、やはりポオと同じやうに、
無気味
(
ぶきみ
)
な超自然の世界である。
点心
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
料理屋の夜深けに遠くの座敷で彈く三絃の
音
(
ね
)
は、封建時代の血なまぐさい戀の末路を目に見る如く
描
(
ゑが
)
き出させる。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
裳
(
もすそ
)
を
曳
(
ひ
)
く
濡縁
(
ぬれえん
)
に、
瑠璃
(
るり
)
の
空
(
そら
)
か、
二三輪
(
にさんりん
)
、
朝顏
(
あさがほ
)
の
小
(
ちひさ
)
く
淡
(
あは
)
く、
其
(
そ
)
の
色
(
いろ
)
白
(
しろ
)
き
人
(
ひと
)
の
脇
(
わき
)
明
(
あけ
)
を
覗
(
のぞ
)
きて、
帶
(
おび
)
に
新涼
(
しんりやう
)
の
藍
(
あゐ
)
を
描
(
ゑが
)
く。
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
里見さんのは確か
修善
(
しゆぜん
)
寺あたりの
球突塲
(
たまつきば
)
を
題材
(
だいざい
)
にしたもので、そこに
集
(
あつ
)
まつてくる
温泉客
(
おんせんきやく
)
や町の
常連
(
ぜうれん
)
の球
突振
(
つきふり
)
そのものを
例
(
れい
)
の鮮かな
筆致
(
ひつち
)
で
描
(
ゑが
)
いてあつたかと
思
(
おも
)
ふ。
文壇球突物語
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
はつと驚ろいた三四郎の足は、
早速
(
さそく
)
の歩調に
狂
(
くるひ
)
が出来た。其時透明な空気の
画布
(
カンヷス
)
の
中
(
なか
)
に
暗
(
くら
)
く
描
(
ゑが
)
かれた女の
影
(
かげ
)
は
一歩
(
ひとあし
)
前へ
動
(
うご
)
いた。三四郎も
誘
(
さそ
)
はれた様に前へ動いた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
世にも奇怪な話が、老爺の
朴訥
(
ぼくとつ
)
な調子で斯う
描
(
ゑが
)
き出されて行きます。
銭形平次捕物控:002 振袖源太
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今ごろは
丹塗
(
にぬ
)
りの堂の前にも明るい
銀杏
(
いてふ
)
の
黄葉
(
くわうえう
)
の中に、
不相変
(
あひかはらず
)
鳩
(
はと
)
が何十羽も大まはりに輪を
描
(
ゑが
)
いてゐることであらう。
野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
大川筋
(
おおかはすぢ
)
の料理屋の変遷を知るに足るべき「
開化三十六会席
(
かいくわさんじふろくくわいせき
)
」と題した
芳幾
(
よしいく
)
の綿絵には、当時名を知られた芸者の姿を中心にして河筋の景色が
描
(
ゑが
)
かれてある。
虫干
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
宵々
(
よひ/\
)
の
稻妻
(
いなづま
)
は、
火
(
ひ
)
の
雲
(
くも
)
の
薄
(
うす
)
れ
行
(
ゆ
)
く
餘波
(
なごり
)
にや、
初汐
(
はつしほ
)
の
渡
(
わた
)
るなる、
海
(
うみ
)
の
音
(
おと
)
は、
夏
(
なつ
)
の
車
(
くるま
)
の
歸
(
かへ
)
る
波
(
なみ
)
の、
鼓
(
つゞみ
)
の
冴
(
さえ
)
に
秋
(
あき
)
は
來
(
き
)
て、
松蟲
(
まつむし
)
鈴蟲
(
すゞむし
)
の
容
(
かたち
)
も
影
(
かげ
)
も、
刈萱
(
かるかや
)
に
萩
(
はぎ
)
に
歌
(
うた
)
を
描
(
ゑが
)
く。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
たゞ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
が
膨
(
ふく
)
れた。
天
(
てん
)
が
波
(
なみ
)
を
打
(
う
)
つて
伸
(
の
)
び
且
(
か
)
つ
縮
(
ちゞ
)
んだ。
地球
(
ちきう
)
が
糸
(
いと
)
で
釣
(
つ
)
るした
毬
(
まり
)
の
如
(
ごと
)
くに
大
(
おほ
)
きな
弧線
(
こせん
)
を
描
(
ゑが
)
いて
空間
(
くうかん
)
に
搖
(
うご
)
いた。
凡
(
すべ
)
てが
恐
(
おそ
)
ろしい
魔
(
ま
)
の
支配
(
しはい
)
する
夢
(
ゆめ
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
こゝらにも各人が作の
價値
(
かち
)
を
批判
(
ひはん
)
する心持の
相違
(
さうゐ
)
があると見えますが、「和解」に
描
(
ゑが
)
かれてゐる作のテエマ、即ち父と子の
痛
(
いた
)
ましい心の
爭鬪
(
さうとう
)
に對して
働
(
はたら
)
いてゐる作者の
實感
(
じつかん
)
三作家に就ての感想
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
描
常用漢字
中学
部首:⼿
11画
“描”を含む語句
素描
描写
線描
描出
画描
描金
点描
絵描
指描
絞描
描示
細描
毛描
没骨描法
流描
点描法
点描派
白絵櫛描
描衣
絵描座
...