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熱
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ねつ
ふりがな文庫
“
熱
(
ねつ
)” の例文
久助君の手が、あやまって相手のわきのしたから、
熱
(
ねつ
)
っぽいふところにもぐりこんだとき、兵太郎君はクックッとわらったからである。
久助君の話
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
ねこは、さも
昔
(
むかし
)
のことを
思
(
おも
)
い
出
(
だ
)
したように、
木
(
き
)
の
周囲
(
しゅうい
)
をぐるりと、
熱
(
ねつ
)
のためにふらふらする
足
(
あし
)
つきで、
体
(
からだ
)
をすりつけながらまわりました。
木の上と下の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それも
僅
(
わづか
)
に
桑
(
くは
)
の
木
(
き
)
へ
絡
(
から
)
んだ
晝顏
(
ひるがほ
)
の
花
(
はな
)
に一
杯
(
ぱい
)
の
量
(
りやう
)
を
注
(
そゝ
)
いでは
慌
(
あわ
)
てゝ
疾驅
(
しつく
)
しつゝからりと
熱
(
ねつ
)
した
空
(
そら
)
が
拭
(
ぬぐ
)
はれることも
有
(
あ
)
るのであるが
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
成
(
なる
)
ほど、
夫
(
それ
)
ぢやア、マア
大
(
たい
)
したお
熱
(
ねつ
)
ぢやアないお
脈
(
みやく
)
の
方
(
はう
)
は。「
脈
(
みやく
)
の
方
(
はう
)
が
多
(
おほ
)
うございます、九
条
(
でう
)
から一
条
(
でう
)
二
条
(
でう
)
に
出越
(
でこ
)
す
位
(
くらゐ
)
な事で。 ...
牛車
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
……おう土地よ燃えたってる土地よ、情熱と無言の土地よ、汝の
熱
(
ねつ
)
っぽい平和の下に、ローマ軍団のらっぱの鳴り響くのが、予には聞こえる。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
此
母
(
はゝ
)
は年に一二度づつは上京して、子供の家に五六日
寐起
(
ねおき
)
する例になつてゐたんだが、其時は帰る
前日
(
ぜんじつ
)
から
熱
(
ねつ
)
が
出
(
で
)
だして、全く
動
(
うご
)
けなくなつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
土器の中には此
石錐
(
いしきり
)
にて
揉
(
も
)
み
開
(
あ
)
けたるに相違無き圓錐形の
孔
(
あな
)
有る物有り。
既
(
すで
)
に錐の用を知る、焉ぞ
錐揉
(
きりも
)
みの如き
運動
(
うんどう
)
の
熱
(
ねつ
)
を用ゆる事を
知
(
し
)
らざらん。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
その
明
(
あ
)
くる日
保名
(
やすな
)
は目が
覚
(
さ
)
めてみると、
昨日
(
きのう
)
うけた
体
(
からだ
)
の
傷
(
きず
)
が
一晩
(
ひとばん
)
のうちにひどい
熱
(
ねつ
)
をもって、はれ
上
(
あ
)
がっていました。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
何を言ッてやがンでえ——と例に依ってクスクス嘲笑しかける者がありましたが、日本左衛門は、それで一笑に付し去ろうとはしないで、なお
熱
(
ねつ
)
く
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ケンプ
博士
(
はくし
)
は
透明人間
(
とうめいにんげん
)
のきばつな考えに、ただうなずくばかりだった。透明人間のことばはますます
熱
(
ねつ
)
をおびてきた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
たびたび
熱
(
ねつ
)
にうかされながら、わたしは
寝台
(
ねだい
)
のすそで
不安心
(
ふあんしん
)
らしい大きな目をわたしに向けているかの女を見た。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
園
(
その
)
は、
今更
(
いまさら
)
ながら、
瞬時
(
しゆんじ
)
と
雖
(
いへど
)
も、
心
(
こゝろ
)
の
影
(
かげ
)
が、
其
(
そ
)
の
熱
(
ねつ
)
に
堪
(
た
)
へないものゝ
如
(
ごと
)
く、
不意
(
ふい
)
のあやまちで、
怪我
(
けが
)
をさした
人
(
ひと
)
に
吃驚
(
びつくり
)
するやうに、
銀
(
ぎん
)
の
蓋
(
ふた
)
を、ぱつと
取
(
と
)
つた。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
別府
(
べっぷ
)
さんの
口調
(
くちょう
)
が
熱
(
ねつ
)
してきて、そのほおが赤くなるにつれて、
星野仁一
(
ほしのじんいち
)
の顔からは、
血
(
ち
)
の
気
(
け
)
がひいていった。
選手
(
せんしゅ
)
たちは、みんな、頭を深くたれてしまった。
星野くんの二塁打
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
その前からすっかり弱っていたきえちゃんは、とうとうひどい
熱
(
ねつ
)
を出し、もう頭も上がらなくなりました。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
熱
(
ねつ
)
の
出
(
で
)
たのとで
少
(
すく
)
なからず
弱
(
よわつ
)
て
居
(
ゐ
)
る
身體
(
からだ
)
をドツかと
投
(
な
)
げ
下
(
おろ
)
すと眼がグラついて
思
(
おも
)
はずのめりさうにした。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
總身
(
そうみ
)
が
寒
(
さむ
)
け
立
(
だ
)
って、
血管中
(
けっくわんぢゅう
)
に
沁
(
し
)
み
徹
(
とほ
)
る
怖
(
おそ
)
ろしさに、
命
(
いのち
)
の
熱
(
ねつ
)
も
凍結
(
こゞ
)
えさうな!
寧
(
いっ
)
そ
皆
(
みな
)
を
呼戻
(
よびもど
)
さうか?
乳母
(
うば
)
!……えゝ、
乳母
(
うば
)
が
何
(
なん
)
の
役
(
やく
)
に
立
(
た
)
つ?
怖
(
おそろ
)
しい
此
(
この
)
一
場
(
ば
)
は
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
それで一時
盛
(
もり
)
返した
熱
(
ねつ
)
も今は又すつかりさめきつて、それは空しく
押
(
おし
)
入の
奧
(
おく
)
でほこりにまみれてゐる。
写真と思ひ出:――私の写真修行――
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
我
(
わ
)
れのみ一人のぼせて
耳鳴
(
みゝな
)
りやすべき
桂次
(
けいじ
)
が
熱
(
ねつ
)
ははげしけれども、おぬひと
言
(
い
)
ふもの
木
(
き
)
にて
作
(
つく
)
られたるやうの
人
(
ひと
)
なれば、まづは
上杉
(
うへすぎ
)
の
家
(
いゑ
)
にやかましき
沙汰
(
さた
)
もおこらず
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
虎列拉には
三種
(
さんしゅ
)
ありて、一を亜細亜虎列拉といい、一を欧羅巴虎列拉といい、一を
霍乱
(
かくらん
)
という、此病には「バチルレン」というものありて、華氏百度の
熱
(
ねつ
)
にて
死
(
し
)
す云々。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
我
(
わ
)
が若かりし時
水村
(
すゐそん
)
の一
農夫
(
のうふ
)
、寒あけて
后
(
のち
)
獺
(
かはをそ
)
のとりたる
鮏
(
さけ
)
を
奪
(
うば
)
ひ、これを
喰
(
くら
)
ひて
熱
(
ねつ
)
になやみ、三日にして死たる事あり、さればたゝりあるといふ
口碑
(
かうひ
)
の
説
(
せつ
)
も
誣
(
しゆ
)
べからず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
寝転ろんで鏡を見ていると、歪んだ顔が
少女
(
むすめ
)
のように見えて、体中が妙に
熱
(
ねつ
)
っぽくなって来る。
放浪記(初出)
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
其様な
場合
(
ばあひ
)
には、
瞼
(
まぶた
)
のはれぼツたい
故
(
せい
)
か、
層波目
(
ふたかわめ
)
が
屹度
(
きつと
)
深
(
ふか
)
く
刻
(
きざ
)
み込まれて、長い
晴毛
(
まつげ
)
の
下
(
した
)
に
濕
(
うるみ
)
を
持
(
も
)
つ。そして
裡
(
うち
)
に
燃
(
も
)
えてゐる
熱
(
ねつ
)
が眼に現はれて來るのでは無いかと思はせる。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
我等は、何とも苦しくて、
実
(
げ
)
に
心
(
こころ
)
は
熱
(
ねつ
)
すれども
肉体
(
にくたい
)
よわく、とてもママの傍にいる気力は無い
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
彼は
己
(
おのれ
)
が与へし男の不幸よりも、
添
(
そは
)
れぬ女の
悲
(
かなしみ
)
よりも、
先
(
ま
)
づその娘が意気の
壮
(
さかん
)
なるに感じて、あはれ、世にはかかる切なる恋の
焚
(
もゆ
)
る如き誠もあるよ、と
頭
(
かしら
)
は
熱
(
ねつ
)
し胸は
轟
(
とどろ
)
くなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ホモイ、お前は少し
熱
(
ねつ
)
がありはしないか。むぐらをたいへんおどしたそうだな。むぐらの
家
(
うち
)
では、もうみんなきちがいのようになって
泣
(
な
)
いてるよ。それにこんなにたくさんの
実
(
み
)
を
貝の火
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
伺
(
うかゞ
)
はんとて
障子
(
しやうじ
)
の
外
(
そと
)
へ參りし
節
(
をり
)
に
寢言
(
ねごと
)
なるか夫かあらぬか
如此
(
これ/\
)
と
和君
(
あなた
)
は仰せ有ましたが
熱
(
ねつ
)
もあらぬに今の御言葉どうも
合點
(
がてん
)
が參りませぬ然すれば病氣と
仰被
(
おつしやる
)
は
嘘
(
うそ
)
にて
途中
(
とちう
)
で何事か有しを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
蝉
(
せみ
)
は殻を脱げども、人はおのれを
脱
(
のが
)
れ得ざれば、戦いの
熱
(
ねつ
)
病
(
やまい
)
の熱に
中絶
(
なかた
)
えし記憶の糸はその
体
(
たい
)
のやや
癒
(
い
)
えてその心の
平生
(
へいぜい
)
に
復
(
かえ
)
るとともにまたおのずから
掀
(
かか
)
げ起こされざるを得ざりしなり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
岩漿
(
がんしよう
)
は
非常
(
ひじよう
)
な
高
(
たか
)
い
熱
(
ねつ
)
と
壓力
(
あつりよく
)
との
下
(
もと
)
に
極
(
きは
)
めて
多量
(
たりよう
)
の
水
(
みづ
)
を
含有
(
がんゆう
)
することが
出來
(
でき
)
るから、
外界
(
がいかい
)
に
現
(
あらは
)
れて
來
(
き
)
た
鎔岩
(
ようがん
)
は
多量
(
たりよう
)
の
蒸氣
(
じようき
)
を
吐
(
は
)
くのである。この
蒸氣
(
じようき
)
の
擴
(
ひろ
)
がる
力
(
ちから
)
が
火山
(
かざん
)
の
爆發力
(
ばくはつりよく
)
となるのである。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
雨よ、この燃える思を
冷
(
ひや
)
やかに、亂れた胸を
平
(
たひ
)
らかに、このさし伸べた
熱
(
ねつ
)
の手を
凉
(
すず
)
しいやうにひやせかし。おゝ、ぽつりぽつりやつて來た。……あゝ、さつとひと
雨
(
あめ
)
……おや、もう月の出か。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
いや それほど
熱
(
ねつ
)
が高いのです だからおとなしく
寝
(
ね
)
てゐることです
小熊秀雄全集-22:火星探険―漫画台本
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
〔譯〕
士
(
し
)
は
獨立
(
どくりつ
)
自信
(
じしん
)
を
貴
(
たふと
)
ぶ。
熱
(
ねつ
)
に
依
(
よ
)
り
炎
(
えん
)
に
附
(
つ
)
くの
念
(
ねん
)
、起す可らず。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
調子に乗って
大分
(
だいぶ
)
勝手な
熱
(
ねつ
)
を吹いた。小僧にしては少し云い草がえら過ぎるから、多分何かの受け売りだろうと、疑う読者があるかも知れないが、以上は全く正真正銘の己の直覚から出た議論である。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
植物性の
異臭
(
いしゆう
)
と、
熱
(
ねつ
)
と、くるしみと、……
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
熱
(
ねつ
)
やゝ高き日のたよりなさ。
『悲しき玩具』を読む
(新字旧仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
熱
(
ねつ
)
ある
舌
(
した
)
にしみる
時
(
とき
)
。
桜さく島:春のかはたれ
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
「
俺
(
お
)
らそれから五
百匁
(
ひやくめ
)
位
(
ぐれえ
)
な
軍鷄雜種
(
しやもおとし
)
一
羽
(
ぱ
)
引
(
ひ
)
つ
縊
(
くゝ
)
つて一
遍
(
ぺん
)
に
食
(
く
)
つちまつたな、さうしたら
熱
(
ねつ
)
出
(
で
)
た」
彼
(
かれ
)
は
俄
(
にはか
)
に
聲
(
こゑ
)
を
低
(
ひく
)
くしたが、
更
(
さら
)
に
以前
(
いぜん
)
に
還
(
かへ
)
つて
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
あらんかぎりの
力
(
ちから
)
をつくしたにもかかわらず、
小
(
ちい
)
さな、なんの
罪
(
つみ
)
もない
子供
(
こども
)
は、
幾日
(
いくにち
)
か
高
(
たか
)
い
熱
(
ねつ
)
のために
苦
(
くる
)
しめられました。
星の子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その
声
(
こえ
)
をお
聞
(
き
)
きになると、
天子
(
てんし
)
さまはおひきつけになって、もうそれからは
一晩
(
ひとばん
)
じゅうひどいお
熱
(
ねつ
)
が出て、おやすみになることができなくなりました。
鵺
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
木と木の摩擦は木質より
細粉
(
さいふん
)
を生じ、此細粉は
熱
(
ねつ
)
の爲に
焦
(
こ
)
げてホクチの用を爲す。是
實驗
(
じつけん
)
に因りて知るを得べし。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
熱
(
ねつ
)
がモウ少し
浮
(
う
)
かないでは直りますまいよ。「御心配なさいますな、
明日
(
みやうにち
)
はキツと御発カンでございます。 ...
牛車
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ひどい
熱
(
ねつ
)
が出て、はげしい寒けを感じた。わたしの
胸
(
むね
)
の中は、小さなジョリクールがあの
晩
(
ばん
)
木の上で
過
(
す
)
ごしたとき受けたと同様、
焼
(
や
)
きつくやうな
熱気
(
ねっき
)
を感じた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
姿見
(
すがたみ
)
の
俤
(
おもかげ
)
は
一重
(
ひとへ
)
の
花瓣
(
はなびら
)
薄紅
(
うすくれなゐ
)
に、
乳
(
ち
)
を
押
(
おさ
)
へたる
手
(
て
)
は
白
(
しろ
)
くかさなり
咲
(
さ
)
く、
蘭湯
(
らんたう
)
に
開
(
ひら
)
きたる
此
(
こ
)
の
冬牡丹
(
ふゆぼたん
)
。
蕊
(
しべ
)
に
刻
(
きざ
)
めるは
誰
(
た
)
が
名
(
な
)
ぞ。
其
(
そ
)
の
文字
(
もじ
)
金色
(
こんじき
)
に
輝
(
かゞや
)
くまゝに、
口
(
くち
)
渇
(
かわ
)
き
又
(
また
)
耳
(
みゝ
)
熱
(
ねつ
)
す。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其夜
(
そのよ
)
から
僕
(
ぼく
)
は
熱
(
ねつ
)
が
出
(
で
)
て
今日
(
けふ
)
で
三日
(
みつか
)
になるが
未
(
ま
)
だ
快然
(
はつきり
)
しない。
山
(
やま
)
に
登
(
のぼ
)
つて
風邪
(
かぜ
)
を
引
(
ひ
)
いたのであらう。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
熱
(
ねつ
)
があると
惡
(
わる
)
いから、一
日
(
にち
)
休
(
やす
)
んだらと
云
(
い
)
ふ
御米
(
およね
)
の
心配
(
しんぱい
)
を
聞
(
き
)
き
捨
(
ず
)
てにして、
例
(
れい
)
の
通
(
とほ
)
り
電車
(
でんしや
)
へ
乘
(
の
)
つた
宗助
(
そうすけ
)
は、
風
(
かぜ
)
の
音
(
おと
)
と
車
(
くるま
)
の
音
(
おと
)
の
中
(
なか
)
に
首
(
くび
)
を
縮
(
ちゞ
)
めて、たゞ
一
(
ひと
)
つ
所
(
ところ
)
を
見詰
(
みつ
)
めてゐた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
たとへば
秋
(
あき
)
の
温泉塲
(
おんせんば
)
の
靜
(
しづ
)
かな
夜
(
よ
)
更けなどに、
好
(
この
)
もしい
相
(
あひ
)
手と
勝負
(
せうふ
)
に
熱
(
ねつ
)
中しながら、
相當
(
そうたう
)
腕
(
うで
)
が出來なければ冴※ない
處
(
ところ
)
のあの
球
(
たま
)
の
響
(
ひゞ
)
きを
聞
(
き
)
く
氣
(
き
)
持はちよつと何ともいへない。
文壇球突物語
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
「
例
(
れい
)
の、
老女修道者
(
ろうじょイルマン
)
でございますが、たッたいま、
何者
(
なにもの
)
かにしたたか
腰
(
こし
)
をうたれて
熱
(
ねつ
)
をはっし、ひどくうめいておりますので、
吹針
(
ふきばり
)
の
試合
(
しあい
)
にはでられぬようすでござります」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
隣
(
となり
)
の
寺
(
てら
)
の
觀音樣
(
くわんをんさま
)
御手
(
おんて
)
を
膝
(
ひざ
)
に
柔和
(
にうわ
)
の御
相
(
さう
)
これも
笑
(
ゑ
)
めるが
如
(
ごと
)
く、
若
(
わか
)
いさかりの
熱
(
ねつ
)
といふ
物
(
もの
)
にあはれみ
給
(
たま
)
へば、
此處
(
こゝ
)
なる
冷
(
ひや
)
やかのお
縫
(
ぬひ
)
も
笑
(
ゑ
)
くぼを
頬
(
ほう
)
にうかべて
世
(
よ
)
に
立
(
た
)
つ
事
(
こと
)
はならぬか
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼自身は世界の転向する角のところにすわって、後方には闇夜の悲壮な光輝を、前方には若々しい希望の
微笑
(
ほほえ
)
み、清新な
熱
(
ねつ
)
っぽい
曙
(
あけぼの
)
の
漠然
(
ばくぜん
)
たる美しさを、楽しげにうちながめた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
地寒
(
ちかん
)
のよわきとつよきとによりて
氷
(
こほり
)
の
厚
(
あつき
)
と
薄
(
うすき
)
との
如
(
ごと
)
し。天に
温冷熱
(
をんれいねつ
)
の三
際
(
さい
)
あるは、人の
肌
(
はだへ
)
は
温
(
あたゝか
)
に
肉
(
にく
)
は
冷
(
ひやゝ
)
か
臓腑
(
ざうふ
)
は
熱
(
ねつ
)
すると
同
(
おな
)
じ
道理
(
だうり
)
也。
気中
(
きちゆう
)
万物
(
ばんぶつ
)
の
生育
(
せいいく
)
悉
(
こと/″\
)
く天地の
気格
(
きかく
)
に
随
(
したが
)
ふゆゑ也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
置て
戻
(
もど
)
りしにぞお花は
早速
(
さつそく
)
煎
(
せん
)
じて
飮
(
のま
)
するに其夜の明方頃になり友次郎は
夥多敷
(
おびたゞしく
)
吐
(
はき
)
けるが夫より大いに
熱
(
ねつ
)
も
醒
(
さめ
)
すや/\と
眠
(
ねむ
)
る樣子なるにぞお花は少しは
安堵
(
あんど
)
せしに其翌日より友次郎の右の足に大きさ
茶碗
(
ちやわん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
熱
常用漢字
小4
部首:⽕
15画
“熱”を含む語句
熱情
情熱
熱心
熱湯
熱灰
火熱
熱気
熱海
熱燗
熱病
暑熱
焦熱
極熱
熱閙
赤熱
熱々
熱砂
熱沙
熱誠
温熱
...