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落
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おと
ふりがな文庫
“
落
(
おと
)” の例文
ある日などはチュンセがくるみの木にのぼって青い
実
(
み
)
を
落
(
おと
)
していましたら、ポーセが小さな
卵形
(
たまごがた
)
のあたまをぬれたハンケチで
包
(
つつ
)
んで
手紙 四
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
鳥部野
(
とりべの
)
一片の
烟
(
けむり
)
となって
御法
(
みのり
)
の風に舞い扇、極楽に歌舞の
女菩薩
(
にょぼさつ
)
一員
(
いちにん
)
増したる事疑いなしと様子知りたる
和尚様
(
おしょうさま
)
随喜の涙を
落
(
おと
)
されし。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
奧
(
おく
)
さんの
声
(
こゑ
)
にはもう
何
(
なん
)
となく
張
(
は
)
りがなかつた。そして、そのままひざに
視線
(
しせん
)
を
落
(
おと
)
すと、
思
(
おも
)
ひ出したやうにまた
針
(
はり
)
の
手
(
て
)
を
動
(
うご
)
かし
始
(
はじ
)
めた。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
畦間
(
うねま
)
を
作
(
つく
)
りあげてそれから
自分
(
じぶん
)
も
忙
(
いそが
)
しく
大豆
(
だいづ
)
を
落
(
おと
)
し
初
(
はじ
)
めた。
勘次
(
かんじ
)
は
間懶
(
まだる
)
つこいおつぎの
手
(
て
)
もとを
見
(
み
)
て
其
(
そ
)
の
畝
(
うね
)
をひよつと
覗
(
のぞ
)
いた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
九州
(
きうしう
)
の
猿
(
さる
)
が
狙
(
ねら
)
ふやうな
褄
(
つま
)
の
媚
(
なまめ
)
かしい
姿
(
すがた
)
をしても、
下枝
(
したえだ
)
までも
屆
(
とゞ
)
くまい。
小鳥
(
ことり
)
の
啄
(
ついば
)
んで
落
(
おと
)
したのを
通
(
とほ
)
りがかりに
拾
(
ひろ
)
つて
來
(
き
)
たものであらう。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
そう
言
(
い
)
って、
扉口
(
とぐち
)
を
出
(
で
)
る
拍子
(
ひょうし
)
に、ドシーン! と
鳥
(
とり
)
が
石臼
(
いしうす
)
を
頭
(
あたま
)
の
上
(
うえ
)
へ
落
(
おと
)
したので、おかあさんはぺしゃんこに
潰
(
つぶ
)
れてしまいました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
落
(
おと
)
して川へ
投入
(
なげい
)
れたるに相違これなく候
御定法通
(
ごぢやうほふどほ
)
り
御所刑
(
おしおき
)
仰せ付られ下され度と申立てければ伊藤は聞て然らば傳吉の口書を以て
爪印
(
つめいん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
私
(
わたし
)
は
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
つて、
折
(
をり
)
から
運
(
はこ
)
ばれて
來
(
き
)
た
金盥
(
かなだらひ
)
のあたゝな
湯氣
(
ゆげ
)
の
中
(
なか
)
に、
草
(
くさ
)
の
葉
(
は
)
から
搖
(
ゆる
)
ぎ
落
(
お
)
ちたやうな
涙
(
なみだ
)
を
靜
(
しづ
)
かに
落
(
おと
)
したのであつた。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
『
誰人
(
だれ
)
も
迎
(
むか
)
えに
来
(
き
)
てくれるものはないのかしら……。』
私
(
わたくし
)
はまるで
真暗闇
(
まっくらやみ
)
の
底無
(
そこな
)
しの
井戸
(
いど
)
の
内部
(
なか
)
へでも
突
(
つ
)
き
落
(
おと
)
されたように
感
(
かん
)
ずるのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
それも
始
(
はじめ
)
から
宿
(
やど
)
る
種
(
たね
)
がなかつたのなら、まだしもだが、
育
(
そだ
)
つべきものを
中途
(
ちゆうと
)
で
取
(
と
)
り
落
(
おと
)
したのだから、
更
(
さら
)
に
不幸
(
ふかう
)
の
感
(
かん
)
が
深
(
ふか
)
かつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そののち、
夕立
(
ゆうだち
)
が二どあって、そのぼろが、ちぢんでしまったところへ、カラスがやってきて、とうとうそれをつつき
落
(
おと
)
してしまいました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
その
畜生
(
ちくしやう
)
に
落
(
おと
)
されるとは、
何
(
なに
)
かの
因縁
(
いんえん
)
に
違
(
ちが
)
ひございません。それは
石橋
(
いしばし
)
の
少
(
すこ
)
し
先
(
さき
)
に、
長
(
なが
)
い
端綱
(
はづな
)
を
引
(
ひ
)
いた
儘
(
まま
)
、
路
(
みち
)
ばたの
青芒
(
あをすすき
)
を
食
(
く
)
つて
居
(
を
)
りました。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
同樣
(
どうよう
)
に
葉
(
は
)
を
落
(
おと
)
し
代
(
か
)
へる
木
(
き
)
に『
落葉針葉樹
(
らくようしんようじゆ
)
』(からまつ、いてふ
等
(
など
)
)と『
落葉闊葉樹
(
らくようかつようじゆ
)
』(さくら、もみぢ
等
(
など
)
)の
別
(
べつ
)
があります。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
四月十日ごろには、寛斎は朝早くしたくをはじめ、旅の
落
(
おと
)
し
差
(
ざし
)
に身を堅めて、七か月のわびしい
旅籠屋住居
(
はたごやずまい
)
に別れて行こうとする人であった。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「妻はのうてもわしとて男でござりますわい。若い時に
粗相
(
そそう
)
をしてな。
落
(
おと
)
し
胤
(
だね
)
じゃ、落し胤じゃ。——伜よ。参ろうぞい」
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
市内で相応に名を売つてゐる或る
鶏肉
(
かしは
)
屋の
主人
(
あるじ
)
「
鶏肉
(
かしは
)
の味は
鶏
(
とり
)
を
落
(
おと
)
す
瞬間
(
ほんのま
)
にあります。」と言つて
厳
(
しかつ
)
べらしく語り出す。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それには
遠方
(
えんぽう
)
より
土
(
つち
)
を
次第
(
しだい
)
につんで
傾斜
(
けいしや
)
した
坂道
(
さかみち
)
を
築
(
きづ
)
き
上
(
あ
)
げ、それへ
石
(
いし
)
を
押
(
お
)
し
上
(
あ
)
げてこれを
縱
(
たて
)
に
落
(
おと
)
し
立
(
た
)
て、それからその
上
(
うへ
)
に
横石
(
よこいし
)
を
載
(
の
)
せたもので
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
歩く
癖
(
くせ
)
がありました、私は眞夜中に納戸にゐる叔父さんを見たり、
落
(
おと
)
しに首を突つ込む叔父さんを見たこともあります
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
すると
兎
(
うさぎ
)
は
何
(
なん
)
と
思
(
おも
)
つたか
大急
(
おほいそ
)
ぎで、
白
(
しろ
)
い
山羊仔皮
(
キツド
)
の
手套
(
てぶくろ
)
も
落
(
おと
)
せば
扇子
(
せんす
)
も
打捨
(
うツちや
)
つて、一
目散
(
もくさん
)
に
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
へ
駈
(
か
)
け
込
(
こ
)
みました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
後に茨田は瀬田の妻子を
落
(
おと
)
して
遣
(
や
)
つた上で自首し、父柏岡と高橋とも自首し、西村は江戸で
願人坊主
(
ぐわんにんばうず
)
になつて、
時疫
(
じえき
)
で死に、植松は京都で捕はれた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
落葉木
(
らくようぼく
)
は若葉から漸次青葉になり、
杉
(
すぎ
)
松
(
まつ
)
樫
(
かし
)
などの常緑木が古葉を
落
(
おと
)
し落して最後の
衣更
(
ころもがえ
)
をする。田は
紫雲英
(
れんげそう
)
の花ざかり。林には金蘭銀蘭の花が咲く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
と、書き
落
(
おと
)
したが、その漆の花が目に
入
(
い
)
るまでに、
石床
(
いしどこ
)
の大きなでこでこの岩、お
富
(
とみ
)
与曾松
(
よそまつ
)
の岩というのがあった。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
「初めは、おらも、ばくち場でみた気味のわるい浪人の子かと思っていたら、甲州でちょっとべい世話になった、身分のあるお武家の
落
(
おと
)
し
胤
(
だね
)
だそうだ」
野槌の百
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私の母の目を
落
(
おと
)
す時は、私は家内と二人で母を
看
(
み
)
ていたが、母の寝ている部屋の屋根の
棟
(
むね
)
で、タッタ
一声
(
ひとこえ
)
烏がカアと鳴いた。それが夜中の三時であった。
白い光と上野の鐘
(新字新仮名)
/
沼田一雅
(著)
一人
(
ひとり
)
は
張飛
(
ちやうひ
)
の
痩
(
やせ
)
て
弱
(
よわ
)
くなつたやうな
中老
(
ちゆうらう
)
の
人物
(
じんぶつ
)
。
一人
(
ひとり
)
は
關羽
(
くわんう
)
が
鬚髯
(
ひげ
)
を
剃
(
そ
)
り
落
(
おと
)
して
退隱
(
たいゝん
)
したやうな
中老
(
ちゆうらう
)
以上
(
いじやう
)
の
人物
(
じんぶつ
)
。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
ドクトルがまるで
乞食
(
こじき
)
にも
等
(
ひと
)
しき
境遇
(
きょうぐう
)
と、
思
(
おも
)
わず
涙
(
なみだ
)
を
落
(
おと
)
して、ドクトルを
抱
(
いだ
)
き
締
(
し
)
め、
声
(
こえ
)
を
上
(
あ
)
げて
泣
(
な
)
くのであった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
山石の
角
(
かど
)
が
出張
(
でっぱ
)
っておりますから、頭を
打破
(
うちやぶ
)
って、落ちまするととても助かり様はございませんが、新吉は側にある石をごろ/\
谷間
(
たにあい
)
へ転がし
落
(
おと
)
しました
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
まづ始には
女目付
(
をんなめつけ
)
のバルバラが
呟
(
つぶや
)
くやう、あのピエロオの拔作め、氣の
利
(
き
)
かないのも程がある、カサンドル樣の
假髮
(
かづら
)
の箱を
落
(
おと
)
して、
白粉
(
おしろい
)
を
皆
(
みんな
)
播
(
ま
)
いて了つたぞ。
胡弓
(旧字旧仮名)
/
ルイ・ベルトラン
(著)
そうして手に
水蜜桃
(
すいみつとう
)
を持って、じっとその上に目を
落
(
おと
)
しているところであった。この女は西洋絵で見たことのある裸体の女がぬけ出して来たのかと思われた。
別府温泉
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
一秒間
(
いちびようかん
)
に
二三回
(
にさんかい
)
も
繰返
(
くりかへ
)
されるほどの
急激
(
きゆうげき
)
なものであつたならば、
木造家屋
(
もくぞうかおく
)
や
土藏
(
どぞう
)
の
土壁
(
つちかべ
)
を
落
(
おと
)
し、
器物
(
きぶつ
)
を
棚
(
たな
)
の
上
(
うへ
)
から
轉落
(
てんらく
)
せしめる
位
(
くらゐ
)
のことはあり
得
(
う
)
べきである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
柔
(
やはら
)
かき
人
(
ひと
)
ほど
氣
(
き
)
はつよく
學士
(
がくし
)
人々
(
ひと/″\
)
の
涙
(
なみだ
)
の
雨
(
あめ
)
に
路
(
みち
)
どめもされず、
今宵
(
こよひ
)
は
切
(
せ
)
めてと
取
(
と
)
らへる
袂
(
たもと
)
を
優
(
やさ
)
しく
振切
(
ふりき
)
つて
我家
(
わがや
)
へ
歸
(
かへ
)
れば、お
民
(
たみ
)
手
(
て
)
の
物
(
もの
)
を
取
(
と
)
られしほど
力
(
ちから
)
を
落
(
おと
)
して
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
とお嬢様は
口早
(
くちばや
)
に云つた。山崎は目で
点頭
(
うなづ
)
いて駆けて行つた。平井は其跡を追つて行かうとした拍子に、手に
持
(
もつ
)
たお
納戸
(
なんど
)
のとクリイム色のと二本の傘を下に
落
(
おと
)
した。
御門主
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「おお、わが
子
(
こ
)
よ」と
仰
(
おほ
)
せられて、
人間
(
にんげん
)
どもの
知
(
し
)
らない
聖
(
きよ
)
い
尊
(
たつと
)
いなみだをほろりと
落
(
おと
)
されました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
川をわたってから
約
(
やく
)
二マイルのところが
例
(
れい
)
の
難所
(
なんしょ
)
なのだ。
機関士
(
きかんし
)
も、
十分
(
じゅうぶん
)
に
速度
(
そくど
)
を
落
(
おと
)
しはするが、
後部
(
こうぶ
)
のブレーキは、どうしてもまかなければならないことになっている。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
その太夫さんは、やんごとなきお方の
落
(
おと
)
し
胤
(
だね
)
、何の
仔細
(
しさい
)
があってか、わたしはよく存じませねど、お身なりを
平素
(
ふだん
)
よりはいっそう
華美
(
はで
)
やかにお作りなされ、香を
焚
(
た
)
いて歌を
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
冗談
(
じょうだん
)
いわっし。
当節
(
とうせつ
)
銭
(
ぜに
)
を
落
(
おと
)
す
奴
(
やつ
)
なんざ、
江戸中
(
えどじゅう
)
尋
(
たず
)
ねたってあるもんじゃねえ。
稼
(
かせ
)
えだんだ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
土饅頭
(
どまんじゅう
)
ぐらいな、なだらかな
丘
(
おか
)
が
起伏
(
きふく
)
して、その
先
(
さき
)
は広い
平
(
たい
)
らな野となり、
緑
(
みどり
)
の
毛氈
(
もうせん
)
をひろげたような中に、森や林が
黒
(
くろ
)
い
点
(
てん
)
を
落
(
おと
)
していて、日の光りに
輝
(
かがや
)
いてる
一筋
(
ひとすじ
)
の大河が
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
これは
水揚
(
みづあがり
)
せざる
所
(
ところ
)
の
者
(
もの
)
どもこゝに
馳
(
はせ
)
あつまりて、川
筋
(
すぢ
)
を
開
(
ひら
)
き水を
落
(
おと
)
さんとする也。
闇夜
(
あんや
)
にてすがたは見えねど、
女
(
をんな
)
童
(
わらべ
)
の
泣叫
(
なきさけ
)
ぶ
声
(
こゑ
)
或
(
あるひ
)
は
遠
(
とほ
)
く或は
近
(
ちか
)
く、
聞
(
きく
)
もあはれのありさま也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
落
(
おと
)
し
忌
(
いみ
)
の
饗宴
(
きょうえん
)
のこと、その際の音楽者、舞い人の選定などは源氏の引き受けていることで、付帯して行なわれる仏事の日の経巻や仏像の製作、法事の僧たちへ出す
布施
(
ふせ
)
の衣服類
源氏物語:21 乙女
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
長羅は宿禰を
睥
(
にら
)
んで肉迫した。
忽
(
たちま
)
ち広間の中の人々は、宿禰と長羅の二派に分れて争った。見る間に手と足と、
角髪
(
みずら
)
を解いた数個の首とが
斬
(
き
)
り
落
(
おと
)
された。燈油の皿は投げられた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「ヘエ……じゃけんど、ヒョットしたら
落
(
おと
)
いて行ったもんじゃ御座いませんでしょか」
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
鍵は内側からのみ閉められる簡単な
落
(
おと
)
し
金
(
がね
)
式の物で、そのカキガネは長さ約一尺、巾一寸五分、厚さ五分位の相当重い堅木で作られていてこれにも、アラベスクの象眼がされていた。
雪
(新字新仮名)
/
楠田匡介
(著)
扨
(
さ
)
て
其
(
そ
)
の
土偶
(
どぐう
)
※
何
(
なに
)
しろ
泥土
(
でいど
)
を
落
(
おと
)
して
見
(
み
)
るべしと、
車夫
(
しやふ
)
をして、それを
洗
(
あら
)
ひに
遣
(
や
)
つて
見
(
み
)
ると、
豈
(
あ
)
に
圖
(
はか
)
らんや、それは
獸骨
(
じうこつ
)
の一
部
(
ぶ
)
、
大腿骨
(
だいたいこつ
)
の
關節部
(
くわんせつぶ
)
が
黒焦
(
くろこげ
)
に
燒
(
や
)
けて
居
(
ゐ
)
るのであつたので
探検実記 地中の秘密:20 大森貝塚の発掘
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
もしこの
二人
(
ふたり
)
が
死
(
し
)
んでしまつても、おぢさんはまだ/\
氣
(
き
)
を
落
(
おと
)
しはしまい。それは
元氣
(
げんき
)
な
君
(
きみ
)
たちが
大勢
(
たいぜい
)
ゐてくれるからだ。それほどおぢさんは
君
(
きみ
)
たちを、
自分
(
じぶん
)
の
子
(
こ
)
のやうに
思
(
おも
)
つてゐる。
赤い旗
(旧字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
さなきだに競争の結果はすべての器を粗製と俗悪とに
落
(
おと
)
し
入
(
い
)
れました。民藝はかくしてその美しい歴史を閉じたのです。作る時代、用いる時代は過ぎて、今は省る時代へと移りました。
民芸とは何か
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「
落
(
おと
)
し
噺
(
ばなし
)
かい。馬鹿にしている」私が少々怒って見せると、本田は真顔になって
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
すでに
水平線上
(
すゐへいせんじやう
)
に
高
(
たか
)
く
昇
(
のぼ
)
つた
太陽
(
たいよう
)
は
燦爛
(
さんらん
)
たる
光
(
ひかり
)
を
水
(
みづ
)
に
落
(
おと
)
して
金波
(
きんぱ
)
洋々
(
やう/\
)
たる
海
(
うみ
)
の
面
(
おも
)
には
白帆
(
はくはん
)
の
影
(
かげ
)
一
點
(
てん
)
二
點
(
てん
)
、
其
(
その
)
間
(
あひだ
)
を
海鴎
(
かいおう
)
の
長閑
(
のどか
)
に
群
(
むらが
)
り
飛
(
と
)
んで
居
(
を
)
る
有樣
(
ありさま
)
などは
自然
(
しぜん
)
に
氣
(
き
)
も
心
(
こゝろ
)
も
爽
(
さはや
)
かになる
程
(
ほど
)
で
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
早朝
(
さうてう
)
出立、又昨日の如く水中を
溯
(
さかのぼ
)
る、進むこと一里余にして一小
板屋
(
いたや
)
荊棘中
(
けいきよくちう
)
に
立
(
た
)
つあり、古くして半ば破壊に
傾
(
かたむ
)
けり、衆皆不思議に
堪
(
た
)
へす、余
忽
(
たちま
)
ち刀を
抜
(
ぬ
)
きて席にて
作
(
つく
)
れる
扉
(
とびら
)
を
切
(
き
)
り
落
(
おと
)
し
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
見物人が笑つた。舞台の人物は
落
(
おと
)
したものを
捜
(
さが
)
す
体
(
てい
)
で
何
(
なに
)
かを取り上げると、
突然
(
とつぜん
)
前
(
まへ
)
とは
全
(
まつた
)
く違つた態度になつて、
極
(
きは
)
めて
明瞭
(
めいれう
)
に
浄瑠璃外題梅柳中宵月
(
じやうるりげだいうめやなぎなかもよひづき
)
、
勤
(
つと
)
めまする役人………と読みはじめる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
なんのことはない
膃肭獣
(
おっとせい
)
のような真似をすること三分、ブルブルと飛び上って
強
(
こわ
)
い
髭
(
ひげ
)
をすっかり
剃
(
そ
)
り
落
(
おと
)
すのに四分、一分で口と顔とを洗い、あとの二分で身体を
拭
(
ぬぐ
)
い失礼ならざる程度の洋服を着て
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
落
常用漢字
小3
部首:⾋
12画
“落”を含む語句
落着
落籍
洒落
墜落
落葉松
陥落
部落
落胆
落魄
落付
落下傘
落花
落下
零落
落人
落葉
破落戸
聚落
落日
洒落気
...