小兒こども)” の例文
新字:小児
すぐまへの、はちものの草花屋くさばなや綿屋わたやつゞいて下駄屋げたやまへから、小兒こども四五人しごにんばら/\とつて取卷とりまいたときそでおとすやうに涼傘ひがさをはづして
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
二重ふたへほそ咽喉のどいてゐるえなを、あのほそところとほときはづそくなつたので、小兒こどもはぐつと氣管きくわんめられて窒息ちつそくして仕舞しまつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
私のことを考へると氣持が惡くなると云つた、私があさましい程ひどくお前に當ると云ひ張つたときのお前のあの小兒こどもらしくない眼付と聲を。
病人びやうにんはK夫人ふじんかほしたで、小兒こどものやうにあごうなづいてせた。うへはう一束ひとたばにしたかみが、彼女かのぢよを一そう少女せうぢよらしく痛々いた/\しくせた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
一人の老人が孫らしい小兒こどもの手を引き、ユウゴオの遺骨を收めた石の柩をゆびさしつゝ何か物語つて居たのを見て如何に切ない羨望の情に迫られたであらう。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
『イヤそう眞面目まじめはれてはこまる。ぼく小兒こどもとき回想くわいさうして當時たうじ學校がくかうなつかしくおもふだけの意味いみつたのです』とハーバードはつみのない微笑びせううかべて言譯いひわけした。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
禿山はげやまで、いただきには樹木も無い。草花が所々懸崕けんがいの端に咲いてゐる。私の傍には二人の小兒こどもが居た。
(旧字旧仮名) / 吉江喬松吉江孤雁(著)
殊に長い年代に亙つてゐるのであるから筆跡も同一ではない。折釘のやうな男文字のなかに絲屑のやうな女文字もまじつてゐる。殆ど假名ばかりで小兒こどもが書いたやうな所もある。
半七捕物帳:01 お文の魂 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
女學生や小學生も修學旅行で昵懇になつてゐる場所のことを、今更らしく艮齋張ごんさいばりの文なぞにするのも餘り小兒こども臭いから、夏向はすべて抛下著はうげぢやくにかぎると、あつさり瀧の水に流してしまつて
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
『ハハハ。まるで小兒こどもみたいだ。』と信吾は無造作に笑ふ。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
小兒こどもごころのあやしさは
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
などと、猫撫聲ねこなでごゑで、仰向あふむけにした小兒こども括頤くゝりあごへ、いぶりをくれて搖上ゆりあげながら、湯船ゆぶねまへへ、トこしいたていに、べつたりとしやがんだものなり。
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
けれども肝心かんじん小兒こどもは、たゞ子宮しきゆうのがれてひろところたといふまでで、浮世うきよ空氣くうき一口ひとくち呼吸こきふしなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「私は小兒こどものおしやべりは好かないから、」と彼はつゞけた。「だつて、私のやうな年とつた獨り者にはあれ達の片言かたことから來る愉快な聯想なんてあるもんですか。 ...
ぶと、驛員えきゐんけてた。まだよひながらくつおとたかひゞく。……改札口かいさつぐち人珍ひとめづらしげに此方こなたかした山家やまが小兒こども乾栗ほしぐりのやうなかほさびしさ。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
氏神うぢがみ祭禮さいれいは、四五月頃しごぐわつごろと、九十月頃くじふぐわつごろと、春秋しゆんじう二度にどづゝあり、小兒こども大喜おほよろこびなり。あきまつりはうにぎはし。祇園囃子ぎをんばやし獅子ししなどづるはみなあきまつりなり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
前刻さつきから、通口かよひぐちかほして、髯旦ひげだんのうめかたが、まツとほり、小兒こども一寸いつすんみづ一升いつしようわりのぞいて、一驚いつきやうきつした三助さんすけ
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さびしいわびしいうたこゑ——ゆきも、小兒こども爺婆ぢいばあけました。——かぜ次第しだいに、ぐわう/\とながらやまゆすりました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
……馴染なじみなるすゞめばかりでけた。金魚きんぎよつた小兒こどものやうに、しかゝつて、しやがんでると、げたぞ! 畜生ちくしやうたゞ一匹いつぴきも、かげかたちもなかつた。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちひさなのは、河骨かうほね點々ぽつ/\黄色きいろいたはななかを、小兒こどもいたづらねこせてたらひいでる。おほきなのはみぎはあしんだふねが、さをさしてなみけるのがある。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……うして小兒こどもで、とうたがふばかり、おほきな澤庵石たくあんいし手桶てをけうへに、づしんとつて、あだぐろく、ひとつくびれて、ばうといて、可厭いやなもののかたちえた。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
をんなうで大勢おほぜい小兒こどもをつれてゐるんだから——いづれひとさ、だれかがり、かたをひいてくれたんだらうが、わたし神佛しんぶつのおかげだとおもつて難有ありがたがつてゐるんだよ。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
からう、からう、そりやざぶりとぢや。」とをけさかしまにして、小兒こどもかたから背中せなかひつかぶせ
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
誰方どなたたちでも、小兒こどもこれきだとふのはあまりなからう。十四五ぐらゐの少年せうねんで、ぼくどうふがいよ、なぞは——説明せつめいおよばず——おやたちの注意ちういえうする。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぶつ/\とふやつを、わん裝出よそひだして、猪口ちよくのしたぢでる。何十年來なんじふねんらいれたもので、つゆ加減かげん至極しごくだが、しかし、その小兒こどもたちは、みならんかほをしておとゝる。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「……ほたるだ、それ露蟲つゆむしつかまへるわと、よく小兒こどもうちはしわたつたつけ。ゑんじゆ可恐こはかつた……」
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小兒こどもたちが、またわるあたゝかいので寢苦ねぐるしいか、へん二人ふたりともそびれて、踏脱ふみぬぐ、す、せかける、すかす。で、女房にようばう一夜いちやまんじりともせず、からすこゑいたさうである。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
……かつつくだから、「かにや、大蟹おほがにやあ」でる、こゑわかいが、もういゝ加減かげんぢいさんのふのに、小兒こども時分じぶんにやあ兩國下りやうごくしたいわしがとれたとはなした、わたし地震ぢしん當日たうじつ、ふるへながら
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
が、あれはゆきれいがあつて、小兒こども可愛いとしがつて、れてかへつたのであらうもれない。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
すでひざつて、かじいて小兒こどもは、それなり、薄青うすあをえりけて、眞白まつしろむねなかへ、ほゝくち揉込もみこむと、恍惚うつとりつて、一度いちど、ひよいと母親はゝおやはらうち安置あんちされをはんぬで
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小兒こども足駄あしだおもしたころは、じつ穿はきものなんぞ、とう以前いぜんになかつたのです。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それいたちみちときしてすゝめばわざはひあり、やまくしちたるときこれけざればそこなふ。兩頭りやうとうへびたるものはし、みち小兒こどもいた亭主ていしゆれば、ことぶきながからずとしてあるなり
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
小兒こどもたちと一所いつしよに、あら/\と、またひまに、電柱でんちうくうつたつて、斜上なゝめあがりのたか屋根やねへ、きら/\きら/\とあをひかつてかゞやきつゝ、それよりひかりまぶしくえて、たちまたゞ一天いつてん
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
のくらゐなことが……なんの……小兒こどものうち歌留多かるたりにつたとおもへば——」
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
はじめなららず……うこれ今頃いまごろ小兒こどもでも玩弄おもちやにして澤山たくさんつた時分ころだ。
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
九時頃くじごろだが、商店しやうてんまち左右さいうきやくつのに、人通ひとどほりは見掛みかけない。しづかほそまちを、四五間しごけんほどまへつて、小兒こどもかとおもちひさな按摩あんまどのが一人ひとりふえきながら後形うしろむきくのである。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
牛込築土前うしごめつくどまへの、大勝棟梁だいかつとうりやうのうちへ出入でいりをする、一寸ちよつと使つかへる、岩次いはじつて、女房持にようばうもち小兒こども二人ふたりあるのがた。む、ふ、つ、道樂だうらくすこしもないが、たゞ性來しやうらい釣好つりずきであつた。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
まくしほつたのに、……あゝ、ながわづらひゆゑみせさびれた、……小兒こどもときからわたし贔屓ひいき、あちらでも御贔屓ごひいき御神輿おみこし見棄みすててくか、とかたおとして、ほろりとしつゝ見送みおくると
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
汽車きしや龜戸かめゐどぎて——あゝ、このあひだのどてつゞきだ、すぐに新小岩しんこいはちかづくと、まどしたに、小兒こども溝板どぶいたけだす路傍みちばたのあしのなかに、る、る。ぎやうぎやうし、ぎやうぎやうし。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
媽々かゝあ小兒こどもあごらねばなりませぬで、うへとも出來できかねまする。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
……なか/\にかせどころではないから、いきつぎにおもてて、近所きんじよかたに、たゞいまれい立話たちばなしでしてると、ひとどよみをどつとつくつて、ばら/\往來わうらいがなだれをつ。小兒こどもはさけぶ。いぬはほえる。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
時々とき/″\こずゑから、(赤茶釜あかちやがま)とふのがる。はない、赤剥あかはげの、のつぺらぽう、三じやくばかりのながかほで、あへくちふもえぬくせに、何處どこかでゲラ/\と嘲笑あざわらふ……正體しやうたい小兒こどもほどあるおほきなふくろふ
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かぜあればかぜつて、小兒こどもまじりの聲々こゑ/″\
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)