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奪
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うば
ふりがな文庫
“
奪
(
うば
)” の例文
送
(
おく
)
っていただいた、
美
(
うつく
)
しい
雑誌
(
ざっし
)
を
友
(
とも
)
だちに
見
(
み
)
せると、みんなが、
奪
(
うば
)
い
合
(
あ
)
って、たちまち、
汚
(
きたな
)
くしてしまいました。
残念
(
ざんねん
)
でなりません。
おかめどんぐり
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
何
(
なに
)
、
男
(
をとこ
)
を
殺
(
ころ
)
すなぞは、あなた
方
(
がた
)
の
思
(
おも
)
つてゐるやうに、
大
(
たい
)
した
事
(
こと
)
ではありません。どうせ
女
(
をんな
)
を
奪
(
うば
)
ふとなれば、
必
(
かならず
)
、
男
(
をとこ
)
は
殺
(
ころ
)
されるのです。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その
美
(
うつく
)
しい
空
(
そら
)
に
奪
(
うば
)
はれてゐた
眼
(
め
)
を、ふと一
本
(
ぽん
)
の
小松
(
こまつ
)
の
上
(
うへ
)
に
落
(
お
)
すと、
私
(
わたし
)
は
不思議
(
ふしぎ
)
なものでも
見付
(
みつ
)
けたやうに、
暫
(
しばら
)
くそれに
目
(
め
)
を
凝
(
こ
)
らした。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
おおかた上のプールでは、水泳選手の
河童
(
かっぱ
)
連が、
水沫
(
みずしぶき
)
をたてて、浮いたり
沈
(
しず
)
んだり、ウォタアポロの、球を
奪
(
うば
)
いあっているのでしょう。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
「
欲
(
ほ
)
しいつちんだら
出
(
だ
)
して
遣
(
や
)
れえ」
彼
(
かれ
)
はいつた。おつぎは
戸棚
(
とだな
)
から
煎餅
(
せんべい
)
を一
枚
(
まい
)
出
(
だ
)
して
與吉
(
よきち
)
へ
渡
(
わた
)
した。
與吉
(
よきち
)
はすつと
奪
(
うば
)
ふ
樣
(
やう
)
にして
取
(
と
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
欺
(
だま
)
し討になし其金を
奪
(
うば
)
ひ
取
(
とり
)
夫
(
それ
)
而已成
(
のみなら
)
ず文妹富を
欺
(
あざむ
)
きて遊女に賣渡し同人の身の代金三十兩を
掠
(
かす
)
め
取
(
とり
)
其後十兵衞
後家
(
ごけ
)
安
(
やす
)
を己れが惡事
露顯
(
ろけん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
同
(
おな
)
じ
時
(
とき
)
、
賈雍將軍
(
かようしやうぐん
)
は
蒼梧
(
さうご
)
の
人
(
ひと
)
、
豫章
(
よしやう
)
の
太守
(
たいしゆ
)
として
國
(
くに
)
の
境
(
さかひ
)
を
出
(
い
)
で、
夷賊
(
いぞく
)
の
寇
(
あだ
)
するを
討
(
たう
)
じて
戰
(
たゝかひ
)
に
勝
(
か
)
たず。
遂
(
つひ
)
に
蠻軍
(
ばんぐん
)
のために
殺
(
ころ
)
され
頭
(
かうべ
)
を
奪
(
うば
)
はる。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
折角
築
(
きづ
)
き上げた大身代を、
甥
(
をひ
)
や養女や、赤の他人に、
熊鷹
(
くまたか
)
に
餌
(
ゑさ
)
を
奪
(
うば
)
はれるやうに滅茶々々にされて了ふのが心外でたまらなかつたのです。
銭形平次捕物控:020 朱塗りの筐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
誰が聞いても怪しい
奴
(
やつ
)
ですが、そのとき博士は大いに
要慎
(
ようじん
)
して、自分の持っている鞄を
奪
(
うば
)
われまいとして、一生懸命
抱
(
かか
)
えこんだそうです。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
何を苦しんでか外部の顔のために進取の気象を
奪
(
うば
)
われ、いたずらに
卑屈
(
ひくつ
)
に
引込
(
ひっこみ
)
勝ちになろう、と思えば心も晴々しくなって来る。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
こうして、雪は塾生たちから外出の楽しみを
奪
(
うば
)
ったが、それは必ずしもかれらの気持ちを冷たくしたとばかりは言えなかった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
、何とか、
奪
(
うば
)
い
回
(
かえ
)
さんものとあがいているのらしいが、そうはさせぬ。……が、法師よ、いまから吉田山へ帰るなどは物騒だぞ、よせ、よせ
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし命は、それらの賊たちよりも、もっともっとにくいのはおあにいさまの
命
(
みこと
)
のお命を
奪
(
うば
)
った、あの
鳥見
(
とみ
)
の
長髄彦
(
ながすねひこ
)
でした。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
独木舟を操るに
巧
(
たく
)
みでない遊牧民は、湖上の村の
殲滅
(
せんめつ
)
を断念し、湖畔に残された
家畜
(
かちく
)
を
奪
(
うば
)
っただけで、また、疾風のように北方に帰って行った。
狐憑
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
江戸
(
えど
)
の
民衆
(
みんしゅう
)
は、
去年
(
きょねん
)
の
吉原
(
よしわら
)
の
大火
(
たいか
)
よりも、
更
(
さら
)
に
大
(
おお
)
きな
失望
(
しつぼう
)
の
淵
(
ふち
)
に
沈
(
しず
)
んだが、
中
(
なか
)
にも
手中
(
しゅちゅう
)
の
珠
(
たま
)
を
奪
(
うば
)
われたような、
悲
(
かな
)
しみのどん
底
(
ぞこ
)
に
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
んだのは
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
法律
(
ほうりつ
)
に
照
(
てら
)
しても
明白
(
あきらか
)
だ、
何人
(
なにびと
)
と
雖
(
いえども
)
、
裁判
(
さいばん
)
もなくして
無暗
(
むやみ
)
に
人
(
ひと
)
の
自由
(
じゆう
)
を
奪
(
うば
)
うことが
出来
(
でき
)
るものか!
不埒
(
ふらち
)
だ!
圧制
(
あっせい
)
だ!
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
希望どおり彼女が男に生まれていたとしても、今ごろは兵隊墓にいるかもしれないこの若いいのちを、
遠慮
(
えんりょ
)
もなく
奪
(
うば
)
ったのはだれだ。また涙である。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
俊寛 (ほとんど無感覚になりたるごとくうつろなる目つきにて)無だ! すべてが、すべてが亡びていたのか、わしの
氏
(
うじ
)
を根こそぎ
奪
(
うば
)
ってゆくのか。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
落草
(
ぬすびと
)
ども道を
塞
(
ささ
)
へて、
行李
(
にもつ
)
も残りなく
奪
(
うば
)
はれしがうへに、人のかたるを聞けば、是より東の方は所々に
新関
(
しんせき
)
を
居
(
す
)
ゑて、
旅客
(
たびびと
)
の
往来
(
いきき
)
をだに
宥
(
ゆる
)
さざるよし。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
と
女性
(
じよせい
)
の
無邪氣
(
むじやき
)
なる
輕薄
(
けいはく
)
を
笑
(
わら
)
ひ、
更
(
さら
)
に
一旦
(
いつたん
)
與
(
あた
)
へたる
財貨
(
ざいか
)
を
少娘
(
こむすめ
)
の
筐中
(
きようちう
)
より
奪
(
うば
)
ひて
酒亭一塲
(
しゆていいちじやう
)
の
醉夢
(
すいむ
)
に
附
(
ふ
)
するの
條
(
じよう
)
を
説
(
と
)
かしめ
遂
(
つい
)
に
再
(
ふたゝ
)
び
免職
(
めんしよく
)
になりし
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ひ
罪と罰(内田不知庵訳)
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
その思いがけない美しさでひととき私の心を
奪
(
うば
)
っていたアカシアの花が、一週間近い雨のためにすっかり散って
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
昨夜
(
さくや
)
彼が
𤢖
(
わろ
)
と共に山を降って、七兵衛と闘い、安行を
奪
(
うば
)
ったのは、市郎に対する恋の
恨
(
うらみ
)
と母の恨とであった。が、そんなことは
既
(
も
)
う忘れて
了
(
しま
)
ったらしい。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
第二に食事は一つの享楽である菜食によってその多分は
奪
(
うば
)
われるとこれはやはり肉食者よりのお考であります。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
一目
(
ひとめ
)
見
(
み
)
て、たゞ
珍
(
めづ
)
らしいと
感
(
かん
)
じた。けれども
彼
(
かれ
)
の
頭
(
あたま
)
は
寧
(
むし
)
ろ
他
(
ほか
)
の
方面
(
はうめん
)
に
氣
(
き
)
を
奪
(
うば
)
はれてゐた。すると
主人
(
しゆじん
)
が
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
王はおん
自
(
みずか
)
ら
太刀
(
たち
)
を
振
(
ふる
)
って防がれたけれども、ついに
賊
(
ぞく
)
のために
斃
(
たお
)
れ給い、賊は王の
御首
(
みしるし
)
と神璽とを
奪
(
うば
)
って
逃
(
に
)
げる
途中
(
とちゅう
)
、雪に
阻
(
はば
)
まれて
伯母
(
おば
)
ヶ
峰
(
みね
)
峠
(
とうげ
)
に行き暮れ
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
狐と大力とは別に関係はないわけだが、狐の
兇悪
(
きょうあく
)
な性質を受けたと見え、現在の
闇市
(
やみいち
)
の親分のように、商人をいじめては、いろいろな品物を
奪
(
うば
)
いとっていた。
大力物語
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
全校
(
ぜんかう
)
第
(
たい
)
一
腕白
(
わんぱく
)
でも
數學
(
すうがく
)
でも。しかるに
天性
(
てんせい
)
好
(
す
)
きな
畫
(
ゑ
)
では
全校
(
ぜんかう
)
第
(
だい
)
一の
名譽
(
めいよ
)
を
志村
(
しむら
)
といふ
少年
(
せうねん
)
に
奪
(
うば
)
はれて
居
(
ゐ
)
た。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
然
(
しか
)
るに、あの
川
(
かは
)
は
決
(
けつ
)
して
淺
(
あさ
)
くはなかつた。
流
(
なが
)
れも
思
(
おも
)
ひの
外
(
ほか
)
早
(
はや
)
かつた。
次第
(
しだい
)
に
依
(
よ
)
つては
命
(
いのち
)
を
奪
(
うば
)
はれんとも
限
(
かぎ
)
らなかつた。その
危急
(
ききふ
)
の
際
(
さい
)
中根
(
なかね
)
はどう
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
をしたか。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
それからこちらの
住人
(
じゅうにん
)
として
何
(
なに
)
より
慎
(
つつし
)
まねばならぬは、
怨
(
うら
)
み、そねみ、
又
(
また
)
もろもろの
欲望
(
よくぼう
)
……そう
言
(
い
)
ったものに
心
(
こころ
)
を
奪
(
うば
)
われるが
最後
(
さいご
)
、つまりは
幽界
(
ゆうかい
)
の
亡者
(
もうじゃ
)
として
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
人これを知るゆゑ、かれに
盗
(
ぬすまれ
)
じとて人智を以てかまへおけども、すこしの
間
(
ま
)
に
奪
(
うば
)
ひ喰ふ、
其妖術
(
そのえうじゆつ
)
奇々怪々
(
き/\くわい/\
)
いふべからず、時としてかれが
来
(
くる
)
とこざるは
鼠
(
ねずみ
)
のごとし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
剣を
抛
(
なげう
)
つ可く彼に勧告し、彼を乃木将軍から
奪
(
うば
)
う可く多少の努力をして、彼が悶死の一因を作ったのと
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
文麻呂 (次第に
懺悔
(
ざんげ
)
するもののごとく)なよたけ、……許しておくれ。僕は自分の心を
偽
(
いつわ
)
っていたんだ。不純な虚栄に心を
奪
(
うば
)
われていたんだ。僕の心は
濁
(
にご
)
っていた。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
署長がピストルで
応戦
(
おうせん
)
した。起きあがったが、けり倒されてピストルを
奪
(
うば
)
われ、手をあげて家のほうへ歩きだしたが、ピストルを取り返そうとして射ち倒されてしまった。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
水
(
みづ
)
に
影
(
うつ
)
る
月
(
つき
)
を
奪
(
うば
)
はんとする
山猿
(
やまざる
)
よ、
無芸
(
むげい
)
無能
(
むのう
)
食
(
しよく
)
もたれ
総身
(
そうみ
)
に
智恵
(
ちゑ
)
の
廻
(
まは
)
りかぬる
男
(
をとこ
)
よ、
木
(
き
)
に
縁
(
よつ
)
て
魚
(
うを
)
を
求
(
もと
)
め
草
(
くさ
)
を
打
(
うつ
)
て
蛇
(
へび
)
に
驚
(
をどろ
)
く
狼狽
(
うろたへ
)
者
(
もの
)
よ、
白粉
(
おしろい
)
に
咽
(
む
)
せて
成仏
(
じやうぶつ
)
せん
事
(
こと
)
を
願
(
ねが
)
ふ
艶治郎
(
ゑんぢらう
)
よ
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
そしてよさそうな
刀
(
かたな
)
をさした人が
来
(
く
)
ると、だしぬけにとび
出
(
だ
)
して行って
奪
(
うば
)
いとります。
逃
(
に
)
げようとしたり、すなおに
渡
(
わた
)
さなかったりするものは、なぎなたでなぎ
倒
(
たお
)
しました。
牛若と弁慶
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
カピ長
女
(
むすめ
)
を
奪
(
うば
)
うて
泣
(
な
)
かせをる
死神
(
しにがみ
)
めに、
此
(
この
)
舌
(
した
)
を
縛
(
しば
)
られて、
物
(
もの
)
を
言
(
い
)
ふことが
能
(
かな
)
はぬわい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
第二十四条 日本臣民ハ法津ニ定メタル裁判官ノ裁判ヲ受クルノ権ヲ
奪
(
うば
)
ハルヽコトナシ
大日本帝国憲法
(旧字旧仮名)
/
日本国
(著)
さて
一同
(
いちどう
)
で
裏庭
(
にわ
)
に
着
(
つ
)
いてみますと、そこでは
今
(
いま
)
、
大騒
(
おおさわ
)
ぎの
真
(
ま
)
っ
最中
(
さいちゅう
)
です。
二
(
ふた
)
つの
家族
(
かぞく
)
で、
一
(
ひと
)
つの
鰻
(
うなぎ
)
の
頭
(
あたま
)
を
奪
(
うば
)
いあっているのです。そして
結局
(
けっきょく
)
、それは
猫
(
ねこ
)
にさらわれてしまいました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
これほど
邪慳
(
じやけん
)
の
人
(
ひと
)
ではなかりしをと
女房
(
にようぼう
)
あきれて、
女
(
をんな
)
に
魂
(
たましひ
)
を
奪
(
うば
)
はるれば
是
(
こ
)
れほどまでも
淺
(
あさ
)
ましくなる
物
(
もの
)
か、
女房
(
にようぼう
)
が
歎
(
なげ
)
きは
更
(
さら
)
なり、
遂
(
つ
)
ひには
可愛
(
かわゆ
)
き
子
(
こ
)
をも
餓
(
う
)
へ
死
(
じに
)
させるかも
知
(
し
)
れぬ
人
(
ひと
)
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
我
(
われ
)
こそは
音
(
おと
)
に
名高
(
なだか
)
き
印度洋
(
インドやう
)
の
大海賊船
(
だいかいぞくせん
)
なり、
汝
(
なんぢ
)
の
新造軍艦
(
しんざうぐんかん
)
を
奪
(
うば
)
はんとて
此處
(
こゝ
)
に
待
(
ま
)
つこと
久矣
(
ひさし
)
、
速
(
すみやか
)
に
白旗
(
はくき
)
を
立
(
た
)
てゝ
其
(
その
)
軍艦
(
ぐんかん
)
を
引渡
(
ひきわた
)
さば
可
(
よし
)
、
若
(
も
)
し
躊躇
(
ちうちよ
)
するに
於
(
おい
)
ては、
我
(
われ
)
に七
隻
(
せき
)
の
堅艦
(
けんかん
)
あり
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
或
(
あるひ
)
は
七十五尺
(
しちじゆうごしやく
)
といふような
高
(
たか
)
さの
洪水
(
こうずい
)
となり、
合計
(
ごうけい
)
二萬七千人
(
にまんしちせんにん
)
の
人命
(
じんめい
)
を
奪
(
うば
)
つたのに、
港灣
(
こうわん
)
の
兩翼端
(
りようよくたん
)
では
僅
(
わづか
)
に
數尺
(
すうしやく
)
にすぎない
程
(
ほど
)
のものであつたし、
其夜
(
そのよ
)
沖合
(
おきあひ
)
に
漁獵
(
ぎよりよう
)
に
行
(
い
)
つてゐた
村人
(
むらびと
)
は
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
わたしは、自分が
彼女
(
かのじょ
)
を敵の手中から救い出す
有様
(
ありさま
)
や、血まみれになった自分が彼女を
牢屋
(
ろうや
)
から
奪
(
うば
)
い出す光景や、そしてとうとう彼女の足もとで死ぬ場面を、次々に心に
描
(
えが
)
き出した。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
学校
(
がっこう
)
にあがってからでも
学校
(
がっこう
)
がひけたあとでは、たいていそこにあつまるのだ。
夕方
(
ゆうがた
)
、
庵主
(
あんじゅ
)
さんが、もう
鐘
(
かね
)
をついてもいいとおっしゃるのをまっていて、
僕
(
ぼく
)
らは
撞木
(
しゅもく
)
を
奪
(
うば
)
いあってついたのだ。
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
盗賊
(
とうぞく
)
どもは人形を
奪
(
うば
)
うと、そのままどこかへ行ってしまいました。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
秋
(
あき
)
。
奉天
(
ほうてん
)
の
街上
(
かいじやう
)
で
銃架
(
じうか
)
はひとりの
同志
(
どうし
)
を
奪
(
うば
)
ひ
去
(
さ
)
つた
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
「諸君、
奪
(
うば
)
ってご欠席ください」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
奪
(
うば
)
はれたる言葉のかはりに
詩
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
霜は
猿
(
ましら
)
の
食
(
かて
)
を
奪
(
うば
)
ひ
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
卯平
(
うへい
)
は
窪
(
くぼ
)
んだ
目
(
め
)
を
蹙
(
しか
)
めるやうにした。
勘次
(
かんじ
)
は
放心
(
うつかり
)
した
自分
(
じぶん
)
の
懷
(
ふところ
)
の
物
(
もの
)
を
奪
(
うば
)
はれた
程
(
ほど
)
の
驚愕
(
きやうがく
)
と
不快
(
ふくわい
)
との
目
(
め
)
を
以
(
もつ
)
て
卯平
(
うへい
)
とおつたとを
見
(
み
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
これは、
夏
(
なつ
)
の
晩方
(
ばんがた
)
、
海面
(
かいめん
)
へ、たれさがる
雲
(
くも
)
のように、みずみずとして、
美
(
うつく
)
しかったので、こんどは、
目
(
め
)
がその
方
(
ほう
)
へ
奪
(
うば
)
われてしまいました。
太陽と星の下
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
奪
常用漢字
中学
部首:⼤
14画
“奪”を含む語句
奪取
掠奪
強奪
引奪
横奪
褫奪
奪回
奪還
剥奪
奪衣婆
奪掠
奪去
与奪
劫奪
簒奪
争奪
生殺与奪
簒奪者
物奪
纂奪
...