其後そのご)” の例文
また鎔岩ようがん次第しだい冷却れいきやくしてるとどんな成分せいぶんのものも流動りゆうどうがたくなり、其後そのご固形こけい岩塊がんかい先頭せんとう岩塊がんかいえて前進ぜんしんするのみである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
この間などは「其後そのご別に恋着れんちゃくせる婦人も無之これなく、いずかたより艶書えんしょも参らず、ず無事に消光まかり在りそろ間、乍憚はばかりながら御休心可被下候くださるべくそろ
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
其後そのご彼等は警官にわれて山深く逃げこもったが、食物はもあれ、女性の缺乏けつぼうということが彼等のあいだに一種の不足を感じたらしい。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
其後そのご雲飛うんぴ壮健さうけんにして八十九歳にたつした。我が死期しききたれりと自分で葬儀さうぎ仕度したくなどをとゝの遺言ゆゐごんして石をくわんおさむることをめいじた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
其後そのご一週間いつしゆうかんむなしく※去すぎさつたならば、櫻木大佐さくらぎたいさつひには覺悟かくごさだめて、稀世きせい海底戰鬪艇かいていせんとうていともに、うみ藻屑もくづえてしまうことであらう。
始め一どう下られけり其後そのご大岡殿は何れ昌次郎夫婦ふうふの者外へは參るまじ江戸おもてならんと定廻りの與力同心へ急々たづね申べしと内命ないめい有りしとぞ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其後そのごぐわつ二十八にちに、内山うちやま九三らう發掘はつくつして、大把手おほとつてした。其記事そのきじ東京人類學會雜誌とうきやうじんるゐがくゝわいざつしの八十六がう記載きさいせられてある。
其後そのご支那しなから、道教だうけう妖怪思想えうくわいしさうり、佛教ぶつけうとも印度思想いんどしさうはいつてて、日本にほん化物ばけもの此爲このため餘程よほど豊富ほうふになつたのである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
其後そのごをとこからなんつてやつても、をんなからは依然いぜんとして毎月まいげつじつに『御返事ごへんじつてります』の葉書はがきた。とう/\それが一年間ねんかんつゞいた。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
其後そのご幾年いくねんって再び之を越えんとした時にも矢張やッぱりおそろしかったが、其時は酒の力をりて、半狂気はんきちがいになって、漸く此おそろしい線を踏越した。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
が、手紙てがみ後生大事ごしやうだいじしまつておくところからると、其後そのごなにかの事情じゞやうで、たがひへだたつてはゐても、こゝろいまへだてぬなかだとふことはあきらかである。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
それを誰かが野次やじったものらしくドッと笑声がわきあがったが、どうしたものか、其後そのご一座は、たいへん静かであった。
麻雀殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
素人しろうとにしてはきました、其後そのご独逸どいつへ行つて、今では若松わかまつ製鉄所せいてつじよとやらにると聞いたが、消息せうそくつまびらかにしません
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
其後そのご快活な文子のそぶりにさしたる変りも見えず、腕白少年の方でも、いつかけろりと忘れてしまった様子であった。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
其後そのごものごとにねんれて、ひに麁想そそうをせぬやうにりぬ、世間せけん下女げぢよつかふひとおほけれど、山村やまむらほど下女げぢよかはいゑるまじ、つき二人ふたり平常つねこと
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其後そのご父親が死んだをりには差当さしあたり頼りのない母親は橋場はしば御新造ごしんぞの世話で今の煎餅屋せんべいやを出したやうな関係もあり
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
この人に自分は、最初二枚を指した。二枚は局なかばにして相手が、駒を投じた。其後そのご飛香落から平手ひらてまでに指し進んだ。この会所に、三好さんと云ふ老人がゐた。
将棋 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
なほらざるとき全身ぜんしん冷水れいすゐそゝぎてそのいたみまつたりしゆゑに、其後そのご頭痛づつうおこごと全身ぜんしん冷水灌漑れいすゐくわんがいおこなひしが、つひ習慣しふくわんとなり、寒中かんちゆうにも冷水灌漑れいすゐくわんがいゆるをたり。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
かれ半年はんとし無職むしよく徘徊うろ/\してたゞパンと、みづとで生命いのちつないでゐたのであるが、其後そのご裁判所さいばんしよ警吏けいりとなり、やまひもつのちしよくするまでは、こゝつとめつてゐたのであつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
……それから……ネネの其後そのごの消息も尋ねたい……そう思うと、私はすぐに帰京を決心した。
腐った蜉蝣 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
たゞ、しいかななかまる大樹たいじゆ枝垂櫻しだれざくらがもうえぬ。新館しんくわん新潮社しんてうしやしたに、吉田屋よしだや料理店れうりてんがある。丁度ちやうどあのまへあたり——其後そのご晝間ひるまとほつたとき切株きりかぶばかり、のこつたやうにた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
山の頂上に出で其後そのご国境こくけうとする所をみてかへらんとするを云ふなり、二派各其困難こんなんの度を比較して利害得失りがいとくしつべ、甲論乙駁容易ようゐけつせず、数時間をつひに水源論多数たすうめ之れに一决す
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
其後そのご御無沙汰ごぶさた御機嫌ごきげんよう?』口切くちきりにねこひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
したがってその時だけの遊興あそびならばこうの論は無いが、し市郎が其後そのごも柳屋へ通っているようならば、少しく警戒を加えねばならぬ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
けばこのむらはかつて壯丁そうてい多數たすう出漁中しゆつりようちゆうしつして全村ぜんそん灰燼かいじんしたことがあるさうで、これにかんがみて其後そのご女子じよし消防隊しようぼうたいをも編成へんせい
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
安井やすゐ其後そのごまい端書はがきさへこさなかつたのである。宗助そうすけ安井やすゐ郷里きやうり福井ふくゐけて手紙てがみしてた。けれども返事へんじつひなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
きかれよし/\なほおつて呼出すことあるべしと申わたされ了源寺の所化しよけは下られけり其後そのご評定所へ嘉川一件の者どものこらず呼出よびいださる其の人々とほ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其日そのひはそれでわかれ、其後そのごたがひさそつてつり出掛でかけたが、ボズさんのうちは一しかないふる茅屋わらや其處そこひとりでわびしげにんでたのである。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そして其後そのご現在げんざいいたるまで、本統ほんたうのコスモポリニズムはわたし心中しんちうそうそう徹底てつていきたつてゐるのである。
日米国交断絶だんぜつの直ぐ後、南シナ海から、台湾海峡の方へ出動し、米国アジア艦隊と一戦まじえたまでは判っていたが、其後そのごはどこに何をしているのやら
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
其後そのごなんおもへばとてこたへるものまつかぜで、うも仕方しかたからうでは御座ござんせぬか、さてそれからが本文ほんもん御座ござんすとてわらふに、ふく加減かげんなこしらへごと
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
先刻さっき取次に出た女は其後そのご漸く下女と感付いたが、此時障子の蔭からヒョコリお亀のような笑顔えがおを出して
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
其後そのご便船びんせん通知つうちまいりましたので、そのほうやうやむねでおろし、日本につぽんかへこと其儘そのまゝおもとゞまつたのです。
田崎は例の如く肩をいからして力味返った。此の人は其後そのご陸軍士官となり日清戦争の時、血気けっきの戦死をげた位であったから、殺戮さつりくには天性てんせいの興味を持って居たのであろう。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
廣介は、源三郎としての彼女との初対面の光景を、其後そのご長い間忘れることが出来ませんでした。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
かれ其後そのご病院びやうゐんに二イワン、デミトリチをたづねたのでるがイワン、デミトリチは二ながら非常ひじやう興奮こうふんして、激昂げきかうしてゐた樣子やうすで、饒舌しやべことはもうきたとつてかれ拒絶きよぜつする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
目前の敵を一人ひとりたおしたので、市郎は少しく勇気を回復した。敵もこれに幾分の恐怖おそれしたか、其後そのごは石を降らさなくなった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
宗助そうすけこの派出好はでずきおとうとが、其後そのごんな徑路けいろつて、發展はつてんしたかを、氣味きみわる運命うんめい意思いしうかゞ一端いつたんとして、主人しゆじんいてた。主人しゆじん卒然そつぜん
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かうして最初さいしよ大地震だいぢしんこらへる家屋かおくが、其後そのご三分さんぶんいち以下いか地震力ぢしんりよくによつてられることはないはずである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
其方儀そのはうぎ權現堂小篠堤に於て幸手宿穀屋平兵衞を殺害せつがい金子きんす百兩奪ひとり其後そのご中仙道鷲の宮にてこう宿じゆく鎌倉屋金兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わたしくかろうと此子このこめんじていてくだされ、あやまりますとていてけども、イヤうしてもかれぬとて其後そのごものはずかべむかひておはつ言葉ことばみゝらぬてい
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其後そのご母の希望をれて、さいを迎え、子を生ませると、間もなく母も父の跡を追って彼世あのよった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
あの事件を最後の幕として、科学者虐殺事件は其後そのごまったく起らなくなった。椋島技師の犯行は、愈々いよいよ明白となって死刑の判決が下り、その刑日けいびもいよいよ数日のちに近付いた。
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あゝ、大佐たいさ其後そのご何處いづこ如何どうしてるだらうとかんがへるとまた種々さま/″\想像さうざういてる。
聞くところによると、其後そのごTはふっつり遊ばなくなった相だ。そして、この喜劇にも等しいお芝居が、案外好結果を納めて、彼等の仲は、引続き非常にむつまじく行っているという噂だ。
一人二役 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
偶然畦道で出会つて、偶然林の中で冒険に成功した最初の思出が、永く心の底に残されてゐて、それがために其後そのごいろ/\迷惑な事情が起つたにも係らず、わたしはなかなか思切れなかつたのです。
畦道 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
其後そのご院長ゐんちやうアンドレイ、エヒミチは自分じぶん周圍まはりもの樣子やうすの、ガラリとかはつたことやうやみとめた。小使こづかひ看護婦かんごふ患者等くわんじやらは、かれ往遇ゆきあたびに、なにをかふものゝごと眼付めつきる、ぎてからは私語さゝやく。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
神經しんけいおこつたとき、わざ/\そんな馬鹿ばかところ出掛でかけるからさ。ぜにしてくだらないことはれてつまらないぢやないか。其後そのごもそのうらなひうちくのかい
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかし人間に対して害は加へぬと分つたので、一同もづ安心。其後そのごは芝居から帰ると、毎夜の鼬を対手あいてにして遊ぶ。
雨夜の怪談 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
此身このみ雲井くもゐとりがひ自由じゆうなる書生しよせい境界けうがいいましばしはあそばるゝこゝろなりしを、きの故郷ふるさとよりの便たよりにいはく、大旦那おほだんなさまこと其後そのご容躰ようだいさしたること御座ござなく候へども
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)