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痩按摩
と
沈んで
云ふ。
果せる
哉、
殿の
痩按摩で、
恁う
口をきく
時、
靄を
漕ぐ、
杖を
櫂に、
斜めに
握つて、
坂の二三
歩低い
處に、
伸上るらしく
仰向いて
居た。
と
捻向いて、
痩按摩は
腰を
屈めながら、
丁ど
足許に一
基あつた……
瓦斯燈の
根を、
其處に
轉がつた、ごろた
石なりにカチ/\と
杖で
鳴らした。が
音も
響かず、
靄に
沈む。
と
杖を
引緊めるやうに、
胸へ
取つて
兩手をかけた。
痩按摩は
熟と
案じて