都合つがふ)” の例文
られる都合つがふならばまたいままでのやうにお世話せわりにまする、るべくは鳥渡ちよつとたちかへりにぐも出京しゆつけうしたきものとかるくいへば
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
所が小説中夢を道具に使ふ場合は、その道具の目的を果す必要上、よくよく都合つがふい夢でも見ねば、実際見た夢を書くわけかぬ。
雑筆 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
來年らいねんになれば、やすさんのはううか都合つがふしてあげるつて受合うけあつてくだすつたんぢやなくつて」といた。小六ころく其時そのとき不慥ふたしか表情へうじやうをして
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ベンヺ そのカピューレットの例會れいくわいに、足下きみしたふローザラインが、このヹローナで評判ひゃうばんのあらゆる美人達びじんたち同席どうせきするは都合つがふぢゃ。
勿論もちろん飛騨越ひだごゑめいつたには、七に一けんに五けんといふ相場さうば其処そこあはめしにありつけば都合つがふじやうはうといふことになつてります。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其故それゆゑわたくしじゆくではこの規則きそく精神せいしん規則きそく根本こんぽんかへつて、各個人かくこじん都合つがふといふところを十ぶん了解れうかいせしむるといふ方針はうしんとつるのであります。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
其方ども支配とは申ながら松本理左衞門申おもむきに相任あひまか賄賂わいろの金銀受納じゆなふ致せし而已のみならず不都合つがふの吟味に及び候條不屆至極に付主家しうか門前拂申付る
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
これはるから、打石斧だせきふおほあつめられたのである。玉川沿岸たまがはえんがんには打石斧だせきふおほい。其處そこ何處どこくのにもたくちか都合つがふい。
少し理由わけがあつて旅をするとふと、弟子でしなにかが一しよきたがるが、弟子でしでは少し都合つがふの悪いことがある。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
社會しやくわい犯罪人はんざいにんや、精神病者せいしんびやうしやや、すべ自分等じぶんら都合つがふわる人間にんげんたいして、自衞じゑいすのには、如何どうしたつてこと出來できません。で、貴方あなたすべきところは一つです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
つゞいて一點いつてんまた一點いつてん都合つがふ七隻しちせき奇怪きくわいなるふね前檣ぜんしやうたか球燈きゆうとうかゝげて、長蛇ちやうだれつをなしてあらはれてた。
雑誌もすで売品ばいひんつた以上いじやうは、売捌うりさばき都合つがふなにやで店らしい者が無ければならぬ、そこ酷算段ひどさんだんをして一軒いつけんりて、二階にかい編輯室へんしうしつ、下を応接所おうせつしよけん売捌場うりさばきぢやうてゝ
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この目的もくてきのためには、賢實けんじつなる石造せきざうまたは甎造せんざう恒久的宮殿こうきうてききうでん造營ざうえいすること都合つがふわるいのである。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
いよ/\といふた。荷物にもつといふ荷物にもつは、すつかりおくられた。まづをとこ一足ひとあしきに出發しゆつぱつして先方せんぱう都合つがふとゝのへ、それから電報でんぱうつて彼女かのぢよ子供こどもぶといふ手筈てはずであつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
... だれいてるものがなかつたので一そう復習ふくしふをするに都合つがふでした)『——さア、大分だいぶ人里ひとざととほはなれた——緯度ゐど經度けいどへんまでてるでせう?』(あいちやんは緯度ゐどなにか、經度けいどなにか、 ...
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
さいはひ御米およね産氣さんけづいたのは、宗助そうすけそとようのない夜中よなかだつたので、そばにゐて世話せわ出來できるとてんからればはなは都合つがふかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
げんさんがきいたらうだらう氣違きちがひになるかもれないとて冷評ひやかすもあり、あゝ馬車ばしやにのつてとき都合つがふるいから道普請みちぶしんからしてもらいたいね
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
時間じかん都合つがふで、今日けふはこちらへは御不沙汰ごぶさたらしい。が、このかはむかうへわたつて、おほき材木堀ざいもくぼりひとせば、淨心寺じやうしんじ——靈巖寺れいがんじ巨刹きよさつ名山めいざんがある。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
やぶ少時しばらくあひだたけばかりです。が、半町はんちやうほどつたところに、ややひらいたすぎむらがある、——わたしの仕事しごと仕遂しとぐるのには、これほど都合つがふ場所ばしよはありません。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
つかはせなどとははゞかりながらあまりなる御差※おさしづなり我々隱居いんきよいたすよりは又七を離縁りえんいたすはうかへつて家の都合つがふなりと申ければ長兵衞是を聞夫は何分聞こえぬろんなり下女に
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
或人あるひとは、日本人にほんじんみづか姓名せいめい轉倒てんたふしてこと國際的こくさいてき有意義ゆういぎであり、歐米人おうべいじんのために便宜べんぎおほきのみならず、吾人ごじん日本人にほんじんつても都合つがふがよいといふが、自分じぶんはさうおもはぬ。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
と、まこと都合つがふ哲學てつがくです。さうして自分じぶん哲人ワイゼかんじてゐる……いや貴方あなたこれはです、哲學てつがくでもなければ、思想しさうでもなし、見解けんかいあへひろいのでもい、怠惰たいだです。自滅じめつです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
たい多數たすうひとあつまつて一組織そしきすれば自然しぜんいきほひとして多數人たすうじん便宜べんぎといふこと心掛こゝろがけねばなりません、多數たすう都合つがふよろしいとやうにといふのが畢竟ひつきやう規則きそく精神目的せいしんもくてきでありませう。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
銘々めい/\勝手かつてわかつた々々と自分じぶん議論ぎろん都合つがふはうにのみくばつて、がう學術的研究がくじゆつてきけんきうおこなはれず、一ぱうあとから彌生式やよひしき混入こんにふしたとひ、一ぱうは、いなしからずとひ。水掛論みづかけろんをはつてしまつた。
『あれではみんながまつた都合つがふよくあそべるはづがないわ』とあいちやんは不平ふへいがましく、『自分じぶんふことさへ自分じぶんきこえないほどおそろしくあらそつてるんですもの——とくにこれと規則きそくもないらしいのね、 ...
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
なににいさんだつて、もうすこ都合つがふければ、うにもうにかたんですけれども、御存ごぞんじのとほりだから實際じつさいむをなかつたんですわ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これぢやうにも仕樣しやうがねえ。とても出來できねえものなら仕方しかたはねえが、ちつと、これんばかしでも都合つがふをしねえ、急場きふばだから、おれ生死いきしにさかひふのだ。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
文藏の代になりてはべつして毎年いつ都合つがふよく年々實入みいりふゑるに往々ゆく/\しうと甚太夫も此方こなたへ引取べしとしうとめも申により喜び居たりけりさてまた雲切仁左衞門は彼三十七兩の金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
が、熱帯の女人によにんの十三にして懐妊くわいにんすることを考へれば、温帯の男子なんしの三十にして頭の禿げるのは当り前である。のみならず「早熟にして晩老」などと云ふ、都合つがふいことは滅多めつたにはない。
僕の友だち二三人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ずつとお月樣つきさまのさすはうへ、さ、蒲團ふとんれ、蒲團ふとんへ、うもたゝみきたないので大屋おほやつてはいたが職人しよくにん都合つがふがあるとふてな、遠慮ゑんりよなにらない着物きものがたまらぬかられをひて
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何分なにぶんをとこづくであつてれば、差當さしあた懷中ふところ都合つがふわるいから、ばしてくれろともへなからうではないか。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ときなるかな松澤まつざははさるとし商法上しやうはふじやう都合つがふ新田につたより一時いちじれし二千許にせんばかりかねことしはすで期限きげんながら一兩年いちりやうねんひきつゞきての不景氣ふけいき流石さすが老舖しにせ手元てもとゆたかならずこと織元おりもとそのほかにも仕拂しはらふべきかねいとおほければ新田につた親族しんぞく間柄あひだがらなりかつ是迄これまでかたよりたてかへしぶんすくなからねばよもや事情じじやううちあけて延期えんき
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うかとつて、べつ都合つがふはつかないんだから、とほ支度したくだけいそいでして、おまへあてにからつぽの財布さいふた。うにか、おまへ是非ぜひ算段さんだんをしてくんねえ。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
のちにもふが——いつもはくだん得意とくいくるまで、上街道かみかいだう越前ゑちぜん敦賀つるがたのに——爾時そのときは、旅費りよひ都合つがふで。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
竹屋たけやふぢ時節じせつにあらず、金格子きんがうし東海樓とうかいろうとほつたみち青樓おちややさの、ところ今日けふ腹工合はらぐあひと、懷中くわいちう都合つがふつて、天利てんりといふので午餉ひるにしよう、しろうめとやれ
城の石垣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
二階にかいあがらせては面倒めんだう、とふのが、うして人參にんじんところられると、都合つがふわるいので、金子かねわたさぬわけにかぬぢや。……は、は、大目おほめやれさ。」と仰向あふむけに椅子いする。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ふねればるのですがな、都合つがふわるければ休屋やすみやまで歩行あるきますかな。つきがありますで、あるひ陸路りくろくちかへるですわい。」はせて六里余りよ、あの磽确げうかくたる樵路きこりぢを、つれもなく、とおもふと
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たま/\の旅行りよかうだし、靜岡しづをかまで行程ゆきして、都合つがふで、あれから久能くのう𢌞まはつて、龍華寺りうげじ——一方ひとかたならず、わたしのつたないさくおもつてくれた齋藤信策さいとうしんさくひと)さんのはかがある——其處そこ參詣さんけいして
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
二十錢にじつせんのをひとツ、十五錢じふごせんのと、十錢じつせんのと都合つがふ三包みつゝみだよ。」
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その予定よていのかへられない都合つがふがあつた。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)