最後さいご)” の例文
そして、おくにのため、なかのためにはたらく、りっぱな人間にんげんとなってください。これが、わたしからみなさんにもうしあげる最後さいご言葉ことばです。
中学へ上がった日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そらこが狼火のろし……そして最後さいご武運ぶうんいよいよきてのあの落城らくじょう……四百年後ねんご今日こんにちおもしてみるだけでも滅入めいるようにかんじます。
牛はとうとうわたしたちが通って来た最後さいごの村までかけもどった。道はまっすぐであったから、遠方でもその姿すがたを見ることができた。
最早もはや最後さいごかとおもときに、鎭守ちんじゆやしろまへにあることに心着こゝろづいたのであります。同時どうじみねとがつたやうな眞白まつしろすぎ大木たいぼくました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
猛狒ゴリラるいこのあな周圍しうゐきばならし、つめみがいてるのだから、一寸ちよつとでも鐵檻車てつおりくるまそとたら最後さいごたゞちに無殘むざんげてしまうのだ。
最後さいごったのはたしか四五月頃しごがつごろでしたか、新橋演舞場しんばしえんぶじょう廊下ろうかたれうしろからぼくぶのでふりかえっててもしばらたれだかわからなかった。
夏目先生と滝田さん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
最後さいごまるあないた反射鏡はんしやきやうして、宗助そうすけ蝋燭らふそくけてれとつた。宗助そうすけ蝋燭らふそくたないので、きよ洋燈らんぷけさした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其れから先生逝去せいきょ後の御家の挙動ふるまいは如何です? 私はしば/\叫びました、先生も先生だ、何故なぜ先生は彼様な烈しい最後さいごの手段を取らずに
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
最後さいご吉彦よしひこさんがじぶんで、おおきくおおきく撞木しゅもくって、がオオんん、とついた。わんわんわん、となが余韻よいんがつづいた。すると吉彦よしひこさんが
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
カビ博士が救援に駆けつけてくれなかったら、僕はついにダリア嬢たちの手であえない最後さいごを遂げてしまったことであろう。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
私は、鈴木君からニュース映画のはなしをきいて、おそらく自分のかおが写真にうつるのもこれが最後さいごであろうと思った。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
このこと最後さいごこうおい再説さいせつすることだからこゝには説明せつめいりやくするが、とにかく餘震よしんおそれるにりない。たゞおそるべきは最初さいしよ大地震だいぢしん主要動しゆようどうである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
ベンヺ マーキューシオーどの、もうかへらう。あつくはある、カピューレット奴等やつら出歩であるいてもゐる、出會でっくはしたが最後さいご鬪爭けんくわをせねばなるまい。
その季節きせつ彼等かれら最後さいご運命うんめいであるまきすみられるやうに一ばん適當てきたうした組織そしき變化へんくわすることを餘儀よぎなくされるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「それはこうだ。そのにわとりというやつはトッテクーと鳴くのだ。取って食うと鳴いたら最後さいご、どんなものでも取って食ってしまうのだ。おそろしい奴だ。」
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
老人らうじん若者わかもの自殺じさつ覺悟かくご最初さいしよからつてたのですけれども最後さいごまで直接ちよくせつにさうとは一言いちごんひませんでした。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
それから、かや、まき、とべらなど常緑樹じようりよくじゆ發芽はつが最後さいご五月ごがつ上旬頃じようじゆんごろには、すべての樹木じゆもくはるつけををはつて、ついでなつ生活せいかつそなへをします。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
『えゝ、つててよ!』とあいちやんがさけびました、この最後さいご言葉ことばには頓着とんちやくせずに。『それは植物しよくぶつだわ。ちつとも人間にんげんのやうな恰好かつかうをしちやなくつてよ』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
最後さいご我國わがくに世界戰爭後せかいせんさうご經濟界けいざいかい状況じやうきやうるに政府せいふ財政計畫ざいせいけいくわく巨額きよがく借入金かりいれきんをして出來できる、國民こくみん状態じやうたい戰時中せんじちう收入しうにふおほかつたことにれて
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
二人は、つかまえたが最後さいご、どんなことがあってもはなすものかと、むしゃぶりついてあばれまわっている。
それにもあきたらず、最後さいごに、喉笛のどぶえでもしめつけられたか、かれのからだをかかえていた蚕婆かいこばばあが手をはなすと、グッタリと地上にたおれてうッせになった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
最後さいご此新横穴このしんよこあなからの發見物はつけんぶつつひて、もつと注意ちういすべきてん附記ふきしてく。それは、供物ぐぶつらしき魚骨ぎよこつ發見はつけんと、俵形土器ひやうけいどきなかから、植物しよくぶつらしきものた二である。
そこにあるのは舊石器時代きゆうせつきじだい最後さいごころであるオリニヤックのもので、そのぎにるのが、舊石器時代きゆうせつきじだいから新石器時代しんせつきじだいうつつて中間ちゆうかんのアジールのものです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
かういふ場合ばあひにはかならず、もの内外ないがいにあるものを、れるにしたがつてして、それが最後さいごに、ひとつのよろこびの氣持きもちにまとまる、といふふうなつくかたになつてゐました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
すると一ばん最後さいごにペンペといふなにらないわかからすてきて『そいつはおもしろいな、ヱヴェレストのてつぺんまでは大飛行だいひかうだ。ぼく大賛成だいさんせいだ。ラランよ。ぼくでも大丈夫だいじやうぶか。』
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
しかも、その暗記あんき仕方しかたといふのが、日光につくわうなかで、つぎくもつぎ夕方ゆふがたつぎ電燈でんとう結局けつきよく最後さいご蝋燭らふそくひかりなかでといふふう明暗めいあん順序じゆんじよつてらしながら研究けんきう暗記あんき
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
あたしの留守るすにも、ここへあしれたが最後さいご、おっかさんのはつぶれましょうと、きつくいわれたそれからこっち、なになにやらわからないままに、おせんのたのみをかたまもって、おきし
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
れよりは「精々せい/″\うまいもの適度てきどへ」とふのがもつと簡單かんたん要領えうれう標語へうごである。建築けんちくこと住家ぢうかでも、まさにこのとほりで、「精々せい/″\善美ぜんびなる建築けんちくつくれ」とふのが最後さいご結論けつろんである。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
味方みかたのこらずたれて最後さいご一人ひとりになるまでもけっしてあとへは退きません。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
來島クルシマ某、津田ツダ某、とうのいかにあはれむべき最後さいごしたるやをるものは、罪と罰の殺人さつじん原因げんいん淺薄せんはくなりとわらひてしりぞくるやうのことなかるべし、利慾よりならず、名譽よりならず、迷信よりならず
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
最後さいごにアイヌの爲に北海道の地よりさらに北方に追ひ遣られたるならんと考へらるアイヌとはコロボックルとかつて平和の交際かうえきをも爲したりしと云ふに如何いかにして、不和ふわを生じて相別かるるに至りしか。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
やはらげられ能々よく/\うけたまはれ只今たゞいまも申通り其方共の大罪はれて有共白状せぬ中は御仕置おしおき申付ざる事法令なりよつ只今たゞいまより拷問がうもん申付る夫よりいさぎよく白状して最後さいごきよくせよかりにも帶刀たいたうせし者は夫丈に名を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ああ、おじやうさんをみる、それが、しか最後さいごにならうとは!
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
これが、江戸えどの江戸らしいものとわかれる最後さいご
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
(毒あるが故に、これを最後さいごにしたり。)
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
きみたちのくちびる最後さいごまで反戦はんせんさけつゞけた
と、最後さいごに聞かれたとき
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
けれど、わたし仕事しごとはけっして、最後さいごに、あのてつなかたからのように、かたちもなく、むだとなってしまうことは、ないであろうとしんじます。
汽船の中の父と子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしたちがいよいよ芝居小屋にはいったとき、広告屋こうこくやはたいこをたたいて、最後さいごにもう一度村の往来おうらいを一めぐりめぐり歩いていた。
無論むろんうしてひもつながれているのは、まだ絶息ぜっそくらないときで、最後さいごひもれたときが、それがいよいよそのひとんだときでございます。
弦月丸げんげつまる運命うんめい最早もはやぷん、二ふん甲板かんぱんにはのこ一艘いつそう端艇たんていい、くなりては今更いまさらなにをかおもはん、せめては殊勝けなげなる最後さいごこそ吾等われらのぞみである。
其外にやすりと小刀ないふ襟飾えりかざりが一つ落ちてゐる。最後さいごむかふすみを見ると、三尺位の花崗石みかげいしの台の上に、福神漬ふくじんづけくわん程な込み入つた器械が乗せてある。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
だが、ごんごろがね最後さいごに三つずつらさせてもらうこの「配給はいきゅう」は、お菓子かし配給はいきゅう以上いじょうにみんなに満足まんぞくをあたえた。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
竺阿彌ちくあみ、めそ/\ときながら、おほせなれば是非ぜひもなし。最後さいご一言いちごんれよ、とふ。國沴こくてんなにをかふ、はむとほつするところまをせ、とあるとき
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
正午の頃までは、裏の櫟林くぬぎばやしえたりして居た。何時の間に甲州街道に遊びに往って無惨むざん最後さいごげたのか。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
滝田くん最後さいごったのは今年の初夏しょか丁度ちょうどドラマ・リイグの見物日けんぶつび新橋しんばし演舞場えんぶじょうへ行った時である。小康しょうこうた滝田くんは三人のおじょうさんたちと見物けんぶつに来ていた。
滝田哲太郎君 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
彼等かれらはそれをいとんでるけれども、はたつてはなした最後さいごいとはしなはのやうにつたつなである。ばあさんまるつくつて銘々めい/\まへへ二せんづつのぜにいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
なほ人智じんちがいよ/\發達はつたつ人口じんこうがどん/\すにつれて、最後さいごには奧山おくやままでもつて家屋かおく橋梁きようりよう器具きぐ機械きかい汽車きしや電車でんしや鐵道てつどう枕木まくらぎ電信でんしん電話でんわはしらといふように
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
切れたが最後さいご、いのちがない。なにしろ氷上までは少なくとも七八百メートルはあるだろう。
大空魔艦 (新字新仮名) / 海野十三(著)
わしはまたべつはう梯子はしごってねばならぬ、その梯子はしごでおまへ戀人こひびとが、今宵こよひくらうなるが最後さいごとりのぼらッしゃるのぢゃ。わしたゞもう齷齬あくせくとおまへよろこばさうとおもうて。