用意ようい)” の例文
のべ用意ようい雨具あまぐ甲掛かふかけ脚絆きやはん旅拵たびごしらへもそこ/\に暇乞いとまごひしてかどへ立出菅笠すげがささへも阿彌陀あみだかぶるはあとよりおはるゝ無常むじやう吹降ふきぶり桐油とうゆすそへ提灯の
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「だが、わたしたちは、冬になってもいいように、用意よういをしておかなくちゃならないよ。さもないと、ひもじいめにあうからね。」
にんは、つねに、こうしたときの用意よういにしまっておいたかつおぶしや、こんぶなどをとりして、わずかにえをしのいだのでした。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
(あたゝかなるやうに土中にうづめ又はわらにつゝみ桶に入れてこほらざらしむ)其外雪の用意ようい種々しゆ/″\造作ざうさをなす事ふでつくしがたし。
九、 大地震だいぢしん場合ばあひには水道すいどう斷水だんすいするものと覺悟かくごし、機敏きびん貯水ちよすい用意よういをなすこと。またみづもちひざる消防法しようぼうほうをも應用おうようすべきこと。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
きよんで、ぜんせとめいずると、きよこまつた顏付かほつきをして、まだなん用意ようい出來できてゐないとこたへた。成程なるほど晩食ばんめしにはすこがあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
もしこの評眼ひようがんをもちて財主の妹を財主と共に虐殺したる一節をまば、作者さくしや用意よういの如何に非凡ひぼんなるかをるにまどはぬなるべし。
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
ところで、随筆ずゐひついたはうは、初手しよてから筆者ひつしや用意よういふかい。これはまへにも一寸ちよつとつた。——奥州おうしう会津あひづ諏訪越中すはゑつちう大力だいりきひとあり。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
勘定かんじょうをいただくにしろ、朝の食事しょくじ用意よういしますにしろ、そのまえにぜひともはっきりうかがっておきたいことがございます。
というと、木隠龍太郎こがくれりゅうたろうは、手ばやく、用意ようい松明たいまつ焚火たきびっこんでえうつし、それをふりかざしてまっさきに走りだした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日本にほん金解禁きんかいきん如何いかなる用意よういもつてするかはなり注目ちうもくされてために、金解禁きんかいきんくに内外ないぐわいおい大問題だいもんだいであつたのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
いまからこく用意よういもしなくてはらぬとおもふと自分じぶん身上しんしやうから一ぺうこめげんじては到底たうていけぬことをふか思案しあんしてかれねむらないこともあつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
非常信号機ひじょうしんごうき? ——そういうものがあればいいのだが、なにしろ、むかしの開通かいつうしてまもなくの鉄道てつどうなのだから、そういう用意よういがまるでないのだ。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
お政はきゅうにやとい女をんで灯明とうみょうめいじ、自分はちゃ用意よういにかかった。しとしとと雨はる、雨落あまおちの音が、ぽちゃりぽちゃりとちはじめた。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
あんなあさい処までしか馬を入れさせずそれに舟を二せき用意よういしたのを見てどこか大へん力強い感じもしました。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
さっそく、はねペンと墨汁ぼくじゅうかみ用意よういして、二百ページあまりの築城書ちくじょうしょを、かたっぱしからうつしはじめました。
この東京行とうきやうゆきは、とうさんがうまれてはじめてのたびでした。とうさんが荷物にもつ用意よういといへば、ちひさな翫具おもちやかばんでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
てきめてたというのに、よけいなことをする手間てまで、なぜはやてきふせ用意よういをしないのです。蔵人くらんどでもなんでもかまいません。わたしはあくまで鎮西八郎ちんぜいはちろうです。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
たといこの事が行われざるも造船所計画けいかく進行しんこう故障こしょうを及ぼさしむべからずとの用意よういに外ならず。
るゝ幾分時いくぶんじおもさだめてツトたちよりつ用意ようい短刀たんたうとりなほせばうしろやぶなにやら物音ものおとひともやつるとみゝ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
三ヶげつばかりぎると、彼女かのぢよ國許くにもとかへつて開業かいげふするといふので、あたらしいわかをつとともに、この土地とちるべくさま/″\な用意よういりかゝつた。彼女かのぢよつてゐるものをみなさゝげた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
えんから上手かみてへ一だんりて戸袋とぶくろかげにはすでたらい用意よういされて、かまわかした行水ぎょうずいが、かるいうずいているのであろうが、上半身じょうはんしんあらわにしたまま、じっとむしきいっているおせんは
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
一一六あながちほとけをたふとむ人の、歌のこころ細妙くはしからぬは、これほどのあやまりは幾らをもしいづるなり。足下そこは歌よむ人にもおはせで、此の歌のこころあやしみ給ふは一一七用意よういある事こそと、あつでにける。
用意ようい出來できたか、みなたか
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
用意よういあらむや
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
かんがぶかい、また臆病おくびょうひとたちは、たとえその準備じゅんび幾年いくねんついやされても十ぶん用意よういをしてから、とお幸福こうふくしまわたることを相談そうだんしました。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちょうづめは森をさして、でかけていきました。いっぽう、小鳥ことりは火をおこして、ハツカネズミはふかいおなべの用意よういをしました。
「いいか、朝食ちょうしょくを二人まえ用意よういして、ここまでもってきなさい。そしてわしがぶまで、二かいへかってにくることはならんよ。わかったな」
仏のまへに新薦あらこもをしきて幽霊いうれいらする所とし、入り口の戸をもすこしあけおき、とぎたてたる剃刀かみそり二てうを用意よういし今や/\と幽霊いうれい待居まちゐたり。
以て取續とりつゞきの出來できるやう頼み申度尤も丸々まる/\貴樣の厄介やくかいかけるといふわけには非ず是はいさゝかなれども何ぞ商賣でも初めさせて下されよと後藤は用意よういの金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
みづなしの消防しようぼうもつと不利益ふりえきであるから、水道すいどうみづまらないうち機敏きびん貯水ちよすい用意よういをすることが賢明けんめい仕方しかたである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
と、熊蔵が、用意ようい松明たいまつを持たせて中にすすむと、清水にぬれて海獣かいじゅうはだのようにヌルヌルした岩壁がんぺきを、無数むすう沢蟹さわがにが走りまわったのに、ハッとした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宗助そうすけ一人ひとり着物きもの着換きかえたが、てた洋服やうふくも、人手ひとでりずに自分じぶんたゝんで、押入おしいれ仕舞しまつた。それから火鉢ひばちいで、かす用意よういをした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はだしろこと、あの合歡花ねむのはなをぼかしたいろなのは、かねときのために用意よういされたのかとおもふほどでした。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「ぼくはね、すいとうのほかにはっかすい用意よういしたよ。すこしやろうか。たびてあんまり心持こころもちのわるいときはちょっとむといいっておっかさんがいったぜ。」
いちょうの実 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
すべての草木さうもくさらあわてた。地味ぢみ常磐木ときはぎのぞいたほかみなつぎはる用意ようい出來できるまではすご姿すがたつてまでも凝然ぢつとしがみついてる。ふゆしもはせてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ですから、せっかく用意よういしてきたかなあんどんや、ちょうちんなどは、はずかしくてだせません。また、たくさんの白米はくまいも、すっかりじゃまものになってしまいました。
戦争中国内の有様ありさまさっすれば所在しょざい不平士族ふへいしぞくは日夜、けんして官軍のいきおい、利ならずと見るときは蹶起けっきただちに政府にこうせんとし、すでにその用意ようい着手ちゃくしゅしたるものもあり。
おおよろこびで、さっそく為朝ためとも味方みかたくわえて、みんなすぐと出陣しゅつじん用意よういにとりかかりました。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
またぱう我國わがくに經濟けいざい立直たてなほしが出來でき堅實けんじつなる基礎きそうへつのであるからこれよりきた生産費せいさんひ低減ていげんによりてうしなところつぐなけの用意ようい覺悟かくごをなすべきことゝかんがへるのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
かりしはそののさまなり、くるま用意よういなにくれと調とゝのへさせてのち、いふべきことあり此方こなたへと良人をつとのいふに、いまさらおそろしうて書齋しよさいにいたれば、今宵こよひより其方そなた谷中やなかうつるべきぞ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あかしのつくころに糟谷かすやは帰ってきた。西田は帰ってしまうにしのびないで、まって話しすることにする。夜になって礼子や下女の笑い声ももれた。細君もおきて酒肴しゅこう用意ようい手伝てつだった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そのほかに、ろうそくを不時ふじ用意よういとして、いつも持ってはいたが。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
その田舎いなかのお正月しょうがつは、なんでも東京とうきょうよりは一月ひとつきおくれて、これからそのまちひとたちは、お正月しょうがつ用意よういにとりかかるのでした。
東京の羽根 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「きさまが、〈ごはんの用意ようい〉のテーブルと、金貨きんかをうむロバをかえさなければ、もういっぺんおどりをおどらせるぞ。」
百樹もゝきいはく小千谷をぢやにありし時岩居がんきよ地獄谷ぢごくだにの火を見せんとて、社友しやいう五人をともな用意ようい酒食しゆしよく奚奴しもべ二人にになはしめ
取繕とりつくろひ申にぞ次右衞門三五郎口をそろへて然らば其石塔せきたふ參詣さんけい致し度貴僧きそうには先へ歸られ其用意よういをなし置給へと云に祐然かしこまり候と急ぎ立歸りて無縁むえんの五りんたふ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それにつれて芋蔓いもづる出世しゅっせをゆめみている丹羽昌仙にわしょうせんも、吹針ふきばり蚕婆かいこばばあも、はれの御岳みたけでそれぞれ武名ぶめいをあげる算段さんだん、今から用意よういおさおさおこたりないところである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しか從來じゆうらい其麽そんなことは滅多めつたになく、別段べつだんみとむべき弊害へいがいともなふのでもないのであつた。それで普通ふつうどのうちでも彼等かれら滿足まんぞく分量ぶんりやう前以まへもつ用意よういしてるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
用意よういをはればたゞちにはしりて、一本榎いつぽんえのきうろより數十條すうじふでうくちなはとらきたり、投込なげこむと同時どうじ緻密こまかなるざるおほひ、うへにはひし大石たいせきき、枯草こさうふすべて、したより爆※ぱツ/\けば
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)