トップ
>
持
>
も
ふりがな文庫
“
持
(
も
)” の例文
「おやおや、まあ。めずらしい大きな
瓜
(
うり
)
だこと、さぞおいしいでしょう。うちへ
持
(
も
)
って
帰
(
かえ
)
って、おじいさんと
二人
(
ふたり
)
で
食
(
た
)
べましょう。」
瓜子姫子
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
片手
(
かたて
)
にブリキかんをぶらさげて、
片手
(
かたて
)
にはさおを
持
(
も
)
ち、いつも
帽子
(
ぼうし
)
を
目深
(
まぶか
)
にかぶって、よくこの
洋服屋
(
ようふくや
)
の
前
(
まえ
)
を
通
(
とお
)
ったのでありました。
窓の内と外
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と、
海蔵
(
かいぞう
)
さんがいいました。そばに
来
(
き
)
てみると、それはこの
附近
(
ふきん
)
の
土地
(
とち
)
を
持
(
も
)
っている、
町
(
まち
)
の
年
(
とし
)
とった
地主
(
じぬし
)
であることがわかりました。
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
女房
(
かみさん
)
は、
弱
(
よわ
)
つちやつた。
可恐
(
おそろ
)
しく
重
(
おも
)
いんです。が、
持
(
も
)
たれないといふのは
悔
(
くや
)
しいてんで、それに
押
(
お
)
されるやうにして、
又
(
また
)
ひよろ/\。
廓そだち
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その当時は、
客車
(
きゃくしゃ
)
にさえ、うす暗い
魚油灯
(
ぎょゆとう
)
をつけたもので、
車掌室
(
しゃしょうしつ
)
はただ車掌の
持
(
も
)
つシグナル・ランプで
照
(
て
)
らされるばかりであった。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
▼ もっと見る
おお、洋傘直し、洋傘直し、なぜその石をそんなに
眼
(
め
)
の近くまで
持
(
も
)
って行ってじっとながめているのだ。石に
景色
(
けしき
)
が
描
(
か
)
いてあるのか。
チュウリップの幻術
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
何
(
なに
)
も
下品
(
げひん
)
に
育
(
そだ
)
つたからとて
良人
(
おつと
)
の
持
(
も
)
てぬ
事
(
こと
)
はあるまい、
殊
(
こと
)
にお
前
(
まへ
)
のやうな
別品
(
べつぴん
)
さむではあり、一
足
(
そく
)
とびに
玉
(
たま
)
の
輿
(
こし
)
にも
乘
(
の
)
れさうなもの
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
老婆は、
片手
(
かたて
)
に、まだ屍骸の頭から
奪
(
と
)
つた長い拔け毛を
持
(
も
)
つたなり、
蟇
(
ひき
)
のつぶやくやうな聲で、口ごもりながら、こんな事を云つた。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
やがて
盗賊
(
とうぞく
)
どもは、
生人形
(
いきにんぎょう
)
を
奥
(
おく
)
から
持
(
も
)
ってきましたが、
首
(
くび
)
はぬけ手足はもぎれて、さんざんな
姿
(
すがた
)
になっていました。それも
道理
(
もっとも
)
です。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
直
(
たゞ
)
ちに
此
(
こ
)
れが
扇子
(
せんす
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
た
所爲
(
せい
)
だと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
つて
急
(
いそ
)
いで
其扇子
(
そのせんす
)
を
捨
(
す
)
てました、
恰
(
あだか
)
も
縮
(
ちゞ
)
むのを
全
(
まつた
)
く
恐
(
おそ
)
れるものゝ
如
(
ごと
)
く。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
見ると七人の
持
(
も
)
ち
人
(
て
)
の内真中の一人だけは黄色の着物を着たお爺さんで、あとの六人は皆空色の着物を着た十二三の男の児であった。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
あたしゃ今こそお
前
(
まえ
)
に、
精根
(
せいこん
)
をつくしたお
化粧
(
けしょう
)
を、してあげとうござんす。——
紅白粉
(
べにおしろい
)
は、
家
(
いえ
)
を
出
(
で
)
る
時
(
とき
)
袱紗
(
ふくさ
)
に
包
(
つつ
)
んで
持
(
も
)
って
来
(
き
)
ました。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
今まで
持
(
も
)
ち
応
(
こた
)
えに持ち応え抜いた心機をひらりと転換させられる彼から云えば、見す見す彼女の術中に落ち込むようなものであった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
塾
(
じゆく
)
は
家族的
(
かぞくてき
)
の
組織
(
そしき
)
であるから
各人
(
かくじん
)
共同
(
きようどう
)
の
物
(
もの
)
である、
塾生
(
じゆくせい
)
は
此處
(
こゝ
)
を
自分
(
じぶん
)
の
家
(
いへ
)
と
心得
(
こゝろえ
)
て
何事
(
なにごと
)
も
自分
(
じぶん
)
に
責任
(
せきにん
)
を
持
(
も
)
つて
遣
(
や
)
らねばなりません。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
ママは
外
(
ほか
)
にいい
仕事
(
しごと
)
を
持
(
も
)
っていて、たくさんおあしがもらえるので、いつまでもやめたくないのだという
事
(
こと
)
を、シューラは思い出した。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
此女
(
このをんな
)
は
国
(
くに
)
から
連
(
つ
)
れて
来
(
き
)
たのではない、
江戸
(
えど
)
で
持
(
も
)
つた
女
(
をんな
)
か知れない、それは
判然
(
はつきり
)
分
(
わか
)
らないが、
何
(
なに
)
しろ
薄情
(
はくじやう
)
の
女
(
をんな
)
だから
亭主
(
ていしゆ
)
を
表
(
おもて
)
へ
突
(
つ
)
き出す。
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
苦情
(
くじよう
)
を
持
(
も
)
ち
込
(
こ
)
みましたので、まやかしものといふことがわかつて、これも
忽
(
たちま
)
ち
突
(
つ
)
っ
返
(
かへ
)
され、
皇子
(
みこ
)
は
大恥
(
おほはぢ
)
をかいて
引
(
ひ
)
きさがりました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
くど/\と
長
(
なが
)
たらしい
事
(
こと
)
を
書
(
か
)
いた
手紙
(
てがみ
)
よりか『
御返事
(
ごへんじ
)
を
待
(
ま
)
つて
居
(
を
)
ります』の
葉書
(
はがき
)
の方が、
遙
(
はる
)
かに
君
(
きみ
)
の
胸
(
むね
)
をゑぐる
力
(
ちから
)
を
持
(
も
)
つてゐたんだね。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
ですから、われ/\が、ある
一
(
ひと
)
つの
土地
(
とち
)
にはえた
木
(
き
)
を、やたらにわきへ
持
(
も
)
つて
行
(
い
)
ったつて、それが
一々
(
いち/\
)
つくわけのものではありません。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
ロミオ (炬火持に對ひ)
俺
(
おれ
)
に
炬火
(
たいまつ
)
を
與
(
く
)
れい。
俺
(
おれ
)
には
迚
(
とて
)
も
浮
(
う
)
かれた
眞似
(
まね
)
は
出來
(
でき
)
ぬ。
餘
(
あんま
)
り
氣
(
き
)
が
重
(
おも
)
いによって、
寧
(
いっ
)
そ
明
(
あかる
)
いものを
持
(
も
)
たう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
近所
(
きんじよ
)
と
姻戚
(
みより
)
との
外
(
ほか
)
には一
飯
(
ぱん
)
も
出
(
だ
)
さなかつたがそれでも
村
(
むら
)
のものは
皆
(
みな
)
二
錢
(
せん
)
づゝ
持
(
も
)
つて
弔
(
くや
)
みに
來
(
き
)
た。さうしてさつさと
歸
(
かへ
)
つて
行
(
い
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それを火から卸して一晩おいて明日から食べ始めると寒い時なら四、五日は
持
(
も
)
ちますから煮る時
面倒
(
めんどう
)
でも毎日の
副食物
(
おかず
)
になります。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「いま
持
(
も
)
ってくるよ。だが、こんなきちがいじみたことにであうのは、生まれてはじめてだよ。ぼくは
催眠術
(
さいみんじゅつ
)
にかかっているのかな?」
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
「
天橋
(
あまはし
)
も長くもがも、高山も高くもがも、
月読
(
つくよみ
)
の
持
(
も
)
たる
変若水
(
をちみづ
)
、い取り来て君に
奉
(
まつ
)
りて、
変若
(
をち
)
得しむもの」(三二四五)、反歌に
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
望蜀生
(
ぼうしよくせい
)
と
余
(
よ
)
とは、
夢中
(
むちう
)
に
成
(
な
)
つて、それを
採集
(
さいしふ
)
した。
其數
(
そのすう
)
實
(
じつ
)
に二
百
(
ひやく
)
七十六
本
(
ほん
)
。それを四
箇
(
こ
)
の
大布呂敷
(
おほふろしき
)
に
包
(
つゝ
)
み、二
箇
(
こ
)
宛
(
づゝ
)
を
分
(
わ
)
けて
持
(
も
)
つ
事
(
こと
)
にした。
探検実記 地中の秘密:05 深大寺の打石斧
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
「一斗五升あります。
持
(
も
)
ち
重
(
おも
)
りがするんでね、すこし風邪は引いてますし、買っておくんなさるなら、願ったり叶ったりです。」
買出し
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
坂路
(
さかみち
)
の
多
(
おほ
)
い
父
(
とう
)
さんの
村
(
むら
)
では、
氷滑
(
こほりすべ
)
りの
出來
(
でき
)
る
塲所
(
ばしよ
)
が
行
(
ゆ
)
く
先
(
さき
)
にありました。
村
(
むら
)
の
子供
(
こども
)
はみな
鳶口
(
とびぐち
)
を
持
(
も
)
つて
凍
(
こゞ
)
つた
坂路
(
さかみち
)
を
滑
(
すべ
)
りました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
島本
(
しまもと
)
の
話
(
はなし
)
では、ぼたんの
鉢
(
はち
)
を
持
(
も
)
つてきたのが、
事件発見
(
じけんはっけん
)
のあの日、つまり五
月
(
がつ
)
六
日
(
か
)
からいうと、
一昨日
(
おととい
)
だといつたんじやないでしようか。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
丁度
(
ちょうど
)
声
(
こえ
)
を
高
(
たか
)
めて
命令
(
めいれい
)
などは
决
(
けっ
)
して
致
(
いた
)
さぬと、
誰
(
たれ
)
にか
誓
(
ちかい
)
でも
立
(
た
)
てたかのように、くれとか、
持
(
も
)
って
来
(
こ
)
いとかとはどうしても
言
(
い
)
えぬ。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
『おろかものの
愚老
(
ぐらう
)
、
碌
(
ろく
)
な
智慧
(
ちゑ
)
も
持
(
も
)
ち
合
(
あ
)
はせませんが、どういふ
儀
(
ぎ
)
でござりませうか。』と、
玄竹
(
げんちく
)
はまた
但馬守
(
たじまのかみ
)
の
氣色
(
けしき
)
を
窺
(
うかゞ
)
つた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
此際
(
このさい
)
鐵道橋梁
(
てつどうきようりよう
)
も
下
(
くだ
)
り
汽車
(
きしや
)
と
共
(
とも
)
に
浚
(
さら
)
はれてしまつたが、これは
土砂
(
どさ
)
に
埋
(
うづま
)
つたまゝ
海底
(
かいてい
)
まで
持
(
も
)
つて
行
(
ゆ
)
かれたものであることが
解
(
わか
)
つた。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
この点にいたると婦人は
侮
(
あなど
)
るべからざる強いところがある。日ごろは一つの
柔
(
やさ
)
しき飾りに過ぎぬ「
簪
(
かんざし
)
も
逆手
(
さかて
)
に
持
(
も
)
てば恐ろしい」。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
昔
(
むかし
)
の
人
(
ひと
)
は、
今日
(
こんにち
)
田舍
(
ゐなか
)
の
樵
(
きこり
)
や
農夫
(
のうふ
)
が
山
(
やま
)
へ
行
(
ゆ
)
く
時
(
とき
)
に、
鎌
(
かま
)
や
斧
(
をの
)
を
腰
(
こし
)
に
着
(
つ
)
けてゐるように、きっと
何
(
なに
)
か
刃物
(
はもの
)
を
持
(
も
)
つてゐたものと
思
(
おも
)
ひます。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
むかしむかし
大昔
(
おおむかし
)
、
今
(
いま
)
から二千
年
(
ねん
)
も
前
(
まえ
)
のこと、
一人
(
ひとり
)
の
金持
(
かねも
)
ちがあって、
美
(
うつ
)
くしい、
気立
(
きだて
)
の
善
(
い
)
い、おかみさんを
持
(
も
)
って
居
(
い
)
ました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
その
意味
(
いみ
)
で、
狹
(
せま
)
い
路次
(
ろじ
)
の
奧
(
おく
)
にあつた、
木造
(
もくざう
)
の、あのささやかな
洋館
(
やうくわん
)
は
日本麻雀道
(
にほんマアジヤンだう
)
のためには
記念保存物
(
きねんほぞんぶつ
)
たる
價値
(
かち
)
を
持
(
も
)
つてゐるかも
知
(
し
)
れない。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
「清水を尋ねて、早く小手の掠り傷をお洗いなさるがよい。おお、ちょうど拙者が
持
(
も
)
ち
合
(
あわ
)
している傷薬、これをおわけ申そう」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
話もそれでおわりになったが、
主人
(
しゅじん
)
はこの
花前
(
はなまえ
)
のことについて考えることに
興味
(
きょうみ
)
を
持
(
も
)
ってきた。その夜もいろいろと考えた。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「まずまず、お
前
(
まえ
)
さん
方
(
がた
)
もっとからだをらくになさい。そしてね、
鰻
(
うなぎ
)
の
頭
(
あたま
)
を
見
(
み
)
つけたら、
私
(
わたし
)
のところに
持
(
も
)
って
来
(
き
)
ておくれ。」
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
併
(
しかし
)
ながら
金解禁
(
きんかいきん
)
の
準備
(
じゆんび
)
としては
在外正貨
(
ざいぐわいせいくわ
)
を
潤澤
(
じゆんたく
)
に
持
(
も
)
ち
得
(
え
)
たことはその
準備
(
じゆんび
)
の
大半
(
たいはん
)
の
目的
(
もくてき
)
を
達
(
たつ
)
したと
云
(
い
)
つて
差支
(
さしつかへ
)
ないのである。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
見合
(
みあい
)
の
時
(
とき
)
の
良人
(
おっと
)
の
服装
(
ふくそう
)
でございますか——
服装
(
ふくそう
)
はたしか
狩衣
(
かりぎぬ
)
に
袴
(
はかま
)
を
穿
(
は
)
いて、お
定
(
さだ
)
まりの
大小
(
だいしょう
)
二腰
(
ふたこし
)
、そして
手
(
て
)
には
中啓
(
ちゅうけい
)
を
持
(
も
)
って
居
(
お
)
りました……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
己は選びもせずに、ラシイヌの
外
(
ほか
)
の一巻を
抽
(
ぬ
)
き出して、
持
(
も
)
て来た一巻を代りに入れて置いて、しづえと一しょに洋室を出た。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
実
(
げ
)
に直行も気味好からぬ声とは思へり。
小鍋立
(
こなべだて
)
せる
火鉢
(
ひばち
)
の
角
(
かど
)
に
猪口
(
ちよく
)
を
措
(
お
)
き、
燈
(
あかし
)
を
持
(
も
)
て来よと
婢
(
をんな
)
に命じて、玄関に出でけるが、
先
(
ま
)
づ戸の内より
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「
注意
(
ちうい
)
を
拂
(
はら
)
ふ」だの「
近
(
ちか
)
き
將來
(
しやうらい
)
」などは、おかしいけれどもまだ
意味
(
いみ
)
が
分
(
わ
)
かるが、
妙
(
めう
)
に
持
(
も
)
つてまはつて、
意味
(
いみ
)
が
通
(
つう
)
じないのは、まことに
困
(
こ
)
まる。
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
日本
(
につぽん
)
の
古代
(
こだい
)
の
人々
(
ひと/″\
)
は、かういふふうに、
一首
(
いつしゆ
)
の
歌
(
うた
)
についても、
何
(
なに
)
か
神
(
かみ
)
の
心
(
こゝろ
)
あるひは、
諭
(
さと
)
しが
含
(
ふく
)
まれてゐるのだ、といふ
考
(
かんが
)
へ
癖
(
くせ
)
を
持
(
も
)
つてゐました。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
持
(
も
)
つて来た風呂敷包を
背負
(
せお
)
つて、古びた
蝙蝠傘
(
かうもりがさ
)
を持つて、すり減した
朴歯
(
ほほば
)
の下駄を
穿
(
は
)
いて、しよぼたれた
風
(
ふう
)
をして、隣の老人は
暇
(
いとま
)
を告て行つた。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「これも
今
(
いま
)
となつてみれば、
何
(
な
)
んでもない。
船
(
ふね
)
から
海
(
うみ
)
へ
棄
(
す
)
てようかと
思
(
おも
)
つたけれど、
到頭
(
たうとう
)
また
日本
(
にほん
)
へ
持
(
も
)
つて
帰
(
かへ
)
つた。」
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
怜悧
(
れいり
)
な
快活
(
くわいくわつ
)
な、
大
(
おほ
)
きい
眼
(
め
)
を
持
(
も
)
つてゐた
美
(
うつく
)
しい
彼女
(
かのぢよ
)
、
今
(
いま
)
は
一人
(
ひとり
)
の
女
(
をんな
)
として
力限
(
ちからかぎ
)
り
鬪
(
たゝか
)
つた。そして
遂
(
つひ
)
に
安
(
やす
)
らかに
睡
(
ねむ
)
つた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
亭主
(
ていしゅ
)
持
(
もつ
)
なら理学士、文学士
潰
(
つぶし
)
が利く、女房
持
(
も
)
たば音楽師、
画工
(
えかき
)
、産婆三割徳ぞ、ならば
美人局
(
つつもたせ
)
、げうち、板の間
挊
(
かせ
)
ぎ等の
業
(
わざ
)
出来て
然
(
しか
)
も英仏の語に長じ
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ですからニールスは、お城の中の
部屋
(
へや
)
という部屋を、
持
(
も
)
ち
主
(
ぬし
)
の生徒についてまわらなければなりませんでした。じつにじれったい
旅
(
たび
)
ではありませんか。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
「忠成め、飛んだ
食
(
くら
)
ひぬけと見えるて。」豊後守はそつとその弁当箱に触つてみた。箱は
鎧櫃
(
よろひびつ
)
ほど
持
(
も
)
ち
重
(
おも
)
りがした。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
持
常用漢字
小3
部首:⼿
9画
“持”を含む語句
心持
持上
気持
住持
矜持
金持
扶持
持出
癇癪持
家持
兇状持
持合
持来
御扶持
受持
所持
面持
迫持
岡持
維持
...