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兩手
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りやうて
ふりがな文庫
“
兩手
(
りやうて
)” の例文
新字:
両手
兩手
(
りやうて
)
をわなわなふるはせて、肩で
息
(
いき
)
を切りながら、眼を、
眼球
(
がんきう
)
が
眶
(
まぶた
)
の外へ出さうになる程、見開いて、唖のやうに
執拗
(
しうね
)
く默つてゐる。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
紋着
(
もんつき
)
、
白
(
しろ
)
えりで
盛裝
(
せいさう
)
した、
艷
(
えん
)
なのが、
茶
(
ちや
)
わんとはしを
兩手
(
りやうて
)
に
持
(
も
)
つて、
目
(
め
)
の
覺
(
さ
)
めるやうに
顯
(
あらは
)
れて、すぐに
一切
(
ひとき
)
れはさんだのが、その
人
(
ひと
)
さ。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「よきはどうしたんだ」おつぎは
岸
(
きし
)
へ
上
(
あが
)
つて
泥
(
どろ
)
だらけの
足
(
あし
)
で
草
(
くさ
)
の
上
(
うへ
)
に
膝
(
ひざ
)
を
突
(
つい
)
た。
與吉
(
よきち
)
は
笑交
(
わらひまじ
)
りに
泣
(
な
)
いて
兩手
(
りやうて
)
を
出
(
だ
)
して
抱
(
だ
)
かれようとする。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
其晩
(
そのばん
)
、
郵便局長
(
いうびんきよくちやう
)
のミハイル、アウエリヤヌヰチは
彼
(
かれ
)
の
所
(
ところ
)
に
來
(
き
)
たが、
挨拶
(
あいさつ
)
もせずに
匆卒
(
いきなり
)
彼
(
かれ
)
の
兩手
(
りやうて
)
を
握
(
にぎ
)
つて、
聲
(
こゑ
)
を
顫
(
ふる
)
はして
云
(
い
)
ふた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
主人
(
しゆじん
)
はことさらに
刀
(
かたな
)
と
箸
(
はし
)
を
兩手
(
りやうて
)
に
持
(
も
)
つて、
切
(
き
)
つたり
食
(
く
)
つたりする
眞似
(
まね
)
をして
見
(
み
)
せた。
宗助
(
そうすけ
)
はひたすらに
其
(
その
)
精巧
(
せいかう
)
な
作
(
つく
)
りを
眺
(
なが
)
めた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
見物に交つた八五郎は、
兩手
(
りやうて
)
を揉み合せて、獨り
悦
(
えつ
)
に入るのを、並んで見て居る平次が何遍
肱
(
ひぢ
)
で突いたかわかりません。
銭形平次捕物控:315 毒矢
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
せし天一樣は將軍樣の
若君樣
(
わかぎみさま
)
なりしか
然
(
され
)
ばこそ急に
簾
(
みす
)
の中へ入せられ御
住持樣
(
ぢうじさま
)
も
打
(
うち
)
て
替
(
かは
)
り御主人の樣に何事も
兩手
(
りやうて
)
を
突
(
つい
)
て
平伏
(
へいふく
)
なさると下男共は此等の事を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
其時
(
そのとき
)
、
余
(
よ
)
は、
俵形
(
たはらがた
)
の
土器
(
どき
)
を
兩手
(
りやうて
)
に
持
(
も
)
つて、
眞先
(
まつさ
)
きに
穴
(
あな
)
から
飛出
(
とびだ
)
すと、
高等野次馬
(
かうとうやじうま
)
は
聲
(
こゑ
)
を
揃
(
そろ
)
へて。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
乃
(
そこ
)
で
愛
(
あい
)
ちやんは
恰度
(
ちやうど
)
お
稽古
(
けいこ
)
の
時
(
とき
)
のやうに
前掛
(
まへかけ
)
の
上
(
うへ
)
へ
兩手
(
りやうて
)
を
組
(
く
)
んで、それを
復習
(
ふくしう
)
し
初
(
はじ
)
めました、が
其聲
(
そのこゑ
)
は
咳嗄
(
しわが
)
れて
變
(
へん
)
に
聞
(
きこ
)
え、
其一語々々
(
そのいちご/\
)
も
平常
(
いつも
)
と
同
(
おな
)
じではありませんでした。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
一艘に一人づつ
艫
(
とも
)
に腰かけて、花やかな帶の端を水の上へ垂らし、
兩手
(
りやうて
)
には二本の
棹
(
さを
)
を持つて、水中へさし
込
(
こ
)
んではくる/\廻して引き上げると、藻くが
絡
(
から
)
まつて
上
(
あが
)
つて來る。
筑波ねのほとり
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
と、しやがんで
膝
(
ひざ
)
にぢつと
兩手
(
りやうて
)
をついたまま、
敏樹
(
としき
)
が
何
(
なに
)
か
恐
(
おそ
)
れるやうな
聲
(
こゑ
)
で
囁
(
ささや
)
いた。
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
此子
(
このこ
)
の
笑顏
(
ゑがほ
)
のやうに
直接
(
ぢか
)
に、
眼前
(
まのあたり
)
、かけ
出
(
だ
)
す
足
(
あし
)
を
止
(
とゞ
)
めたり、
狂
(
くる
)
ふ
心
(
こゝろ
)
を
靜
(
しづ
)
めたはありませぬ、
此子
(
このこ
)
が
何
(
なん
)
の
氣
(
き
)
も
無
(
な
)
く
小豆枕
(
あづきまくら
)
をして、
兩手
(
りやうて
)
を
肩
(
かた
)
のそばへ
投出
(
なげだ
)
して
寢入
(
ねい
)
つて
居
(
ゐ
)
る
時
(
とき
)
の
其顏
(
そのかほ
)
といふものは
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そこでは
火
(
ひ
)
の
上
(
うへ
)
にかけたお
茶
(
ちや
)
の
葉
(
は
)
を
兩手
(
りやうて
)
で
揉
(
も
)
んで
居
(
ゐ
)
る
人
(
ひと
)
があります。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
『
賓人
(
まれびと
)
よ、お
願
(
ねが
)
ひで
厶
(
ござ
)
ります。』と
兩手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せて
私
(
わたくし
)
を
仰
(
あほ
)
ぎ
見
(
み
)
た。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
……
此處
(
こゝ
)
へ
來
(
き
)
ます
途中
(
とちう
)
でも、
出
(
だ
)
して
手
(
て
)
に
持
(
も
)
てば
人
(
ひと
)
が
見
(
み
)
る……
袂
(
たもと
)
の
中
(
なか
)
で
兩手
(
りやうて
)
で
裂
(
さ
)
けば、
裂
(
さ
)
けたのが
一層
(
いつそ
)
、
一片
(
ひとひら
)
でも
世間
(
せけん
)
へ
散
(
ち
)
つて
出
(
で
)
さうでせう。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
乾
(
いぬゐ
)
の
方
(
はう
)
の
垣根
(
かきね
)
の
側
(
そば
)
へ
來
(
き
)
た
時
(
とき
)
に
内儀
(
かみ
)
さんは、
垣根
(
かきね
)
の
土
(
つち
)
に
附
(
つ
)
いた
處
(
ところ
)
を
力任
(
ちからまか
)
せにぼり/\と
破
(
やぶ
)
つた。おつぎも
兩手
(
りやうて
)
を
掛
(
か
)
けて
破
(
やぶ
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
私
(
わたくし
)
は
外套
(
ぐわいたう
)
のポケットへぢつと
兩手
(
りやうて
)
をつつこんだ
儘
(
まま
)
、そこにはひつてゐる
夕刊
(
ゆふかん
)
を
出
(
だ
)
して
見
(
み
)
ようと
云
(
い
)
ふ
元氣
(
げんき
)
さへ
起
(
おこ
)
らなかつた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いつでも涙を溜めて居るやうな、大きいうるんだ眼、口許に女の兒のやうな
愛嬌
(
あいけう
)
があつて、手足が不安定で、引つきりなしに、
兩手
(
りやうて
)
を
揉
(
も
)
み合せて居ります。
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
イワン、デミトリチは
昨日
(
きのふ
)
と
同
(
おな
)
じ
位置
(
ゐち
)
に、
兩手
(
りやうて
)
で
頭
(
かしら
)
を
抱
(
かゝ
)
へて、
兩足
(
りやうあし
)
を
縮
(
ちゞ
)
めた
儘
(
まゝ
)
、
横
(
よこ
)
に
爲
(
な
)
つてゐて、
顏
(
かほ
)
は
見
(
み
)
えぬ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
さうして
兩手
(
りやうて
)
を
組
(
く
)
み
合
(
あ
)
はして、
其中
(
そのなか
)
へ
黒
(
くろ
)
い
頭
(
あたま
)
を
突
(
つ
)
つ
込
(
こ
)
んでゐるから、
肱
(
ひぢ
)
に
挾
(
はさ
)
まれて
顏
(
かほ
)
がちつとも
見
(
み
)
えない。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
何
(
なん
)
にも
云
(
い
)
はず、
兩手
(
りやうて
)
で
顏
(
かほ
)
を
抑
(
おさ
)
えて
坐
(
すわ
)
り
込
(
こ
)
みました、
何
(
ど
)
うなることかと
心配
(
しんぱい
)
しながら。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
扨
(
さて
)
奧方ある夜の
夢
(
ゆめ
)
に
日輪
(
にちりん
)
月輪
(
ぐわつりん
)
を
兩手
(
りやうて
)
に
握
(
にぎ
)
ると
見給
(
みたま
)
ひ是より
御懷姙
(
ごくわいにん
)
の
御身
(
おんみ
)
とはなり給ふ
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
お
京
(
きやう
)
さん
母親
(
おふくろ
)
も
父親
(
おやぢ
)
も
空
(
から
)
つきり
當
(
あて
)
が
無
(
な
)
いのだよ、
親
(
おや
)
なしで
産
(
うま
)
れて
來
(
く
)
る
子
(
こ
)
があらうか、
己
(
お
)
れは
何
(
ど
)
うしても
不思議
(
ふしぎ
)
でならない、と
燒
(
やき
)
あがりし
餅
(
もち
)
を
兩手
(
りやうて
)
でたゝきつゝいつも
言
(
い
)
ふなる
心細
(
こゝろぼそ
)
さを
繰返
(
くりかへ
)
せば
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
縞
(
しま
)
の
羽織
(
はおり
)
の
筒袖
(
つゝそで
)
を
細
(
ほそ
)
く
着
(
き
)
た、
脇
(
わき
)
あけの
口
(
くち
)
へ、
腕
(
かひな
)
を
曲
(
ま
)
げて、
些
(
ちつ
)
と
寒
(
さむ
)
いと
云
(
い
)
つた
體
(
てい
)
に、
兩手
(
りやうて
)
を
突込
(
つツこ
)
み、ふりの
明
(
あ
)
いた
處
(
ところ
)
から、
赤
(
あか
)
い
前垂
(
まへだれ
)
の
紐
(
ひも
)
が
見
(
み
)
える。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
與吉
(
よきち
)
は
壁
(
かべ
)
の
何處
(
どこ
)
ともなく
見
(
み
)
ては
火
(
ひ
)
の
附
(
つ
)
いたやうに
身
(
み
)
を
慄
(
ふる
)
はして
泣
(
な
)
いて
犇
(
ひし
)
とおつぎへ
抱
(
だ
)
きつく。おつぎは
與吉
(
よきち
)
を
膝
(
ひざ
)
へ
抱
(
だ
)
いて
泣
(
な
)
き
止
(
や
)
むまでは
兩手
(
りやうて
)
で
掩
(
おほ
)
うて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
すると
丁度
(
ちやうど
)
ハヾトフもブローミウム
加里
(
カリ
)
の
壜
(
びん
)
を
携
(
たづさ
)
へて
遣
(
や
)
つて
來
(
き
)
た。アンドレイ、エヒミチは
重
(
おも
)
さうに、
辛
(
つら
)
さうに
身
(
み
)
を
起
(
おこ
)
して
腰
(
こし
)
を
掛
(
か
)
け、
長椅子
(
ながいす
)
の
上
(
うへ
)
に
兩手
(
りやうて
)
を
突張
(
つツぱ
)
る。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
其内
(
そのうち
)
凝
(
じつ
)
としてゐる
身體
(
からだ
)
も、
膝頭
(
ひざがしら
)
から
痛
(
いた
)
み
始
(
はじ
)
めた。
眞直
(
まつすぐ
)
に
延
(
の
)
ばしてゐた
脊髓
(
せきずゐ
)
が
次第々々
(
しだい/\
)
に
前
(
まへ
)
の
方
(
はう
)
に
曲
(
まが
)
つて
來
(
き
)
た。
宗助
(
そうすけ
)
は
兩手
(
りやうて
)
で
左
(
ひだり
)
の
足
(
あし
)
の
甲
(
かふ
)
を
抱
(
かゝ
)
える
樣
(
やう
)
にして
下
(
した
)
へ
卸
(
おろ
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
つて
兩手
(
りやうて
)
を
見
(
み
)
ると、
驚
(
おどろ
)
くまいことか、
愛
(
あい
)
ちやんは
話
(
はなし
)
をしてる
中
(
うち
)
に
何時
(
いつ
)
か
兎
(
うさぎ
)
の
小
(
ちひ
)
さな
白
(
しろ
)
い
山羊仔皮
(
キツド
)
の
手套
(
てぶくろ
)
を
穿
(
は
)
めて
居
(
ゐ
)
たのです。『
何
(
ど
)
うして
穿
(
は
)
めたのかしら?』と
思
(
おも
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
すると、
老婆
(
らうば
)
は、松の木片を、床板の間に
挿
(
さ
)
して、それから、今まで眺めてゐた屍骸の首に
兩手
(
りやうて
)
をかけると、丁度、猿の親が猿の子の
虱
(
しらみ
)
をとるやうに、その長い
髮
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
を一本づゝ拔きはじめた。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
歸
(
かへ
)
りは
例
(
れい
)
の
窓
(
まど
)
を
敲
(
たゝ
)
いてと
目算
(
もくさん
)
ながら
横町
(
よこちやう
)
を
曲
(
まが
)
れば、いきなり
後
(
あと
)
より
追
(
お
)
ひすがる
人
(
ひと
)
の、
兩手
(
りやうて
)
に
目
(
め
)
を
隱
(
かく
)
して
忍
(
しの
)
び
笑
(
わら
)
ひするに、
誰
(
だ
)
れだ
誰
(
だ
)
れだと
指
(
ゆび
)
を
撫
(
な
)
でゝ、
何
(
なん
)
だお
京
(
きやう
)
さんか、
小指
(
こゆび
)
のまむしが
物
(
もの
)
を
言
(
い
)
ふ
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
傳助は
兩手
(
りやうて
)
を合せながら、ズルズルと土間を引摺られるのでした。
銭形平次捕物控:102 金蔵の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ニヤゴと
又
(
また
)
鳴
(
な
)
く。
耳
(
みゝ
)
についてうるさいから、シツ/\などと
遣
(
や
)
つて、
寢
(
ね
)
ながら
兩手
(
りやうて
)
でばた/\と
追
(
お
)
つたが、
矢張
(
やつぱり
)
聞
(
きこ
)
える。ニヤゴ、ニヤゴと
續樣
(
つゞけざま
)
。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と三つ四つに
折
(
を
)
りて
甚之助
(
じんのすけ
)
の
懷中
(
ふところ
)
に
押
(
おし
)
いれしが、
無心
(
むしん
)
の
處
(
ところ
)
何
(
なん
)
とも
氣
(
き
)
づかはしく、
落
(
おと
)
さぬやうに
人
(
ひと
)
に
見
(
み
)
せぬ
樣
(
やう
)
にと
呉々
(
くれ/\
)
をしへ、
早
(
はや
)
くお
出
(
い
)
でなされと
言
(
い
)
へば、
兩手
(
りやうて
)
に
胸
(
むね
)
を
抱
(
いだ
)
きて一
心
(
しん
)
に
駈
(
か
)
け
出
(
だ
)
す
甚之助
(
じんのすけ
)
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ニヤゴと
又
(
また
)
啼
(
な
)
く。
耳
(
みゝ
)
についてうるさいから、しツ/\などと
遣
(
や
)
つて、
寢
(
ね
)
ながら
兩手
(
りやうて
)
でばた/\と
追
(
お
)
つたが、
矢張
(
やはり
)
聞
(
きこ
)
える、ニヤゴ、ニヤゴーと
續
(
つゞ
)
くやうで。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
或時
(
あるとき
)
泣
(
な
)
きしにお
高
(
たか
)
同
(
おな
)
じく
涙
(
なみだ
)
になりて
私
(
わたし
)
の
心
(
こゝろ
)
知
(
し
)
るものは
和女
(
そなた
)
ばかり
芳
(
よし
)
さまのことは
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
りても
御兩親
(
ごりやうしん
)
の
行末
(
ゆくすゑ
)
が
心配
(
しんぱい
)
なり
明日
(
あす
)
が
日
(
ひ
)
我
(
わ
)
が
身
(
み
)
縁
(
えん
)
に
附
(
つ
)
きなば
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
自由
(
じいう
)
は
叶
(
かな
)
ふまじ
其時
(
そのとき
)
たのむは
和女
(
そなた
)
ぞかし
父
(
とゝ
)
さまのお
心
(
こゝろ
)
よく
取
(
と
)
りて
松澤
(
まつざは
)
さまとの
中
(
なか
)
昔
(
むかし
)
の
通
(
とほ
)
りにして
欲
(
ほ
)
しゝ
是
(
こ
)
れ
一
(
ひと
)
つがお
頼
(
たの
)
みぞとて
兩手
(
りやうて
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
この
根際
(
ねぎは
)
に
膝
(
ひざ
)
をついて、
伸上
(
のびあが
)
つては
挽
(
ひ
)
き
下
(
お
)
ろし、
伸上
(
のびあが
)
つては
挽
(
ひ
)
き
下
(
お
)
ろす、
大鋸
(
おほのこぎり
)
の
齒
(
は
)
は
上下
(
うへした
)
にあらはれて、
兩手
(
りやうて
)
をかけた
與吉
(
よきち
)
の
姿
(
すがた
)
は、
鋸
(
のこぎり
)
よりも
小
(
ちひ
)
さいかのやう。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
足
(
あし
)
は
裾
(
すそ
)
へ、
素直
(
まつすぐ
)
に
揃
(
そろ
)
へたつ
切
(
きり
)
、
兩手
(
りやうて
)
は
腋
(
わき
)
の
下
(
した
)
へ
着
(
つ
)
けたつ
切
(
きり
)
、で
熟
(
じつ
)
として、たゞ
見舞
(
みまひ
)
が
見
(
み
)
えます、
扉
(
ひらき
)
の
開
(
あ
)
くのを、
便
(
たよ
)
りにして、
入口
(
いりくち
)
の
方
(
はう
)
ばかり
見詰
(
みつ
)
めて
見
(
み
)
ました。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
言
(
い
)
つて、むくと
起返
(
おきかへ
)
る
背中
(
せなか
)
に、ひつたりと
其
(
そ
)
の
傘
(
かさ
)
をかぶつて、
首
(
くび
)
と
兩手
(
りやうて
)
をばた/\と
動
(
うご
)
かした……
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
大漢子
(
おほをのこ
)
の
兩手
(
りやうて
)
は、
伸
(
のび
)
をして、
天井
(
てんじやう
)
を
突拔
(
つきぬ
)
く
如
(
ごと
)
く
空
(
そら
)
ざまに
棚
(
たな
)
に
掛
(
かゝ
)
る、と
眞先
(
まつさき
)
に
取
(
と
)
つたのは、
彈丸帶
(
たまおび
)
で、
外套
(
ぐわいたう
)
の
腰
(
こし
)
へぎしりと
〆
(
し
)
め、
續
(
つゞ
)
いて
銃
(
じう
)
を
下
(
お
)
ろして、ト
筈高
(
はずだか
)
にがツしと
掛
(
か
)
けた。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
……
鷹揚
(
おうやう
)
に、
然
(
しか
)
も
手馴
(
てな
)
れて、
迅速
(
じんそく
)
に
結束
(
けつそく
)
し
果
(
は
)
てた
紳士
(
しんし
)
は、
其
(
そ
)
の
爲
(
ため
)
に
空
(
むな
)
しく
待構
(
まちかま
)
へて
居
(
ゐ
)
たらしい
兩手
(
りやうて
)
にづかりと
左右
(
ひだりみぎ
)
、
其
(
そ
)
の
二人
(
ふたり
)
の
女
(
をんな
)
の、
頸上
(
えりがみ
)
と
思
(
おも
)
ふあたりを
無手
(
むず
)
と
掴
(
つか
)
んで
引立
(
ひつた
)
てる、と
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
……
恁
(
か
)
う、
然
(
さ
)
まで
骨々
(
ほね/″\
)
しう
痩
(
や
)
せもしない
兩手
(
りやうて
)
を
行儀
(
ぎやうぎ
)
よく
膝
(
ひざ
)
の
上
(
うへ
)
に
組
(
く
)
んだんですが、
其
(
その
)
藍
(
あゐ
)
がかつた
衣服
(
きもの
)
を
膝頭
(
ひざがしら
)
へするりと、
掻込
(
かいこ
)
みました、
褄
(
つま
)
が
揃
(
そろ
)
つて、
其
(
そ
)
の
宙
(
ちう
)
に
浮
(
う
)
いた
下
(
した
)
の
床
(
ゆか
)
へ、すつと
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
それから
娘
(
むすめ
)
が、
手傳
(
てつだ
)
つて、
女房
(
かみさん
)
は、それをその、
胸
(
むね
)
の
處
(
ところ
)
へ、
兩手
(
りやうて
)
で
抱
(
だ
)
いた。
廓そだち
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
杖
(
つゑ
)
を
引緊
(
ひきし
)
めるやうに、
胸
(
むね
)
へ
取
(
と
)
つて
兩手
(
りやうて
)
をかけた。
痩按摩
(
やせあんま
)
は
熟
(
じつ
)
と
案
(
あん
)
じて
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
兩手
(
りやうて
)
を
炬燵
(
こたつ
)
にさして、
俯向
(
うつむ
)
いて
居
(
ゐ
)
ました、
濡
(
ぬ
)
れるやうに
涙
(
なみだ
)
が
出
(
で
)
ます。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
手眞似
(
てまね
)
で
見
(
み
)
せた、
與吉
(
よきち
)
は
兩手
(
りやうて
)
を
突出
(
つきだ
)
してぐつと
引
(
ひ
)
いた。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
最
(
も
)
う、
寢
(
ね
)
ながら
私
(
わたし
)
は、
兩手
(
りやうて
)
を
合
(
あ
)
はせて
囘向
(
ゑかう
)
をしました。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
釣針
(
つりばり
)
をね、
恁
(
か
)
う、
兩手
(
りやうて
)
で
抱
(
だ
)
いた
形
(
かたち
)
。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
眞面目
(
まじめ
)
にぬつと
兩手
(
りやうて
)
を
出
(
だ
)
す。
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
兩
部首:⼊
8画
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
“兩”で始まる語句
兩方
兩
兩親
兩人
兩側
兩眼
兩端
兩足
兩掛
兩袖