ばい)” の例文
えゝも、乳母うばめは跛足ちんばぢゃ! こひ使者つかひには思念おもひをこそ、思念おもひのこよるかげ遠山蔭とほやまかげ追退おひのける旭光あさひはやさよりも十ばいはやいといふ。
とりわけひだりの手がみぎの手より四すんながかったものですから、みの二ばいもあるつよゆみに、二ばいもあるながをつがえてはいたのです。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
それは、普通ふつうのほたるよりもおおきさが二ばいもあって、あたまには、二つのあかてんがついていましたが、いろは、ややうすかったのであります。
海ぼたる (新字新仮名) / 小川未明(著)
風呂ふろびてれゆけばつきかけ下駄げたに七五三の着物きもの何屋なにやみせ新妓しんこたか、金杉かなすぎ糸屋いとやむすめう一ばいはながひくいと
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そこで、急ぎの客は、賃銀をばいして、二人の人力曳にひいてもらうのであった。巳之助に先綱曳を頼んだのも、急ぎの避暑客であった。
おじいさんのランプ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
オーラのおとうさんとしては、じぶんがおやからもらった土地とちを、子どもには、ばいにしてのこしてやりたいと思っていたからです。
他人ひとばいしてせはしい勘次かんじがだん/\にりつゝあるたわら内容ないようにしてひどをしつゝ戸口とぐち出入でいりするのを卯平うへいるのがいやかつつらかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「で、ついに、毒水どくみずらわなかった。水を食らえば体重はばいの上にもなるゆえ、けっして、いくら大鷲おおわしでもくわえて飛べたものじゃない」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
四六ばんから四六ばいの雑誌にうつまでには大分だいぶ沿革えんかくが有るのですが、今はく覚えません、印刷所いんさつじよ飯田町いひだまち中坂なかさか同益社どうえきしやふのにへて
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
心に目しるしをして家にかへりおやにもかたりてよろこばせ、次のあしたかははぐべき用意をなしてかしこにいたりしにきもは常にばいして大なりしゆゑ
そのうちによるもなかばになつたとおもふと、いへのあたりがにはかにあかるくなつて、滿月まんげつじつそうばいぐらゐのひかりで、人々ひと/″\毛孔けあなさへえるほどであります。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
たいてい自分ののぞ種子たねさえけばひとりでにどんどんできます。米だってパシフィックへんのようにからもないし十ばいも大きくてにおいもいいのです。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
宗助そうすけ周圍しうゐのざわつくなか默然もくねんとして、ひとばいも三ばいときごしたごとくにかんじたすゑつひすわれずにせきつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
火星の表面へうめんは地きう引力いんりよくの五ぶんノ二しかない だから人は地球にゐるときより二ばい半は高くべるが しかし、それ以上いじやう高くは飛べるはずがないのぢや
はな遊興いうきようは日頃に十ばい仕たりける是に依て神主かんぬし共五百餘人集會あつまりさかきの枝に四手を切かけて種々と義長の惡逆あくぎやくを申立て彼を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そして思い切ってのこりの五十スーでろうそくを買うと、それを半分に切って、明かりを二ばいに使うくふうをした。
って、ってくれ、だまっていてくれとはかれにはわれぬので、じっと辛抱しんぼうしているつらさは一ばいである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
つれてきたときより三ばいも大きくなり、夜はよく家のばんをし、昼間ひるまは林太郎のいうことをよく聞いて、いっしょにふざけながら遊んでもおしっこをもらしたり
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
かれは、そのすがたでからだの三ばいもありそうなのぼりをになって、楽隊がくたいのまっ先をいせいよく進んだ。
美しき元旦 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
また味加減をつけるにも、例の口喧くちやかましい伯の事とてひとばい講釈はするが、舌は正直なもので、何でもしよつぱくさへして置けば恐悦して舌鼓したつゞみを打つてゐるといふ事だ。
少し気が落着おちついてくると、おそろしさと不安ふあんとが、前の二ばいになって自分のむねにおしよせてきた。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
そのためにかえっていま自分じぶんとりかこんでいる幸福こうふくひとばいたのしむこと出来できるからです。御覧ごらんなさい。
わたくしこのちいさいうをを百ばいにも二百倍にひやくばいにもする工夫くふういでもない、よしこの小鰺こあぢで、あの巨大おほき沙魚ふかつてやらうとかんがへたので、少年せうねんかたると少年せうねん大賛成だいさんせい勿論もちろん釣道具つりどうぐいが
もうずいぶんまえから、そこのところがわからないであたまなやましていたのでした。六の六ばいは三十六だといわれても、それは三十六の椅子いすなのか、三十六の胡桃くるみなのかわからないのです。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
渋茶しぶちゃあじはどうであろうと、おせんが愛想あいそうえくぼおがんで、桜貝さくらがいをちりばめたような白魚しらうおから、おちゃぷくされれば、ぞっと色気いろけにしみて、かえりの茶代ちゃだいばいになろうという。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
すなはその(四九)歩軍ほぐんて、その(五〇)輕鋭けいえいと、(五一)ばいかうあはせてこれへり。孫子そんし其行そのかうはかるに、くれまさ馬陵ばりよういたるべし。馬陵ばりようみちせまくしてかたは(五二)阻隘そあいおほく、へいふくし。
ざつと三十三間堂けんだうほとけかずの十ばい見積みつもつたんさ。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
その明くる日からは例年にばいする大漁でした。
一つとおもへばうらみもる、なんれがつとめなり、ことにはれほどがらの相違さうゐもあることなればひとばいもある道理だうり
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
だが、こういう事業にたいしては、人一ばいの熱をもつ蛾次郎である。たちまち一さくをあんじだして、蕎麦まんじゅうの曲取きょくどりをやりはじめた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この北海ほっかいうえばかりでも、いくひきの子供こどもをなくしたあざらしがいるかしれない。しかし、おまえは、子供こどもにやさしいから一ばいかなしんでいるのだ。
月とあざらし (新字新仮名) / 小川未明(著)
心に目しるしをして家にかへりおやにもかたりてよろこばせ、次のあしたかははぐべき用意をなしてかしこにいたりしにきもは常にばいして大なりしゆゑ
くらなかから大事だいじさうにしてたと所作しよさくはへてかんがへると、自分じぶんつてゐたときよりはたしかに十ばい以上いじやうたつといしなやうながめられただけであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それからからだおもみが六十四きんもあって、おこってちからをうんとれると、その四ばいおもくなるといわれていました。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
普通ふつう中学校などにそなけてある顕微鏡けんびきょうは、拡大度かくだいどが六百ばい乃至ないし八百倍ぐらいまでですから、ちょうはね鱗片りんぺん馬鈴薯ばれいしょ澱粉粒でんぷんりゅうなどはじつにはっきり見えますが
手紙 三 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
つて、つてれ、だまつてゐてれとはかれにははれぬので、じつ辛抱しんばうしてゐるつらさは一ばいである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
わたしたちは雌牛めうしをキッスしたり、雌牛からキッスされて感じるゆかいさを人一ばい感じるわけがあった。
從來これまでばいしてるのとほとんまた拒絶きよぜつされるのではないかといふ懸念けねんいだきつゝある與吉よきち何時いつでもそれ非常ひじやう滿足まんぞくあらはした。その容子ようす卯平うへいいきほこゝろうごかされた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
もつと画家ゑかきなどいふものは、無駄口と同情おもひやりひとばい持合せてゐる癖に、金といつては散銭ばらせん一つ持つてないてあひが多いが、さういふてあひは財布をける代りに、青木氏を自分のうちに連れ込んで
櫻木大佐さくらぎたいさ幾年月いくねんげつあひだ苦心くしん苦心くしんかさねたる結果けつくわある秘密ひみつなる十二しゆ化學藥液くわがくやくえき機密きみつなる分量ぶんりよう化合くわごうは、普通ふつう電氣力でんきりよくして、ほとんど三十ばい以上いじやう猛烈まうれつなる作用さようおここと發見はつけん
「わたしはね、ふつう屠殺台とさつだいにつれていかれる牛よりも、ばいも年をとっているんですよ。でも、もうあのおくさんにめんどうをみてもらえないんなら、生きていたいとも思いません。」
拾号じふがうからはまた大いに躰裁ていさいあらためて(十月廿にぢう五日出版しゆつぱん頁数ページすうばいにして、別表紙べつびやうしけて、別摺べつずり挿画さしゑを二まい入れて、定価ていかを十せんに上げました、表紙は朱摺しゆずり古作者印譜こさくしやいんぷ模様もやうで、かたちは四六ばい
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
風にもまれて暮したりやうやく五日のさる下刻げこくに及び少し風もしづまり浪もやゝおだやかに成ければわづかに蘇生そせいの心地してよろこびしが間もなく其夜の初更しよかうに再び震動しんどう雷電らいでん颶風ぐふうしきりに吹起ふきおこり以前にばいしてつよければふね
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
火星のは 地球のの千ばいも大きいのを使つてゐます
合図あいずの狼煙! それは一ばいものすごいひびきをもって、寒松院かんしょういん並木なみきにいる、伊那丸いなまる忍剣にんけん、龍太郎の耳へまでつんざいていったことは必定ひつじょうである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
きつね姿すがたえなくなったとおもうと、またこうのもりの中で、せんよりも三ばいも四ばいもさわがしい人声ひとごえがしました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
おとが次第に近付いて孟宗藪のしたを通るときには、前の列車よりばいたかおとを立てゝぎ去つた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
我が若年ぢやくねんのころは鮏あまたとれたるゆゑそのあたひもいやしかりしが、近年はとりうる事すくなきゆゑ価もおのづからむかしにばいせり。年々たくみあらたにしてれふするゆゑ捕へらしたるならん。
僕はまず立派りっぱ軍艦ぐんかんの絵を書くそれから水車のけしきも書く。けれども早くってしまうとこまるなあ、こう考えたときでした鉛筆がにわかにばいばかりの長さにびてしまいました。
みじかい木ぺん (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
去歳こぞにくらべて長屋ながやもふゑたり、所得しよとくばいにと世間せけんくちより樣子やうすりて、をかしやをかしや、そのやうにばしてものにするぞ、火事くわじ燈明皿とうめうざらよりもものぞかし
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)