トップ
>
底
>
そこ
ふりがな文庫
“
底
(
そこ
)” の例文
……お前さんに漕げるかい、と
覚束
(
おぼつか
)
なさに念を押すと、浅くて
棹
(
さお
)
が届くのだから仔細ない。
但
(
ただ
)
、一ヶ所
底
(
そこ
)
の知れない
深水
(
ふかみず
)
の穴がある。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
這麼老朽
(
こんならうきう
)
な
體
(
からだ
)
は
死
(
し
)
んでも
可
(
い
)
い
時分
(
じぶん
)
だ、とさう
思
(
おも
)
ふと、
忽
(
たちま
)
ち
又
(
また
)
何
(
なん
)
やら
心
(
こゝろ
)
の
底
(
そこ
)
で
聲
(
こゑ
)
がする、
氣遣
(
きづか
)
ふな、
死
(
し
)
ぬ
事
(
こと
)
は
無
(
な
)
いと
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
るやうな。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
堀割
(
ほりわり
)
は
丁度
(
ちやうど
)
真昼
(
まひる
)
の
引汐
(
ひきしほ
)
で
真黒
(
まつくろ
)
な
汚
(
きた
)
ない
泥土
(
でいど
)
の
底
(
そこ
)
を見せてゐる上に、四月の
暖
(
あたゝか
)
い日光に
照付
(
てりつ
)
けられて、
溝泥
(
どぶどろ
)
の
臭気
(
しうき
)
を
盛
(
さかん
)
に発散して
居
(
ゐ
)
る。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
そうかと思うと
水晶
(
すいしょう
)
のようにすみきっていて、水の
底
(
そこ
)
できらきら光る小石だの、ビロードのような水草をすかして見ることができた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
こいつには
底
(
そこ
)
に
穴
(
あな
)
がひとつあいている。こいつを
屋根
(
やね
)
うらべやにもっていって、大きなくぎにかけて、なかに水をつぎこんでみてくれ。
森のなかの三人の小人
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
▼ もっと見る
大學者
(
だいがくしや
)
さまが
頭
(
つむり
)
の
上
(
うへ
)
から
大聲
(
おほごゑ
)
で
異見
(
いけん
)
をして
下
(
くだ
)
さるとは
違
(
ちが
)
ふて、
心
(
しん
)
から
底
(
そこ
)
から
沸
(
わ
)
き
出
(
だ
)
すほどの
涙
(
なみだ
)
がこぼれて、いかに
強情
(
がうじやう
)
我
(
が
)
まんの
私
(
わたし
)
でも
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
これで秀頼公という方の
底
(
そこ
)
が知れた。たった一度の手合せで腰が砕けるようでは、なんのために徳川に戦争をしかけたのかわからない。
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
なんといっても、
水
(
みず
)
の
底
(
そこ
)
は
暗
(
くら
)
いので、それに、そこばかりにいると
飽
(
あ
)
きてしまって、
早
(
はや
)
く、
自由
(
じゆう
)
に、
広
(
ひろ
)
い
世界
(
せかい
)
へ
出
(
で
)
てみたかったのです。
魚と白鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
自ら不良少女と
名乘
(
なの
)
ることによつて
僅
(
わず
)
かに
慰
(
なぐさ
)
んでゐる心の
底
(
そこ
)
に、
良心
(
りやうしん
)
と
貞操
(
ていさう
)
とを大切にいたわつているのを、人々は(
殊
(
こと
)
に
男子
(
だんし
)
に
於
(
おい
)
て)
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
ロミオ いや/\、
滅相
(
めっさう
)
な。
足下
(
きみ
)
の
舞踏靴
(
をどりぐつ
)
の
底
(
そこ
)
は
輕
(
かる
)
いが、
予
(
わし
)
の
心
(
こゝろ
)
の
底
(
そこ
)
は
鉛
(
なまり
)
のやうに
重
(
おも
)
いによって、
踊
(
をど
)
ることはおろか、
歩
(
ある
)
きたうもない。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
耳
(
みゝ
)
を
傾
(
かたむ
)
けると、
何處
(
いづく
)
ともなく
鼕々
(
とう/\
)
と
浪
(
なみ
)
の
音
(
おと
)
の
聽
(
きこ
)
ゆるのは、
此
(
この
)
削壁
(
かべ
)
の
外
(
そと
)
は、
怒濤
(
どとう
)
逆卷
(
さかま
)
く
荒海
(
あらうみ
)
で、
此處
(
こゝ
)
は
確
(
たしか
)
に
海底
(
かいてい
)
數十
(
すうじふ
)
尺
(
しやく
)
の
底
(
そこ
)
であらう。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
誰
(
だれ
)
にいうともない
独言
(
ひとりごと
)
ながら、
吉原
(
よしわら
)
への
供
(
とも
)
まで
見事
(
みごと
)
にはねられた、
版下彫
(
はんしたぼり
)
の
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
は、
止度
(
とめど
)
なく
腹
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
が
沸
(
に
)
えくり
返
(
かえ
)
っているのであろう。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
法被
(
はつぴ
)
を
着
(
き
)
た
寺
(
てら
)
の
供
(
とも
)
が
棺桶
(
くわんをけ
)
を
卷
(
ま
)
いた
半反
(
はんだん
)
の
白木綿
(
しろもめん
)
をとつて
挾箱
(
はさんばこ
)
に
入
(
いれ
)
た。
軈
(
やが
)
て
棺桶
(
くわんをけ
)
は
荒繩
(
あらなは
)
でさげて
其
(
そ
)
の
赤
(
あか
)
い
土
(
つち
)
の
底
(
そこ
)
に
踏
(
ふ
)
みつけられた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
こっち
側
(
がわ
)
の
窓
(
まど
)
を見ますと汽車はほんとうに高い高い
崖
(
がけ
)
の上を走っていて、その谷の
底
(
そこ
)
には川がやっぱり
幅
(
はば
)
ひろく明るく
流
(
なが
)
れていたのです。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
で、
其手紙
(
そのてがみ
)
は一
時
(
じ
)
私
(
わたし
)
の
手
(
て
)
に
押収
(
おうしう
)
することにして、一
旦
(
たん
)
机
(
つくゑ
)
の
抽斗
(
ひきだし
)
の
底
(
そこ
)
へ
入
(
い
)
れて
見
(
み
)
たが、こんな
反故屑
(
ほごくづ
)
を
差押
(
さしおさ
)
へて
其
(
それ
)
が
何
(
なん
)
になるか。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
心の
底
(
そこ
)
では、小父の
方
(
ほう
)
が
正
(
ただ
)
しいとわかっていた。ゴットフリートの言葉が
胸
(
むね
)
の
奥
(
おく
)
に
刻
(
きざ
)
みこまれていた。彼は
嘘
(
うそ
)
をついたのがはずかしかった。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
すると
八玉神
(
やたまのかみ
)
は、うになって、海の
底
(
そこ
)
の土をくわえて来て、それで、いろんなお供えものをあげるかわらけをこしらえました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
解釈して見ると、周囲に調和して行けるから、落ち付いてゐられるので、
何所
(
どこ
)
かに不足があるから、
底
(
そこ
)
の方が乱暴だと云ふ意味ぢやないのか
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
如何にも作者が
熱情的
(
ねつじやうてき
)
で、
直情徑行的
(
ちよくじやうけいかうてき
)
な人であるやうな氣持がしますけれども、最う一歩
進
(
すゝ
)
めて、
作品
(
さくひん
)
の
底
(
そこ
)
を味つてゐると
三作家に就ての感想
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
謝
(
しや
)
しつゝお光は
泣顏
(
なきがほ
)
隱し井戸端へ行き
釣上
(
つりあぐ
)
る
竿
(
さを
)
を直なる身の上も
白精
(
しらげ
)
の
米
(
よね
)
と事變り腹いと黒き其人が
堀拔
(
ほりぬき
)
井戸の
底
(
そこ
)
深
(
ふか
)
き
謀計
(
たくみ
)
に掛り無實の
汚名
(
をめい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
すぐ近くの海がまっ二つにさけて、船のまわりには、海の
底
(
そこ
)
の砂のまじった波が、まるでかべのように立ち上りました。
アラビヤンナイト:04 四、船乗シンドバッド
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私
(
わたくし
)
は
急
(
いそ
)
いで
巌
(
いわ
)
から
降
(
お
)
りてそこへ
行
(
い
)
って
見
(
み
)
ると、
案
(
あん
)
に
違
(
たが
)
わず
巌山
(
いわやま
)
の
底
(
そこ
)
に八
畳
(
じょう
)
敷
(
じき
)
ほどの
洞窟
(
どうくつ
)
が
天然
(
てんねん
)
自然
(
しぜん
)
に
出来
(
でき
)
て
居
(
お
)
り、そして
其所
(
そこ
)
には
御神体
(
ごしんたい
)
をはじめ
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
貢さんは
何時
(
いつ
)
も聞く阿母さんの話だけれど、今日は
冷
(
つめ
)
たい沼の水の
底
(
そこ
)
の底で聞かされた様な気がして、小供心に頼り無い沈んだ
悲哀
(
かなしみ
)
が
充満
(
いつぱい
)
に成つた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
「あの
人
(
ひと
)
を
殺
(
ころ
)
して
下
(
くだ
)
さい。」——この
言葉
(
ことば
)
は
嵐
(
あらし
)
のやうに、
今
(
いま
)
でも
遠
(
とほ
)
い
闇
(
やみ
)
の
底
(
そこ
)
へ、まつ
逆樣
(
さかさま
)
におれを
吹
(
ふ
)
き
落
(
おと
)
さうとする。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
百樹曰、余丁酉の年の晩夏
豚児
(
せがれ
)
京水を
従
(
したがへ
)
て北越に
遊
(
あそび
)
し時、
三国嶺
(
みくにたふげ
)
を
踰
(
こえ
)
しは六月十五日なりしに、谷の
底
(
そこ
)
に鶯をきゝて
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
湖上住居
(
こじようじゆうきよ
)
は、しかし
新石器時代
(
しんせつきじだい
)
ばかりでなく、
次
(
つ
)
ぎの
青銅器時代
(
せいどうきじだい
)
までも
引
(
ひ
)
きつゞいて
行
(
おこな
)
はれてゐたことは、
湖水
(
こすい
)
の
一番
(
いちばん
)
深
(
ふか
)
い
底
(
そこ
)
からは
石器
(
せつき
)
が
發見
(
はつけん
)
され
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
笛がとぎれた時の、シーンとした
静寂
(
しじま
)
と
冷気
(
れいき
)
とは、まるで深海の
底
(
そこ
)
のようだ。けれど、
事実
(
じじつ
)
はおそろしい
高地
(
こうち
)
なのだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
資本主
(
しほんぬし
)
と
機械
(
きかい
)
と
勞働
(
らうどう
)
とに
壓迫
(
あつぱく
)
されながらも、
社會
(
しやくわい
)
の
泥土
(
でいど
)
と
暗黒
(
あんこく
)
との
底
(
そこ
)
の底に、
僅
(
わづか
)
に其の
儚
(
はかな
)
い
生存
(
せいぞん
)
を
保
(
たも
)
ツてゐるといふ
表象
(
シンボル
)
でゞもあるやうな
此
(
こ
)
の
唄
(
うた
)
には
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
くず
屋
(
や
)
は
和尚
(
おしょう
)
さんの
出
(
だ
)
した
茶
(
ちゃ
)
がまを
手
(
て
)
に
取
(
と
)
って、なでてみたり、たたいてみたり、
底
(
そこ
)
をかえしてみたりしたあとで
文福茶がま
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
ちと長い旅行でもして帰って来る
姿
(
すがた
)
を見かけた近所の子供に「
何処
(
どけ
)
へ往ったンだよゥ」と云われると、
油然
(
ゆうぜん
)
とした嬉しさが心の
底
(
そこ
)
からこみあげて来る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ほとんど、なんのやかましい
思想
(
しそう
)
も
強
(
つよ
)
い
感情
(
かんじよう
)
もないが、
明
(
あか
)
るい、にこにこした
氣持
(
きも
)
ちが、われ/\を
心
(
こゝろ
)
の
底
(
そこ
)
からゆすり
立
(
た
)
てるように
感
(
かん
)
じないでせうか。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
かれ、水底に沈み居たまふ時の名を
底
(
そこ
)
ドク
御魂
(
みたま
)
といひつ。その海水のツブ立つ時の名をツブ立つ御魂といひつ、その
泡
(
あわ
)
さく時の名を泡サク御魂といひき
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
バタキーの話では、そのばちがあたって、ヴィネータの都は、
洪水
(
こうずい
)
のために海の
底
(
そこ
)
に沈められてしまったそうです。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
もう
夜
(
よ
)
になつた
頃
(
ころ
)
だ。
深
(
ふか
)
い
谷間
(
たにま
)
の
底
(
そこ
)
で
天幕
(
テント
)
を
張
(
は
)
つた
回々教
(
フイフイけう
)
の
旅行者
(
りよかうしや
)
が二三
人
(
にん
)
、
篝火
(
かがりび
)
を
囲
(
かこ
)
んでがやがや
話
(
はな
)
してゐた。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
この
田舍
(
ゐなか
)
は
水
(
みづ
)
に
不自由
(
ふじいう
)
なところでした。
谷
(
たに
)
の
底
(
そこ
)
の
方
(
はう
)
まで
行
(
ゆ
)
けば
山
(
やま
)
の
間
(
あひだ
)
を
流
(
なが
)
れて
來
(
く
)
る
谷川
(
たにがは
)
がなくもありませんが、
人家
(
じんか
)
の
近
(
ちか
)
くにはそれもありませんでした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
云
(
い
)
ふべき
言葉
(
ことば
)
もなく、
幾
(
いく
)
らかのお
茶
(
ちや
)
と
麺麭
(
パン
)
と
牛酪
(
バター
)
とを
出
(
だ
)
して、
福鼠
(
ふくねずみ
)
の
方
(
はう
)
に
振向
(
ふりむ
)
き、『
何故
(
なぜ
)
皆
(
みん
)
な
井戸
(
ゐど
)
の
底
(
そこ
)
に
住
(
す
)
んでゐたの?』と
問
(
と
)
ひ
返
(
かへ
)
しました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
井戸
(
いど
)
の
底
(
そこ
)
から、
外
(
そと
)
にいる
人
(
ひと
)
にむかって
話
(
はなし
)
をするために、
井戸新
(
いどしん
)
さんの
声
(
こえ
)
が
大
(
おお
)
きくなってしまったのであります。
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
一寸
上
(
うへ
)
に浮ばんとするは、一寸
下
(
した
)
に沈むなり、一尺
岸
(
きし
)
に
上
(
のぼ
)
らんとするは、一尺
底
(
そこ
)
に
下
(
くだ
)
るなり、所詮自ら掘れる墳墓に埋るゝ運命は、悶え苦みて些の益もなし。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
かれその底に沈み居たまふ時の名を、
底
(
そこ
)
どく
御魂
(
みたま
)
四
といひ、その海水のつぶたつ時の名を、つぶ立つ
御魂
(
みたま
)
といひ、その
沫
(
あわ
)
咲く時の名を、あわ咲く
御魂
(
みたま
)
といふ。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
それからそのそばに、あみだ寺をたてて、
徳
(
とく
)
の高い
坊
(
ぼう
)
さんを、そこにすまわせ、
朝
(
あさ
)
に
夕
(
ゆう
)
にお
経
(
きょう
)
をあげていただいて、海の
底
(
そこ
)
にしずんだ人びとの
霊
(
れい
)
をなぐさめました。
壇ノ浦の鬼火
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
かれが
行動
(
こうどう
)
の
確信
(
かくしん
)
あるがごとくにして、その
確信
(
かくしん
)
の
底
(
そこ
)
がぬけているところ、かれが変人たるゆえんではあるが、しかしながらかれは
確信
(
かくしん
)
という
自覚
(
じかく
)
があるかどうか
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
二人
(
ふたり
)
は
同時
(
どうじ
)
に
閭
(
りよ
)
を
一目
(
ひとめ
)
見
(
み
)
た。それから
二人
(
ふたり
)
で
顏
(
かほ
)
を
見合
(
みあは
)
せて
腹
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
から
籠
(
こ
)
み
上
(
あ
)
げて
來
(
く
)
るやうな
笑聲
(
わらひごゑ
)
を
出
(
だ
)
したかと
思
(
おも
)
ふと、一しよに
立
(
た
)
ち
上
(
あ
)
がつて、
厨
(
くりや
)
を
驅
(
か
)
け
出
(
だ
)
して
逃
(
に
)
げた。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
『
見
(
み
)
なさい
今
(
いま
)
だ、
今
(
いま
)
が
初日出
(
はつひので
)
だ』と
老人
(
らうじん
)
は
言
(
い
)
ひつゝ
海原
(
うなばら
)
遠
(
とほ
)
く
眺
(
なが
)
めて
居
(
ゐ
)
るので、
若者
(
わかもの
)
も
連
(
つれ
)
られて
沖
(
おき
)
を
眺
(
なが
)
めました、
眞紅
(
しんく
)
の
底
(
そこ
)
に
黄金色
(
こんじき
)
を
含
(
ふく
)
んだ
一團球
(
いちだんきう
)
は
今
(
いま
)
しも
半
(
なかば
)
天際
(
てんさい
)
を
躍出
(
をどりい
)
でて
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
しかしまた振り返って自分等が住んでいた甲斐の国の笛吹川に添う一帯の地を望んでは、
黯然
(
あんぜん
)
としても心も
昧
(
くら
)
くなるような気持がして、しかもその
薄
(
うっ
)
すりと霞んだ
霞
(
かすみ
)
の
底
(
そこ
)
から
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
瓦
(
かわら
)
を
珠
(
たま
)
とおもう愚者でないかぎり、他人には
傑
(
えら
)
い夫も、妻は物足らぬ
底
(
そこ
)
を知るものだ。貞奴と川上との間だけがそれらの外とはいえない。それですら貞奴は夫を傑いと思っていた。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
お前は本を見て
頭
(
あたま
)
の
底
(
そこ
)
に名前を
覚
(
おぼ
)
えた それが
夢
(
ゆめ
)
の中にフッとでてきたといふわけぢや
小熊秀雄全集-22:火星探険―漫画台本
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
その口に説くところを聞けば主公の
安危
(
あんき
)
または外交の利害などいうといえども、その心術の
底
(
そこ
)
を
叩
(
たたい
)
てこれを
極
(
きわ
)
むるときは
彼
(
か
)
の哲学流の一種にして、人事国事に
瘠我慢
(
やせがまん
)
は無益なりとて
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
さうして
深
(
ふか
)
い
海
(
うみ
)
の
底
(
そこ
)
はこの
質
(
しつ
)
の
層
(
そう
)
が
直接
(
ちよくせつ
)
其表面
(
そのひようめん
)
まで
達
(
たつ
)
してゐるか、
或
(
あるひ
)
は
表面近
(
ひようめんちか
)
く
進
(
すゝ
)
んで
來
(
き
)
てゐて、
其上
(
そのうへ
)
を
陸界
(
りくかい
)
の
性質
(
せいしつ
)
のもので
薄
(
うす
)
く
被
(
おほ
)
ふてゐるくらゐにすぎぬと、かう
考
(
かんが
)
へられてゐる。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
吾
(
わ
)
が
欲
(
ほ
)
りし
野島
(
ぬじま
)
は
見
(
み
)
せつ
底
(
そこ
)
ふかき
阿胡根
(
あこね
)
の
浦
(
うら
)
の
珠
(
たま
)
ぞ
拾
(
ひり
)
はぬ 〔巻一・一二〕 中皇命
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
接骨木
(
にわどこ
)
までが、その
枝
(
えだ
)
をこの
新
(
あたら
)
しい
白鳥
(
はくちょう
)
の
方
(
ほう
)
に
垂
(
た
)
らし、
頭
(
あたま
)
の
上
(
うえ
)
ではお
日様
(
ひさま
)
が
輝
(
かがや
)
かしく
照
(
て
)
りわたっています。
新
(
あたら
)
しい
白鳥
(
はくちょう
)
は
羽
(
はね
)
をさらさら
鳴
(
な
)
らし、
細
(
ほ
)
っそりした
頸
(
くび
)
を
曲
(
ま
)
げて、
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
から
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
“底”の意味
《名詞》
(そこ)器、図形、地形など、物体の最も下になる部分。即ち、ある部分の周囲が全て、その部分よりも高い位置をなしている場合のある部分。
(テイ)累乗の演算において、繰り返し掛け合わせられる数。対数
log_{b} x
における
b
。基数。
;対義語
(語義1):頂
(出典:Wiktionary)
底
常用漢字
小4
部首:⼴
8画
“底”を含む語句
水底
海底
到底
船底
心底
胸底
地底
真底
底冷
底止
底光
河底
眼底
底土
川底
谷底
筐底
徹底
糸底
底力
...